昨日は彼女も恋してた/明日も彼女は恋をする

読んだ本の感想。

入間人間著。
2011年11月25日 初版発行/2011年12月26日 初版発行。

以下、ネタバレ含む。本を読んでいないと意味不明だと思う。

本当は明日に書くはずだったけど今日書く。





【あらすじ】
以下は、Wikipediaの記事へのリンク。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%A8%E6%97%A5%E3%81%AF%E5%BD%BC%E5%A5%B3%E3%82%82%E6%81%8B%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%9F

<昨日は彼女も恋してた>
以下の2段構成

(語り部:男性)
離島に住む主人公(男性)が、タイムマシンを使用して、不仲な少女と一緒に9年前の世界に飛ぶ。タイムマシンが壊れてしまったので、開発者の松平貴弘に修理を頼む間、少女と不仲になった原因を解決し、現代に帰還する。

(語り部:女性)
離島に住む主人公(女性)が、バイト先の松平貴弘の開発したタイムマシンを使用して、不仲な少年と9年前の世界に飛ぶ。タイムマシンが壊れてしまったので、開発者の松平貴弘に修理を頼む間、離島内を散策し、少年と仲直りをし、現代に帰還する。

<明日も彼女は恋をする>
以下の2段構成

(語り部:男性)
主人公(男性)が現代に帰還すると、一緒にタイムスリップした少女が9年前に死んだ事になっている。歴史を書き換えるために、再度、9年前の世界に飛ぶ事にする。

(語り部:女性)
主人公(女性)が帰還すると、一緒にタイムスリップした少年が9年前に死んだ事になっている。開発者の松平貴弘もいなくなっているため過去に飛ぶ事が出来ない。自転車レースで勝てば、真相を教えて貰えるらしい。

************

【登場人物】
玻璃綾乃:男性の語り部
裏袋美住:女性の語り部
 多分、ミー婆と同一人物なのかな?
井上真理:マチ
 玻璃綾乃と一緒にタイムスリップする。
林田近雄:ニア
 裏袋美住と一緒にタイムスリップする。
松平貴弘:
 30歳代半ばの自称天才科学者。
 師匠の左門先生は、作者の別作品「未来を待った男」
 (時間のおとしもの)に登場するキャラクターらしい。
 又、作者の別作品「アラタなるセカイ」に本山という名前で
 登場しており、他にもちらほら出てくるのだとか。
村上清春:
 玻璃綾乃の祖母。
ミー婆:
 玻璃綾乃の向かいに住む老婆。
剣崎:
 島で数少ない自動車所有者。軽トラで島内の荷物の配達をする。
前田:
 代々灯台守を務める前田家の長女。
玻璃先生:
 玻璃綾乃の父親。小学校の先生。

【作品世界の構造】
タイムスリップをする毎に、新しい世界が書き加えられていく。読み進めていると、各世界は堂々巡りになっているように思えた。

以下のような解釈で良いのかな?

①世界A:林田近雄(ニア)が死亡している世界
「昨日は彼女も恋してた」の男性の語り部にて記述される部分。語り部(玻璃綾乃)の介入により、現代に帰還した時に、世界Bが出現している。
この世界線での、井上真理(マチ)は車椅子で生活している。原因は、島外で交通事故にあった事。主人公の介入は、9年前の世界で自転車レースに参加した際に海で溺れている子供(林田近雄:ニア)を助けた事。死ぬはずだった林田近雄(ニア)が生き延びる事になる。

林田近雄(ニア)が助かった事により、自転車レースの後に、井上真理(マチ)が林田近雄(ニア)に船を運転させて?島外に家出を試み、途中で船が転覆して、井上真理(マチ)のみが死亡し、世界Bが出現する?

②世界B:井上真理(マチ)が死亡している世界
「昨日は彼女も恋してた」の女性の語り部にて記述される部分。「明日も彼女は恋をする」で玻璃綾乃が帰還した世界線。

語り部(裏袋美住)が、林田近雄(ニア)とタイムスリップした時に、タイムマシンのトランク内に、玻璃綾乃が潜んでいる。玻璃綾乃と、林田近雄(ニア)が歴史改変をしたため、現代に帰還した時に、世界Cが出現している。

この世界線での裏袋美住は車椅子で生活している。原因は、8年前の自転車レースに参加した際に、同じくレースに参加していた林田近雄(ニア)に追突されたため。世界Aで玻璃綾乃が、林田近雄(ニア)を助けたために、翌年の自転車レースに林田近雄(ニア)が参加する事になった事が事故の原因。

玻璃綾乃が、船が転覆した時に井上真理(マチ)を助けるが、林田近雄(ニア・子供)は死亡する。現代からやって来た林田近雄(ニア・少年)は、自分が生きる事により翌年の自転車事故が発生する事を恐れ、自分が現代に帰還した際に消滅する運命にある事を受け入れる。

③世界C:松平貴弘が存在しない?世界
上記②の世界Bにおける9年前の時点で、松平博士は自分が島に残る事でタイムマシンを作り、問題を引き起こす事を懸念して島を離れる。代わりに、玻璃綾乃が現代に帰還せずに「ヤガミカズヒコ」という名前で過去世界に残り、井上真理(マチ)の守護者となる。

また、「明日も彼女は恋をする」で裏袋美住が帰還した世界線であり、松平貴弘は存在を消しているが、彼の残したタイムマシンの設計図を裏袋美住は発見する。何十年もかけて、タイムマシンを設計する事を裏袋美住は決意する。

世界Aは、老婆になった裏袋美住の介入した世界であると思う。「昨日は彼女も恋してた」のP12には、玻璃綾乃が子供であった時からミー婆が老婆であった事が記載されている。唯、そうなると、「明日も彼女は恋をする」のラストに登場する老婆が誰なのか分からない。終章にて語り部となる玻璃綾乃に、ミー婆の記憶が無いという事は、彼の過した世界Aはミー婆が存在しない改変される前の世界であり、第一章の玻璃綾乃の世界は、既に裏袋美住によって改変された後の世界である事を示している?二度目の九年間は終章の後に発生する?

終章の「D.S.」とは、演奏記号の一種『ダル・セーニョ』の略記であり、セーニョマークへ飛ぶ事を意味する。第一章の冒頭に登場する鳩時計にはセーニョマーク?が書き込まれている?つまり、終章が第一章の起点となるのかな?

世界Aは世界Cからの介入が無ければ存在せず、世界Bは世界Aからの介入が無ければ存在せず、世界Cは世界Bからの介入が無ければ存在しない。世界は車輪のように変転し、主人公達の戦いは終わらない。

****************

<松平貴弘の視点>
「明日も彼女は恋をする」のP45~P46で松平貴弘が鯨保護の話を主人公にする。鯨が好きだから殺すなという主張は間違っていない。それは人間も同じで命は平等ではない。

この場面は、世界Aの9年前から帰還した主人公(玻璃綾乃)が、世界Bの9年前にタイムスリップする場面で行われる。過去へのタイムスリップは、自らの属する世界線においてのみ行われる。世界Aを生きる主人公(玻璃綾乃)が世界Bの9年前に飛ぶためには、世界Bを生きる人間を一緒に飛ばす必要がある。

裏袋美住と林田近雄(ニア)は、そのためにタイムスリップさせられた事になる。そして、松平貴弘はタイムスリップによって林田近雄(ニア)が死亡する事を知っている。そうした視点なのだと思う。

****************

<僕が感じている疑問>
①過去にタイムスリップした後の世界
未来からタイムスリップした人間達が帰還すると、タイムマシンが消滅し、人間達は未来に帰る。未来に帰還すると、その時点の記憶が上書きされる。

では、過去に飛んだ場合、タイムマシンが消滅するが、人間達も一緒に存在が消滅するのだろうか?それとも、タイムスリップ出来ない人格が誕生するのか?

どちらにしても、未来に帰還した時点で、記憶が上書きされるという事は、違う記憶を持った人間となるので、実質的に殺人が行われているのではないか?

②九千四百六十万八千個?
「明日も彼女は恋をする」のP14で、9年前の世界から帰還した玻璃綾乃に、松平貴弘が以下のような事を言う。

「カップラーメンが九千四百六十万八千個作れる時間だぞ」

9年間待ったという意味にしてはおかしい?カップラーメンを一個作るのに3分かかると仮定する。
94、608、000個作るのに必要な時間は、283、824、000分 = 4、730、400時間 = 197、100日 = 540年になる?

9年間であるのなら、(9 X 365 X 24 X 60) / 3 = 1、576、800。つまり、百五十七万六千八百個のカップラーメンを作る事が出来る時間になる? 

松平貴弘もタイムスリップを敢行していた?世界Cで「ヤガミカズヒコ」となった玻璃綾乃が、松平貴弘を探す事は無駄だと言っている(「明日も彼女は恋をする」:P199)。その理由が良く分からない。死んではいないらしい。過去からの帰還によって別人になっている?

****************

作者の別作品とクロスオーバーしている話のようなので、多分、他の作品も読まないと色々と分からない話なのだろうか?

人気ブログランキングへ
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ABCDEFG

Author:ABCDEFG
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード