会社の老化は止められない

読んだ本の感想。

細谷功著。2013年4月18日 第1刷発行。



老化を「後戻り出来ない『不可逆プロセス』の進行」と定義する。増加、均質化、複雑化による劣化。

以下は、具体的現象例。

・ルールの増殖
・細分化
・平均化(尖った人材から丸い人材)
・手段の目的化(プロジェクトからルーチン)
・性悪説化(加点主義から減点主義)
・内向き化
・外注化
・形式主義化

⇒組織は膨張(売上や従業員数、地理的拡大)し、バラバラ(求心力低下)になり、混合(合併等)し、乱雑(理念や戦略の喪失)になる。

以下は老化への対処方法。

①老化を運命として受け入れる
②老化をリセットする(世代交代)
③「眠れるイノベーター」を活用する

会社が不可逆プロセスを辿る理由は、以下の二つ。

①物理的側面
エントロピー増大の法則により、自然現象においても単純から複雑への遷移は宿命である。

②心理的側面
人間固有の心理特性により、可視的なものを重視し、習慣を繰り返し、得る事よりも失う事を恐れる。

会社にも「子供」「大人」「老人」がある。人間と同じように、何も無いスタートアップ企業がベンチャー企業として周知され、大企業や伝統的巨大企業となる。大企業は良くも悪くも化けないし、物量も多く保有している。

会社は暗黙のうちに「不老不死」を信じている。人間は新しい世代を生み出す事で種を保存しようとするが、会社は会社自体を若返らせようとしてしまう。老化は成長から繋がる過程であるために気付きにくく、成長するために身に付けた常識によって適応が阻まれたりする。

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組織を規定する人間の心理も不可逆である。

・変化に抵抗し、それまでの習慣に根拠無く固執
・一度得たものは手放せない
・期待値よりリスクの大きさに反応
・縄張り意識を持ち、知るほど近視眼的になる

⇒増加していく規則は定型業務であり、非定型業務である創造的な仕事を追いやる。さらに、減点主義が普及すると、定型業務という可視化出来る業務の方が評価され易くなる。

目的より手段、全体より部分、抽象より具体の方が見え易いため、そちらに流れる。

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組織が量的に拡大すると、複数で仕事を分担せざるをえなくなる。質的に成長すると仕事の難易度も上がり機能分化させて専門性の高い人材を育成する事になる。

こうして細分化の流れは止められなくなる。

意思決定に必要な人間の数が増加し、互いの信頼が低下する事により、細分化は意思疎通費用増加の原因となる。

こうして成熟した組織には、外部へ説明出来る証拠作りが良く見られるようになる。捺印や規則順守等。それは規律正しい事を証明する手段なので、それがどのような成果を生むかは問題でなく、形に残っている事が重要になる。付加価値を生まない余計な仕事の増加。

規則を無くす事による利益は、無駄な作業削減という形で広く薄く行き渡りが、不利益はトラブルという目立つ形で現れるため、余計な仕事は増加する一方で、性善説から性悪説へと移行していく。

さらに、大組織には信頼が求められるため、誰が担当しても同じ結果が出る事が重視される。それは標準化やシステム化の導入であり、本質的な仕事の自己同一性が失われる。

標準化の次には外注化が進展する。定型化されて他社との差別化要因にならない業務を外部業者に外注する。そうすると、口を出すが手足を動かなくなる状態になる。外注管理という社内手配師の増加。

成熟した大組織は、全てこうした過程を辿るとする。

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以下の二種類の人材。

①イノベーション型
革新的業務を遂行する。形式や硬直を嫌う。理想から現実を語る。現状に合わない規則は変えるべき。確率論(やってみなければ分からない)。
②オペレーション型
定められた業務を遂行する。前例主義。現実しか眼中にない。規則は絶対。決定論(論理的に過去情報を分析すれば、やってみるまでもない)。

イノベーターは組織より個人を重視するが、オペレーターは組織を重視する。

組織が拡大するほどオペレーターが増加していく。意思決定に莫大な手間がかかるため、社内に派閥を作った方が効率的になるし、均質的な尺度として数字が重視されるようになる。中身の議論よりも収益や賛成者数という指標に集約されていく。

オペレーターは過去の延長で考えるものであり、過去情報に基づく分析がそれを助長する。

以下は、批判者と被批判者の非対称性。

①一方通行
批判者は相手の言い分を聞かない
②局所戦
批判者は自分の得意とする領域で戦えばよい。批判される側は全体への実行責任を持っているので、局所的な土俵を選択出来ない
③時間と情報の制約
批判者は時間がある時に、自分が情報を多く持っている分野で戦う事が出来る

批判する側は圧倒的に有利であるため、行動するイノベーターは不利である。

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人間のライフサイクルを以下のように考えてみる。

①小児期
常識やパラダイムを習得する時期。経済的自立は出来ない。成長期。
②青年期
パラダイムは確立しているが、経験を積みながら進化していく。
③中年期
次世代の育成。成長は頭打ちで収穫期に入る。
④老年期
世代交代を図る。貯金や積立で暮らす。

会社は人間のように老化や世代交代を前提にしていない。人間の場合、身長が伸びる事や体重が増える事が成長指標であるが、ある段階から成長には限度がある事が意識される。

しかし、会社は常に成長が求められる。

会社の老化に伴う問題を解決するにはリセットするしかないとする。基本的常識を白紙に戻し、現実に見合った常識を最構成する。著者は子会社をリセットのために活用すべきとしている?

クラウドやインターネットを活用した個人と小企業の運用に活路があるのかもしれない。

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