檻の中からの視点

以下、思い出したので書く事。上手く書けない話。フィクション。

中学生の時だったと思う。男の子と女の子が微妙に互いを意識し始める時期だったのかな。

僕の中での切っ掛けは、同級生だったM君との会話だったと思う。

M「ムラタとカナスギってさ微妙に意識し合ってない。
  特にカナスギがムラタを見る目がトロリとして気持ち悪いんだよね」

ムラタ君というのは、不良っぽい男の子で僕は何回か彼に泣かされた。カナスギさんは学級委員長をしていた女の子で優等生型だったと思う。

それから数日後のムラタ君と、彼の友人A君との会話。

A「ムラタ、お前さ、最近、カナスギと勉強で教え合いっこしてるじゃん。
  さぞ、成績が良くなってるんだろうな」
ムラタ「・・・・」

近くで聞いていて、A君の刺のある言い方が印象的だった。次の日のカナスギさんはやたらに不機嫌だった。それから、しばらくして、クラス内に変な噂が流れるようになった。男の子の学級委員長だったヤマムラ君とカナスギさんが勉強で教え合いっこをしているという噂だった。

キーワード「教え合いっこ」

噂の出所は分からない。分からないが噂は広まる。何時の間にか、ヤマムラ君はクラス内で孤立するようになっていた。特にムラタ君がヤマムラ君を嫌う様は激しく、憎悪の源が何のか僕は不思議だった。

*****************

ムラタ君は、僕の歩き方や話し方が気持ち悪いという事で、時々、僕にからんだ。僕が泣くと、「そんなに傷つくと思わなかった。許してやる。俺がお前を見守ってやるよ」と言いながら、僕が泣く姿を近くで見続けるのだ。そして、次の日になると何も無かったように僕を迫害するのだ。

僕はムラタ君が気持ち悪かった。彼の中に、硬派で格好良い自分のイメージがあり、そのイメージに沿って行動する。彼の自己イメージを保つためには、僕を攻撃する必要があるように感じた。

彼の中には自らの中で完結するルールがあり、そのルールに操られて生きている。

カナスギさんの事も同じように僕は怖かった。真面目な人間にとって、僕のような人間は鬼門なのだと思う。何と言っても僕は気持ち悪い。しかし、社会通念上、あらゆる人間は平等に扱わなくてはならない。真面目な人間は、自らが守るべきルールと、自分の感じる気持ち悪さの板挟みになるのかもしれない。

自らを縛る社会通念から逃れる事は出来ない。

ムラタ君が僕に絡む時に、カナスギさんは嬉しそうな顔になる。自分が発散出来ない僕に対する不満を他の人間を利用して解消する。自分はルールを破る事無く、嫌な人間を遠ざける事が出来る。そういう感覚だったのかもしれない。

全ては僕の妄想だが。

*****************

一カ月ほどが経過する間に、ヤマムラ君が嫌われ者であるという事はクラス中のコンセンサスを得ていた。

その当時、虐めには2種類があるとされていた。虐められる人間に原因がある虐めと、虐められる人間に原因が無い虐めだ。虐められる人間に原因があるとした場合、それは教育行為だから非難される事は無いらしい。

その当時を思い出すと、ムラタ君とカナスギさんは両輪のように感じられる。他人を攻撃する力を異性にアピールする人間。それを止めるようでいて後押しする人間。

僕はカナスギさんがクラス内の有志を集めて、虐めを止めるための話し合いをしている場面を見た事がある。何故、ヤマムラ君が嫌われるかについて意見が出るが、結局は嫌われる事を肯定する流れにしかならない。

僕は何もしない。何もしないで流れを見て、聞いているだけだった。不思議だったのは、同級生達全員が自分達の意志や善良さを信じている事だった。憎悪が感染していく様子を見る事は恐ろしい。周囲の人間が嫌っている人間を何時の間にか自分も嫌うようになってしまう。それには明確な理由があり、正当化出来る行為のように感じられてしまう。

以下、クラス内での発言。

A「あいつさ、痛そうな演技するんだもん。
  同情して貰おうとする意図が丸見えだよな」
B「あいつ、見え易い所にテーピングしてるんだぜ」
C「あいつ本当にムカつく」

他にも様々な意見があったけれど、誰かが誰かを憎む事は簡単な事なのだと思う。

M「ムラタとカナスギってさ誰も信用してないよな。
  別に付き合ってる事をばらしたって誰も馬鹿にしないのに、
  過剰に反応してさ。
  その癖、変な嫉妬するんだもん」

周囲の人間を見方につけようとする場合、他の誰かの悪口を言う事が手っ取り早い手段であるらしかった。同じような経験は社会人になっても発生する。人間同士の集団は本当に面倒臭いと思う。

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