ポリネシア人

読んだ本の感想。

片山一道著。初版印刷 1991.11.5。



以下は、wikipediaの「ポリネシア人」の記事へのリンク。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%8D%E3%82%B7%E3%82%A2%E4%BA%BA

第一章 プロローグ―オセアニアの島嶼世界
ポリネシア人は、アジアに進出したモンゴロイドの系譜を引く。オセアニア諸民族の共通点は、石器時代の部族社会のまま文字を持たずに欧州文明の侵略を迎えた事にある。

多くの島が点在する世界で、共通するポリネシア人の文化が存在する事は、この地に文字によって記録されない大航海時代があった事を示唆している。

ポリネシア:
北半球のハワイ、南半球のニュージーランド、イースター島の三点を結んだ内側をポリネシアと呼ぶ。地球の全表面積の1/6程度になる。ポリネシアの由来は、「多くの島々の世界」を意味するギリシャ語から。

民族学者 E.バローズは、文化領域として西ポリネシア(トンガ、サモア等)、中央ポリネシア(ソサイティー諸島、ハワイ諸島、津ツアモツ諸島、南部クック諸島、オーストラル諸島等)、辺境ポリネシア(マルケサス諸島、イースター島、ニュージーランド、チャタム諸島等)、中間ポリネシア(ツバル、トケラウ諸島、北部クック諸島等)を区分。

ニュージーランドを除くと、気候帯としては熱帯、亜熱帯に入り、一年を通じて21度~25度当たりの気温である。

第二章 ポリネシア人の身体特徴に探る
    ―その一 巨人たち

身長:
ポリネシアの三角圏のどの島でも、成人男性の平均身長は170㎝~172㎝程度である。古人骨で調べると、昔も同じ程度で、アフリカ中央部の乾燥地帯や北欧等と並ぶ高身長民族である。

肥満:
ポリネシア人の肥満は伝統的村落では目立たず、欧米流の食生活の影響と考えられるが、特にポリネシア人は肥満になり易い。

体型:
座高(頭顔部 + 体幹部)が身長に占める割合は、ポリネシア人:54%、日本人:52%、欧州人:50%、アフリカ人:46%とポリネシア人の下肢は相対的に小さい。

身長と体重の比率(身長/体重比)は、ポリネシア人の成人男性で2.2~2.3。北欧では2.6を下回る程度で、エスキモーでも2.3~2.5。東南アジアの人々では3.2程度。

⇒身長の割に大柄。ポリネシア人の骨格の特徴は、骨太で頑丈である事。

脳頭蓋:
大型で高頭。矢状隆起が発達。

顔面頭蓋:
高眼窩、高鼻、歯槽性突顎は弱い、頑丈な下顎骨(ロッカー状のものが多い)、相対的に小さい歯。

メトピズムや下顎隆起はほとんど皆無。外耳道骨種が多い(冷水によって外耳道が刺激される事によって発生。潜水活動に従事する人達の間で多発。南北緯30~40度の温帯に住む沿岸漁労民の間で多発)。四肢骨では、鎖骨が大きく肩幅が広い。太く頑丈であり、大腿骨や脛骨は、大きさを考えなければ縄文人の骨格と共通する点が多い。

ロッカー下顎:
顎のえらの少し前にある角前切痕というへこみが無い。ポリネシア人の歯は小さく、東南アジアや古代東アジアの人々に一般的な形態。前歯の舌側が抉れるシャベル状は半分以上の人で出現。

⇒角前切痕は、下顎骨の立体的な梃子の役割を果たす。咀嚼筋の発達によって、梃子の必要性が無くなるという解釈がある。ポリネシア人の顎は、筋肉が付着する個所が頑丈であり、相対的に歯が生える個所が小さくなり、歯が小さくなるという説がある。身体の大きさと歯の大きさが負の相関関係にあるとする研究。

指紋:
渦状紋が多く出現(60%~80%、東アジアの出現率は40%~50%)。

血液型:
Gm型(血液中の免疫グロブリンの多型性形質)では、アジア系モンゴロイド・グループに属し、南方遺伝子を多く持つ。西ポリネシアではB型遺伝子が存在するが、東ポリネシアでのB型遺伝子は僅か。

⇒ポリネシア人の身体的特徴には地域性が弱く均質的。

第三章 ポリネシア人の身体特徴に探る
    ―その二 ユニークな人たち

ポリネシア人の身体的特徴は非常に独特である。大柄で筋肉質、強い肥満傾向、過度にアジア人的、多産で早熟。

分布域の割には均質性が強く、西ポリネシアから東ポリネシアにかけて地理的勾配が認められる。

第四章 ポリネシア人の身体特徴に探る
    ―その三 形質人類学の新たなる展開

以下の仮説。

<寒冷適応仮説>
大柄で筋肉質な民族は高緯度の寒冷な気候風土で多く見られる。バーグマンの法則(寒冷地の種は大型化する)、アレンの法則(寒冷地の種ほど耳等の付属器官が小型化して体表面積が小さくなる)

海洋は寒く、航行民であったポリネシア人が海洋の寒さに適応したためと見る。

<過成長仮説>
ポリネシア人の成長は早い。六歳臼歯は4歳頃から、十二歳臼歯は10歳頃から萌出し始める。1951年に発表された人類学者 ボーミダの論文では、ポリネシア人の平均初潮年齢は12歳頃で、当時の欧州人より2歳程度早い。

そして、ポリネシア人の身長の伸びは、男性は18歳、女性は16歳で止まる。思春期が早く始まるのに終わりは多民族と同程度。

⇒初期のポリネシア人が無人島に展開していく過程で、少人数が短期間に人口を増やす必要があったために、思春期が早く訪れるように進化した可能性。

第五章 ポリネシアの島嶼世界の植民と拡散
ポリネシア人の民族移動について、オーソッドクス・シナリオでは、以下の通り。1970年代までに得られた考古学の成果を繋ぎ合わせたもの。

紀元前2000年頃:
ラピタ人等のポリネシア人の文化が形成される。

紀元前2000年紀後半:
西ポリネシアへの進入。その後、1500年間は西ポリネシアに留まる。

300年頃:
マスケサス諸島に植民。

400年~800年:
東ポリネシアへの拡散。400年にイースター島、750年にハワイ、800年にソサエティ諸島、800年以降にニュージーランド。

1000年以降:
ハワイやニュージーランドへの二次的拡散。

⇒現在の新しい仮説では、西ポリネシアに留まらずに、徐々に東斬した事になっているらしい。西ポリネシアから東ポリネシアへの進入は紀元前1000年頃、東ポリネシアから辺境ポリネシアへの侵入は1000年頃。

こうした航海によってポリネシア人が南米大陸と接触した痕跡がある。欧州人の来航以前から、イースター島やニュージーランドでは薩摩芋が栽培されていた。薩摩芋は南米原産である。

マナフネ伝説:
多くの島で語り継がれた伝説によると、ポリネシア人が各島に移住する前に、先住民が既に居住していたとする。例えば、ニュージーランドでは、マオリの先祖がニュージーランドに到着した時には、既にタガタ・ヘヌア(土地の民)という先住民がいたとしている。色黒で小柄、自然のままに暮らす。

ポリネシアのどの島にも、そうした小柄な人が大勢を占める集団の存在を示す証拠は見つかっておらず、ポリネシア文化とは異なる文化の痕跡も無い。

ポリネシアに普遍的にマナフネ伝説が存在する事から、ポリネシア人の拡散早期に経験した事が、伝承としてポリネシア全体に波及したと考える事が出来る。

第六章 ラピタ人
    ―リモート・オセアニアへ進出した人たち

以下は、wikipediaの「ラピタ人」の記事へのリンク。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%94%E3%82%BF%E4%BA%BA

ラピタ人は、紀元前1600年頃?にニューギニア北部沿岸部やビスマルク諸島一帯に出現したと考えられる?そして、西ポリネシア全体に拡散した。その期間は300年程度。

同じ頃に、中近東西部から英国や北欧まで新石器農耕文化が拡散するのに5000年を費やしているに比較すると、拡散速度は段違いである。

ラピタ文化の特徴は、独特の装飾土器であり、臨海性の集落を形成していた。

そして、紀元前500年~紀元前100年頃にかけて、ラピタ文化は一斉に消えてしまう。ラピタ人は、そのままポリネシア人に移行したものと考えられる。

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