天空の帝国インカ

読んだ本の感想。

山本紀夫著。二0一一年七月二十九日 第一版第一刷。



以下は、インカ帝国についての記事へのリンク。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-794.html

第1章 天空の帝国
インカ帝国の最盛期は、15世紀からの100年ほどである。クスコを中心に、以下の4つの地域に分けられる。
①アンティスーユ:東部
 アマゾンに面したアンデス東斜面
②クンティスーユ:西部
 太平洋岸に至る地域。
③チンチャスーユ:北部
 現在のエクアドルを含む
④コリャスーユ:南部
 ティティカカ湖畔を経てボリビア、チリ北部、
 アルゼンチン北西部を含む

インカ帝国は、クスコを中心に上記4つの地域に広がる帝国であり、各地域には王道が通り、タンプと呼ばれる宿泊所が設けられた。
帝国の中核は、標高3000m~5000mのアンデスの山岳地帯である。クスコの人口は、最盛期で20万人程度で、帝国全体で1000万人程度の人口の2/3が山岳地帯に住んだとしている。

アンデスに人類が到達したのは、紀元前8000年ほどで、紀元前3000年には定住が進み、祭祀建造物が建設されるようになったとしている(土器や金属器の製作もこの頃?)。インカ帝国は、15世紀初頭にはクスコ盆地だけを支配していたが、100年ほどで中央アンデス全域を支配したとしている。伝説により、インカ族はティティカカ湖地方からクスコ地方に来て玉蜀黍栽培を始めた可能性がある。

第2章 なぜ高地で暮らすのか
アンデス山脈は、南北に約8000㎞、最大の幅を持つ中央アンデスでも500㎞~600㎞の細長い山脈である。中央アンデスは、熱帯圏に属しているため、高地でも気温は比較的高い。

また、ペルー南部からボリビアにかけての地域には海抜3000m~4000m前後の高原台地があり、平坦な地形となっている。高度差を利用して、多様な農牧業を営み、また、高地故の伝染病の少なさを活用した可能性。

第3章 飢える者がいなかったインカ帝国
アンデスでの農耕開始は、紀元前4000年~紀元前5000年頃と考えられる。多種多様な家畜や栽培植物を特徴とする。

玉蜀黍がアンデスに出現するのは、紀元前1800年頃。栽培食物としては芋類の種類が多い。特に玉蜀黍が栽培出来ない寒冷高地では、芋類が重要である。玉蜀黍は、海抜3500m辺りまでしか栽培出来ない。じゃが芋は耐寒性に優れ、海抜4300mの高地でも栽培可能。

じゃが芋の起源地は、ティティカカ湖畔地方を中心とする中央アンデス高地であり、数千種類の在来品種のほとんどは中央アンデスのみで栽培されている。チーニョと呼ばれるじゃが芋を干して作成した加工保存食品の存在。リャマやアルパカ等の家畜の糞を肥料として使用。

玉蜀黍は、紀元前1800年頃のペルー海岸地帯で出土しているが、本格的な栽培は、紀元数世紀頃かららしい。気温が高く、雨量の多い地方に適した作物である。中米起源である事が確実視されているが、中米と違ってアンデスでは玉蜀黍が酒として大量に使用されていた。人糞を肥料として活用。

第4章 開化した農耕文化
インカ帝国の農耕の特徴は、以下の2つ。

①灌漑
②階段耕作

インカ帝国の階段耕地は、等高線を描いて、大きな石を丁寧に積み上げている。著者は、他地域と異なる丁寧さの理由を、玉蜀黍が神聖な作物と考えられていたためではないかと推測している。

灌漑によって土壌が侵食される事を防ぐ方策が、斜面を階段状に整備する事だったのか。

玉蜀黍は、肥料の使用等により連作されていたが、じゃが芋農地は栽培後に休閑期間があった。踏み鋤を使用して、休閑地を耕作した伝承。

アンデス高地の経済の基本は、高度差を利用して多様な作物を入手した事であったとの推測。人口と権力の中心は、海抜4000m前後の高地であり、芋類や駱駝科家畜の肉を入手する。海岸地帯では玉蜀黍を栽培し、アマゾン地帯ではコカや木材を手に入れる。

インカ帝国は、征服地にミティマエスと呼ばれる移住者を送り込み、耕地を開拓したが、その耕地は玉蜀黍畑だった。玉蜀黍栽培には灌漑が必要であり、階段耕作も活用した。基本的に、玉蜀黍は国家管理され、一般民衆はじゃが芋を食べていたという推測。

玉蜀黍から作られたチチャと呼ばれる酒が、祭りや儀式の時に振る舞われ、支配維持に活用された可能性。歴史書では、食料としての玉蜀黍の記述は少ないが、酒の材料としての記述は多い。

著者は、インカ帝国の領土拡大を玉蜀黍耕地確保のためと推測する。玉蜀黍は、海抜3000m以上の地域での栽培が難しいため、ペルー北部からエクアドルまでの海抜が低い地域を支配した。他にも唐辛子やコカ等の耕作地も確保出来る。

第5章 「異形の神々」―ワカ信仰の世界
アンデス地域で多種多様な栽培が行われた原因をワカ信仰と結び付ける。異様な存在を力持つ存在と考える。アンデス地方の農民に取材すると、異常な形態の作物が収穫されると、それを重要視する傾向がある。

歴史書を参照しても、並外れた何かを神聖視して、特殊な礼拝式を行った記録がある。アンデス住民は、太陽、稲妻、海、山、丘、大地、泉、川等をワカと呼んで礼拝したという。醜怪な物もワカと呼ばれ、特別に大きな物や異常な形態を崇拝した歴史?

通常からの逸脱を神聖視する傾向は、インカ以前も存在したと見られ、チムー文化の土器には異常な形態のじゃが芋を模した物があり、チャンカイ文化の織物には六本指の模様があったりする。モチェ文化の土器の回旋異常(異常分娩)の顔位を模した土器等。

自然界の異形だけでなく、貴族階級の大耳等の人間が手を加えて積極的に異形を生み出す傾向?

第6章 インカ帝国の滅亡
インカ帝国滅亡の原因として、征服者である白人を異形者として見てしまった可能性?持ち込まれた伝染病によって多くの先住民が亡くなる。
人口減少が顕著だったのは海岸地帯であり、高地部での人口減少は比較的少ない。そのため、アンデス高地には、古くからの伝統や習慣が残っているらしい。

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