湖の国としての日本

日本ビジネスプレスのコラム『今こそ打ち出すべき日本外交の自画像』(部谷 直亮 )から。

日本の国家的自画像を、海洋国家(シーパワー)と大陸国家(ランドパワー)の双方の性格を限定的に保有する、「レイクパワー国家」と位置付ける。

以下は、ルフレッド・セイヤー・マハンによる海洋国家の定義。

①有利な地理的位置と自然条件
②海岸線の長さと良港
③海岸線の長さと良港を守るのに十分な人口
④海洋に対する国民性
⑤政府の性格(政策等を含む)

⇒日本では伝統的に自給自足への拘りがあり、海への関心が低く、移民に非寛容。首都の選定にしても、ほとんどの首都は内陸部である(沿岸部の江戸を選定した後は鎖国している)。

⇒日本を地質学的にユーラシアプレートの一部もしくはユーラシア大陸の沿岸地帯と解釈する

⇒歴史的に日本はアジア大陸の北方と南方を結ぶ架け橋であり、孤立した島国などではなく、周辺の大陸地域(朝鮮半島、シベリア、満州、東南アジア)と密接に社会的、経済的、文化的に結びついた

以下は、レイクパワー国家の定義。

①軍事力の運用は、湖内部において、陸上戦力を中心とする
 湖上輸送を中心に展開される
⇒「湖」とは歴史的に「瀬戸内海」、「琵琶湖」、「日本海」、
 「東シナ海」。
 現代的な意味では「北極海」や「南シナ海」も加わる
②基本的に陸地内部の政治が優先され、
 明確な対外・海洋政策はほとんど存在しない
③保有するシーパワーは「湖」内部の輸送のためであり、
 戦闘や外海での行動には向かない。
 故に、海洋国家の庇護、又は提携によってのみ外海に
 展開出来る

大陸国家:
ロシア、イラン、インド、ドイツ、中国(20世紀)、イスラム国

海洋国家:
米国、英国、中国(宋、明、21世紀以降)、スペイン(中世)

レイクパワー国家:
日本、イタリア(1861年以降)、インドネシア

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日本外交の課題は普遍的な外交思想、言うなれば自画像を描けない事としている。普遍的な自画像を持たない現実主義は、国際環境が不安定になれば、危機に対する過剰反応を引き起こし自滅する?

「国益」という概念の基盤となる価値観が無い状態で外交を行えば、即物的な利益に基づく機会主義的な外交となり、諸外国からの信頼を失う、もしくは過剰に攻撃的な外交となって自滅する?

国際政治学者の高坂氏は、日本を海洋国家の成り損ないの「島国」だと結論している。日本の歴史的政策、特に明治維新後は、朝鮮半島経由での大陸への進出、鉄道の重視、国家による統制重視、近隣での植民地獲得(通常、海洋国家は遠隔地に植民地を獲得)等と、大陸国家的な政策が志向されている。

<アレキサンダー・キラルフィの分析>
第二次世界大戦前、中に日本海軍の専門家として活躍したアレキサンダー・キラルフィの分析。以下の要因により、日本は海洋国家としては異質である。

①日本の戦力の柱はランドパワーである
②日本の海軍思想は西欧と著しく異なっている
③日本海軍は、強力な陸軍の浮橋である。
 小さな陸軍を背後に持つ防御的兵力である米英の海軍とは異なる
④日本は、米英と違って最終的な勝利は陸上戦力によって
 齎されると信じており、海上戦力は陸上戦力の兵站及び
 通信線維持に活用している。
 日本はそれ以外のために海上戦力を危険に晒さない

****************

歴史的な観点から日本をレイクパワー国家として定義すると、「湖」を中心に歴史が展開されていたと考える事が出来る。

経済や戦争は琵琶湖・日本海・瀬戸内海等を中心に行われ、白村江の戦いも瀬戸内海という内海の豪族を中心に行われている。近代においても、日本外交の焦点はユーラシア大陸の沿岸地帯がほとんどであり、「湖」とその沿岸地帯を重視している。

歴代の首都は内陸部で、沿岸部が選ばれた場合でも防衛が主目的であり、大陸国家的である。植民地を「湖」周辺に求め、税制の中心が労役や穀物であり、外交が苦手。

また、日本は歴史的に海戦に弱く、勝利したのは清国やロシア等の腐敗した封建的大陸国家である。日本の和船はモノコック構造で発展が終了している。中国や李氏朝鮮ですら保有していた竜骨船を所持出来なかった。

⇒日本の海軍は、主として「湖」内部の地上戦力輸送と
 防衛のために使用された。

****************

著者の主張として、レイクパワー国家としての観念を日本外交に適用すべきとしている?

陸と海洋の二重のアイデンティティを持つ国家として、日米同盟を基軸にロシア、中国、朝鮮半島との戦略的連携を行う。外交資源を、オホーツク海、ベーリング及び北極海、日本海、東シナ海、南シナ海等の「湖」周辺に投入する等。

哲学的な話は難しいと思った。

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