社会はなぜ左と右にわかれるのか

読んだ本の感想。

ジョナサン・ハイト著。2014年4月30日 第1刷発行。



道徳心理学についての研究。政治と宗教について考える。人間の本性は「正義」に拘るとする。正義により、親族関係にない大規模な集団が形成される?

第1部 まず直観、それから戦略的な思考
―心は<乗り手>と<象>に分かれる。<乗り手>の仕事は<象>に仕えることだ
道徳的直観は、道徳的思考が始まる前に自動的に生じる。思考は真理を発見する道具ではなく、自らの行動を正当化する技術である。

第1章 道徳の起源
文化によって道徳解釈は異なり得る。以下の合理主義を正当とすると、文化によって道徳が異なる事に矛盾が生じる。道徳は危害に関する理解の発達に基づいて成長に連れて形成されるのでなく、文化的学習が大きな位置を占める。

○合理主義
人間は成長段階に応じて道徳を見い出すとする。ローレンス・コールバーグやジャン・ピアジュによる六つの発達段階。

前慣習的レベル
 ↓
慣習的レベル
 ↓
脱慣習的レベル

合理主義に基づく道徳観は、徐々にルールの本質を把握し、規則を闇雲に順守するだけではないようになるとする?権威や階層性を軽視し、世俗的、懐疑的で平等主義的な世界観を支持する傾向。

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エリオット・テュリエルによる調査では、児童は合理主義のように全ての規則を同列とするのでなく、道徳的規則と慣習的規則を区別していた。これは個人主義的文化圏において当て嵌まる調査結果とする?

多くの社会は集団の必要性を個人の要求よりも優先する向社会的文化であり、社会は個人に奉仕すべきという西欧的文化は異質である。

テュリエル等の合理主義理論は、個人主義的文化に属する研究者によって提案されたものであり、向社会的文化を分析出来ない?向社会的文化では、道徳の影響が大きく、テュリエルの慣習と道徳の二分割の信憑性が薄い。

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著者はブラジルで、規律違反に関するアンケートによる調査を行た結果は、以下の通り。

①道徳と慣習を区別する程度は文化によって異なる
②無害でも禁忌侵犯には反応する
③居住地よりも社会階級の方が道徳判断に影響する
④規律違反による危険が発生しなくとも判断は
 変化しない

規律に反しても危険が発生しなくとも、規律違反による犠牲者を想定してしまう被験者が大勢いた。犠牲者をでっち上げている事を指摘すると、別の犠牲者を作り出す。そして、「間違いと分かっているが、理由が思い付かない」と回答する。

⇒被験者は、真実を求めるのでなく、自らの情動的反応を正当化しようとする。

第2章 理性の尻尾を振る直観的な犬
西欧哲学では理性が崇拝され、情熱が懐疑されるが実態は異なるとする?

脳欠損患者の例から考えても、情熱が無くなれば理性を運営する事は出来ない。前島前皮質腹内側部に損傷を受けた患者は、知能指数は低下しないが、情動の影響が無いために、全ての選択肢が等しく感じられ、判断が出来なくなる?

人間は自らの判断を正当化する理由を作り出すが、それは後付けによる合理化に過ぎない。理由を考える事は、言語能力を備え、自らの意図を他者に説明する必要がある生物にしか生じ得ない。

個人的趣味は主観的嗜好(自分が特定判断に至った理由)を正当化して受容出来るが、道徳的判断は誰かを罰するように社会に働き掛ける事を意味する?道徳的判断においては、自分の嗜好以外の正当性(他人も自分に賛成すべき理由)を示す必要がある。

直観は迅速に思考するが、緩慢な理由付けの成功には依存しない。道徳的判断は、自分の評判を維持し、他者と協力関係を築く事等で有利に働く。

他者の意見が自らの意見を変更する事もあり、自分で考えを変えるよりも、社会的説得の影響力が大きい。

第3章 <象>の支配
直観を例証する6つの研究。

①脳は絶えず物事を評価する
1890年代に、実験心理学創始者ヴィルヘルム・ヴントが「感情先行」の原理を提起。何かを知覚した瞬間に感情が生じるとする。

1980年に社会心理学者ロバート・ザイアンスが行った実験では、幾何学模様等を被験者に見せると、見慣れたものを好ましく思う結果が出た(単純接触効果)。感情は迅速に生じ強力であるため、思考の選択範囲を狭める。

②社会的判断は突発的直観に影響される
感情プライミング:
連続して単語を見せると、最初の単語が感情を一定の方向に傾ける引き金になる。感情の突発は0.2秒以内に生じ、補強する刺激が無ければ1秒程度で消える。

1秒程度の短時間で前の単語と同じ感情を喚起する単語が表示されると素早く反応するが、別の感情を喚起する単語を表示すると反応が0.25秒程度遅れる。

同様の事例は人種や肥満者、年長者による判断にも現れる。プリンストン大学 アレックス・トドロフの実験では、米国における議員選挙の対象者の写真を被験者に0.1秒程度見せると、2/3の当選者が外見だけで判断出来たとする。

③身体の状態が道徳的判断に影響する
スタンフォード大学 アレックス・ジョーダンの実験:
悪臭を被験者に嗅がせ、道徳的判断をさせると厳しい判断を下す。味覚による刺激でも同様の効果。

身体と正義心は接続している。

④精神病質者は思考しても感じない
ロバート・ヘアによるサイコパスへの実験。

⑤乳児は感じるが思考しない
生後二か月の乳児は、意外な出来事を長時間見る。

イェール大学 カイリー・ハムリン、カレン・ウィン、ポール・ブルームの実験:
乳児に、人形が登山する劇を見せる。他の人形が登山を助けたり、邪魔したりする様子も見せる。乳児に、登山する人形と邪魔をした人形が親しくする様子を見せると、その様子を凝視する。
そして、登山を助けた人形を好むようになる傾向がある。

⇒社会関係に基づいて個人を評価する能力は普遍的とする

⑥感情による反応は、脳の特定箇所で生じる
脳測定の実験の結果。

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直観が理性的になるのは、他者の意見を聞く時とする。人間は自らの考えに反する事実を探さない。だが他人の考えなら容易く誤りを発見出来る。そのためには友好的態度でなくてはならない。

また、二つの対立する直観を抱く時に判断を変える事もある。

第4章 私に清き一票を
人間の道徳的能力は、理性でなく、直観主義的観点から最も適切に説明出来る。理性は真実でなく、後付けの理由を探すために設計されたもので統治には向かない。

以下の意見。

①説明責任研究を行うフィル・テットロック、
 自己意識の研究者マークリアリーの意見の意見
人間は、他人が自分をどのように考えるかを執拗に気にする。その大部分は無意識下で生じ、意識的には捉えられない。人間の思考様式を(1)探究思考(多様な観点からの公平な思考)、(2)確認思考(特定の見方を合理化しようとする思考)とする?

説明責任を全うするために、探究思考を行うには以下の条件が必要。

・意思決定者は、意見形成の前に、聞き手への説明が必要だと思っている
・聞き手の考えは不明である
・意思決定者は、聞き手が十分な情報と関心を持っていると認識している。

⇒聞き手が真実を知りたい場合以外は、確認思考が増える

孤独を自称している人間でも、心理実験では他人の意見によって自己評価が変化した。

②ピーター・ウェイソンの実験
確証バイアス。意識的思考は、無意識的直観を無条件に正当化しようとする。進化の過程では自らの帰属集団の信用を取り付ける能力 = 自分を良く思うように仕向ける能力が発達した筈。

デイヴィッド・パーキンスの実験では、知能指数の高い被験者ほど自らの意見に合った理由を見つける傾向がある?知能指数は、議論を包括的、公平に検討するよりも、自己の主張を補強するために使用される?

③『予想どおりに不合理』(ダン・アリエリー著)
人間は、虚偽で他人を騙し、その事実を糊塗するので、自分自身ですら虚偽を信じてしまう。

④社会心理学者トム・ギロヴィッチの意見
思考は、自らの望むどのような結論でも導ける。信じたい場合は、「それは信じられるか?」、信じたくない場合は、「それは信じなくてはならないか?」と問うため、どのようなケースでも自分の望む結論となる。

⑤ドリュー・ウェステンの実験
fMRIを用いて、被験者の支持政党への情報を閲覧させると、自らの支持政党の不正には危機感を感じた。道徳においては、利己的であるより、自らの属する集団を支援し、貢献度合いを示そうとする。脳内の情動に関する領域が活性化され、冷静な思考(客観的比較や計算)に関わる背外側前頭前野は活性化しない。脅威から解放されると、腹側線条体(報酬中枢)が活性化し、ドーパミンが放出される。これは麻薬の中毒性と同じ原理で、強い党派心には中毒性があるのかもしれない。

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思考能力は、真実発見するためでなく、人心操作の補助手段として進化した?議論が巧みな人間は、真実でなく、自説を支持する理由を探している。

第2部 道徳は危害と公正だけではない
―<正義心>は、六種類の味覚センサーをもつ舌だ
危害、公正、自由、忠誠、権威、神聖等の道徳的直観が道徳の基盤となる?

第5章 奇妙な道徳を超えて
W(欧米)E(啓蒙)I(産業化)R(裕福)D(民主主義的)な文化は、様々な心理学基準からは例外的である。

以下の傾向。

①世界を関係でなく、個々の集合として認識
「私は」という言葉で始まる文章を書かせると、自己の内面を表現しようとする。東アジア人は役割や関係を表現しようとする。個人主義的、ルール志向的、普遍主義的な道徳。非WEIRD文化の道徳では、孔子のように一つのルールに還元出来ない格言集のようになる。
②道徳は文化毎に変化する
個人の集まりとして世界を認識すれば、個人を保護し、危害と公正を強調する道徳を望む。関係を重視する社会では、個人より集団や制度を優先する。
③自立の倫理に限定される狭い道徳領域
自立の倫理では、人間は欲求を持つ個人であるという前提から出発し、人々が欲を満たせるように平和共存すべきとする。

・自立の倫理(個人を重視)
・共同体の倫理(共同体を重視)
・神性の倫理(神の子に相応しい振る舞い)

ほとんどの社会では、道徳領域は広く、共同体や神性の倫理も包括する

④道徳は人々を結び付るが、他の道徳に関して人間を盲目にする

著者は、ペンシルバニア大学の学生は、自らの研究対象12グループの中で最も異質だったとしている。ジョン・スチュアート・ミルが1859年に「自由論」で定義した危害原理(自由を侵害する正当性は、他の人間に及ぶ危害の防止にある)に揺るぎない確信を持つ。

他のグループと異なり、禁忌侵犯を目撃しても、嫌悪を無視して道徳的には許容可能とする。

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著者の理論では、人間の心は完璧な道徳性を有する神を頂点として、天使、人間、動物、怪物と下降して、悪魔(完全なる悪)を最底辺に置く。この垂直次元の低い位置にある行動を認識すると嫌悪感が生じる?現世での行いによって来世が決まる輪廻転生は、垂直次元の倫理と似ている?

第6章 <正義心>の味覚受容器
道徳の基盤に関する以下の意見。

○道徳は味覚に似ている
人間が5種類の味覚受容器を持つように、道徳的判断も多種に起因する。孟子は道徳原理は食物と同じように人間を楽しませるとした。

○義務論、功利主義
単独の受容器に依拠し、システム化に秀で、共感能力が劣る人々に強く訴える。

<功利主義:算術で倫理を規定>
ベンサムの功利主義には、システム化の傾向があるとする(共同体構成員の功利性最大化を目指し、功利に関する変数をシステム化する幸福計算)。フィリップ・ルーカス、アン・シーランの研究では、ベンサムはアスペルガー症候群の特徴を持つとする?

<義務論:論理による倫理>
イマヌエル・カントは、時代に左右されない善の形態を追及した。観察的方法では不十分であり、先験的な道徳法則を主張した。具体的ルールでなく、定言的(無条件の)命令。道徳の全てを短い文章や公式に還元する。

○ヒュームの多元的、感情主義的、自然主義的方法論
義務論、功利主義より有望とする。正義心の受容器を特定する作業。

○モジュール性の概念
生得的な道徳受容器と、文化毎に異なる様態で発達した初期知覚の生成について考える際に役立つ。文化毎に道徳が変化するのは、モジュールのスイッチを入れるカレント・トリガー(現行のトリガー)の対象範囲が変化するためとする。

○正義心の受容器の有力候補
①ケア、②公正、③忠誠、④権威、⑤神聖。

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心理学の目的は、心の機能の記述にあり、心がどのように機能すべきかを明示しない。19世紀以降、哲学は観察や共感を放棄し始め、推論やシステム思考を重視するようになる。

より分析的で、物事を全体では捉えないようになる。

第7章 政治の道徳的基盤
道徳的基盤に関する以下の進化論的意見。

①ケア/危害
「自衛出来ない子供を保護すべき」。他者の苦痛に気づき、残虐行為を非難する。

②公正/欺瞞
「協力関係を結ぶべき」。協力出来る人間を見分け、詐欺師を避けるか罰する。利他主義は、自らが施した恩恵を返してくれる相手に生じる。左派は構成を平等するが、右派は比例配分とする。

③忠誠/背信
「連合体を形成し維持すべき」。自らの共同体を裏切る者を追放する。『コーラン』は外部の人間を警戒するが、背教者は殺すべきと書く。ダンテは、『神曲』で裏切者に地獄の中心を割り当てる。裏切者は敵よりも憎まれる。

⇒普遍主義は、忠誠基盤を重視する人間に訴えられない

④権威/転覆
「階層的社会で有利な協力関係を形成すべき」。階級や地位に対して相応しく振る舞う。権威者は脅威を与える力を持つと同時に、秩序と正義を維持する責任を担う。階層は非対称的で、下位者は上位者に敬意を表し、上位者は司牧的役割を担う。

⇒右派の方が階層性、不平等、権力に反対する左派よりも優位

伝統、制度、価値観を覆る行為も権威への反抗と言える。

⑤神聖/堕落
「雑食動物のジレンマ(新奇好みと新奇恐怖の対立)」。病原菌等に汚染された環境で生きるため、象徴的脅威に警戒する行動免疫システム。雑食動物は食物に対して柔軟であるが、新しい食物には細心の注意を払う。

リベラルは新奇好みの傾向が強く、保守は新奇恐怖の度合いが強い。境界が伝統の遵守に拘る傾向。

神聖は身体接触によって伝染する脅威を避ける必要から発生し、危険な病原菌を知らせる感覚情報の入力パターンに依拠する?神聖基盤のカレント・トリガーは時代によっても異なり、移民への態度は疫病の発生確率によって変化するらしい。

第8章 保守主義者の優位
リベラルよりも保守の方が社会的直観モデルに合致する。

社会保守主義者が志向するエミール・デュルケーム流の社会観では、社会の基本単位は家族であり、秩序、上下関係、伝統が重視される。リベラルのジョン・スチュアート・ミル流の個人主義的社会観は背信という批判を受け易い。

リベラルは、ケアと公正のみを提供するが、保守は忠誠、権威、神聖にも訴える事が出来る。

<自由/抑圧>
支配の試みは怒りの感情を呼び起こす。

『森のなかの階層制』(クリストファー・ベーム著)。人間は階層制に向かう傾向があるが、人類は数百万年のどこかの時点で最優位候補を集団で統制し、平等主義者になった。チンパンジーのリーダーも、自らの限界を知り、協力者を見つけ、反抗を未然に防ぐ必要がある。

⇒ベームの主張では、言語の誕生により真の道徳共同体が形成されたとする。言語による情報共有により、社会の安寧を脅かす者を結束して追放可能となる

⇒階層制への生得的志向を持つ個体間の協力によって築かれた脆弱な政治的平等主義

<公正/欺瞞>の訂正
互恵利他主義に期限を持つが、人類が懲罰的道徳共同体を形成するようになってから機能を拡大させ、因果応報に深い関心を持つようになる。

***************

リベラルは普遍主義的立場で結果の平等を求める。富裕な人々に高税を課し、貧者に提供するという主張。保守主義者は郷党的(対象範囲が狭い)で、人類全般でなく、自らの共同体に関心を寄せる。

政治的平等への関心が<公正/欺瞞>でなく、<自由/抑圧>に基づいているのなら、最も困難な業務に携わる者が最大の利益を手にすべき事になる?結果の平等は包括的原理である比例配分(因果応報)の特殊ケースになる。

裏切者、怠け者から共同体を守ろうとする欲求。

リベラルは、比例配分(因果応報)を不快に思う傾向があり?、それは<ケア/危害>基盤と関係するかもしれない。

第3部 道徳は人々を結びつけると同時に
    盲目にする

―私たちの90%はチンパンジーで、10%はミツバチだ
人間の本性は、以下の2つのレベルで同時に作用して形成される。

①集団内で生じる競争
②集団間で生じる競争

人間の利他心は、自集団に向けられる。宗教は共同体を形成する?

第9章 私たちはなぜ集団を志向するのか?
進化について、集団内での個体間競争よりも、集団間での競争を考える。集団選択を弁護する以下の証拠。

①超個体
フリーライダー問題が、生物学的階層の一定レベルで解決すると、それより上のレベルで、集団内の役割分担等の特徴を持つ超個体が誕生する。

②道徳マトリックス
意図や心的イメージを共有する人類独自の能力。それにより役割分担し、協力し合うようになる。

③遺伝子と文化の共進化
遺伝子と文化の相互作用により、集団を志向する様々な慣習、規範が生まれる。

④迅速な進化
人類の進化は、現代に至る1万年ほどで急激に発生した?旧ソヴィエト連邦のドミトリ・ベリャーエフの絵kン級。狐を育成し、従順な個体のみを残すようにすると、9世代を経過して、狐に犬を狼から区別する特徴(頭部と胸部の白い斑点、小さい頤や歯、カールした尾)が見られるようになり、30世代が経過するとペットに出来るほど従順になる。

鶏を使用した研究では、卵を多く生む鶏を繁殖に回しても、多くの卵が生まれるとは限らなない。多産な個体は攻撃的でもあり、個体レベルの選択に依存すると殺し合いにより総生産量が減る。

1980年代のウィリアム・ミュアーの実験では、12羽の雌鶏を入れた多数のケージを用いて、最も多くの卵を生産したケージを特定し、その中の全ての個体を繁殖に回した。六世代目には、死亡率は67%から8%に下がり、一個体当りの卵生産量は、91個から237個になった。

⇒人類の30世代は600年であり、1万年では500世代である

遺伝子検査によると、紀元前5万年から遺伝子進化が加速しており、紀元前2万年からは急激に変化しているとする。完新世では、アフリカ大陸とユーラシア大陸で最高潮に達したらしい。人口密度上昇による遺伝的変異発生確率増大?

第10章 ミツバチスイッチ
人間の幸福は、周囲の関係性から生まれる?集団的儀式に参加する事による自己拡大の感覚。

人間は、超社会的生物である事で蜜蜂に似ている?

あらゆる共同体で、人々が集まる踊りが見られ、16世紀欧州に始まる自我概念、個人主義の発達により、踊る事による集団の団結は弱まったとする?

集団と自己の欲求が存在し、人間は気高い何かを仮定しながらも、自己利益を求めて暮らす。蜜蜂は単独の個体を観察しても理解出来ず、集団を考えなくてはならない。

ミツバチスイッチが入ると、利己性が和らぎ、愛情深くなる?

○デュルゲーム剤
麻薬は、自己を滅却させる宗教体験を呼び起こす?麻薬が非合法化される前に実施された研究では、以下の効果があったとする?

①統合(自己感覚の喪失、根源的唯一性)
②時間と空間の超越
③深い積極性
④神聖
⑤深淵で絶対的直観的知識
⑥逆説性
⑦説明困難
⑧経験の儚さ
⑨態度の行動の積極的変化

○レイブ
レイブ(観客が一晩中ダンス音楽で踊る大規模な音楽イベント)。ロックにおける個人主義を共同社会的感覚に置き換えるダンスの創造。

○オキシトシン
視床下部で合成されるホルモン。母になる準備を整え、子宮収縮や乳の分泌を引き起こし、子供に触れたり配慮する欲求を生む。

⇒オキシトシンは、他集団と効率的に競えるように自集団と結び付くためのものとする

集団間の実験では、オキシトシンを投与された集団は、集団間の貢献は改善したが、より積極的に他集団を妨害するようになったとする?オキシトシンは内集団に向けられる愛情を高めるが、被験者を郷党的利他主義者にしたとする?

自己利益を追求する個人は、全体よりも自らの外見と昇進に関心を持つ。集団志向性を上手く利用する組織は、管理をそれほど徹底する必要が無い。

人類は比較的平等主義者であるが、脅威を感じた時は部族的階層的秩序を重んじるようになり、指導者に従うようになる。集団志向を高くするには、構成員の類似性を高め、同調性を活用し、集団間での競争を実施するとする。

第11章 宗教はチームスポーツだ
超自然的行為者を信じる能力は、超高感度の行為者探知機の副産物かもしれない。それが道徳共同体を築くため活用された?神を祀る事で構成員から自己犠牲と献身を引き出す。

宗教もチームスポーツと同様に、共同体の創造という役割を担う。宗教には、信念、実践、帰属という側面がある = 共同体の形成?

以下は、新無神論者(サム・ハリス、リチャード・ドーキンス等)による宗教誕生物語。

①行為者探知モジュール
人間は、雲の中に人間の顔を見い出すが、逆は無い。ほとんどの誤作動が偽陽性(実際には存在しない行為者を見い出す)という点で顔探知機と似ている。

行為者探知機と意図共有能力、物語を愛好する傾向から神話が生まれたのかもしれない。

②神の変化
宗教は自然選択の対象になるミームとする。多数の宗教間による競争。勝敗は、宗教による恩恵でなく、生存と繁殖能力に基づいて決定される。

⇒宗教を寄生体の一種とする?

新無神論者に与しない人々は、上記②を宗教が適応性の高い集団形成に役立ったと説明する?人類学者スコット・アトラン、ジョー・ヘンリッチによると、神の効用は道徳共同体構築にあるとする。狩猟採集民の神は気紛れで悪意を持つが、農耕民の神は集団内の不和を助長する行為を罰するとする。

⇒道徳的な神は農業誕生により紀元前8000年頃に出現した?

また、集団全体に罰を下す神の存在により、社会的規制の手段として外聞は効果的になる。

19世紀に米国にて設立された200の共同体の歴史を調査した研究では、20年経過しても機能した共同体は、世俗的で6%、宗教的で39%とする。宗教的共同体では、求められる犠牲が多いほど共同体が存続し、世俗的共同体では犠牲の数は役立たなかったかった。

⇒儀式、法等の制約は神聖化された場合に最も上手く機能する?神聖の付与は、恣意性を覆い隠す

**************

著者の定義する道徳システムは、心理的メカニズムにより、利己主義を抑制し、協力的社会構築を可能にする。この定義は機能主義的であり、具体的内容の特定でなく、何を行うかによって道徳を定義する(少数の項目を真に道徳的とし、残りを社会的慣習として切り捨てるのでなく)。社会的に信じられている道徳を記述する定義と、真の道徳を特定する規範的定義の区別があり、著者は記述的定義である事を意図している?

規範的定義を補うものとして機能?

第12章 もっと建設的な議論ができないものか?
二極化していく社会への問題提起。

脅威に敏感な人々と、鈍感な人々が選ぶメインストーリーは異なる。一度、何らかの集団に参加すると、その集団の正しさを再確認する出来事に出会うようになる。

リベラルと保守は陰陽の関係にあり、リベラルはケアの専門家として犠牲者の改善を働き掛け、保守はリベラルと釣り合いを取る。

保守主義者の主張する道徳資本(社会関係資本:個人間の絆、相互依存の規範、信用等)は、人間の理性を補完する。社会的事実としての制度の権威が剥ぎ取られ、自らの利益に資する恣意的な装置と見做されると制度は効力を失い社会的混乱が増大する。

人間の心は、論理でなく、物語を紡ぐ処理装置とする。

①人生の物語
自分の経験を単純化し、取捨選択したもの、理想化された未来。道徳に満ちており、成長過程にある思春期男女の自己と、大人の政治的自己同一性の橋渡しをする。

②大きな物語
導入部、中間部(脅威の訪れ)、結末部(問題解決)から構成されており、聞き手を道徳的に導きながら、神聖を把握、維持するためにすべき事を教える。

この章では、著者のバイアスを強く感じた。

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