脳の個性を才能に変える

読んだ本の感想。

トーマス・アームストロング著。
2013(平成25)年6月25日 第1冊発行。



1章 脳の多様性
病気本位の考え方でなく、多様性を重視する必要性について。

以下は、多様性の原則。

①人間の脳は機械でなく生態系に似ている
 人間の脳を機械のように標準化する事は出来ない。
 脳は複雑に組織されており、状況の変化に応じて変化する
②人間も人間の脳も、能力の連続体のどこかに位置する
 特定の診断名を持つ人間が、他者と異なる訳ではない
③人間の能力は所属する文化の価値観で決まる
④障害があると見られるか、才能に恵まれていると見られるかは、
 生まれた場所と時代で決まる
⑤人生で成功する鍵は、周りの世界のニーズに
 脳を適応させる事
⑥人生で成功するには、個性的な脳のニーズに合わせて
 周りの世界を修正する事も必要(ニッチ作り)
⑦ニッチ作りには、個性的な脳を持つ人特有のニーズに合う
 職業や生き方の選択、支援ツール、支援者等、
 人生を豊かにする手立ても必要
⑧積極的なニッチ作りは脳に直接働き掛け、
 周囲に適応する能力を高める

2章 活発な脳―ADHD
ADHDは全体の3%~5%の子供に当て嵌まり、その内の60%は成人してもADHDを持つとされる。症状は、以下の3点。

①多動(落ち着きが無い)
②衝動的
③注意散漫(忘れ物が多い、日常作業が困難)

前頭葉(計画と抑制を司る)と大脳基底核(情動を司る)や小脳(運動を司る)との連携に問題があり、情動や運動を抑制困難であるらしい。前頭葉の実行機能に問題があると、計画や注意の集中が困難になる。

ADHDの子供は、脳内の前頭葉、大脳基底核、小脳が通常よりも3%~4%小さい傾向がある。

脳に欠陥があるのでなく、成長が遅い可能性があり、ADHDの子供の脳の成長は通常の子供より3年遅れているとする研究がある。

狩猟民等の文化や、創造性を発揮する事においては、ADHDは素晴らしい特性と言えるかもしれない。ADHDの子供を扱う場合には、運動等を通じて脳に刺激を与え、成人のADHD者には体を動かす事や、新奇性、強い刺激、実践活動が伴う職業に就く事が推奨される。

3章 システム化する脳―自閉症
以下は、自閉症者がYoutubeに投稿したビデオ?この動画で合っているかな?



自閉症者の脳では、前頭葉、大脳辺縁系、小脳等で以上が観察され、自閉症の子供の30%から50%で神経伝達物質のセロトニンのレベルが高い。

以下は、自閉症者の強味?

①システム化
自閉症者は、情報を入力し、出力する「システム化」する能力に優れている?システムでは、入力された情報によって出力される情報を予測可能。一方で、人間的な共感は予測出来ない。自閉症者は、不確実な要素の多い予測をする事が困難。

②局所分析
細部を見る能力があるとされる。ウェクスラー児童用知能検査の積木を動かして模様を組み立てるテストでは、通常の人間よりも高い能力を取る傾向がある。

複雑な図の中から特定の形や色を見つける絵画完成テストでの高い点数。絶対音感を持つ人間もおり、複雑な和音を構成する音を拾い出せる人もいる。

⇒僕の絵画完成テストの点数は低かった。

こうした細部への集中は、全体的な理解を妨げる側面もある。

③視空間認知能力
映像で思考する能力。

自閉症者への療法は以下の通り?

①応用行動分析(ABA)
修正すべき特定の行動を、報酬を使用して修正する。ネガティブな行動は無視する事で消去する。

②フロアタイム
他者との関わりが自然に生まれる状況を作り出し、情緒的に人と触れ合えるようにする。対象が喜ぶ感覚刺激を観察し、一日に15分~20分を数回行う。

4章 学び方のちがう人―ディスレクシア
ディスレクシア者が、読む課題を実施している時に脳スキャンを行うと、以下の左脳後部二カ所が活性化されていない事が観測された。

①左脳の頭頂側頭部
 単語を分析する部位。単語と目に見える文字を結び付け、
 文字の音を組み合わせて単語にする。
⇒ディスレクシア者の場合、音素の識別に問題がある場合がある。

②左脳の後頭側頭部
語形を認識する部位。単語の全体を処理する。

ディスレクシア者は、上記①、②よりもブローカ野(話し言葉を司る)が活発化する。文章を黙読しているようなものであり、作業に時間がかかる。

ディスレクシア者の脳波、通常の人間よりも右脳が大きく、全体的な認識や視空間能力に優位性を持っている可能性がある。こうした特性は、ソフトウェア設計や画像技術等に活かされる可能性がある。

また、米国の事業主139人へのアンケートでは、35%が自らをディスレクシアであると考えていた。企業の管理職では1%である。視空間能力は、明確なビジョンを持つ事に活かされるのかもしれない。

5章 うつの贈り物―気分障害
鬱や双極性障害等は、大脳辺縁系(情動を司る)と大脳新皮質(思考を司る)の調節が上手くいかない事が原因であるとされる。

仏教徒が絶望や虚無感を人生哲学の一部とするように、気分障害も文化によっては評価される事があるのかもしれない。20世紀の著名人1000人に行った調査では、生涯に深刻な鬱を発症した人は、詩人(77%)、作家(54%)、視覚芸術家(50%)、作曲家(46%)、スポーツ選手(16%)、軍事指導者(5%)、探検家(0%)であるらしい。

6章 モチベーションの源―不安障害
不安障害のある米国人は、4000万人以上とされる。

不安は、脳内の扁桃体から危険への警報として生じる。扁桃体が活性化し易いと不安も生じ易い。

不安は、動機付けや創造性とも結び付いており、否定すべき特性ではないかもしれない。不安を制御するために、生理現象を測定するバイオフィードバック装置や、瞑想法の活用等が行われている。

瞑想:
楽な姿勢で座り、20分~30分、呼吸に注意を向け、現在に止まる。心に浮かぶ事柄があれば、浮かんだ事柄に名前を付け、呼吸に意識を戻す。自分の経験から距離を置く事を目指す?

7章 虹色の知性―知的発達の遅れ
知的発達に遅れがある人は、米国の人口の1%(250万人)程度とされる。
知能は、以下のように定義可能?
 ・基本的な認識の要素
 ・記号で表現出来る(文字や音符等)
 ・特有の到達状態がある
 ・全ての文化で高く評価される
 ・動物界でも見られる(鳥の囀り、蜂の空間認知等)
 ・先史時代にも見られる

知能には、幾つかの形式があり、その評価は文化によっても異なるため困難である。

8章 べつのキーで考える―統合失調症
統合失調症は、100人に1人が発症し、男性では10代後半~20代初め、女性では20代、30代に発症する傾向がある。

異常な思考、知覚、幻影、妄想、思考障害等が症状である。日常生活での計画や喜びを感じる能力、注意や記憶に支障が生じる。

脳に関する問題は解明されていないが、脳の灰白質が頭頂葉から徐々に減少し、側頭葉から前頭葉に達する。籠細胞(興奮を抑制する作用がある)の減少が著しいらしい。

認知困難を伴う統合失調症では、白質(ニューロンの軸策を囲み、情報処理を迅速にする)も減少する。

軽度の統合失調症である統合型人格障害の人間は、高度な創造能力を持つ場合がある。統合失調症は遺伝し易く、当事者の一親等(親、兄弟姉妹、子)が発症する可能性は10倍高い。

アインシュタイン、ジェイムズ・ジョイワトソン(DNAの二重螺旋構造の発見者)、ジェイムズ・ジョイス(作家)の子供は統合失調症である。統合失調症を発症させる遺伝子は、創造性と結び付いている可能性がある。

アイスランドで行われた調査では、数学でクラス最高得点を取る人や創造性のある人の方が、精神疾患の経験がある一親等を持つ確率が高かった。

統合失調症は脂肪を摂取しない生活によって発症する可能性があり、オメガ3脂肪酸のサプリメントによって症状が改善されるかもしれない。しかし、実行能力の損なわれていない統合失調症は、創造能力と関連している可能性があり、一概には否定出来ない?

9章 脳の多様性に満ちた教室
欠陥に着目するのでなく、才能に着目する教育の必要性について。問題のある子供を特別支援教育によって隔離する事には問題があるのではないか?

標準的な学力試験による学習到達度によって評価される通常教育の問題点。教育は、試験を受ける機械を養成する手段になっていないだろうか?

インクルーシブ教育:
障害者も健常者も、通常学級で学ぶ中で多様なニーズに応じた教育を目指す。

インクルーシブ教育においては、画一的な教授方法は行わない。生徒個人毎の多様性を考慮し、各人の才能を伸ばす事を目指す。自分よりも劣っている人間に慈悲を施すとする道徳的な快感に従った行動は良くない。

10章 脳の多様性の未来
適材適所が実現する未来を実現する意欲について?

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