2100年、人口3分の1の日本

読んだ本の感想。

鬼頭宏著。2011年4月30日 初版第1刷発行。



第1章 100年後、日本人口は4000万人になる
2006年12月、国立社会保障・人口問題研究所は、出生率と死亡率の組み合わせから、9通り(出生率と死亡率をそれぞれ高位、中位、低位の3通りで仮定する)の「将来人口」を推計した。中位の値を取ると仮定すると、2055年の日本の人口は8993万人、2105年の日本の人口は4459万人である。

最も楽観的な高位推計では、2055年に9952万人、2105年に6274万人になる。低位推計では、2055年に8238万人、2105年に3357万人である。

かつて日本政府は出生率の低下を望んでいた。1947年~1949年のベビー・ブーム期には、年間約270万人が誕生(2009年は約107万人)しており、1948年に制定された優生保護法では人口妊娠中絶が合法化されている。

1974年に発表された人口白書では、政府は出生率抑制を強化すべきとしている(当時の日本人口は1億1000万人程度)。当時の合計特殊出生率は2.14程度であり、2025年には1億4000万人の人口となり雇用問題が深刻化する事が懸念されていた。1975年には合計特殊出生率は2.0を下回り、その後、一貫して低下している。

<出生率低下の要因>
①乳幼児死亡率低下
社会インフラや医療の発達により、不必要な多産をしなくなった。
②結婚率の低下
結婚を当たり前とする規範が無くなった。
③不安感
現代文明の行き詰まりを予想させる不安感。

日本だけでなく、主要先進国の合計特殊出世率は1960年代末期から1970年代半ばに2.0を下回っている。この時期に資源・エネルギー問題や環境問題が提起されるようになり、1972年に発表された「成長の限界」等も危機意識を煽った。

そうした流れは発展途上国にも波及し、人口増加抑制が経済成長を促し、所得上昇が出生率低下を導くという循環的プロセスが発生する事になる。

日本史上では、縄文後半、平安末期、江戸後半という人口減少期には日本独特の文化が形成される傾向があり、現代でも新しい価値観が形作られる可能性がある。

第2章 人口4000万人の暮らしと経済
1850年の国別人口ランキングでは、日本の人口は中国、インド、ロシア、フランスに次ぐ5位である。1950年でも中国、インド、米国、ソ連に次ぐ5位である(世界人口に占める日本人の割合は3.3%)。

2010年時点では、日本の人口は世界10位である(世界人口に占める日本人の割合は1.8%)。国連の推計では、2050年には17位になると予想される(世界人口に占める日本人の割合は1.1%)。

◎生活水準を保つ方策
以下の2つが考えられる。

①人口一人あたりのGDPを維持する
労働生産性(1時間の労働から得られる生産高、販売金額の割合)から考える。2005年の日本人口を1とすると、2055年の生産年齢人口(15歳~64歳)は0.544になると予想される。2005年と同等の生産性を維持する場合、50年間に年率0.5%の割合で労働生産性を向上させる必要がある。

②GDP全体の規模を維持する
上記①と同じ推計で、年率1.2%で労働生産性を向上させる必要がある。

さらに経済成長率を2%にする場合、2055年のGDPは2005年の約2.7倍になり、労働生産性を4.9倍にしなくてはならない。1889年~1938年の労働生産性上昇率は、年率2.53%であり、1956年~1970年では年率8.62%である。1996年~2000年には年率0.7%であり、2007年~2009年は年率-2.2%となっている。

⇒経済成長を前提にする事は非現実的である。

一方で、日本の労働生産性は低い。OECD加盟国中で22/33位であり、2009年基準では製造業の生産性が米国の71%、飲食宿泊業38%、ビジネスサービス業50%となっている。産業全体の生産性を米国と同等にすれば、GDPは1.5倍になる。

日本の失業率は景気動向の対して変動幅が小さい事が特徴であり、雇用安定を生産性よりも重視する風土がある。

◎高齢化問題
2042年までに、日本の高齢者人口(65歳以上)は、3646万人(37.3%)に達すると予想される。2005年から1000万人以上の増加であり、その後は安定して高齢者の割合が40%程度となる社会が2100年頃も継続する事になる?

2007年時点での日本の65歳以上の労働力率は男性29.7%、女性13.0%であり、世界的に見て高い。他に女性の労働参加を促すようにする事が高齢化問題に対処する方策ではないか?

第3章 人口4000万人の都市と地方
歴史的には、人口が増加する時代は特定地域に人々が集中し、人口が停滞する時代は集中度が低下しているが、今回は東京圏や名古屋圏への人口集中度が高まると予想される。

国土審議会が推計した2050年までのデータでは、2005年~2050年に人口が増加する区画は2%程度となっている。2050年までに人口が現在の半分以下になる区画は66%である。無居住化地点は全国で22%発生する。

経済学者 松谷明彦氏は異なる見解を示す。大都市圏は高齢化比率が高く、地方の高齢化比率が低くなるのであれば、社会保障負担増加を嫌い、地方移住する人間が増えるのではないか。

都市の集約化を考える方向で政府政策は進んでいる(2008年の国土形成計画)?

第4章 人口4000万人の人間関係
家族(1世帯に暮らす人数)の減少が進行している。国勢調査では、1920年~1950年の一般世帯の規模は5人程度。これは江戸時代からの標準的規模であると考えられる。2010年時点の一般世帯の規模は2.46人である。

経済学者 速水融氏の意見。
日本の世帯構造には、以下の3分類があるとする。
①東北日本型
②中央日本型
③西南日本型

東日本では高齢者が一人暮らしする割合が低く、西南日本では多い傾向があるらしい。西南日本では地縁が優先され、東日本では血縁が優先される?

2005年時点では、老人ホーム等で暮らす高齢者数は138万人であり、1960年の20倍以上。2006年の国民生活基礎調査では、子供と同居する高齢者の割合は約44%である。

2005年の単独世帯数は1446万世帯であるが、2030年には1824万世帯(総世帯の37%)になると予想される。

また、現代は熟年離婚が増加している。1970年頃まで、離婚の過半数は同居5年未満の夫婦だった。1960年~2005年に年間離婚件数は3.8倍に増加したが、同居期間15年~19年の夫婦の離婚件数は6.5倍、同居期間20年以上の夫婦の離婚件数は13.3倍になっている。

⇒江戸時代から明治時代に至る変化の話が面白かった。19世紀末の普通離婚率は0.3前後、1960年代の普通離婚率は0.1以下、1999年には0.2程度である。明治時代の離婚数の方が現代よりも高い。江戸時代も想像以上に離婚が多かったとされ、家制度の確立が規範を変化させた可能性がある。

第5章 外国人5000万人の未来
労働力不足を移民で補う考え方。

国連は、2000年に先進諸国が労働力不足を補うための補充移民数を発表している。日本では、2050年まで人口を維持する1714万人の移民が必要であり、2000年~2050年に年間34万人の移民が増える事になる。生産年齢人口を維持するためには、年間65万人増える必要がある。

2009年時点での外国人労働者数は約56万人(不法残留者を含めると20万人程度増加?)。労働者の家族等をふくめても、219万人程度となる。

生産年齢人口を維持する場合、2050年には移民の割合が30.5%になる事になる。

既に外国人の活用は進展しており、価値観は大幅に変化するとしている。

第6章 人口100億人の未来
2010年の世界人口は約69億人。1975年から約28億人増加している。21世紀中に人口増加のペースは緩和し、少産少死の傾向が世界的に強まると予想される。

しかし、人口増加が停止するまでには時間がかかり、2008年の国連推計では、2050年の世界人口は91.5億人と予想している。2000年~2050年の人口増加の98%は発展途上国地域で発生するとされている。

2005年の日本の一人あたり国内総生産は3万5000ドルであり、アジアの平均水準(日本含む)は2800ドル程度である。2050年にアジア全体の生活水準が2005年の日本並みになるとすると人口が34%増加する場合、GDPは約17倍になる。

同じ計算を世界人口100億人で推計すると、GDPの拡大規模は8倍になる。

国連が2004年に発表した超長期推計では、欧州、アジア、ラテンアメリカの人口は2050年前後にピークを迎え、世界人口は2100年頃の91億人でピークを迎える。その後、2300年まで世界人口は停滞を続けるとしている。世界人口は2050年以後、停滞局面に入るらしい。

新しい価値観は世界的に望まれている。

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