密室・殺人/アリス殺し/クララ殺し

読んだ本の感想。

以下、ネタバレ含む。

密室・殺人
小林泰三著。平成十年七月三十日 初版発行。



多分、小林先生の物語群の起点となるはずだった作品なのかな?邪神が祀られている亜細神社。1年前から発生している奇妙な事件。探偵役の四里川陣/四ツ谷礼子。etcと伏線になりそうな種が沢山ある。

小林先生の作品の中で、『密室・殺人』だけが浮いているといわれる事があるけど、小林先生が本当に書きたかったのは、こういう邪神が跋扈する世界で論理的な人物が、ある程度は現実性を持った事件を解き明かす話ではないのかな?

岡崎徳三郎、谷丸警部、西中島巡査、西条源治、新藤礼都と、以後の小林作品に登場する人物達が大勢登場する。本当は、四里川陣/四ツ谷礼子が主軸となる話を書きたかったのでは?

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四里川探偵事務所に、依頼者 仁科順子の息子 仁科達彦の殺人容疑を晴らして欲しいという依頼が持ち込まれる。

殺人現場は、亜細山中の別荘で、被害者は仁科達彦の妻 仁科理奈。仁科理奈と仁科達彦、その愛人 新藤礼都、弁護士の西条源治が離婚について話し合っていたところ、仁科理奈が自室に閉じ籠り、しばらく後に悲鳴が聞こえ、遺体は別荘の外で見つかった。

部屋には内部から鍵がかけられており、密室の外に死体があった事から、「密室・殺人」と2つに分割される。

トリックは、被害者の自演と他者の悪意。

被害者は、部屋の窓からロープを使用して別荘外に出て、悲鳴を上げた後に死体の振りをする。自らを死体と思い込んだ人々が、下に向かった隙に、ロープを使用して部屋に戻る。

被害者が戻った別荘には、新藤礼都が残っており、ロープを物置部屋に戻した時に見つかり、今度は本当に突き落とされる。新藤礼都は、警察関係者以外知らないはずの物置部屋の窓の施錠を知っていた。

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大きな森の小さな密室(氷橋、自らの伝言)等で語られる新藤礼都が無罪となったウルトラCとは何だろう?

P225では、新藤礼都と仁科理奈が、ワンダーフォーゲル部の先輩 依川仁を取り合った話が語られている。依川仁 = 四里川陣?

後続の作品とでは、新藤礼都のキャラクターが別人のようになっている。

多分、後続の作品群で色々と説明されるのだろう。

アリス殺し
小林泰三著。2013年9月20日 初版。



この物語の世界は、赤の王様(バイオ量子コンピュータ)のシミュレーションである。赤の王様が目覚める毎に、地球は消滅し、赤の王様が眠ると世界は復活する。

アーヴァタール現象:
地球と異世界(不思議の国)の存在の記憶がリンクする現象。実体と異なる化身をアーヴァタールと呼ぶ。本体は不思議の国の動物達であり、化身である地球の人間が死んでも本体に影響は無いが、不思議の国の本体が死ぬと地球のアーヴァタールも死んでしまう。

⇒リンクするのは記憶のみであり、能力や人格はリンクしない

<あらすじ>
アーヴァタール現象を利用した大学准教授 広山衝子(メアリーアン)の引き起こす殺人事件。自らの出世のために不思議の国の本体を殺していく。

①ハンプティ・ダンプティ殺害
自らの上司である篠崎教授を殺すため、体型が似ているハンプティ・ダンプティを殺す。しかし、ハンプティ・ダンプティのアーヴァタールは、王子玉男という大学院生だった。

不思議の国における殺人目撃者 三日月兎(田中李緒)は、臭いで個体を判別しており、事件の犯人をアリスと誤認する。アリス(ハムスターのハム美)が容疑者となる。

②グリフォン殺害
広山衝子は、地球にて「不思議の国では誰ですか」と質問する事で、篠崎教授が不思議の国ではグリフォンである事を突き止め、牡蠣を大量に食べさせる事で殺害する。

広山衝子は、自らのアーヴァタールを公爵夫人であると、栗栖川亜理(眠り鼠:アリスを偽装)と井森健(蜥蜴のビル)に偽る。

③三日月兎殺害
三日月兎に、草刈機と偽ってスナークを送り、殺させる。事件の証人の抹消。

④蜥蜴のビル殺害
蜥蜴のビルが、アリスが証人である三日月兎を殺す事に疑念を覚えた事を脅威とし、バンダースナッチにビルを殺させる。ビルは、「公爵夫人犯人だということはあり得ない」というダイイングメッセージを残す(メアリーアンが公爵夫人を偽装している事を示唆)。

三日月兎(田中李緒)が、栗栖川亜理をメアリーアンと思い込んでいた事に、栗栖川亜理が気付いた事で真相が解明される。広山衝子は、地球で自殺する事で逃れようとする。地球の人間は化身であるため、不思議の国の本体が死なない限りは死んだ事実自体が書き換えられる。

そして、不思議の国でメアリーアンはアリスを殺害する。しかし、広山衝子は、アリスのアーヴァタールが栗栖川亜理が飼育するハムスターである事を知らなかったため、栗栖川亜理を殺せずに地球にて報復を受ける。

女王のアーヴァタールは谷丸警部であり、公爵夫人のアーヴァタールは西中島巡査である。二人の前で、広山衝子が罪を自白した事で、メアリーアンは不思議の国にて斬首される。広山衝子は苦しんで死んだらしい。

そして、広山衝子(メアリーアン)が無茶をやり過ぎた事が原因で、赤の王様が目覚める事がチェシャ猫によって告げられ、物語は終わる。

クララ殺し
小林泰三著。2016年6月30日 初版。



以下は、Wikipediaの「E.T.A.ホフマン」の記事へのリンク。

https://ja.wikipedia.org/wiki/E.T.A.%E3%83%9B%E3%83%95%E3%83%9E%E3%83%B3

この物語では、地球と異世界(ホフマン宇宙)がリンクしている。ホフマン宇宙では、「E.T.A.ホフマン」の物語に登場する人物達が存在している。

<あらすじ>
ホフマン宇宙におけるマリーが自らの物語を取り戻そうとして失敗する話。

ホフマン宇宙において、コッペリウス(弁護士、コッポラ、砂男)とドロッセルマイヤー(上級裁判所判事)がゲームをする。二人は超能力を持っており、シュタールバウム家の長女マリーとその人形クララを入れ替える。

人間であるマリーが人形となり、人形であるクララが人間となる。

マリーは、自分が人間である事に気付き、クララを殺す事で物語を取り戻そうとする。

マリーの地球におけるアーヴァタールは「くらら」という女学生であり、それを利用した殺人を思い付く。アーヴァタール現象に気付いている井森健(蜥蜴のビル)に、「くらら」はクララのアーヴァタールと思い込ませる。そのために、ホフマン宇宙におけるドロッセルマイヤーに似ている人物を地球にて募集し、ドロッセルマイヤーのアーヴァタールであるとビルに自己紹介させる。

地球における「くらら」が自殺する事で、クララ死亡時刻を誤認させる。地球における化身が死んでも、ホフマン宇宙の本体が死ななければ復活出来る。ホフマン宇宙においてマリーがアリバイを作った時間に、地球において「くらら」が自殺し、しかる後にホフマン宇宙におけるクララをマリーが殺害する計画。

しかし、マリー(くらら)は偽ドロッセルマイヤーの正体が、クララのアーヴァタールであると知らなかった。反対にクララによってマリーが殺害され、マリー殺害後に、クララは自動人形オリンピアに化ける。

オリンピアが、『論理的にマリーは犯人ではない。被害者なのだから』と発言した事で、マリー死亡を知っていた事が証明され、それが根拠となる。

****************

読んでいると混乱してくる。

クララ(偽ドロッセルマイヤー)、マリー(くらら)、ドロッセルマイヤー(新藤礼都)、スキュデリ(岡崎徳三郎)

「E.T.A.ホフマン」の物語、黄金の壺、くるみ割り人形と鼠の王様、砂男、マドモワゼル・ド・スキュデリ等を読まないと、謎は解けないのだろうか?

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