短期間で組織が変わる行動マネジメント

読んだ本の感想。

石田淳著。2007年9月28日 第1刷発行。



第1章 行動分析とは何か
行動分析学:
1950年代の米国で心理学者B.F.スキナー(1904年~1990年)が興した急進行動分析学に基づく。徹底的行動主義という、抽象的概念を排した考え方をする。
特徴は以下の通り。

①行動自体を研究する(脳や心は研究しない)
②行動の原因を過去と現在に求める
③分析に用いる原理を出来るだけ単純にする
④自己申告よりも外部からの観察を重要視する

多くの評価では「結果」のみに焦点を当てて、「過程」に注目しない。行動を評価しなければ、プレイヤーの行動自発率は低下する。「結果」と「行動」の両方を評価する事が大切である。

行動分析では、望ましい行動をした人間に、即時にリインフォース(強化)を実施する。褒める行為はリインフォースの一つであり、行動を繰り返させるために行う。リインフォースは、信頼関係が醸成されていなければ機能しない。

成果を客観的な基準で評価しようとするパフォーマンス評価には、以下の欠点がある。

①公平性、客観性が上司に一任される
評価が上司の資質に一任される。恣意的な判断が介入する余地がある。
②効果が継続しない
評価の回数が年1回~4回と少ない場合、毎日の行動に目を向ける事が出来ない。

第2章 すべてのビジネスは行動の集積である
結果を変えるには行動を変えるしかない。部下の行動を変える場合、叱咤激励するのでなく、行動を分解し、プロセスの問題点や苦手な行動を見つける。それを改善する事を考える。

しかし、細かく管理するマイクロマネジメントは逆効果である。

部下が仕事が出来ないのは、以下の理由があるからだと考える。

①仕事のやり方を分かっていない
②仕事のやり方を分かっているが継続出来ない

行動分析では、最初に仕事が出来る部下の行動を観察し、ポイントとなる行動を見つける。行動を細かく分解し、チェックリストを作成する。作成したチェックリストに基づいて、仕事が出来ない人間に仕事の方法論を教える。

チェックリストに取り上げる行動の上限は5個までとする。それ以上だと対応出来ない。

具体的には、以下の4段階で作成する。

第1段階:
業務の一連の流れを書き出す。全体を5個~6個に分解する。

第2段階:
パフォーマンスマップを作る。第1段階で分解した中から1個を取り出し、業務を細かく分解していく。

第3段階:
プロセスシートを作る。分解した行動をポストイットに書き出し、時系列に並べる。つまずきそうな個所は、さらに細かく分解し、具体的な言葉で書き出す。

第4段階:
テーマシートを作る。作業者の意識の方向や、タイミング、考える事等を記載する。

<具体的に書く>
「具体的に書く」とは、第三者によって計測出来るよう的確に伝える事である。

×タオルで拭く
○タオルで拭き、水分をとる

⇒このように書かないと、ざっと拭いただけで終わりにするかもしれない。管理者は、作業者が怠けていると感じるかもしれないが、指示が具体的でないために発生する問題である。

⇒仕事の目的を伝える事。

チェックシートは、重要な行動に焦点を合わせたものであり、マニュアルのように量が多くなってはいけない。目標達成に必要な行動を5個見つける事を目標とする。

MORSの法則:

具体性の法則。以下の4つの条件から成り立つ。

・Measured(計測可能)
  数値化されている。
・Observable(観察可能)
  特定の行動をしているか確認可能。
・Reliable(信頼出来る)
  別の人間でも同じ行動をする事が出来る。
・Specific(明確化されている)
  誰が何をどうするかが分かる。

「売上を増やす」という言葉では、MORSの法則を満たしていない。「一年間で○○の注文を××件取る」とする。

第3章 行動を決める「リインフォース」
部下の自発的な意欲を高める方法。

行動を増やす手順をリインフォース(強化)と呼ぶ。以下は、行動を変化させるための手段。

①積極的なリインフォース
 承認やプレゼントを与える事で行動を増やす。
②消極的なリインフォース
 取り除く事で行動を増やす。危険からの回避等。
③罰
 罪等を与える事で行動を減らす。
④ペナルティ
 何かを奪う事で行動を減らす。
⑤行動の消去
 行動を無視する。

上記①の行動を増やす効果は、上記②の2倍以上であるらしい。罰やペナルティは、短時間で行動を減らすが、行動の消去(無視)が行動を減らすのは時間がかかる。

PIP分析:
パフォーマンスの改善ポテンシャル。
以下の式で計算する。

PIP = 熟練者の成績 / 平均的作業者の成績

⇒熟練者の成績が平均的作業者の2倍である場合、
 全体のパフォーマンスを2倍に出来る可能性がある。

以下は、リインフォースの特徴。

①リインフォースは、必ず行動の後に与える
②リンフォースしたのに、行動頻度が増加しない場合、
 選択したリインフォース因子が誤っている。
 (相手の欲求を誤って理解している可能性)
③リンフォース因子は変化する。
 時と場所によって喜ぶ事は変わる。
④リインフォース因子は、回数が多過ぎると効果が薄くなる。

罰やペナルティを気付かない内に与えている可能性に注意すべき。例えば、仕事を終わらせる部下に次々と仕事を与えると、仕事の完了が罰になってしまい、作業効率が悪化するかもしれない。

第4章 人が動く理由―ABCモデル
ABCモデル:
人間の行動原理を説明する。以下の3要素からなる。

・先行条件(Antecedent)
  行動の切っ掛けとなる目的、行動の直前の環境等。
・行動(Behavior)
  行為、発言、振る舞い。
・結果(Consequence)
  行動によって発生した環境変化。

先行条件は、結果に影響される。例えば、「菓子を勧められた」という選考条件が「菓子を食べる」という行動を生み、「美味だった」という結果を齎す。この結果が選考条件に影響し、「他の菓子を勧めて貰う」という繰り返しに至る。

多くの管理者は、先行条件しか考えない。目標や数値という先行条件を設定しても、結果を示さなくては行動に結び付かない。行動の結果、どのような望ましい結果が齎されるかを示し、学習させる必要がある。

それはセルフマネジメントについても言える。ダイエットについて以下のように考える。

先行条件:疲れている
行動  :二時間の有酸素運動をする
結果1 :さらに疲れる
結果2 :体重が減る

⇒結果1の疲れるは、罰として作用する。
 結果2のポジティブなリインフォースと拮抗するため、
 行動が継続出来ない。
⇒行動を支援するリインフォース因子を用意する必要がある。

部下の育成についても、小さな目標を幾つか設定し、達成感を細かく味あわせる必要がある。

P135~P138に迷惑社員に対しての対処方法が記載されている。

迷惑な社員に対しては、無視するのでなく、その行動は問題であると言う。ポジティブな発言が出た場合はリインフォースする。

<具体例>
文句を言って来る。社員がいる。素直に反応して問題を解決すると、直ぐに別の問題を見つけ出して不満を口にする。まともに相手になった事で「不満を訴える」という行動がリインフォースされてしまった。
解決策は、不満を言おうと待ち伏せされた婉曲に回避する事。そして問題社員が仕事をしている時だけ席を訪れ、話を聞く。以前と同じ不満を口にしたら、怒らせないようにその場を離れる。

第5章 人が動く条件―PST分析
PST分析法:
望ましい行動をさせる結果、結果には本当に効果があるか、自発的に行動を繰り返させる効果的な結果を調査するための考え方。

以下の座標軸を柱にしている。

①タイプ
 結果が、積極的リインフォス(Pojitive)か
 消極的リインフォース(Negative)か
②タイミング
 結果が、即時(Sokuji)に生じるか後(Ato)で生じるか
③可能性
 結果が、確実(Tashika)か不確実(Fukakujitsu)か

上記から考えると、最も行動が継続し易いのは、PST(積極的リインフォース、即時、確実)であり、次がNST(消極的リンフォース、即時、確実)である。

結果が出るまでに時間が必要であったり、不確実性がある場合は、行動が継続し難い。

禁煙が困難なのは、煙草を吸わない事によるリターンが即時に発生しない事と、長生きする等の利点に不確実性があるためだと考える。

第6章 明日からパフォーマンスが上がる5つのステップ
結果を出すための5つのステップ。

①ピンポイント
望んでいる行動に直結する行動。戦略上の目標から、望ましい結果を考え、そうした結果を齎す行動を観察によって調べる。社員の行動を2日~3日ほど観察する?

②メジャーメント
行動の数を調べる。
 ・測定
   実際に行動が起きたか測定する。
 ・判断
   顧客満足度のように測定出来ない事を判断する。

順位付けはせず、競争心を植え付けないようにする。作業者達を効果的に管理するには、継続的なパフォーマンスの情報収集が必要である。罰則と結び付くと、測定が上手くいかない。リインフォースによって誤解を解く。

③フィードバック
パフォーマンスを調整するための情報を本人にフィードバックする。フィードバックの方法は、以下の3種類がある。
 ・言葉で伝える
 ・態度で示す
 ・グラフ化して随時提供する

④リインフォース
フィードバックだけでは、自発的意欲は維持出来ない。望ましい行動には、即時にリインフォースして行動を継続させる。重要な事は、本人が望む行動をする事である。効果的なリインフォースを与えているつもりでも、望ましい行動が増えない場合、リインフォース因子が間違っている可能性がある。

⑤評価
・連続リインフォース
  継続して褒め続ける。
・分化リインフォース
  たまに褒める。

行動が継続するようになった場合、上記の分化リインフォースに移行しても大丈夫。

上記の5ステップをダイエットで例えると以下のようになる。

・ピンポイント
  一日に3キロ走る。
・メジャーメント
  一日に3キロ走る行動を一週間継続し、体重が減るか計測する。
・メジャーメント
  測定結果をグラフにする。
・リインフォース
  一週間継続出来たら好きな物を買う。
・評価
  どれだけ体重が減ったか検証する。

**************

P223~P224に発達障害関連の記述。

米国のモーニングサイド・アカデミー。1980年代に設立された私立校。学習障害や注意欠陥障害の小中学生のみを受け入れる。行動科学マネジメントのメッソドを用いて、一学年のうちに最低でも二学年分の学力をつけさせるのがモットー。出来なかった場合は、授業料を全額返還する。

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