『葬られた王朝』を読んでいる

歴史書の成立に政治的事情が影響するという説。

以下は、「天孫降臨の夢」の記事へのリンク。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-1551.html

「葬られた王朝」(梅原猛著) 第四章 記紀の謎から。

『古事記』、『日本書紀』が作られた8世紀初頭の日本における歴史的要請(時代精神)は、律令制の完成だった。律令制の柱は、律令の編纂(701年の大宝律令)、都城の築造(710年の平城遷都)、歴史編集(711年の日本書紀)である。

701年に制定された大宝律令は、刑部親王、藤原不比等を長とし、田辺史等の帰化系官人が編集に携わった。
唐の律令との比較は、以下の通り。

唐:中書省、門下省、尚書省の三省が独立して皇帝に直属する
日本:権力は太政官に集中する

⇒日本の律令は、天皇が親政しない象徴天皇制を志向している。

梅原氏は、日本書紀の実質的な編集者を藤原不比等としている。藤原氏に都合の良い歴史観の成立。

・藤原氏の祖先神の活躍
藤原氏は中臣氏に由来する。歴史上、はっきりと登場するのは舒明天皇の時代に、中臣鎌足の父である中臣御食子が、亀朴によって朝廷に仕えた記録を始まりとする?

しかし、記紀では藤原氏の祖先神の活躍が記述されている。

①タカミムスビ(高御産巣日神)
天孫降臨を命じたのは、アマテラスでなく、外祖父タカミムスビである。天皇が女帝であり、外祖父が権力を握るのは、『古事記』、『日本書紀』が作られた時代を反映している。

②オモイカネ(思金神)
タカミムスビの子。天の岩戸隠れ(アマテラスを引き出す策を考える)、国譲り(国譲りの派遣メンバーを決定)、天孫降臨(計画立案)にて活躍している。

③タケミカヅチ(建御雷男神)
イザナギがカグツチの首を斬った時に、刀の根元についた血から生まれた神。『古事記』では、イツノオハバリの子とされる。国譲りの命令を伝える使者としてオオクニヌシに遣わされる。
ニニギの曾孫にあたるイツセの末弟カムヤマトイワレヒコ(神武天皇)が熊野に至った際に、タケミカヅチが自らの代わりに降した太刀で荒ぶる神を切り倒している。

④アメノコヤネ(天児屋根命)
アマテラスを岩戸から引き出す神事の主役。天孫降臨の時に「五つの伴の緒」の神の長としてニニギと共に降臨。藤原氏の祖先神。

⇒807年に、斎部広成が『古語拾遺』で、宮廷の神事は忌部氏の下で行われたが、天智帝の頃から中臣氏が神事に関わるようになり、現在は中臣氏が国家の神事を独占しているとしている。
⇒藤原氏は天智天皇の時代に、中臣鎌足が現れた事で成りあがった氏族であり、神話偽造が行われた可能性がある。

<古事記と日本書紀の違い>
①神代七代の違い
古事記:
最初にアメノミナカヌシ、タカミムスビ、カミムスビ等の別天つ神の五神、独神二神、ウヒジニ=スヒジニ等の男女ペアの五代の神々が現れ、それを神代七代と呼ぶ。
日本書紀:
別天つ神が全く登場しない。古事記では、タカミムスビが独神として身を隠しているが、そうなると天の岩戸隠れや国譲りの時に外祖父として登場する事が矛盾するため、不合理を避けたと思われる。

②三貴子の誕生
古事記:
黄泉の国から逃げ帰ったイザナギが阿波岐原で禊ぎをした際に、アマテラス、ツクヨミ、スサノオが生まれたとしている。
→禊ぎ、祓いの神道思想
日本書紀:
禊ぎによる誕生譚が語られるのは、第六の一書のみであり、本文では国生みの最後に、アマテラス、ツクヨミ、スサノオが生まれている。
→合理主義(禊ぎ、祓いで生まれるのは不合理?)

③オモイカネとタカミムスビ
古事記:
天孫降臨等において、オモイカネが政策を立てている。タカミムスビは限られた時にのみ主たる命令者になる。
日本書紀:
オモイカネは国譲りや天孫降臨の時に全く登場しない。外祖父のタカミムスビが指揮している。

④オオクニヌシの話の消失
古事記:
オオクニヌシの国作りの話が詳しく語られる。
日本書紀:
オオクニヌシの国作りの話が、ほぼ全て落ちている。
⇒『古事記』は、藤原氏に都合の良い神々が活躍するように偽造しているが、関係無い部分は伝承通りに記録している?公的な歴史書である『日本書紀』は王朝の歴史を詳しく語る必要が無く、ニニギを祖とする王朝が正式に支配権を受け継いでいる事を示せば良い?

『日本書紀』では、『古事記』のようにオオクニヌシをスサノオの六代の子孫としない。スサノオの六代の子孫であるオオクニヌシがアマテラスの孫であるニニギに国を譲る時間的不合理を避けている?ただし、『日本書紀』の二つの一書では、オオクニヌシはスサノオの六代の子孫としている。

⑤国譲りの使者の違い
古事記:
タケミカヅチが使者である。
日本書紀:
主なる交渉の担当者はフツヌシで、タケミカヅチは副使者である。

⇒『古事記』は秘書であるため、政権奪取の意図が露骨に語られている。そのため、藤原氏が鹿島に祀っているタケミカヅチを使者にしている?
⇒フツヌシを物部氏の氏神フツノカミ(石上神宮)とすると、国譲りの時に物部氏が活躍したという伝承があった可能性?

**************

神代においては、各氏族の祖先神の功績が語られる。神代において功績のあった神の子孫は、律令社会において高官に就く事が約束される。

大宝律令は、唐における三省を太政官に統合し、天皇は太政官から送られた政策を承認、否認する権利のみが与えられている?太政官を藤原氏が独占するには、藤原氏の祖先神が天皇家の日本支配に貢献した唯一の神とする歴史書が必要だった?

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