下読み男子と投稿女子

読んだ本の感想。

野村美月著。2015年7月10日 初版印刷。



野村先生の作品は、同一人物が繰り返し登場しているような気がする。

神保華代子:
偶像、痩身、歌唱、二面性、聖にして闇

鈴木若菜:
幼形、演じられた無垢、中学校の教師

倉橋紗恵:
妖艶、司書、相談役

作品の一貫したテーマは、羨望 = 憎悪との対峙であると思う。偶像への羨望や、卑下している聖人を慰める物語。多くの物語では、卑しい感情を悪役に押し付けるけれど、主人公側が負の感情と対峙するような物語を作る。

誰も悪役にならず、誰も不幸にならない物語。

【あらすじ】
ライトノベル新人賞の下読みのアルバイトをしている主人公(風谷青)が、隠れてライトノベル新人賞に応募している同級生(氷ノ宮氷雪)の創作を手伝う話。
創作を通じて、2人は付き合うようになり、氷ノ宮氷雪がライトノベル好きを隠す理由である祖母との関係も良好になり終了。

【登場人物】
風谷青:
主人公。アルバイトでライトノベル新人賞の下読みをする高校二年生。

氷ノ宮氷雪:
風谷青の同級生。覚世ロイのペンネームでライトノベル新人賞に応募している。自分の作品が一次選考すら突破出来ない事に悩んでいる。

朔太郎:
風谷青の母親の弟。32歳。ゲーム会社のシナリオ兼ディレクター兼代表。風谷青にライトノベル新人賞のアルバイトを斡旋している。

管野あえか(和子):
朔太郎の彼女。声優をしている。

氷ノ宮氷雪の祖母:
娘(愛夏)が早くに亡くなった事から孫を強く育てようと思っているらしい。

<創作の流れについて>
①最も書きたい事を決める
書き手が『書きたいもの』を軸に設定や物語を組み立てる。『書きたいもの』を決める事が難しい場合、短時間(作中では50秒)で書きたい事を箇条書きで、出来るだけ多く、どんな事でも良いから書いてみる。

⇒物語と世界観のイメージを固める

②登場人物について考える
基本設定を決め、登場人物の魅力を伝えるポイントを考える。心の動きを丁寧に書く。「孤独である」と説明するより、どのように孤独であったかを書く。

③描写方法について
情報から入る場合、外見的な特徴を並べて、スペックや特性を各。違う描写方法として、「動き」を加える方法がある。どのように優雅に動くのか、どのように鋭く海水を切って進むのか等。

④印象に残る描写
見ている人間の心が反映されている。景色を見ている視点人物の気持ちを考えて描写すると、気持ちと情景がシンクロして読者にも響く。

*****************

物語を閉じる事 = 終わらせる事についての意識。別離までを明確にして、物語が終わった事を読者に認識して貰う。物語が終わる事で、物語は読者に委ねられる。新しい物語として続きを引き継ぐ。自分だけの物語にしたければ誰にも読ませなければ良い。

この作品では、主人公とヒロインが好き合う理由を分析していると思う。同様のシチュエーションの作品は多いけれど、理由を考える作品は少ない。自分より立場が低い人間でなければ手を差し伸べる事が出来ないのかもしれない。孤独で他に頼る人間がいなければ一緒にいられるが、相手の位が上がると引け目を感じるようになる。

ライトノベルにありがちな傾向と向き合っているのだと思う。

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