「短命結婚」の時代

読んだ本の感想。

パメラ・ポール著。2002年12月4日 第1刷。



ジェネレーションX:1965年~1978年に生まれた人々
ジェネレーションY:1979年~1994年に生まれた人々
ベビーブーム世代:1946年~1964年に生まれた人々
マチュア世代:
 以下の2つに分けられる
 GI世代:1909年~1930年に生まれた人々
 沈黙の世代:1930年~1945年に生まれた人々

米国において、1960年代~1970年代に離婚が急増し、「独立」という価値観から離婚も悪くないという主張が強かった。1980年代から社会不安を背景に、「家族の価値」という主張が成されるようになり、常態化している家庭崩壊との矛盾が際立つようになっている?

結婚は義務になり、大衆文化は非現実的な理想像を作り上げる。実現不可能な義務を課せられた結果、スターター・マリッジ = 結婚後5年以内、子供を持つ前に終わる結婚が急増しているとしている。

スターター・マリッジのはじまり
スターター・マリッジをする人間の多くは、22歳~27歳までに最初の結婚をし、大学教育を受けている、中流以上に属する白人が多いとしている。
人生に満足している人間にとって、結婚は未だに手に入れていない最後の目標である。人生に満足していない人間にとって、結婚は人生を取り戻す切り札である。

性的な面における社会規範が曖昧になっている現代では、同棲と結婚の区別が付き難く、結婚は人生の通過儀礼ではなくなっている。

結婚を夢見る若者たち
1970年代に急増した離婚によって、不幸な結婚生活を理解していない若者が増えたという話?かつての結婚は性によって区別された伝統的な結婚だったが、現代の結婚観は流動的である。宗教か精神か道徳か社会規律なのか。

昔の結婚:
男性が身の回りの世話をしてくれる妻を手に入れるため、扶養者の役割りを果たす。女性は経済的安定を手に入れる。男は世継ぎを望み、公的に性的な関係になる事が出来る。

⇒現代では、経済的な必要性が薄れ、夫が妻を扶養する意識が低下している。社会的な性的規範も形骸化しつつある。性交と結婚は分離し、結婚は必然でなく、選択になっている。

米国における1920年代~1940年代の結婚率は高く、90%以上の男女の多くが20代半ばまでに結婚していた。1950年代になって、離婚者が25%に達した程度である。

1960年代に、自由、個人主義、性の解放といった概念が流行し、結婚に多くが求められるようになる。離婚が社会的に容認されるようになると、不幸な結婚生活から抜け出すための離婚が急増するようになる。

第二次世界大戦直後、8/10人の子供は両親の揃った家庭で育ったが、1970年代の終わりにその割合は半減した。

現代の結婚には、幸福な家庭、心の安定、永続する無条件の愛が求められるようになっている。一生独身であるかもしれないという恐怖が、社会不安と結び付き、安定志向を生み出している。しかし、離婚率が低かった時代の結婚生活は理想化され過ぎており、模範とはならない。

現代の結婚は美化された伝統主義と21世紀の現代性の混交と言える。

結婚狂騒曲
現代の米国では、「結婚せよ」というメッセージがテレビや映画、新聞や雑誌等に溢れている。結婚 = 幸福の風潮があり、人との関わりを公言する。

家族は美しいものとされ、未婚者は社会的に批判される事になる。人との深い関わりを恐れる、未成熟、etc。さらに結婚相手に求める条件も高度化し、かつては料理、掃除、子育ての三要件を満たしていれば良かったが、そうした伝統的な妻の美徳と、経済的に自立した近代女性の美徳も必要とされている。

女性の要求も高度化し、かつては食物と住居を提供出来れば良かったが、安定感や誠実さが必要とされるようになっている。

結婚式が盛大になった結果、自らの配偶者が自らの各を表現する手段となっている。結婚は経済的な約束事でなく、素晴らしい人物になるためのイニシエーションと化した。

結婚に求めるもの
現代の結婚は、かつての家庭構築の手段から、自己実現の手段へと変化している。結婚に非現実的な高い期待が寄せられている。

人間は役割を欲している。自分自身を「何か」として認識したい。何かとして人に認められ、求められたいと思っている。そのためには自分自身を確立しなくてはならない。

現代では、社会的ガイドラインや平均像が散逸し、若者の自己像の模索は20代を通じた長期課題となっている。社会的制約が形骸化した時代では、自分が一年後にしている事を誰も予想出来ない。何か異なる存在が常に現れ続け、取り残される恐怖を与えられる。

結婚は自己を確認出来る役割を提供してくれるし、目的意識を授けてくれる。

また、社会的共同体が崩壊した現代においては、自分の経験を認識し、一緒に参加してくれる他者を求める気持ちが強まる。純粋な親密さは、継続的で密接な関係からしか得られない。

あらゆる事が流動的な現代において、結婚は永劫の感覚を与えてくれる。

スターター・マリッジがつまずくとき
典型的な結婚生活において、結婚の質は最初の4年間で大きく低下する。そこを持ち堪えると、8年目頃には安定する。情熱が衰える代わりに信頼が形成される。

未成熟な状態で結婚する事を問題視する意見。結婚には人格を変容させる力は無い。

夫婦間の意思疎通の問題は、軽蔑、批判、防御、回避等に起因し、適切な意思疎通技術を持たない人間の結婚は非建設的な方向に向かう。一方の優位性が固定すると、相手は受け身になり、勝ち負けが意識される。

失敗した多くの結婚に特徴的なのは、強い女性と弱い男性の組み合わせであり、女性が男性を無理矢理に結婚させてしまう事が、準備が出来ていない結婚の原因となる。教師的 = 男性的な女性は、結婚生活における満足度が低い傾向がある。

スターター・マリッジが壊れるとき
結婚生活は、家族や友人に頼るもの。外部と接触していなければ、悩みや誤解を抱えたまま孤立してしまう。結婚を長続きさせるためには、支援者の存在が不可欠である。

結婚生活は常に一貫した状態が継続するものでない。個人としての幸福を追求する場合、結婚を維持する事は無いかもしれない。現代人は不幸な人生を許さない。

なぜスターター・マリッジは失敗するのか
昔は選択肢の無い時代だった。現代では住む場所も仕事も容易に変えられる。結婚生活を複雑にする要素が沢山ある。宗教的契約関係であり、法的協力関係である結婚は、互いの仲が悪いという理由だけでは別離に繋がらない。しかし、現代の結婚は性関係を伴った密接な友情であり、夫婦のどちらもが孤立しがちである。

現代人は、人生の意味や永遠性を求めるべきと刷り込まれているが、同時に個人主義的な思考や行動様式に縛られている。そのため、結婚に対して大きな期待を抱くが、それを実現出来る可能性は低い。

誰もが確固とした役割を求めているのに、それが与えられると固定された役割りを疎ましく感じる。1950年代までは選択肢が少ないため、自分の役割について悩む事は無かった。現代では自分の役割を誰も知らない。

現代では、あらゆる段階を自己開発の手段と見なすが、結婚を個人の成長の機会と捉えるのは自己中心的である。結婚は自律とは逆に、相手に合わせる事を意味し、自由を縛る。一緒にいる時間が長いほど、配偶者に幻滅する。

現代人は、高いレベルの幸福を当然の権利として要求する。結婚には、長期的視野と問題解決能力が必要とされるが、変化の激しい現代では長期的視野を持ち難い。

結婚に情緒的親密さを期待するのは最近の傾向であるが、心理的・精神的欲求が全て満たされる事はあり得ない。

二〇代の離婚
離婚の苦痛は、以下の3つである。

①自我に対する痛み
孤独である事、愛されない事
②他者を失う苦痛
人生の中心である人を失う
③社会的苦痛
自分は落ちぶれたと感じる

離婚する事に対する、社会的な偏見について。

スターター・マリッジから学んだこと
現代人には、結婚を絶えざる自己探求と発見の旅と考える人が多い。そして、結婚生活を具体的に想像せずに結婚する。自分にとって好ましい関係、相性、etc。

大部分の人間にとっては、結婚式を挙げる事に意味があり、結婚式自体が甘い思い出となる。

離婚は決して永遠の愛や幸福の喪失ではない。結婚が魔法のように幸福を齎してくれるという希望は幻想だ。離婚によって、完璧な人生を追求する事を止める人間もいる。人生は操作出来ない。

良い結婚とは共通の感性を分かち合う事であり、自分と似た人を見つけるには自分を知らなくてはならない。自己同一性が未確立な状態では、既成の結婚観に縛られるか、配偶者の自我に取り込まれてしまう。

結婚に対する期待感は調整されなくてはならず、配偶者に非現実的な期待をしてはならない。家庭を小さな要塞にするのでなく、社会的な結び付きとして、家族や友人、地域社会に支えられる必要がある。

現代社会では、共同体の感覚が失われた結果、結婚以外の生き方への支援が欠けており、本来なら結婚すべきでない人達も結婚制度の中に放り込まれてしまい、また、社会が夫婦生活を援助せずに、夫婦は自足していなければならないと思い込ませてしまう。

結婚の政治学
結婚は米国における政治的課題にもなっている。税制上の優遇措置や結婚補助金等。自我編重の時代が終わり、家族の価値が傷つけられる事に対する社会的懸念が増大している。

著者は結婚を政治的に語る事を嫌悪している?

二一世紀の結婚
現代においては、結婚は短く不安定になっている。一方で平均寿命が長くなった結果、一生涯の結婚の年数も長期化している。かつては15年~20年で終わりを迎えた結婚期間が、ほぼ倍になっている。そうした生物学的変化を考慮すると、複数回の結婚を繰り返す事が当たり前になるかもしれない。

社会人生活が50年に渡り、5~6のキャリアを持つ場合、一人のパートナーによって全ての欲求を満たす事は出来ないと考える。

未来学者 サンディ・バーチステッドの見解:
21世紀中に、人間は以下の4つの結婚をするようになるかもしれない。

①アイスブレーカー・マリッジ
5年以内に終わる若いカップルの結婚。パートナーと暮らす事を学び、相手に幻滅した時点で分かれる。
②パレンティング・マリッジ
子供を作るための結婚。15年~20年続く。
③セルフ・マリッジ
家庭を作る責務無しに自己実現を求める結婚。
④ソウルメイト・コネクション・マリッジ
人生の終盤に訪れる精神性に基づく結婚。

2000年のローパー調査では、米国人が尊重する57の価値観の内の一位は「家族を守る事」である。スターター・マリッジは、不道徳な現象とされるが、将来的には当然の事とされるかもしれない。未熟な結婚が深刻化し、子供に否定的な影響を与える前に離婚する。

結婚は絶えず努力とエネルギーを必要とするものであり、結婚すれば幸福になれるという文化は誤っている?結婚が何を齎し、何を奪うのかを見極める必要がある。

現代に置いて地域共同体が崩壊した結果、若者に結婚において求められる責任や報いを教えるシステムが無くなっている。成功の模範だけでなく、失敗も説明する必要がある。

20代前半に始まって生涯続く結婚は、現代では存在しない社会と経済によって成立していた。しかし、現代人は過去と同じように結婚を思い描こうとする。幅広い機会があるのに、結婚が従うべき分別ある選択肢とされる。情報、役割モデル、共同体からの支援が欠如している。

唯一の解決策は存在しない。各自が独自の方法でアプローチすべきとしている。

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