権力を握る人の法則

読んだ本の感想。

ジェフリー・フェファー著。2011年7月20日 1版1刷。



はじめに―「権力」を握る準備を始めよ
管理職を対象にした調査では、権力や地位の獲得を仕事上の動機付けとする人々は、組織内の影響力や目標達成において最も成功を収めるとする。

世の中は不公正であり、目的達成のためには権力が必要である。

公正世界仮説:
メルビン・ラーナーが提唱。世界は予測可能、理解可能であり、自力で操作可能とする。ルールに従えば良く、ルールを破れば罰せられる。それは、善人が報われ、悪人は罰せされるという事である。

⇒権力者が高く評価され、被害者非難という現象に繋がる

権力を手に入れる最大の敵は自分自身である。好ましい自己像を維持する最善の方法は、自分から先に降参する事。故意に自らに不利な工作をする。セルフ・ハンディキャップとして、自分が上を目指さないのは能力の問題でなく、選択の問題としてしまう。

第1章 いくら仕事ができても昇進できない
実績は成功を約束しない。

社会心理学者 デービッド・スクールマンの調査:
公共部門で働く事務職345人の人事評価を調査。個人の評価に影響するのは、仕事の成果よりも上司との関係性とした。実績よりも年齢や在職期間、学歴、人種、性別等の様々な要素がある。

ほとんどの人間は誉め言葉の威力を過小評価しているが、誉められて嫌な人間はいない。カリフォルニア大学 ジェニファー・チャットマンは、誉め言葉の効果は始めは急激に高まり、緩やかになり、限界点を超えると媚び諂いと受け取られるとした。

階層型組織においては、上位にいる人事権を持つ人間の意志が重要であり、自分で自分のキャリアを設計出来ない。

第2章 「権力」を手にするための七つの資質
権力や影響力の獲得と関連付けられる基本要素と資質。

○基本要素
①困難に挑戦しようとする意志
②意志を目標達成に結び付ける技術

○資質
①決意
②エネルギー
③集中
④自己省察
重要な会議や会見についてどのように考えたかを書き留めると内省が促されるとする。
⑤自信
⑥共感力
⑦闘争心

実績格差の内、知能で説明出来るのは20%であり、しかも実績と昇進の相関性は低い。所得格差の内、知能で説明出来るのは4%程度である。知性の高さは、自信過剰や無関心、無理解を招くとする。

第3章 どうやって出世街道に乗るか
最初に配属された部門の勢力が、その後の昇給ペースに影響する。

部門の勢力は以下で診断可能とする。

・報酬
・所在地と職場環境
・各種委員会や経営チームに占める位置付け

主要事業、主要技術を扱う部門は必ずしも良い選択でない。大化けする可能性がある未開拓なニッチを選ぶ方が早道。

<フォードの例>
第二次世界大戦後、国防総省のアナリスト集団がフォードに移籍した。財務・会計部門に配属され、フォードが上場企業になった1950年代には、財務部門が強い力を持つようになる。
実際に自動車を製造する人間よりも、株価対策をする財務グループが意思決定において重要な役割を果たすようになる。

第4章 出る杭になれ
頼み事は案外上手くいく。

普通の人間は、出来るだけ頼まずに済まそうとする。独立独歩の精神に反し、断られたくないからだ。

しかし、相手の頼みを断る事は、社会の暗黙の規範に背く事であり、頼み事は意外と上手くいく。

<頼み事の実験>
スタンフォード大学 フランク・フランイン、バネッサ・レークの実験。

参加者が通行人に短いアンケートに答えてくれるよう頼む。実験前の参加者の予想では、5人に答えて貰うまでに平均20人に頼む必要があるとの事だったが、実際には約10人だった。

参加者の1/5は最後まで実験に参加出来ず、脱落率が高かった。

⇒大方の人間は、頼み事の成功率を悲観的に考え過ぎている。さらに、上記の実験は人に頼む事の苦痛も示している

頼み事は自尊心を擽り、誰か著名な人物の同意が得られれば、その後に頼まれた人間は著名人の仲間入りをする事になる。さらに自分と共通点がある人物からの頼みは許可する可能性が高い。

目立つ事によってブランド想起率を高める。18世紀~20世紀に行われた対等でない国同士の戦争では、強者の勝率は72%になるが、弱者が自らの弱点を突かれない戦略を採用すると勝率は64%に上がる。ルールは権力者に有利に出来ており、弱者は常識を疑うべきとする。

**************

他者評価には、有能無能と好悪の2つの尺度があり、批判者は有能に思われ易く、好人物には気弱や痴愚という認識が伴いがち。権力と、それを行使する意志があれば大方の人間は味方になる。

第5章 無から有を生み出す―リソースを確保せよ
金銭によって権力構造を解明出来る。

権力の多くは地位と地位に伴って動かせるリソースに依存する。

人間には自己高揚動機があり、自分に向けられる敬意や称賛は、自らの知性や個人的魅力によると思いがちだが、実際には地位による影響が大きい。

そして、以下のように無からリソースを生む事も不可能でない。

①時間と関心
礼儀正しく接し、他者の言葉を傾聴するだけで関係を作る事が出来る。

②手助け
面白味の無い仕事を引き受ける等。

③社内外のコネ
④組織のステータス

常人には接続出来ないリソースを操作出来る人間が権力を持つようになる。最初に動いた人間が、多くの場合は独占権を手にする。

イベントを企画する、講師を探して依頼する、人脈を形成する、参加者が学び合える場を用意する等。人々を結び付ける仲介者になる事は、ネットワークの中心になる事であり、影響力を手にする事が出来る。

第6章 役に立つ強力な人脈を作れ
以下は、ネットワーク作りの秘訣。

・社内に知り合いを作る
・社内の人脈を維持する
・社内の人脈を活用する
・社外に知り合いを作る
・社外の人脈を維持する
・社外の人脈を活用する

ネットワーク作りで陥り易いのは、同じ型の人とばかり接してしまう事である。強い結び付では、行動範囲が重なり易く同じような情報しか得られない。

カリフォルニア大学 モテン・ハンセンの研究では、暗黙知を必要とする開発(既存知識の活用、暗黙知の伝承等)では密接に結び付いた小規模ネットワークが役立つが、イノベーションを引き起こすのは弱い結び付きの大規模ネットワークとする。

第7章 「権力」を印象づけるふるまいと話し方
怒りは、自分に強い力がある事を示す。

臆することなく主役として振る舞い、自分の力を誇示する。

最初は演技であったとしても考えは行動に感化される。さらに感情は伝染し、自己増殖的な性質を持つ。

以下の技術。

○相手の話を遮る
○議論の前に疑義を提出する
強者が優位に立つ常套手段は、相手が疑っていない基本前提に疑義を提出する事である。
○説得力のある強い言葉
以下は、『雄弁家の手法』(マックス・マケイン著)から
 ・敵対的構図を際立たせる
 ・間を取る
   結論部に入る前に間を置き、決め台詞を言う事で
   強い印象を与える
 ・論点を箇条書きにして書き出す
   出来れば三項目程度。
   自説に一貫性を持たせ、検討済理論である事を示す
 ・対比を使う
   題材を文や節の長さを揃え、
   同じ文法構造で対比する
 ・下書きやメモは使わない
 ・上手にユーモアを交える

文章構造も重要であり、宣言的な短文で話を始め、頭韻を踏む等の同音の繰り返しを多くする。

第8章 周りからの評判をよくしておく
    ―イメージは現実になる

評判を良くするには、第一印象を良くする事である。5分に満たない短い振る舞いが、その後の人物評価とほぼ一致する。

それは以下の過程による。

①時間の経過と伴に注意力が低下する
②情報の選択的取捨
③第一印象の実現行動
④偏向的同化作用
後から受け取る情報を第一印象と一致するように捻じ曲げて解釈する。

特定場面における評価は偶発性に作用されるため、出来るだけ多様な環境で評判を獲得する事が望ましいとする。露骨な自己アピールは嫌われる可能性があり、他者に褒めてもらう事で良い印象を与える。

第9章 不遇の時期を乗り越える
人間が集まる所では意見の不一致が生じる。

以下は反対者と向き合う技術。

①敵に塩を送る
強圧的な姿勢は相手を硬化させる。
②自ら無用の問題を起こさない
③個人的感情は抜きにする
④粘り続ける
⑤多面作戦を採る
組織内外の人脈の有効性
⑥電光石火で動く
⑦飴と鞭の使い分け
⑧目標に説得力を持たせる
社会的に価値有る目標を掲げる

失意や落胆を乗り越える最善の方法は、出来るだけ多くの人間に、すぐに何が起きたのか伝え、説明する事である。そして、人間は勝ち組につきたがるものだから、勝者のように振る舞う事が大切である。

第10章 「権力」の代償
以下は権力の代償。

①一挙手一投足を監視される
社会的促進効果として、観察者がいると単独の時よりも作業量が増加する。単純作業の効果を高まるが、難しい作業の効果は低下する。
衆人環境によって、新しい試みをする気概が失せ、安全路線を選びがちになる。

②時間の自由を失う
③多大な時間とエネルギーをとられる
④人を信じられなくなる
自分の正しさを過信しないように、失敗は公の場で認めるようにする。さらに、情報と分析を重視する意思決定過程を徹底し、情報に基づいて判断する事を大切にする。

⑤権力は中毒になる

第11章 権力者が転落する原因
どのような人間でも最終的には権力を失う。長期間に渡る維持を目指す?

以下の原因。

①自信過剰になる、油断する
多くの研究が、権力が自信過剰に繋がり、見方が硬直的になり、他者の意見や感情を無視するようになると指摘する。

②軽率に信頼する
言動でなく行動に注目するべき。

③自制心を失う
自分の言動に慎重でなくなり、他者がどのように思うか注意しなくなる。

④燃え尽きる
自分を抑制し、他者に目を配り続ける事は難儀である。

⑤変化に取り残される
成功者は一定の型を持っており、自らの方法論が効力を失う事を見逃しがちである。

第12章 権力闘争は組織とあなたにとって悪いことか
組織は構成員各自に配慮するように出来ていない。自らのキャリアアップのためには自分で自分の面倒を見る必要がある。

階層は必ず出現し、権力闘争に関わらざるを得ない。集団の規模が大きいほど構成員同士に差が出易く、序列が出来易い。

階層に関する以下の2つの観点。

①輸入
社会的地位は別の環境から移転される事がある。人種、性別、年齢等の要素が会社組織でのランク付けに影響する。

②人間は階層を好む
仕事においては自主的に階層が形成される。その方が上手くいくと期待される。

序列を安定的に維持するために、下の階層のグループは、自ら低い地位に甘んじる行動が見受けられる。

社会においては民主主義や市場原理が辛抱され鵜が、組織になると独裁的統治が好まれる。上意下達によらずに駆け引きを行う事は混乱や無秩序を齎すように見える。

多くの研究で意思決定を分散する方が経営効率は上がるが、権限移譲は簡単に進まない。階層の善悪に関わらず、複雑で相互依存性の高い状態で階層は望まれている。ただし、政治的駆け引きによる意思決定の方が、階層に基づく意思決定よりも効果的な場合はある。

第13章 「権力」を握るのは簡単だ
権力を手に入れるには、自分の適性や関心に合ったところで始める事である。自分を客観的に見つめ、多数派と同じ行動を取らない。

権力を持っていないと感じている人間は、非言語的な抑制行動を取り勝ちであり、周囲から一層見下される事になる。困難な課題を手に負えないと決めつけて犠牲者になりきってしまう。

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