Bitcoinゴールドラッシュの勝者は誰か?

日経ビジネスで、ビットコインに関する面白い記事を見つけた。

『ビットコイン~仮想貨幣のリアル』の「Bitcoinゴールドラッシュの勝者は誰か? 取引手数料から考えるBitcoinの信用創造と崩壊シナリオ」から適当に書き写し。

【ビットコインの手数料について】
ビットコインの手数料は以下のようになっている。

①0.01BTC(2014年3月時点で約600円?)以下の少額取引
0.0001BTC(2014年3月時点で約6円?) の手数料が必要。5倍の手数料(0.0005BTC?)を支払って処理の優先順位を上げる事が出来る。 

②上記①以上の高額取引
以下の計算式で算出した取引データ量に応じた手数料が徴収される。

 取引データ量(バイト) = 148×入力数 + 34×出力数 + 10バイト

入力数 = 支払いに使用するビットコインの枚数
出力数 = 通常は2(送金先の数と釣銭)。
     一度に複数のアドレスに送金する場合、
     送金先の数+1(釣銭)となる

1000バイト~1万バイトまでの送金手数料は無料。それ以上の取引データ量では、1000バイト毎に0.0001BTCが必要になる(1000バイト未満の場合、送金手数料はどうなるんだろう?)。

同じ金額を送金する場合でも、ビットコインの枚数が多い場合、手数料が割増になる。2014年3月現在では、数百万円程度の送金であれば無料で送金出来る場合が多いらしい。

ビットコインは、数百万円の国際送金を安い価格と短い時間で実現出来る。クレジットカードでは難しい数百万円から数億円の決済も可能。ビットコインは国際決済のルールを変える可能性がある。

【ビットコインの取引処理】 
ビットコイン取引の処理は「採掘者」によって行われる。Bitcoinの実態はP2Pで共有された取引履歴の束である。10分おきにビットコインの取引履歴の束の正当性を確認する作業を「採掘」と呼ぶ。

採掘者は、取引履歴の束に対して約10分おきに正当性を保証する値を探している。見つけると25BTC(2014年3月現在の数字。4年おきに半減する)と処理したブロックチェーン上の取引手数料を獲得出来る。

採掘者の取引手数料収入は2013年9月に300BTC/日に達した事もあるが、2014年3月現在は十数BTC/日に落ち込んでいる。
十数BTC/日は、1日に生成されるビットコイン約3600BTC (25BTC×6 (1時間に発掘される回数) ×24時間) と比べて少ない。採掘者への報酬の大半はビットコインの信用創造によって賄われており、利用者の負担する取引手数料は採掘報酬の1%未満に過ぎない。取引手数料の存在意味は、無駄な取引を抑制する事にある。

採掘者の収入を取引数で割り戻すと、2013年10月まで1取引当たり約数ドルの採掘報酬があった。2013年末に瞬間的に1取引当たり90ドル近くに達し、2014年3月現在では40ドル弱の水準で推移している。

ビットコインは、利用者に対して無料~数十円の手数料で送金サービスを提供し、正当性を確認する採掘者に対して1取引当たり数千円の報酬を支払っている事になる。差し引きの赤字は2013年10月まで数十万USD/日で推移していたが、2013年12月には500万USD/日となっている。赤字を埋め合わせているのが3600BTC/日のベースマネー供給である。ビットコイン価格が高騰するほど、ネットワークの赤字幅は拡大する。

【貨幣発行益について】
現代の日本では硬貨の額面と製造原価の差額が政府の貨幣発行益となっている。銀行券(紙幣)は中央銀行の負債としてバランスシートに載るため、貨幣発行益は銀行券の対価として買い入れた国債等から得られる利息等に限定される。

ビットコインには発行主体がなく、払い戻しを約束していないため、発行されたビットコインは負債として計上されない。従って貨幣発行益は採掘者の懐に入り、決済費用を賄っている。運営主体を持たないビットコインの仕組みが、中央銀行であれば「負債」として発行者のバランスシートに計上すべき通貨発行益を簿外に出す「飛ばし」を可能にしている。

ビットコインは払い戻しを約束していないため、民法上の「負債」ではないという考え方もある。ビットコイン採掘の仕組みは、金の採掘に例えられるが、ビットコインの場合、採掘者達がビットコインの採掘を行わなくなり、取引が滞った途端、ビットコインは価値を失う。ビットコインには黄金のような実体が無いため、採掘による認証作業継続が価値の根源となる。

【ビットコインの受益者】
ビットコインの値上がり益を享受しているのは、古くからビットコインを保有していた人間達である。Voice of Russia(ロシア国営テレビ系列の海外向けニュースサイト)は2013年12月にビットコインの開発者であるナカモトサトシ氏の保有するビットコインの時価総額が1000億円を超えたと報じている。

掲示板Bitcoin Talkへの投稿によると2014年1月27日の段階で、1万BTC以上を保有する者は46人であり、それは全ビットコイン流通量の約3割になるらしい。

表に人数と保有額と合計保有量のが記載されていた。
人数(人)保有額(BTC)合計保有量(BTC)
4610k以上3.6M
8201k-10k2.4M
1万100-1k    2.8M
6.8万10-100     2.0M
25万1-10      0.8M
55万 0.1-10.2M
69万0.01-0.10.0M
43万0.001-0.01 0.0M

ビットコインの価格が値上がりする事でキャピタルゲインが発生する事は株式の上場に似ている。ビットコインには株式のような事業実態や議決権等の裏付けがなく、需給によってのみ価値が変動する。貨幣供給量はアルゴリズムで決定され、貨幣需要に応じて調整されないため、貨幣需要が増えている間は価格が上昇する。

現在、ビットコインの価値は不安定で受け取る相手が限られるため、価値指標性は無い。決済手段としての補助貨幣であり、額面を分割出来るので、貨幣発行量を固定してもデフレにならず、貨幣価値の騰落によって貨幣需要に応じた流通時価総額が形成される。

数百万円の国際決済を無料で行えるビットコインには、安定した貨幣需要があるので、MtGOXが破綻したにも関わらず、価値が崩壊しなかったと推定される。

【採掘事業の継続性】
ビットコインの未来を左右するのは採掘事業の継続性だ。採掘事業への参入者が増えてネットワーク上の計算能力総量が増えると採掘の難易度は上がる。

ビットコインの取引履歴に対する認証にはSHA-256と呼ばれる米国NISTで国際標準化されたハッシュ関数が使用される。採掘者の計算能力はSHA-256ハッシュ計算の実行回数で計測される。ビットコイン全体でみると2013年5月の段階で約100THash/秒(毎秒100兆回)だったが、2014年2月には約350倍の35PHash/秒(毎秒3.5京回)に達している。

採掘用ASICの技術革新により、設備投資を続けない採掘者は競争に負ける。競争によってビットコインネットワークの計算能力は10カ月で約350倍になり、1取引当たりの採掘報酬は一時90ドルまでなった。

新規に採掘されるビットコインの量は一日に3600BTCで固定であるため、競争によって全体の計算能力が増えると、単位計算量当たりで採掘出来るビットコインは減る。

過当競争で採掘事業者の採算が悪化しても計算能力の拡大が続く背景には、投機的な採掘者と、採掘機器を売る事で利益確定出来る採掘機器ベンダーとの共生関係があると考えられる。この共生関係はビットコインに投機資金が流れている間は機能する。

ビットコインの価格が安定して、採掘利益が予測可能となった場合、利益を獲得出来るのは、機器売却で利益確定出来る機器販売メーカーと、残存者利益を得る寡占採掘者に限られるのではないか?

【マイニングプールの寡占化】
ビットコイン採掘事業の寡占化も問題となっている。単独での採掘作業で利益獲得困難となったため、大勢が協力して採掘し、計算量に応じて配当を受け取るマイニングプールが発達した。規模の大きなマイニングプールほど、採掘確率が高まるので新たな採掘者が集まる。

2014年1月に最大手のマイニングプールGHash.ioのシェアが瞬間的に42%に達した。ビットコインネットワークにおいて、大手マイニングプールが結託した場合、ビットコインネットワーク全体が乗っ取られる危険がある。GHash.ioのシェアは2014年3月9日時点で26%まで減少しているが、上位3者で60%を占める寡占市場となっており、マイニングプールの結託によってビットコインネットワークが乗っ取られるリスクは残っている。

【リップルコインについて】
MtGOXを2011年にMark Karpeles氏に売却して、CTOとしてOpenCoinを創設したJed McCaleb氏は、ビットコインの永続性に疑問を持っているのではないか?現在Ripple Labsと改称したOpenCoin社にはGoogle Venturesなどが出資しており、OpenCoin社の発行するRippleはビットコインに次ぐ1/5近くの流通総額となっている。Rippleの設計からは、簿外での信用創造やチキンレースによる計算量の増大といったビットコインの課題を認識し改善した痕が窺える。

【仮想通貨の将来】
日本銀行は発行する銀行券の見合いで国債を保有しており、国債は財政支出に回されて、行政サービスや社会資本整備を通じて国民全体が恩恵を受け得る。
ビットコインの通貨発行益は、発行額と採掘費用の差が採掘者の利益となる点で、中世の封建領主の貨幣発行益に近い。

ビットコインの低い取引手数料は、最終的にはビットコインの価値消失によって購われることになる。採掘者の多くは、電気代などの経費で赤字となり、採掘から撤退する。個人による採掘は、ビットコイン採掘ASICを転用出来ない別の暗号貨幣に移りつつある。

1848年から1855年にかけてのカリフォルニア・ゴールドラッシュでも、当初は法的規制が無く、鉱夫が殺到した。最初は個人でも採掘出来たが、採掘技術が高度化すると会社組織による探鉱の比率が増した。ほとんどの鉱夫は儲からなかったが、多くの人々がカリフォルニアに集まった事で、送金サービスを提供するウェルズ・ファーゴや、ジーンズのリーバイス等の企業が生まれた。ビットコインの推移もゴールドラッシュの歴史と同じに見える。

国際基督教大学客員教授の岩井克人教授は日本経済新聞のインタビューで「インターネットが発達し、国から自由なビットコインが普及し、危機に陥った時、ケインズのアイデアが復活する。この時、インターネットとグローバル資本主義を救う、第2のケインズが生まれる」と予言している。

ビットコインは、ネット上での国境を越えた資金移動の敷居を下げて、国家から独立した貨幣システムの創造を通じて世界を変えつつあるが、その先を見据えた模索はもう始まっているのかも知れない。

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