聲の形を読んで

『聲の形』という漫画を読んだ。

読まなければ良かった。買わなければ良かった。

気持ちを整理するために、考えている事を垂れ流す。

以下は、Wikipediaの「聲の形」の記事へのリンク。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%B2%E3%81%AE%E5%BD%A2

物語の中盤以降から、登場人物達が作者の制御を超えて動き出し、ダークファンタジーのようになっている。非現実的な展開の連続。

私見としては、「嫌いあっている者同士の繋がり」を描こうとしたが、途中で恋愛物を描こうとしたために、ヒロインが自分を虐めていた主人公を好きになる矛盾を処理出来なかったように思える。

精神的に弱っている時なので、グーグルの人工知能が描いた絵を見た時のような気分になってしまった。

【あらすじ】
主人公の高校三年生 石田将也は、小学生の時に同級生の聴覚障害者 西宮硝子を虐めており、その責任を被らされる形で自らが虐められるようになった過去を持っている。それ以後、中学校、高校と孤立して過ごすようになり、高校三年生の時には自殺を考えるようになる。
自殺前に、贖罪を行おうと虐めていた西宮硝子に会い、気分が変わって自殺を止める。その後、主人公が西宮硝子達と映画撮影をしたり、西宮硝子の自殺を止めたりする。

後半部分から、登場人物達が非現実的な暗黒行動を取るようになり、最後には皆が仲良くなったように終わってしまう?

*****************

作者は最初、互いに嫌いあっている2人を描こうとしたのだと思う。自分は連載版しか読んでいないのだけれど、オリジナルでは主人公と西宮が好き合う事は無かったのではないかな?

作者が矛盾を処理出来なくなったと感じたのは、単行本4P76~P86の観覧車で、西宮と主人公の小学生時代のクラスメイト植野直花が会話する場面。

以下は、植野のセリフの抜き出し。

【開始】
小学生のとき…私はあなたについて全然 理解が足りなかった それがあなたのことを嫌いになってしまった原因だと思う でも あなたも私のこと理解しなかった だから遠慮なしに私に変なノート渡したり みんなの空気を読まずに合唱コンに参加した その結果 私は あなたに攻撃した ノートに悪口 書いて陰口も言った でも それはメッセージだよ 「もうやめて」「私たちに もう関わらないで」っていう そしてあなたもやり返した 大人たちを使って その結果 石田は友達を失ったし 私も たくさん傷ついた これっておあいこだと思わない?実はさっき ちゃんと謝れって 石田に言われた でも私だけが謝るなんてフェアじゃないよね?

理解してないのにちゃんと謝れるって思ってるの?今朝 私が謝ったのと同じよねそれ てか私はさぁ謝ってほしーわけじゃないのよ あの頃はお互い必死だったそれでいいと私は思うんだ 謝っちゃったら昔の自分を否定するみたいだし 私は昔 あなたに抱いた感情は間違いだと思ってない。でも 今は今 昔は昔 私は あなたが嫌いだし あなたは私が嫌い 嫌い同士でも平和でいられると思うの だから握手しましょう

だから何よ 「私は私が嫌い」ですって そんなありふれたこと自分だけのように言わないでくれる?あんたはさ私がこんなにも全てを吐き出して わざわざこんなにも敵意を出してやってんのに 他に言うことないの? 昔からそうだったよね 何かキツイこと言われると すぐに「ごめんなさい」とか言って逃げる わかってたよ その方がラクだもんね 弁解するよりすべて認めちゃった方が それが私はムッカつくのよね 西宮さん ムリヤリ言っているのバレバレだったよ? 「ありがとう」も「ごめんなさい」も 私 今日 確信した

あんたは5年前も今も変わらず 私と話す気がないのよ!!
【終了】

この場面は読んでいて不自然だった。小学生だった時に数ヶ月間クラスメイトだっただけの同級生と5年ぶりに出会った時に言うセリフではない。この場面を録音していた主人公が植野のセリフを違和感無く受け入れる事も不自然。作者自身の言葉であるからこそ?

多分、このセリフは作者が自分の言いたい事を植野を通じて書いたのだと思う。

この言葉のやり取りは、本来、主人公とヒロインの西宮の間で交わされるものだったのだと思う。

西宮の人物造型として、聴覚障害者である事から、過度に周囲に迎合し、優しくしなくてはならないように社会的に矯正されてきた人間と考える。だから、主人公の事が嫌いでも無理に優しくする。

主人公が自分に向けられる優しさが、強迫観念や義務感から派生するものと気付いた時に、上記の植野のようなセリフを喋るはずだったのだと思う。

「そしてあなたもやり返した 大人たちを使って その結果 石田は友達を失ったし 私も たくさん傷ついた」

上記の言葉は、主人公を裏切って虐めの責任を被せ、5年間もコンタクトを取らなかった植野が言うには無理がある。本来は主人公が言うべき言葉だと思う。

そして、この言葉によって、主人公は、自分は贖罪がしたかったのでなく、誰かに自らの不遇を謝罪して欲しかっただけなのだと悟るはずだったのではないか?

西宮が自己主張して抵抗していれば、このようにならなかった。そのような感覚が作者の中にあったのではないか?

主人公は西宮を嫌っているが、自分に優しくしてくれる人間は西宮しかいない。西宮は主人公を嫌っているが、好意的に接してしまう。

嫌いあっている者同士の繋がり。互いに嫌っているはずなのに、離れる事が出来ない。本来はこうした話になるはずだったのではないか?

負の心理を他の登場人物が代替してしまったため、西宮が聖人のようになってしまった。そうでなくては主人公と恋愛関係にならない。

作品世界における最大の不自然:主人公は裏切られた経験から小学校時代の知り合いを敬遠しているのに、同じ様な経験をしたはずのヒロインが主人公を受け入れる事。

********************

連載していくために、恋愛要素を入れざるをえなかったのではないか?西宮の怒りを代替するために、怒る存在としての西宮結絃が生み出され、恋愛要素を盛り込んだために、5年間没交渉だったはずの植野直花が唐突にアプローチするようになってくる。

怒りとか嫉妬とかの感情を他の登場人物が代替した結果、ヒロインである西宮の感情が乏しくなっていく。

植野直花は、作者が最も自己投影しているキャラクターであり、彼女を肯定的に見せるために他のキャラクターの負の側面が強まる。

西宮の父親のエピソードも唐突で、誰かを肯定的に見せるには、他の悪を作りださなければならないのか?

後半部分の主役は、植野直花と主人公のクラスメイトである川井みき。この2人の行動は、相似形であり、非現実的になっていく。

小学校時代に特に仲が良かった訳で無く、5年間も没交渉であったはずなのに、ここまで執着する理由が分からない。周囲がそれを受容する事も分からない。不自然。そんなに好きだったのに、何で5年間もコンタクトを取らず、唐突に深い関係であるように振る舞うの?

この辺りから、作者は男性に優しくしてもらえる女性が憎いのではないかと思えてくる。内田春菊先生の漫画を読んでいる気分。

単行本6のP138:
石田 西宮なんかにダマされんなよ 私は知ってる 男は あーゆーカワイソーで無口な女に弱いって

***************

そして、最後は何だか皆が良い人間のようになって、人間関係が修復されたようになって終了。無理がある。不自然。

個人的に、amazonnの書評欄を読んでいてもダメージを受けた。嫌いなキャラクターに関するヘイトが多いけど、それは作品内における虐めと同じ心理だと思う。

読まなければ良かった。長文になってしまったのは、精神的なダメージが大きかったからだと思う。読み返しはしない。













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