『逆回りのお散歩』を読んで

逆回りのお散歩(三崎亜記著)を読んだ。



統合された意志と、分散された個の戦いを描いた話だと思った。

作品内に登場する町、A市とC町の統合に対する反対運動。

【統合の目的?】
A市とB市が統合するための布石。A市とB市は、B市→C町→A市と流れる川の水利権を巡り仲が悪い。A市とC町が統合する事で、A市とB市を隣り合わせる。B市寄りの住民感情を持つC町と、A市が合併する事でA市民のB市アレルギーを緩和する。
A市、B市、C町が合併すると、人口72万人となり州都に次ぐ自治区第二の都市となり、新州都となる事も可能になる?

【統合への流れ】
以下の3次に渡るC町からA市への潜入。

第一次:34年前~30年前
C町出身者がA市の職員として大量に送り込まれる。

第二次:5年前
A市とC町の統合の話が持ち上がり、C町からの採用が増える。

第三次:4年前
職員交流制度を利用し、30代~40代の中堅職員をC町からA市に派遣する。

【落書き事件】
5年前、小学生サッカー大会の判定を巡って、C町民排斥の落書きが、A市の至る所に出現する。対策として、A市は市民に対して市民教育を開始する。市民啓発活動の技術を持つコンサルティング会社が、徹底した講習を実施。

⇒解決の実績により、コンサルティング会社の社長が
 A市の副市長になる。弓田孝造。30年前の市長の息子
⇒C町を悪く言う者に、レッテルを貼る事に成功

P60:
この運動は、一つ間違えば狂信的とも、被害妄想とも取られかねない。だからこそ反対派は姿を見せず、見えない戦争を仕掛け続けるんだ。本当に正しかったと理解されるのはずっと先のことだろうね。

P77:
人の社会とは、そんなに理路整然と進むものではない。さまざまな要因が複合的に重なり合って、結果としてそうなるものだ。それを後から恣意的に一本の線で結んで、あたかも最初から仕組まれていたように語るのは、中学生の妄想のようにしか思えなかった。

P96:
「善意と悪意のバランス、ではないでしょうか」
(中略)
悪意だけでは、運動はある一定以上には広がりません。

P98:
ネットを中心とした匿名での盛り上がりは、組織化されていない分、熱しやすく、冷めやすい。統一行動を取ろうと思っても、参加しない者に強制する手段がないわけですから。
(中略)
ネットでの発言は、匿名性ゆえに過激になりがちですが、それがどれだけ実社会に影響を及ぼし得るかは疑問ですね。書き込むことで鬱憤を晴らす人がほとんどでしょう。運動を継続していくには、矢継ぎ早に新たな燃料を投下し続けなければならない。

P159:
真実とはしょせん、今の状況ではそれが確からしく見える、というだけに過ぎんのです。風が吹けば天秤が揺れ、真実もまたどちらかに傾く。

P168:
言いたいことは二つだよ。一つは、史実とは誰かの視点によって定まった一方的なものでしかないということ
(中略)
言い続ければ、それが真実になる、ということだ
(中略)
真実とは、定まった形をしているわけではない。人々に無意識のうちに刷り込まれた情報が寄り集まり、真実として固定化される。

**************

確固として真実が欲しいという事なのかな?数十年をかけて一つの計画を推し進める事は出来ないと思う。

社会は安定しない。

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「逆回りのお散歩」三崎亜記

インターネット上ではじまる、不条理な「戦争」。確かに起こったはずなのに、その「デモ」は無かったことにされた。デモ、炎上、ステルスマーケティング、電突、ネット右翼─市町村合併を巡って、市役所VS反対派の静かなゲリラ戦がはじまった。現代の「見えない戦争」を寓話的に描く、ヒット作『となり町戦争』に続く系譜の最新作。 表題作と「戦争研修」収録。どちらも「となり町戦争」との高い関連性を感じる作品です...

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