ムーアを超えて

日経コンピュータ 2015.5.28 P20~P33「ムーアの法則を超える」から。

インテル共同創始者ゴードン・ムーアが1965年に提唱したムーアの法則「集積回路上のトランジスタ数は、1年半から2年毎に2倍になる」が終焉を迎えようとしている。

これまでIT業界は、ムーアの法則を前提に戦略を組み立ててきた。例えば、グーグルは、PCサーバーを大量に購入してネットサービスを無償で提供する事業モデルを確立。サービス開始当初は赤字でも、ムーアの法則によって1年半~2年後に調達コストは半減し続け、採算が合う。

2015年以降の5年間で半導体の性能向上が頭打ちするため、PCサーバーのみに依存する企業は競争優位性を失い、ITサービス企業自らがPCサーバーに代わるコンピューターアーキテクチャーを提案するようになるとしている。

集積度向上という全般的な性能向上が実現する前提が、生物の系統進化のように、複数のモデルが共存する状態に変化する?

これまでは、PCサーバーに代わる独自ハードウェアを開発しても、インテルが主導するムーアの法則によって、2年~3年後にはインテルのCPUを組み込んだPCサーバーの費用性能が独自ハードウェアを追い越していた。
しかし、現行の最先端半導体回路の線幅は14nm。これ以上細くすると、量子効果によって電流が漏れ出し、消費電力上昇に歯止めがかからなくなる。そのため、2020年までに、半導体回路の費用性能向上は頭打ちになる見込み。

<次世代アキテクチャーの方向性>
○既存のアーキテクチャー
サーバー内外の情報がCPUに集められ、CPUで集中的に処理する。

⇒情報移動に大量の時間、電力を消費する。

○次世代アーキテクチャー
情報を保存するデバイスの近くに、処理を行うプロセッサを分散配置する。

⇒移動する情報量を最小限にする。

以下の3つの技術革新。

①FPGAの設計を容易にする開発環境
FPGA(論理構造をプログラミングして再構成出来るチップ)は、様々な処理をCPUより高速・省電力に実行可能。2015年2月に、マイクロソフトは、ディープラーニングの画像データ解析をFPGAに実装する研究で、GPUとの比較で3倍の省電力性能を確認したと発表。FPGAは、画像データをDRAMから一度読み込めば、計算途中のデータを書き出す回数がGPUより少ないため電力消費を抑えられる。

FPGAが注目されている理由の一つは、C言語ベースの開発フレームワーク「OpenCL」でFPGA回路を設計可能になったためとしている。それまではハードウェア記述言語のような専用言語で回路設計を行っていたのが、回路に詳しくない技術者にも扱い易くなった。 

②超高速の積層DRAM
日本国内のベンチャー企業「PEZY Computing」が開発する、現行のDRAMより100倍高速、4000超のコアを持つメニーコアプロセッサ「PEZY-SC2」。
同社が2014年に開発した1024コアのプロセッサ「PEZY-SC」を採用した小型スパコン「suiren」は、電力効率の高さを競う「Green500」の2014年11月版ランキングで2位に入った。

以下は、「PEZY Computing」のWebサイトへのリンク。

http://www.pezy.co.jp/

「PEZY-SC2」の倍精度演算での処理性能は8FLOPSで、理化学研究所のスーパコンピュータ「京」の60倍超であり、2016年末までに初期サンプルを開発する計画。
冷却装置と主記憶も開発する計画で、「磁界結合」と呼ばれる伝送技術がポイントになるらしい。

③CPUの主記憶へ直接アクセスするインタフェース
米国オークリッジ国立研究所は、2015年4月15日に、次世代スーパーコンピューター「Summit」を2017年に導入すると発表した。ピーク性能は150ペタFLOPS~300ペタFLOPSで、同研究所が現在運用している世界ランク2位の「Titan」の5倍~10倍の性能となる。

その特徴は、CPUとGPUを直結するアーキテクチャーにあり、GPUはCPUが持つキャッシュの一貫性を保ちながら、CPUの主記憶にアクセス出来る。

「Summit」は、OpenPOWER Foundationの成果の一つとされるNVLinkを活用しており、同様に主記憶への直接アクセスを許すインタフェース「CAPI」を開発し、使用を加盟企業に公開した。

<OpenPOWER Foundation>
2014年にGoogle、IBM等が立ち上げた業界団体。PCサーバの費用削減でなく、新しいハードウェアの創出を目指す。

*************

FPGAは、外部メモリーに保存されたプログラムでなく、内部の論理構造に沿ってデータを処理する非ノイマン型アーキテクチャーである。非ノイマン型では、プログラムが論理回路の形で内部に刻まれているため、外部メモリーと頻繁にデータを出し入れする必要が無く、消費電力を抑え易い。

これまで「ムーアの法則」によるノイマン型コンピュータの進化に隠れていた非ノイマン型コンピュータが省電力化の手段として注目されている。

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