滅亡へのカウントダウン

読んだ本の感想。

アラン・ワイズマン著。2013年12月20日 初版発行。





良くも悪くも思想的に偏りのある本だと思った。本に書かれている内容が正しいかどうかは検証する必要があるかもしれない。自然界の多様性を守るために、人間社会の思想を人口抑制という方向に縛る必要がある?

生物学的な多様性を守るために、思想上の多様性を犠牲にしなくてはならないかもしれない。他に解決策が無いなら、新しい考え方が広まる事になると思う。

第一部
第一章 疲弊した土地が提起する四つの疑問
      ―イスラエルとパレスチナ

イスラエルとパレスチナで沢山の子供が生まれている話。ハレディー(超正統派のユダヤ教徒)は、平均して7人弱の子供を擁する。イスラエルのハレディーの人口は17年で倍増している。一方でパレスチナのアラブ人人口は、2016年までにイスラエルのユダヤ人人口を上回る可能性がある。このままでは、この地域の人口は2050年頃に2100万人に達する可能性がある。第一次世界大戦直後の英国の判断では、250万人程度が許容可能な人口量としている?

第一の疑問:
この聖地には何人が住めるのか?或いは、地球には何人が住めるのか?

第二の疑問:
人口を減らす事を世界中の人々に納得させる非暴力的な方法は存在するか?自分自身のコピーを作る事を制限する思想は不自然であるかもしれない。

第三の疑問:
人間の生活を維持するために必要な生態系の規模、生態学的過程は何か?

第四の疑問:
人口の減少を前提とした経済 = 成長に依存せずに繁栄する経済を如何にして設計するか?

第二章 はち切れそうな世界―さまざまな限界
地球温暖化等の問題。1分で2倍に増殖するバクテリアが存在すると仮定する。11時に1匹のバクテリアを瓶の中に入れ、12時に瓶が満杯になっているとする。瓶の半分までバクテリアが増えるのは11時59分である。

1815年に人類数が10億人程度に達するまで20万年が必要だった。1900年の地球の人口は約16億人である。21世紀の半ばには90億人~100億人になると予想される。2013年?では、凍結されていない地表の約40%が食料生産に使用されている。全ての人間が菜食主義者になれば、食料生産に必要な土地は1/4になる(1㎏の牛肉を生産する場合、1㎏の小麦を生産する場合の10倍の水が使用される)。

新しい技術の誕生を待ち望むより、既に存在している消費者数を抑制する技術を活用するべきではないか。

第三章 人員総数と食料のパラドックス―エーリックとボーローグ
技術進歩によって人口が増えた話。

ルイ・パルツール:
・狂犬病や炭疽病のワクチン
・低温殺菌法
・病原菌の知識の普及
⇒塩素溶液で手洗いする事で分娩時の死亡率が1/10になった。

ユストゥス・フォン・リービヒ:
・調整粉乳の開発
・窒素が植物に必須の栄養素である発見

ハーバー・ボッシュ法:
1913年に、フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュが発見。空気中の窒素を固定する肥料合成方法。

ノーマン・ボーローグ:
国際小麦・玉蜀黍改良センター(CIMMYT)の所長。病気に強く収穫の多い矮性小麦を開発した事でノーベル平和賞を授与される。小麦の収穫量は6倍になった。

ポール・エリック:
スタンフォード大学の生態学者。1968年に『人口爆発』を出版。人口問題を提起。

⇒ノーマン・ボーローグは、緑の革命(食料の増産)を達成したが、人口問題に関わる機関の役員としても活動した。小麦の増産率は、2010年頃には年間1%以下であり、人口増加率を下回っている。2020年までに年率1.6%で小麦の収穫量を増やさなければ人口の増加に追い付かない。不耕起栽培や小麦や稲のC4植物化等は対策になるか?

第四章 地球にとっての適正数
以下の方程式。

影響 = 人口 × 豊かさ × 技術

人口を制限する試みは、優生学との関連や宗教上の問題等もあり強く推奨出来ない?

1993年の地球の人口は約55億人。その当時は年間13テラワットのエネルギーが消費されていた。人口増加のペースが維持された場合、21世紀中に人口は140億人になりエネルギー消費量は8倍になる。

既に限界を迎えていると仮定すると、使用可能なエネルギー量は13テラワットよりも少ない。新技術の採用を仮定して、毎年6ワットのエネルギーが使用可能とすると、世界で生きられる人口の総量は20億人 = 1930年の地球の人口である。

第二部
第五章 島の世界―イギリス
英国において移民が増加した結果、イギリス国民党(BNP)という右翼政党が躍進した話?2013年時点の英国人口は約6300万人だが、2030年には約7000万人になる予測があり、増加分の2/3は移民である。

イスラム教徒の増加は過大評価されており、2011年時点では欧州人口の5%(約2000万人)がイスラム教徒だが、2025年までに8%まで増加するとされている。

国家予測局の統計では、英国の乳幼児の1/3が100歳を超える長寿となり、2035年には100歳以上の英国人口は8倍になる。2050年までには英国は西欧最大の人口を擁する国になる。

1993年世界適正人口会議を主催した適正人口トラスト(OPT)の主張では、英国の適正人口は1700万人~2700万人である。

第六章 教皇庁―ヴァチカンとイタリア
宗教的見解が人口抑制の障害となっている話?

19世紀に、教皇領が奪われ、教皇の権威低下が懸念される事態があった。1870年に、開催された第一ヴァチカン会議では、教皇は不可謬であるとされ、ローマ教皇の言葉は神の啓示とされた。

その結果、新教皇は前任者達の言葉に縛られる事となり、避妊、同性婚、女性の権利等に硬直した見解を示す事になる。

第七章 人間に包囲されたゴリラ―ウガンダ
人口増加によって野生動物が圧迫されている話。

2013年時点?でウガンダ人の1/3が、ウガンダ南西部の1/4の範囲であるブウィンディ周辺で暮らしている。住民の半分以上は15歳未満である。

この地域では、避妊が思想や経済上の理由から受容され難い。ウガンダのムセヴェニ大統領は、人口増加による国力増強を目論んでいる。

第八章 人間の長城―中国
2013年に習近平国家主席は、一人っ子政策の緩和の意向を示したが、法律上の例外規定により、現在でも35%の家庭では2人以上の出産が許容されている。

2013年時点の中国には、100万人以上の人口を擁する都市が150以上あるが、2025年には220になる見通し。2030年には国民の3/4が都市住民になると予想される。その頃には、人口は15億人弱となり、2100年までに10億人以下となる予想がある。

元来、共産主義では人口抑制は逸脱であった。人口は生産を増大させる労働資源と見る。しかし、大躍進政策の失敗後の1953年に中国の人口が6億人近いという調査結果が発表されると、人口抑制政策が採用される事になる。

東洋的思想と西洋的思想の対立?人口科学は自然科学と社会科学の交差点という見方。人間とは何か?人間は自然を支配する法則を超越出来るか?或いは、人間は自然の一部であり限界に服するのか?

1979年に四川省で開催された「人口理論に関する国内シンポジウム」にて、中国の最適人口は6億5000万人~7億人という調査結果が発表された。当時の中国の人口は9億人以上である。数学的計算によって、数十年に渡って一組の夫婦の子供を一人にしようという提案がなされる。

シンポジウムに参加していた鄧小平は、1980年に一人っ子政策を公認する。

第三部
第九章 海―フィリピン
以下は、フィリピンに関する記事へのリンク。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-1021.html

フィリピンの主要産業の一つが海外就労であるのは、人口増加率が高いからなのか(フィリピン国民の10%は常時海外で就労している)?人口が増加する理由はキリスト教的な思想がある?

1946年にフィリピン共和国が独立した時の人口は約1800万人である。2013年時点では約1億人となっている。フィリピンはアジア随一のカトリック国であり、コンドームの配布や避妊合法化が許容され難い。

カトリック教会が、家族計画情報の普及、貧困層への避妊用品の無料配布、中学生への性教育義務化を妨害し、2012年の「性と生殖に関する健康法案」の採決が困難だった話等。

第十章 底―ニジェール
女性一人が平均7人~8人を出産するニジェールの話。地球上で最高の出生率。ニジェールの人口は2013年時点で1660万人程度であり、食料危機が発生しているとしている。

イスラム教の思想が出産抑制を妨げている?

第一一章 崩れゆく世界―パキスタン
人口の増加が深刻な問題を引き起こす話。パキスタンでは政府の統制力が弱いため、人口問題に対処出来ない?

2013年時点のパキスタンの人口は1億8500万人程度であり、21世紀半ばには3億9500万人に達するという予測がある。パキスタンの失業率は二桁台で、子供の1/3は慢性的な栄養失調である。

女性の教育水準を上げる事が、人口抑制に繋がるとしている。

第一二章 アヤトラは与え、奪う―イラン
人口抑制に成功したイランの話。

1956年のイランの人口は約1890万人。平均出生率は7.7人。1979年当時のイランの人口は約3700万人であり、イラクとの戦争により、全ての女性は「ニ000万人のイラン軍」創設に協力すべしとされ、女性の法的結婚可能年齢が18歳から13歳に変更され、1986年のイラン人口は約5000万人になった。

1988年にイラクとの停戦が成立すると、人口過剰が深刻な問題を引き起こすとされ、国家的家族計画プログラムが遂行される事になる。

避妊手段の無料配布。宗教的指導者による独自のファトワー(精管切除術や卵管結紮術の許可)。etc。

女性の教育も普及し、1975年時点でのイラン女性の識字率は1/3程度だったが、2012年時点での26歳以下のイラン女性の識字率は約96%である。女性の社会進出が盛んになり、花嫁の平均年齢は22歳になった。

2000年にはイランの合計特殊出生率は2.1人になり(中国より1年早い)、2012年には1.7人になった。

イランは、2032年には人口が減少する高齢化社会に直面するとされ、政府はイランの人口を1億5000万人~2億人に増やす新目標を提案している。

第四部
第一三章 縮小と繁栄―日本
人口が減少しつつある日本。

介護支援ロボット Riba-Ⅱ。国立政策研究大学院大学 松谷明彦教授の人口減少を許容する経済理論。田舎に回帰する人々。自然資本の有効活用等。

第一四章 明日―ネパールとインド
人口増加の副作用等。

1968年に、インドで緑の革命による新品種の小麦が収穫された。1ヘクタールあたりの収穫量は米1トン、小麦1.2トンだったのが、米4トン、小麦4.5トンになった。新品種には大量の水が必要とされ、水不足が発生するようになっている。

物質主義が人間を不幸にするという思想。インドのムンバイは、インドの税収の40%を生み出し、多くの雇用を作り出す。

20世紀の貧困層は農民だったが、21世紀の貧困層は都市居住者となっている。貧困層が大量のエネルギーを消費し、都市の拡大が環境上の問題を発生させている。

第一五章 安全なセックス―タイ
タイで行われた人口抑制プログラムの話。

多産を恥だと思わせるより、避妊手段を選択可能にする事が効果的であったとしている。タイの出生率は、1975年の7.5人から、2000年代には1.5人にまで低下している。

この章でも、女性への教育が重視されていると感じた。

第五部
第一六章 地球という公園―バランスを保つために
人間の介入は許容されるのか?

米国アリゾナ州カイバブ高原ミュールジカの話:
1906年にグランドキャニオン国立鳥獣保護区が設立された。4000頭の鹿が生息しているとされ、鹿を捕食する肉食動物は駆除された。

その結果、1922年までに5万頭~10万頭の鹿が大量発生する事になる。

現在では、捕食動物の導入と管理された狩猟によって鹿の数は制御されている。特定動物の好む植物を植える、餌を与える、人口的施肥、特定植物の排除等、自然公園は人間によって管理されている。

現在の自然界は、グローバル化によって伝染病が容易く拡散するようになった結果、古来とは異なる。自然の未来は、人間が圧倒的に優位に立つ事によって計画出来るが、人間自身を管理する事は出来ない?

水不足が懸念されている。2025年までに約30億人が水に不自由するとしている。

第一七章 人類が減った世界―われわれの行方
グットマッカー研究所と国連人口基金の調査では、2012年時点で、発展途上国の女性(性交渉はあるが、二年間は妊娠しないようにしている)の75%が避妊の手段を利用している。

それにより、年間2億1800万件の予定外の妊娠が予防され、1億3800万件の中絶、2500万件の流産、11万8000人の母親の死亡が回避されたとしている。

ミネソタ大学環境研究所 ジョナサン・フォーリーの研究。地球と大気に高等数学を応用。世界中の情報を網羅し、食料生産に活用する。InVESTという無料プログラムにより、食料生産を効率化する。

人間の存在が蓄積された結果、様々な問題が発ししている。

①気候変動
大気中の二酸化炭素濃度が350ppmを上回ると問題が発生するとされるが、2009年当時の二酸化炭素濃度は387ppmである。
②窒素
ハーバー・ボッシュ法によって大気から搾り取られる窒素の限界は年間3500万トンと算出しているが、2013年?時点では年間1億2100万トンである。年間1100万トンのリンが海への流出の限界量とされるが、既に850万トン~950万トンのリン酸塩が世界中の大河に酸欠域を作っている。
③生物多様性の喪失
産業革命以前、1年に絶滅する種は100万種につき0.1~1種だった。許容可能限界量は10種としている。現状は100万種につき少なくとも100種が絶滅している。

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