規制を求める心

Wedge September 2015 P38~P45 『遅すぎる再稼働 原発規制は的外れ』からコピペ。

福島原発事故の反省から、2012年9月に原子力規制委員会が発足した。政治の介入を受けない「独立行政委員会」として、約180の法、政令、省令、規制の改正を行う。これらを「新規制基準」と呼び、従来には無かった重大事故や天災への対応が整備された。

新基準に基づく原子力発電所の審査は遅れており、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、「」審査は原子炉一基、半年で終わる」と当初は述べたが、2年が経過しても終了したのが一基のみである。

再稼働遅延の影響で、電力各社の経営が悪化し、電力料金は20%~30%上昇。火力発電の燃料代は、2014年度で4兆円かかったと推計される。電力会社10社の新基準への対応費用は推計で2兆5000億円程度である。

<原子力規制委員会の姿勢への疑問>
許認可権を持つ原子力規制委員会が、意志疎通を拒否して一方的に意見を押し付ける場面がある。「事業者と私達は対等ではない。こちらの決定を受け止めるべきだ」

官僚機構の宿痾とされる書類好きの形式主義があり、事業者が原子力規制委員会に提出する書類は、正式なもので8万ページ~10万ページになり、扱う書類はその数倍になる。書式の間違いや誤字脱字を役人がチェックし、書き直しを求める。

原子力規制委員会が電力会社に具体的な指示をしない事が頻繁に多い。意見を明確に示さずに、電力会社側に過剰対策をさせる。上司の意見に過剰に反応し、責任を電力会社に押し付ける責任逃れ。

⇒行政訴訟時に責任逃れをする発想

電力会社側の問題としては、原子力規制委員会に実情を理解して貰う取り組みをしていない。米国では電力会社が業界団体を作っており、情報共有や当局との交渉、国民への情報公開を行っている。

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過剰設備、リスクゼロを求める弊害についても意見がある。新規制基準により監視が必要な設備が増加した結果、監視の緩くなる危機が発生する可能性や、想定外への対応遅れ等。

日本の原子力規制委員会は、リスクの大小に関わらず、全ての事象に対して個別に最大限の規制を発想を選択している。米国等に導入されている「確率論的安全評価」(PSA)は取り入れられていない。

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福島原発事故における以下の教訓。

①ベントさえ開けば、水の除染効果で避難の必要は無い
東京電力が発表した、敷地内の正門付近における2012年3月14日深夜を境に100倍上昇している。2号機の格納容器から、溶融炉心の放射能が、ベント失敗により直接空気中に放射された時刻である。

ベントを行うと、格納容器のサブレッションチェンバに溜めた水を潜らせた上で放射能が放出される。水を潜らせる事による事による除染効果は大きい。

2号機のベントが失敗した原因は、2つある弁の1つを開く事が出来ず、ラプチャーディスクを破れなかったからである。安全対策の過剰による逆効果。

⇒2号機のベントが成功していれば、年間1500msvから年間1.5msvまで放射線量が低下し、非難の必要が無くなる(国際放射線防護委員会が勧告する避難船料は年間20~100msv)。

②長時間の全電源喪失となっても、炉心減圧や注水を
 適切に行えば炉心溶融を回避可能
炉心溶融は、燃料を覆う被覆管のジルコニウムと水が化学反応して発生する大量の熱によって起きる。炉心温度が高い状態で水を入れると炉心溶融を招いてしまう。水は冷却に不可欠であるため、炉心の高温状態を無くせば良い。圧力容器の弁を強制的に開いて、格納容器の蒸気を逃がす減圧操作。
福島での事故においては、2、3号機は減圧で燃料棒を冷やしたものの、注水実行まで2時間ほど中断があったため、燃料棒の温度が再上昇してしまった。

③既存の安全設備は良く働いた
既存設備にある安全設備の多くは、殿堂が多い。電源無しで使える安全設備は、崩壊熱で生じる蒸気を利用して動くポンプである。2号機に備えられた原子炉隔離時冷却ポンプが3日間も動き続けた事を特筆すべきとしている。これらの設備が動いている間に外部電源を復旧出来れば、安定冷却に持ち込む事が出来る。

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規制の問題点を指摘するだけでなく、代替案を用意するべきだと思う。

安全設備や書類を過剰に増やす事による弊害は誰にでも分かる事で、現場運転員の危機対応能力向上や電力会社が能動的に安全向上に取り組むよう動機付ける事の重要性も誰にでも分かる。

それらをどのように正当化するかの問題だと思っている。

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