インド数学の発想

読んだ本の感想。

矢野道雄著。2011年5月10日 第1刷発行。



インドにおける数学の伝統について。

凄く難しい本だった。関連する知識を持っていなければ内容は理解出来ないと思った。

以下は、「パンチャーンガ」へのリンク。インドの民間暦(パンチャーンガ)の算出プログラム?

http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~yanom/pancanga/

以下は、著者が上記プログラムの試作版をインドに持っていた時の記録であるらしい。



以下は、インドの数学者等に関する本。





『リーラーヴァティー』等のインドにおける古典数学書では、計算版の上での筆算が前提となっており、暗算による速算を行うヴェーダー数学という表現には歴史的、文献学的根拠が乏しい。

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多くの古代文明では文字と数学は同時に起こっている。インド亜大陸においては、アーリア人が進出した紀元前1500年頃から、文字の使用が始まる紀元前3世紀頃まで1000年近くの空白があり、ヴェーダ文献は暗記によって口承されていた?

◎ヴェーダ文献
アーリア人に伝えられる最古の文献群の総称。以下に分類される。

・最古の時代(紀元前10世紀)
 「リグ・ヴェーダ」:神々への賛歌
 「サーマ・ヴェーダ」:賛歌の歌い方を規定。音楽
 「ヤジュル・ヴェーダ」:祭式に用いる呪文
 「アタルヴァ・ヴェーダ」:民間起源的な呪文。医学

・ヤジュル・ヴェーダ
白ヤジュル・ヴェーダ系と黒ヤジュル・ヴェーダに分けられる。

・後期(紀元前8世紀~紀元前5世紀)
 「ブラーフマナ文献」:祭式の呪文の規定と説明
 「アーラニヤカ文献」:ウパニシャッドに繋がる
 「ウパニシャッド文献」:仙人達の議論。哲学

文字が無くとも数字は不可欠だったはずであり、ヴェーダ文献の数詞は十進法に基づいているとする。インドでは特に「3」が神聖視されていたようで、3の倍数である18や108は「マハーバーラタ」で聖数とされる?



「マハーバーラタ」は全18巻で、戦争が18日間、18の軍団で行われ、一つの軍団には2187頭の象、65610頭の馬、109350人の歩兵がいるが、各位の数を加えると18になる。

カタパヤーディ法:
南インドで発達したアルファベット数表記法。音声学通りにアルファベットを配列して、カ(ka)、タ(ta)、パ(pa)、ヤ(ya)を一として数える。数表を文章として表現する事が容易になるらしい。

ブータ・サンキヤー:
事物数。世の中に存在する事物を数に対応させ、その事物を意味する言葉を数として用いる。0(空間、空虚、非存在等)、1(月、大地の同義語)、2(眼、手、翼、腕等)、3(世界、火、時間【過去、現在、未来】等)、4(海【インドでは四つの海に囲まれているとされていた】等)、5(感覚器官や元素等)。

「マハーバーラタ」では事物数の用例が無く、天文学が発達して桁数の多い数を韻文で表現する必要から生まれた?現存する最古の用例は、3世紀に韻文化された占星術書「ヤヴァナ・ジャータカ」においてである。

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カーストはインドでは職業と結び付いていたが、情報技術は既存のカーストには分類出来ず、超カースト産業として経済成長の土台になったとする?



カーストの起源は、紀元前1500年頃にインダス川上流域に移住し、1000年ほどかけてガンジス河流域まで活動量気を広げたアーリア人の支配方法「四ヴァルナ」にあるとされ、アーリア人を上位カースト、非アーリア人を下位カーストにした。

そして言語を峻別の手段歳、ヴェーダの学習をアーリア人にのみ認めた。ヴェーダの文字化が遅れたのは、大衆化を防ぐためだったのかもしれない。アーリア人の言語はサンスクリット語として規範化、固定化され、学問を記録する有力な手段となる。バラモンは知的活動を引き受け、知の独占体制が始まる。

以下が、アーリア人が設けた学習のハードル?

①ヴェーダ学習
ヴェーダ学習入門の儀式を「ウパナヤナ」と言い、バラモンは8歳くらいの時に入門死期を受けたとされる。

②暗記
ヴェーダ文献は暗誦によって伝えられた。暗記力抜群である事が学習の条件となる。

③パーニニ文法
紀元前5世紀頃、サンスクリット語はパーニニによって規範化された。サンスクリット語を学ばなければ学問を学ぶ事は出来ない。

<ヘレニズム文化の影響>
以下の2つ。

①紀元前4世紀頃
アレクサンドロス大王がインダス河上流域にまで遠征し、バクトリアを中心とするギリシア人植民地とインドが交流した。

②1世紀頃
貿易風の発見により、地中海沿岸とインドの西海岸との間に交易が発生した。

150年頃に散文原型が成立し、269年に韻文化された「ヤヴァナ・ジャータカ」は、ギリシア占星術をインド化したものであり、ギリシアの数理天文学も導入した。

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インドでの学問分化は、「ヴェーダ」を研究する補助学として音声学、韻律学、文法学、語源学、天文学、祭儀学の6分野が成立した時に始まったとされる。ヴェーダは神々の言葉を人間が聞いたものと見做したので、補助学においても言語に関わるものが多い。

インド数学は、天文学、暦法の一部としてバラモンが学ぶべき正統学問になったとする。

多くが商業を営んだジャイナ教徒の貢献もあり、「ガニタサーラサングラハ」の著者マハーヴィーラはジャイナ教徒とされる。宇宙論や原子論もジャイナ教徒により発展した?

一方において、仏教は自然科学にそれほど貢献しておらず、中国やチベット、東南アジア等にインド文化を運んだ仏教は医学では貢献したが、天文学や数学では伝統から疎外されたためにバラモンから専門知識を得る事が出来なかったとする?

インドは長子相続で、長男は祭式執行者としての勉強をする必要があったが、次男以降には余裕があり、天文学等を研究した。人生は、学生期、家長期、林住期、遊行期の四段階に分けられるとして、それが人生のロールモデルとして学究生活の基盤となった?

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インド幾何学は、祭壇設営のために発達した?



暦法の影響も強く、ヴェーダ補助歴は5年を一つの周期とする太陽太陰暦を確立した?その特徴は、理想化した単純な数値を用いて理論化し、現実の運用において修正を加える事にある?

◎アールヤバタ
476年生まれの天文・数学者。地動説を唱えたとする。

アールヤバタに端を発する?インド数理天文学の特徴は、アルゴリズムと高度は理論性であり、単純な機械的操作のみで回答を出す事が出来るとした?



598年に生まれた天文・数学者であるブラフマグプタは、アールヤバクを強く批判したとされ、歴史上初めてゼロを「数」として演算対象にしたとされる。

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