問題上司

読んだ本の感想。

ハーヴィー・ホーンスタイン著。発行―2000年11月15日。



第一章 良い人も追いつめられると《問題上司》になる
問題のある上司は、突然生まれた異質な人間ではない。人間は本質的に利己的であり、誰もが悪になる可能性がある。

著者が考える問題上司が増加したと思う理由。③の求められる資質の変化が面白い。

①成果主義
上司自身がリストラされる可能性があり、また、部下を解雇しなくてはならない場合がある。弱者を虐待する事で、自信を持つ事が出来るし、解雇される人間は駄目な人間であると思えば自己正当化が出来る。

②職階と自己価値の同一視
組織の上部に位置する自分は特権階級であり、下位の人間に威張る事は当然であるという感覚。

③求められる資質の変化
組織内での管理職に求められる役割が変化している。

【今までの管理職】
自分の地位が組織内で保障され、安定している。会社の決めた細かい規則や役割分担によって、権力構造が固定されている。自分の意思決定をトップダウンで部下に伝え、部下は指示通りに行動する。

【これからの管理職】
秩序よりも成果を重要視するために、上司と部下の人間関係や臨機応変に変化する。部下と権限を共有し、協力体制を築き上げ、互いの情報をフィードバックしながら仕事をする。部下の能力を引き出す事や、部下が自主的に仕事をするように方向付けをする能力が求められるようになる。

部下は、「自分より下位の者」でなく「チームの一員」になり、権力で仕事をさせるのでなく、目標達成のための指導や環境作りをしなくてはならない。

環境変化に対応出来ない事が、問題上司の原因となっているのではないか?

<シェルビー・ダイ・カスティング・カンパニーの事例>
1991年に組織変更を行い、監督者の下でのチーム制にした。社員はチーム毎に編成され、グループによる問題解決を行う。チームのメンバーにも一定の権限を与え、自主的に判断し、発現出来る体制にした。
チームがスタートすると、監督者とメンバーの対立が頻発し、組織が機能しなくなった。

⇒監督者を無くし、メンバーだけで仕事をさせるようにした結果、
 生産性が50%増加した。

<ボッシュ・ロムのサングラス工場の事例>
1989年に、1400人の従業員を38の自己管理班に分ける組織変更を行う。班毎のマネージャーにチームリーダーとしての訓練を受けさせたが、3年後には半数のチームリーダーが失格していた。

⇒古い体制では優秀だったマネージャーが
 新しい体制では無能になる。

***********

権威主義的な縦型組織で培われたビジネス感覚では、上司とは「命令する存在」であり、部下とは「従う存在」である。今までのビジネス感覚が社会変化に対応出来ていないのではないか?

第二章 タフで厳しい上司と《いじめ上司》はどこが違う
会社組織において、生産性を向上させるためには、上司が部下を管理する事が必要である。そのために上司には権限が与えられる。しかし、問題上司は、自らの権限が人間個人としての己に託された権利と錯覚する。

問題上司は、部下を感情的に罵るだけで、目標が未達となった理由や解決策を考えない。

第三章 部下をダメにする「三つのタイプ」
仕事のストレス等の外的要因によってではなく、本人の性格によって部下を虐待する三つのタイプ。自分の権力を虐待によって確認しようとする。

①征服者タイプ
権力と支配力を欲する。社内の透明度を減らし、情報公開を避け、部下の自分に対する依存度を高める。部下同士が敵対関係になるよう仕向ける習性がある。

②完璧者タイプ
有能な自己像を維持したがる。部下に極度に高い能力や目標達成を求める。自分の責任を部下のせいにして責任逃れをする。権力で捩じ伏せるような攻撃方法。部下の評価を下げる事で、相対的な自己評価を高めようとする。抵抗出来ない弱者を側に置く習性がある。

③策略家タイプ
周囲から評価されたい。自分の姿勢を曖昧にしておき、勝者側に立とうとする。他人の評判を悪化させる事で、自分の評判を高めようとする。他人を励ます振りをして、知り得た情報を後日、自己保身のために利用する事がある。

策略家タイプは、少しの非難(会議に遅れた、代案を提案された、etc)にも敏感である。部下が、完全な称賛を与えない事に罰を加える。
こうした特徴は、内面に潜む自身の欠如に起因しており、自分の行動へのフィードバックが気になって仕方がない。そのため、意見や課題を明確に述べず、争点の中心を避ける。そして結果が出ると、成功を自分の手柄にしようとする。

第四章 成果主義時代と「部下の自尊心」
人間的価値を否定されると、自尊心が低下する。自尊心を無くした社員は、仕事へのモチベーションを失う。自尊心の低い人間は、逆境に対処する気力に欠け、前向きな行動を選択する事が少ない。社会的圧力に弱くなり、同調し易くなる。

第五章 社内監視システムは生産性向上を実現するか
社員を監視する場合、明確化するべき。摘発や懲罰を正当化する手段となっている場合、悪影響がある。監視は、上司が部下を人間として見ていない事を明確に伝える。

監視システムを有効にする「4つの指針」。

①部下に監視スイッチを押させる
1993年の心理学専門誌「応用社会心理学」に掲載された実験。女子大学生72人を、「監視有り」と「監視無し」の状態に分けて作業させる。「監視有り」の状態で作業した学生の生産効率は際立って劣った。しかし、学生に、監視時間や監視対象についての決定権を与えると、生産性が40%増加した。

②個人ではなくグループを対象にする
個人を標的にすると、行動の一つ一つを監視し、失敗を探し出して吊るし上げるための証拠作りに利用される可能性が高い。監視対象が、そのように思うと正確な情報収集が不可能になる。
グループを対象にすれば、仕事の効率向上に寄与する情報収集として機能し易くなる。

③収集した情報を上司ではなく、同僚に活用させる
生産性向上が目的であると納得させれば、監視システムが受容される。監視対象自身が、自らの技能向上のために、収集した情報を鏡として活用出来るようにする。

④社員自身の成長のために利用する
上記③と表裏をなす。自らの長所や改善点を探る道具とする。

監視システムを導入する場合、計測すべき情報の意味を考えるべき。無意味な情報を収集してはいけない。生産性向上のために活用可能な情報を見つけ出す。

第六章 「会社のため」は職権乱用に通ず
問題上司を汚れ役として、擁護する同僚達の問題。「会社のため」ではなく、会社の権力構造を守ろうとする意識が強い事がある。

第七章 対《問題上司》サバイバル技法
社内の虐待を防止する指針は、以下の3つ。

①被害者を変える
 ・問題上司との接触を避ける。
   上司の活動を観察し、一日の内で気難しい時間帯を調べ、
   どのような特徴が現れた時に虐待するか記録する。
   その上で、機嫌の良い時間帯に接触するようにする。
 ・社会的支援
   同僚やカウンセラー等の支援者を見つける。
 ・保護者を見つける
   社内の人事スタッフ等に相談する。
 ・自己内省する
   自分の内面を客観的に見つめる事で、苦しんでいる自分と
   内省している自分の間に防御壁を作る。 
②加害者を変える
 ・上司に話す
   本人と話しあう。
 ・上司をトレーニングする
   対人能力を向上させるトレーニングに参加させる。 
 ・上司の評価システムを変える
   360度評価等。
③構造改革
トップダウンによる決定、上司から部下への一方的な意志疎通が問題であると考える。上司が、仕事を狭い範囲で分割して部下にやらせ、出来る限り部下を監視し、自主性を無くして部下を拘束し、発言権を奪う体制に問題がある。

職階や序列意識を無くす。

*****************
 
重圧があると、強制と統制を望む気風が生まれる。経済不況によって、多くの企業が権威主義的な管理主義に陥っている。

以下の対処方法。

1.日常的虐めに気付き、確認する
  嘘、拘束、強迫、自己本位、不公平、残酷な行為、配慮の無さ、
  奴隷扱い。
2、虐めの型と上司の心理を考える
3、自分の個人情報を守る
4、周囲と協力する
5、上司に非がある事を確認する
6、《問題上司》を反面教師にする

人気ブログランキングへ
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ABCDEFG

Author:ABCDEFG
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード