欧州における移民問題

読んだ本から。

欧州における移民の問題は古くて新しい問題であるとする話。

以下の2つの考え方。

○拡大政策
国力を増強させるために外国人を流入させて人口を増やす

○安定政策
国家体制維持のために外国人を締め出す

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古代ローマ帝国は、異民族にローマ風文化を伝達し、ローマに吸収同化させる政策を採用していた?宗教的寛容が特徴で、多神教を信じたローマ人は、異民族が異なる神を信じるのは当然と考えた?

ローマの宗教的寛容が対応出来なかったのは、一神教であるキリスト教とユダヤ教とされる。

やがて、312年に即位したコンスタンティヌス帝がキリスト教に改宗し政教一致の体制を構築する。宗教によって政治力を高める戦略?ローマ帝国のキリスト教化が進行するに従って、異教への抵抗も高まる。

4世紀には、大量のゲルマン人が流入し、人種間問題も発生する。多過ぎるゲルマン人をローマに同化させる事は出来ず、ローマ帝国は崩壊する。

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以下は、中世から近世に至る移民を利用した欧州の国家の例。

<スペイン>
中世のスペインは、当時としては宗教的に寛容であったとされる。スペインを構成する国々は、イベリア半島のイスラム領を征服して領土を拡大した歴史があり、イスラム教徒に寛容である事が現実的だった。

スペインの前身の一つであるアラゴン王国(人口20万人)の人口の約35%はイスラム教徒だったという話がある。

⇒現在よりもイスラム化している?

同時に、ユダヤ教徒の集結地でもあり、英国(1290年にユダヤ人追放令)、フランス(1306年、1322年、1394年にユダヤ人追放令)、ドイツ(1298年、1336年~1338年、1348年にユダヤ人虐殺)等からユダヤ人が流入していた。

しかし、1478年の法王勅書以降、異端審問所が設立され、異教徒への迫害が行われるようになる。1492年にはユダヤ人追放令が出され、20万人がスペインを去ったとされる(12万人はポルトガル、残りはイタリアとオスマン・トルコ領へ移住)。1502年にはカスティリア地方のイスラム教徒が改宗か移住を強制された。

その結果、主にユダヤ人が担っていたスペインの金融ネットワークが国外に移行したとされる。スペインにおける資金調達費用は高騰し、1557年と1575年にスペイン王室は破産している。

<オランダ>
オランダが移民の流入先となった理由は、上記スペインが宗教的同一性を追求し出した結果と言える。スペイン領であったオランダのプロテスタント主体地域にカトリックを強要した事で、16世紀後半から叛乱が勃発。

その成り立ちから、オランダでは信教の自由が保証され、ユダヤ人やプロテスタント諸派が集うようになる。そのため、オランダは貿易、金融の中心地となった。

1685年には、オランダ人口の過半数が移民か移民の子孫だったとされる。人口流入がオランダ繁栄の主因?

⇒移民への許容度が高い?

中世欧州においては、宗教的迫害が各国で横行しており、オランダは駆け込み寺として優位にあった。

<英国>
1688年に、オランダ海軍が英国に侵攻し、オランダ執政オラニエ公ウィレム三世が英国王として即位する(名誉革命)。名誉革命以降、オランダの人的資本が英国に移動し始めたとされる。

1689年には、権利章典と信教の自由法が可決され、以下の三集団が台頭する事になる。

①ユダヤ人
②ユグノー(フランスの新教徒)
③スコットランド人

1689年~1763年にかけての英仏抗争においては、上記の三集団の力が必要であった。当時のフランスの人口は英国の4倍であったが、ユダヤ人の金融ネットワーク、ユグノーの資金(18世紀の英国の負債の約2割を引き受けた)、スコットランド人の武力(18世紀の英国陸軍連隊長の1/4)を活用した英国が勝利する。

少数の高技能者と多数の安価な労働力という側面もあり、1830年代にユダヤ人の大金融業者一族は200あったが、英国におけるユダヤ教徒の総数は三万世帯であり、少数の人間のみが富裕。

18世紀になると、イギリス人、スコットランド人、ウェールズ人という区分けが曖昧になっていき、英国人が形成されていく。

英国における寛容が失敗したのは、カトリックであり人口が多いアイルランド人であり、現在でも宗教対立は継続している。

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欧州におけるイスラム移民の問題は、古くから継続している問題。異端審問が日常化していた時代が現代と繋がっており、イスラム教徒の閉鎖的共同体は、ユダヤ人やプロテスタントの共同体と同じ結末を迎えるのかもしれない。

欧州国家の成り立ちが移民による植民であり、多数の移民を受容した国家が繁栄した歴史が存在する事が、欧州において移民受け入れを支持する人間が一定数存在する理由なのだと思う。

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