「内なる辺境」を読んで

ブログが「 岩本友規」で何回か検索されている。何かあったのかな?

「内なる辺境」(安部公房著)を読んで。適当にコピペ。



正統 = 定着した農耕社会
異端 = 移動社会

嘗ては、農耕国家の外部に存在した異端(移動社会)が、国家内部の都市の誕生したとする?

*********************

不満だから反抗するのでなく、反抗するために不満の種を見付け出す。それは落伍者意識に由来し、自分と世界との関係への怯えを自覚した時に始まる。完成を装っている既成秩序に対する疑惑、異和感。

それは自分の可能性を客体化しながら拡大していくために不可欠な感受性であり、正統よりも異端を意識する事で社会の燃料補助タンクの役割を果たす。

反抗とは無力の自覚であり、その矛先も概念止まりである。

反抗は流行を生み出す。他人と違った事をして自己主張したいという気持ちに取り入る事から始め、次に、自己主張している連中の仲間入りをする事で時流に遅れまいとする気持ちを煽り、やがて徹底的に陳腐化するまで消費される。反抗心と追従心は一体となる。

******************

人類進化の観点から考えると、人類という種自体が異端かもしれない。二足歩行や肉食への適応という部分的退行現象?

肉食の群れは草食と比較して移動性が高く、編成が小集団であったと予想する。

やがて火を操るようになった事で肉の長期保存が可能となり、定着や群れの大型化が生じる。そして交換や分配の規則という狩人の天性とは相容れない社会化が進行する。

数千万年に及ぶ霊長類の伝統を破った人類社会は、その後も大きく変質していく。

農耕の歴史は人類史全体から見ると僅かだが、それでも5000年以上の長期に渡る。連帯と共同作業が不可欠であり、定着が美徳となる。共同体内部の平和維持が重視されるため、縄張りの内側では比較的寛容な法観念があり、外部には残忍性を見せる。

霊長類の群れとは異なる目的意識で結ばれた、分業的再組織。柔軟性を持つ意識的社会。そこでは定着の美徳と放浪の苦難が対比される。

そうした農耕一般化は他方では失われた肉への需要を生み、専門化された牧畜担当者としての遊牧民が誕生する?想像すると、農耕社会での支配原理は土地の私有を通じて行われるため、遊牧民は支配出来ない。農耕民族は、領土の境界線を強化し、遊牧民との間に境界線を築く事で辺境が形成される。

20世紀現代では、地球は定着国家によって分割され、国境の内側にあった辺境が都会に誕生する。世間の境界を無視する移動民達。都市は内側の辺境である。

ドーナッツのように外と内が完全に連続した面で接続されており、外に向かって走り続けていれば、内側に辿り着く。

かつて遊牧民の破壊者達が侵略によって国境を取り払った事で、定着民達は国境の外側にも内側と同様の時間が流れている事を知った。今日では全空間の同時共鳴は日常となり、誰もが同時代の感覚を身に付けている。

*********************

ユダヤ人 = 都市の住人というイメージ。

トルストイが終局的に辿り着いた「善き人」の象徴は、母なる大地への祈りを知った「善き農民」である。農民意識には似た部分が多く、土地への心情を媒介にして日本人にも理解出来るとする。

善きドイツ農民層の中に、血統正しきドイツ民族の存在を認めたヒトラーは、都市的な象徴としてユダヤ人を憎んだのかもしれない。ヒトラーのユダヤ人像は、都市が多様であるように多様であり、農民的な存在以外の一切をユダヤ的と考えたのかもしれない。

反自然 = 人工的な存在に対する病的憎悪。抽象的知的作業に携わる者への徹底した嫌悪感。ユダヤ人を、ドイツ農民以外の全てに自在に化けられる都会の魔物ように考えた?



サルトルによるとユダヤ人を都市的な存在に投影する発想は、フランスの反ユダヤ主義者にも見られるとする?

ユダヤ人の都市的性格には、歴史的裏付けがあり、永遠の他国者であるユダヤ人を聖なる農村地帯に居住させる国王はいなかったとする。都市にのみ居住権を認められ、キリスト教徒には不浄の行為とされた金融業に従事させる。

経済の発展に連れて実物経済に対する貨幣経済の比率が増大し、ユダヤ人が国家経済に占める役割が必然的に増大する。土地を所有出来なかったために、信用経済に携わり、都市的性格を育んだ。

当初は領地の辺境にある市場だった都市が利潤を生むようになると、ユダヤ人への制限、差別、拒絶が生じる。定着の美徳 = 母なる大地への崇拝を国家的正統性の基盤とする限り、人口の大半が都市に集中した先進国家でさえ、農本主義的思想が再生産され、都市の内部においてすら、都市的存在への疑念と偏見が後を絶たないのかもしれない。

本物の国民の保護のために都市的穢れを祓い清めなければならないとする。素朴で平凡、誠実な真の国民が、外来者によって気付かない内に支配されているという物語は、普遍的な適用性を持つ。

数多ある上記の物語の中で、ユダヤ人が迫害される物語が生み出されなかったのは、ユダヤ人が土地に定着出来なかったからとする。本物の国民は農民的な姿となって現れ、贋の国民は都市に追い出される。都市は内なる辺境である。

正統な国民は農民的であり、都市的な存在を諸悪の根源とする。正統概念の輪郭を明瞭に浮かび上がらせるための、意識的な人工照明としてのユダヤ人。「正統」意識を確認するために、有効な「異端」のイメージが必要とされる。

社会の複雑化は、人々を永久に抜け出せない迷路の旅行者のような不安に駆り立てる。不安は、万一の僥倖を願う勤勉と、勤労意欲への皮肉な嘲りの気持ちを育むとする。

都市生活者は移動民族的傾向があり、高い移動効率、多角的人間関係、無名性は「国家」と相性が悪いとする。農耕を恒常化させた定着国家の末裔にとって、移動効率をバロメーターとする都市を規範にする事は出来ない?

定着の習慣から脱しきれていない都市住民も仮住まい的な不安感があり、大地信仰という非現実的な正統概念の温床となる。都市の機能を維持したままの、幻想的正統派共同体。

国家は、辺境の異端と戦い、国境線を守ったように、内なる辺境(移動社会)の異端との戦いを開始する。

嘗て遊牧民が農耕国家の空間的固有性を破壊したように、都市という内部から新しい正統性を認める軍勢が現れるかもしれない。

人気ブログランキングへ
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ABCDEFG

Author:ABCDEFG
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード