世界を変えたいなら一度“武器”を捨ててしまおう

読んだ本の感想。

奥山真司著。2012年7月30日 初版発行。



以下は、「地政学を英国で学んだ」へのリンク。

http://geopoli.exblog.jp/

成功したいのなら、具体的な技術という武器を捨てて、抽象的思考力を向上させるべき?数値化可能で個人が実施可能な具体的技術は使われる者の術。大成するためには人数を集めなくてはならない。英語を極めても翻訳家や通訳で終わる。

具体的な技術は模倣され易く、自分を上回る技術者が現れる事を案じていては、不安から抜け出す事は出来ない。抽象度の高い思想ほど模倣され難い。

自らの技術 = 武器に固執せず、自らの目的からトップダウン式に考えるべきとする?

世界観とは、自分は何者かが出発点であり、なりたい自分、どうあるべきか、という抽象度の高い自己同一性に直結する。資格取得にしても、取得後のなりたい自分を想像する事が大切。

戦略:
戦争での戦い方。将軍の思想。

戦術:
戦闘での戦い方。兵士の思想。

⇒戦略と戦術は異なる。戦術は個人の技量に頼る面が大きく、革新を与える戦術があっても模倣されるため、常に新しいものが求められ、さらに継承されなくてはならない。

戦術のみで勝利する事は困難。技術は使用される側であり、使用する側に主導権を握られる。

欧米においては奴隷制と放牧の伝統があり、労働者を動物にように管理・操作する思想 = マネジメントがあったとする。マニュアルや費用削減のための賃金体系等。特にキリスト教圏では、神学論争によって抽象的な議論があり、戦略的思考に直結する自己同一性や宗教観、ビジョン等の思想的援護があるとする。

対して、日本にはルール作りをする思想が無く、ルールは外部から与えられ、それに従う意識が強い。少数が多数を管理する思想が弱い。

◎神学論争
日本には大きな宗教論争が無かったが、欧州においてはカソリックとプロテスタントのように、抽象的な神について殺し合うような論争があったとする。相手を論破するために理論を構築し、理論で勝る事が重要になる。抽象的概念について考える訓練。

神学論争を体感しない人間は、外部に「真実」があり、真実が正義の勝敗を決すると自然科学的に思うが、「神」のように存在しない抽象的存在を巡って戦う人間にはその思想が通用しない。

<ケネス・ウォルツ:1924年~>
戦争が発生する原因を以下の3点から分析。3つのイメージ。

①ファーストイメージ:人間の本質
原因を、人間の本質や個人、自己責任にあるとする。
②セカンドイメージ:組織
原因を、組織にあるとする。
③サードイメージ:国家や環境
原因を時代や政治、自然環境にあるとする。

⇒上記の違いは抽象度の違い?

⇒自らの本質と課せられたルール、さらに自分の帰属する共同体に課せられたルールを知る。さらに新しいルールを設定出来ないか考える。

⇒与えられたルールに従うだけでは環境や組織の変化に伴って、次々に新しい技術を身に付け続けなくてはならない。技術に習熟しても使用される部品にしかなれない。

<エドワード・ルトワック:1942年~>
戦略には4つの階層があるとした。コリン・グレイ(1943年~)は、その上に2つの階層があるとした。

①世界観
人格や生き方。人生観、歴史観、地理感覚、心、ビジョン等。
②政策
全体の見通しや方向性作り。生き方、政治方針、意志等。
③大戦略
現場から離れた最高執行責任者の思想。人間関係、兵站、資源配分等。
④軍事戦略
複数のプロジェクトを統括する部長の思想。仕事の種類、戦争の勝ち方等。
⑤作戦
プロジェクト全体を指揮する課長の思想。仕事の仕方、会戦の勝ち方等。
⑥戦術
チームで戦うグループ長の思想。技術の使い方、戦闘の勝ち方等。
⑦技術
個人で戦う兵士の思想。最低限のマナー、敵兵の殺し方等。

⇒上部にいくほど抽象度が高い。戦術は複数の技術を使用して勝つ事を求めるし、作戦は複数の戦術を纏める。軍事戦略では複数の作戦を並行させて勝つ方法を考える。

戦争を行うには、資金や人員配備等の後方支援が必要であり、それが大戦略。それを実施するには政策として共同体の方針を決定する事が必要であり、それを見据えるには世界観が必要となる。

⇒共同体において階層上部に位置するほど抽象的思考の技術が必要になる。細かい事は部下にやらせる。

⇒世界観を学ぶ本として、古事記、聖書、コーラン等。

上記の戦略の階層を企業(ヤマハ)に落とし込むと以下のようになる。

①世界観
企業イメージ、存在意義。
⇒感動を・ともに・創る
②政策
業界における社会的意義、社会貢献
⇒事業を通じて人々の心を豊かにする
③大戦略
資金管理、システム管理
⇒日本を世界で最も人口当たりのピアノ数が
 多い国にする
④軍事戦略
デザイン戦略、流通管理 = 抽象的なもの
⇒ピアノを各家庭に入れる
⑤作戦
カスタマーサービス、人事オペレーション等
⇒ファミリーコンサート、ローンシステム導入
⑥戦術
販売マーケティング、営業マーケティング等
⇒ピアノ教室の展開
⑦技術
商品開発 = 具体的なもの
⇒楽器製造

⇒抽象的思想から戦略を組み立てるには、「自らがどのようになりたいか」という価値観が重要になる。

世界観や政策が確定しない状態で繁栄している共同体は、基本的には危ういとする。

<戦略論の原点>



J・C・ワイリー著。以下の2つの戦略があるとする。

①順次戦略(数値化出来る戦略)
手順や順序があり、物事を双六のように連続させて行う。

⇒太平洋戦争における米国は、目標を東京の大本営として3つのルートを使用して日本へ攻め込んだ。目標に対して、現在どこまで進んでいるかの数値化が可能であり、そこに至るまでの順序も明示出来る。

②累積戦略(見えない戦略)
成果を貯め込んでいく。

⇒太平洋戦争における米国は、日本の通商路を破壊すべく輸送船を撃沈していった。個々の撃沈任務は独立しており、関係性や連続性が無い。また、輸送船の数も把握出来ないため目標までの数値化も困難。

⇒累積戦略は、ある限界点を超えた時点で一気に効果が出るとする。

順次戦略においては、ビジョンを具体化して数値化し、目標となる日付を決める。累積戦略では環境や習慣を重視して、効果が出るまでを具体化出来ない。

昭和の日本においては、目前の事を必死に行う累積戦略が重視されていたが、現状では努力しても効果が出ない社会構造となっており、改革のために順次戦略が注目されている。

順次戦略は絵のようなイメージに集中し、累積戦略は日頃から何かを継続し創発を促すとする。これは、易経における陰陽の思想と似ている。

順次戦略は「陽」の戦略であり、「見える・見せる戦略」である。目標とイメージを重視して、数値化し、秩序を重視する。

累積戦略は「陰」の戦略であり、「見えない・見せない戦略」である。非合理的で繰り返しの行為があり、突然の効果が出る。

上記の2つを並行して行う事が重要であり、陰陽は両方とも必要。「陰」である累積戦略が優れている側が、「陽」である順次戦略を少しやると効果があるとする。

順次戦略は陽であり、エゴを強めるものである。同時にエゴを排する戦略も使用しなくてはならない。陰の努力 = 陰徳を重視する。

逆に累積戦略だけになると、視野が狭くなり習慣を無批判に反復するだけになる。

以下の3つの推奨。

①順次戦略
自らのビジョンを盛り込んだ戦略文書を書く。
⇒順次戦略による目標の明確化、数値化、イメージ化。
②累積戦略
習慣を変える。人には見せずに自分との戦いにする。
③水になる
・冷静になる
・選択肢を持つ
・柔軟になる
⇒そのためには世界観等の抽象度の高い概念が必要になる。それがために戦略の階層毎に自分の目標を作っていく。

人気ブログランキングへ
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ABCDEFG

Author:ABCDEFG
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード