『光秀の定理』を読んで

光秀の定理(垣根涼介著)を読んだ。



1560年~1597年の日本が舞台。明智光秀が色々とやる話。

モンティ・ホール問題が、話の骨子となっている?以下は、Wikipediaの「モンティ・ホール問題」の記事へのリンク。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%95%8F%E9%A1%8C

愚息というキャラクターが「モンティ・ホール問題」を説く。

【ゲーム】
伏せられた椀の中から銭が入った椀を当てるゲーム。
回答者の前に、4つの椀を置く。その内の一つに銭が入れられている。回答者に、4つの椀の中から1つの椀を選ばせる。選ばれた椀の中に銭が入っている確率は1/4である。つまり、選ばれなかった3つの椀のどれかに銭が入っている確率は3/4である
しかる後に、選ばれなかった3つの椀の内、銭の入っていない椀を2つ開ける。3つの椀の内、開けられなかった1つの椀に銭が入っている確率は、3/4のままである。
そのため、最初に選んだ椀のまま選択肢を変えない場合、回答者は3/4の確率で不正解になる。

明智光秀は、愚息から教えられた理論を戦に応用する?

【長光寺城攻め】
明智光秀が長光寺城を攻める。城は山頂にあり、山道は細い。明智光秀と敵の戦力は同数の三百人ずつ。城を攻め落とすには、敵の三倍の人数が必要とされる。

山頂に至る山道は以下の4つ。

①北東にある妙経寺の脇を通る道
②北西にある長福寺付近から登る道
③南東にある不動滝から登る道
④南西にある福寿寺から登る道

敵は、上記4つの道の内、3つの道に兵力を100人ずつ分散しており、残る1つの道に伏兵は存在しないらしい。勝つためには、敵兵のいない道を的中させる必要がある。
明智光秀は、最初は上記③の南東の道から攻め込む事を考えるが、物見の報告により、上記②、④の道に伏兵が潜む事を知る。愚息のアドバイスにより、選択肢を上記③から上記①に変更し、3/4の確率で伏兵のいない道を選択した明智光秀は、戦いに勝利する。

⇒小説を読んでいて、この理論は成り立たないと思った。

戦場にてモンティ・ホール問題が成立するには、以下の前提条件が必要だと思う。

①ルールの厳守
4つの道の内、1つに敵兵が存在しないルールを敵が厳守する必要がある。敵側が物見を使用して配置を入れ替える等の可能性も考慮しない。
②客観的な観測
こちら側の観測が間違っていない事が前提になる。物見の報告が間違っていない、敵の意図を誤って解釈していない等。
③etc

⇒現実の戦闘は、ゲームのように不確定要素が
 限定されていないと思う。
⇒現実に理論を応用する場合、ルールを厳守し、観測に客観性を
 担保する「神」の存在が不可欠であると感じる。

****************

作者の観念は古いと思った。

仮初の背後に連続する必然などありはしない。全てに適応可能な論理は、必然的に「神」を仮定する。

登場人物である愚息が、社会全体から切り離された自己を賛美しているように思える。それだから、選良には媚びないというアピールをする。

これも古い。社会から切り離された自己は有り得ない。

時折、そうしたアピールをする人がいるけれど、本人が無自覚的に古い観念に操られているに過ぎない。

****************

モンティ・ホール問題が終盤になって影を潜めてしまう事が気になった。

明智光秀が織田信長を裏切った原因に絡めて欲しかった。裏切りの原因が、織田帝国の出現を阻止するためと推測されている。小領主が乱立し、多様な価値観が共存する世の中から、帝王の尺度によって全てが規定される世の中への転換を阻止するためとしている?

それは現代の歴史家の意見をそのまま適応しているだけだと感じる。

モンティ・ホール問題を絡めると、以下のような展開になると思う。

織田信長に反乱を起こす前の明智光秀には、以下の3つの選択肢があった。成功確率は1/3ずつとする。

①織田家の家臣として一生を過ごす
②引退して僧になる
③反乱を起こす

当初、明智光秀は上記①を選択するつもりだった。しかし、上記②が不可能となる事情が出来る。モンティ・ホール問題を応用すると、上記①を選択したままでは成功確率は1/3であるが、上記③を選択すると成功確率2/3である。

自らの成功体験に従って反乱を起こす明智光秀。しかし、彼はモンティ・ホール問題が他の人間にも使用出来る事を考えなかった。

場面が変わって中国地方を攻略中の豊臣秀吉の話。

彼には以下の3つの選択肢があった。成功確率は1/3ずつとする。

①織田家の家臣として一生を過ごす
②引退して商人になる
③反乱を起こす

当初、豊臣秀吉は上記②を選択するつもりだった。しかし、明智光秀の反乱により、上記①を選ぶ事は不可能になる。モンティ・ホール問題の応用により、豊臣秀吉は上記③を選ぶ事にする。

2/3の確率で成功するはずだった明智光秀の反乱は、豊臣秀吉の選択肢変更により、失敗する可能性の方が高くなってしまう。

現実世界では、ゲーム世界と異なり不確定要素が無数にある。可能性は瞬間毎に変化する。

と、こんな感じの話に出来ないかなと思った。それだけ。

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