コピーキャット

読んだ本の感想。

オーデッド・シェンカー著。2013年2月21日 発行。



イモベーション = イノベーション(革新) + イミテーション(模倣)

第1章 繁栄するコピーキャットたち
著者が重要なイノベーションについて調査すると、48のイノベーションの内、34が調査時点で模倣されていた。ブランド模倣率は80%を超えており、模倣はイノベーションと同程度に重要である。

模倣のペースは加速している。1877年~1930年に模倣された製品が広まる期間は平均23.1年だったが、1930年~1939年には9.6年になり、1940以降は4.9年になった。模倣のラグは1961年には20年だったが、1981年には4年になり、1985年には1年~1.5年に短縮している。

模倣者は、イノベーターが開拓した市場に無料乗りする事が出来る。1948年~2001年に生み出されたイノベーションでは、イノベーターは自らが起こしたイノベーションの現在価値の2.2%しか獲得していないとする調査がある。

生産性を向上させるのは改良であり、模倣者の費用はイノベーターの60%~75%程度ですむ。

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卓越した模倣企業は、イノベーターとして知られている事が多い。ウォルマート、IBM、アップル等。こうした企業を「イモベーター」と呼ぶ。

模倣はイノベーションを補完する。

第2章 模倣の科学と技法
模倣は、繁栄するための習性を獲得する手段である。

模倣は知性を要求される複雑で創造的行為であり、対象を深く理解する必要がある。人間以外の動物は、擬態、刷込み、感染という単純な模倣しか出来ない。

真の模倣には、複雑な行動を要素に分解して組み立てる能力が必要である。受容 → 理解 → 類似した行為への変換。

しかしながら、経営学者は模倣を幼稚な学習と決め付けており、「創造的模倣」が不当に低く評価されているとする。

第3章 模倣の時代
グローバル化が進んだ現代は、起業は競争圧力から逃れる事が出来ない。

知識が形式知化、標準化され、技術革新のペースが速く、人材交流も活発であるため、模倣が盛んに行われるようになっている。新規参入者は資本や知識不足を補うために模倣に多くを頼る。

<知識の形式知化>
分散している断片的知識を体系化して、統一された形式に変換する事。その結果として、知識がコモディティ化して、売買や複製が容易になった。

形式知化された情報は簡単に貯蔵、検索、利用、移転が出来る。模倣を未然に防ぐ暗黙知まで形式知化される事で、システムの系統化、標準化が進むほど他社の追随が容易になる。

<模倣の経路>
以下による模倣の機会
 ・提携
 ・社員の移動
 ・イミテーションクラスター
  産業プレイヤーを支える産業の集積

第4章 偉大なる模倣者たち
成功している模倣企業は、因果関係を解明し、対応付けの問題を解決している。失敗している模倣企業は自社の既存構造と模倣対象を併存させようとして相容れない構造を結合させようとする。

<サウスウエスト航空>
格安航空会社として初めて商業的成功を収めた。同社を模倣しようとして大手航空会社が安値での顧客開拓を実施しようとしたが、労働協約の縛りや既存システムへの投資との兼ね合いの問題があった。
教訓として、格安航空部門を別会社として独立性を高め、独自ブランドを確立させるべきだったとする?

特にサウスウエスト航空の人材を模倣する事が困難であったとする。不可知の事柄を模倣するには構造への理解が不可欠。

第5章 模倣の能力とプロセス
模倣されない事に集中するのでなく、他者から学ぶ事に集中すべき。

以下の6つの模倣能力

①模倣の心構えを万全とする
模倣をイノベーションのように高く評価する。

②模倣対象を参照する
模倣価値のある対象を特定する。
 ・強制的同型化(圧力による同化)
 ・模倣的同型化(成功を真似る)
 ・規範的同型化(標準に従う)

成功すると模倣対象を探索しなくなり、画一的で単純極まりない視野に陥りがちとする。大域検索の必要性。

③情報を探索、標定、選択する
模倣対象の可能性を見極めて選択する。

④対象の脈絡を理解し適用
関連性のある環境要因を特定し、模倣を状況に応じて適用する。

⑤対象に深く潜り込む
相関関係を分析するだけでなく、複雑な因果関係を把握する。

⑥模倣を実践
模倣要素を素早く吸収して実務に落とし込む。

第6章 模倣という戦略
他社の事例を複雑な要素を含めて正確に複製する事は不可能かもしれないが、形式知化された側面を真似てオリジナルを凌駕する事は可能とする。

以下の5つの問い。

①どこを模倣するか(対象となる業界や領域)
②何を模倣するか(製品、過程、ビジネスモデル等)
模倣対象を拡大し過ぎると、前提や相互関係の検証が不十分になる。
③だれを模倣するか(構造の背景となる本質)
④いつ模倣するか
 ・ファストセカンド(迅速な二番手)
  パイオニアに追随する
 ・カム・フロム・ビハインド(後発追撃者)
  強力な差別化要因を使用して追撃する
 ・パイオニアインポーター
  異なる国や産業に参入する
⑤どのように模倣するか

模倣対象の構造を既存システムに埋め込もうとすると、新組織が既存組織と切り離されていない限り失敗し易い。異なる事業を一つの基盤で運営する複雑性は失敗の原因となる。

第7章 イモベーション成功条件
以下は模倣に対する防御。

①因果関係を曖昧にする
企業文化等、知識と能力との結び付きが曖昧な優位点。

②関係ネットワーク
社内外の関係者の複雑なネットワーク。

③卓越性の誇示やスイッチングコスト
模倣者が質の卓越に対抗して低価格で差別化する可能性がある。

④補完的資源
特殊な製造方法、独占供給、流通チャネル等。

⑤マーケティング
ブランド価値等。

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以下は、イモンベーションを成功させる10カ条。

①車輪の再発明はするな
既にある物や使い道のほとんど無いもにに膨大な資源と労力を費やさない。

②模倣を熱狂に変えろ
模倣を正当に評価して報酬を与える。

③類人猿に倣え
類人猿が繁栄したのは模倣能力によるものとする。

④すぐに頭に思い浮かべるものを集めるな
局所検索でなく、大域検索をする。

⑤物事の脈絡を読み取れ
特定環境で成功している事が、別環境で成功するとは限らない。

⑥ピースを正しく合わせろ
オリジナルとコピーの両方の個々の要素が持つ役割を明らかにする徹底的な分析。

⑦タイミングが全てでないと心得よ
どこの、誰の、何を、どのように模倣するかに答えを出す。

⑧より価値の高い新製品を作れ
費用対効果の高い戦略。

⑨攻撃して防御せよ
模倣を効果的に阻止する。

⑩イノベートして、イミテートして、イモベートせよ
模倣とイノベーションの融合。

****************

模倣は、代理学習、観察学習と呼ばれる学習形態に等しいとされる。多様な観察を通じて他者の成功や失敗から幅広く学ぶ。一方で、自らの体験でないので学びの深さに限りがある。表面的な真似に終始して本質を見誤ったり、脈絡を無視して変な模倣をしてしまったりする。

そのため経験学習による補完が必要になる。経験によって観察の質を向上させる。

イノベーションは謙虚な模倣から始まる。

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