コーチングの神様が教える「できる人」の法則

読んだ本の感想。

マーシャル・ゴールドスミス、マーク・ライター著。
2007年10月16日 1版1刷。




この本を読んでも上手くいかないと思った。著者自身が自分の理論が有効に機能しない場合が多い事を自覚している?

最大の矛盾は、本の中で主張されている「自らの成すべき事」が、本の中で主張されている「他人に行ってはいけない事」とイコールになっている事だと思う。

自らや上司、同僚、部下を改善しようとする試みが失敗する理由が、この本を読むと何となくイメージ出来る気がする。反面教師とすべき方法論だけれど、どうすれば良いのかは分からない。

セクションⅠ 成功で厄介なこと
1 エグゼクティブ・コーチとは何か
著者の仕事について。リーダー候補を優れたリーダー候補に育成するコーチをしている。成功を求める人々に、一対一でコーチングを行い、不快な癖を修正する。

成功者でありながら、一段上の成功を志す人間が、著者の顧客である。

2 成功した人ほど、変化を嫌う理由
成功者となる事で、自らを過信し、傲慢になる事について。

過去の業績、能力に対する自信、楽観的な信念、操作感覚、etcは、変化に対する障壁となる。

「自分の意志で決定した」という感覚があり、人間は支配される事を嫌う。しかし、行動と結果のフィードバックを受け続けると、どのような人間の中にも迷信が生まれる。成功による「正の強化」は強力なので、成功者ほど迷信深くなる?

成功した人間は、「正しく行った」事で成功したと思っている。「間違ったにも関わらず」成功した行動を指摘する事が著者の仕事である。

人間は、その人間の価値尺度から考えて、正しい行動を選択する。著者の意見では、自分が価値を置くものが脅かされて、人間は変わろうとするとしている

⇒恐怖による支配は上手くいくのか?

セクションⅡ あなたをトップの座から遠ざける20の悪癖
3 「やめること」の大切さ
良い人間になる目標を達成するためには、悪い人間である事を止める事である。複数の行動を一挙に変えるよりも、自分の行動を省略した方が容易いと考える。新しい行動を学ぶのでなく、ネガティブな行動を少なくしていく。

4 20の悪い癖
対人関係に纏わる問題について
 ①負けず嫌い
 ②一言多い
 ③自分の基準を押し付ける
 ④人を傷つける事を言う
 ⑤「しかし」等の否定的文章で始める
 ⑥自分が賢い事を見せようとする
 ⑦感情的な興奮をツールとして活用する
 ⑧否定的な思考を他者に吹き込む
 ⑨情報を他人と共有しない
 ⑩他人を認めない
 ⑪他人の手柄を横取りする
 ⑫言い訳する
 ⑬過去にしがみつく
 ⑭えこひいき
 ⑮謝意を表明しない
 ⑯話を聞かない
 ⑰感謝しない
 ⑱八つ当たりする
 ⑲責任回避
 ⑳「私はこうなんだ」と言い過ぎる

本の中では、上記の悪癖について様々な事が書いてあった。こうした欠点を全て意識して修正する事は不可能だ。本の中にも短所の無い人間はいないと書いてある。

欠点を自覚し、常に向上し続けようとする事は不快だ。上記の悪癖は、自己顕示欲や自己肯定欲求に起因するものと思われ、特に成功者であるほど、自然に行動がそうなってしまうのだと思う。

この本に書いてある事を実践すると、常に自らを責め続ける事になりはしないか?それを良い事として、他人に強要する人間もいる。他者否定をしないためには、自己否定するしかないのか?それは自らを過大評価していないだろうか?

5 21番目の癖―目標に執着しすぎる
目標に執着した結果、幸福になれない人について。稼ぐ事自体が目的化した人間等。

セクションⅢ どうすればもっとよくなれるのか
6 フィードバック
著者が実践している「360度フィードバック」という、あらゆるレベルの人からコメントを求める技法について。周囲の人間から自らの欠点を聞く事によって、改善案を作る事が出来る。著者は、一人の人間をコーチングする際に、平均15人の話を聞くとしている。

話を聞く際に、以下の4点をお願いするらしい。

①過去を水に流して欲しい
 批判的な態度から、手助けしようとする気持ちに切り替える
②真実を話して欲しい
③批判的にならず、手を貸して欲しい
④自らも改善したいと思う事を選んで欲しい
 ダイエットは複数で行った方が成功率が上がる

自らフィードバックを入手する場合、以下の方法がある。

①頼む
周囲の人間に質問する。
「私の事をどう思う?」という聞き方は良くない。「どうすれば私はもっと良くなれるだろう」という聞き方が良い。「批判」でなく「アドバイス」を求める。そして、自らに行動改善の意欲がある事を表明する。

②頼まない
他者が自分の何を見ているかを考える。
「ジョハリの窓」について。人間の自己認識は、①公の知識(自他共に知っている)②私的知識(自分しか知らない)③自分だけ気付かない知識④自他共に知らない、の4面から成り立つとしている。
自分の問題を他人の中に見る方が簡単である。

③観察する
以下のように行う。
 1.他者が自分について何気なく言う事をリストに纏める
 2.音以外の情報(表情、姿勢、動作等)から、自分に対しての
   態度を知る。
   聴覚以外の感性を使用する
 3.文章完成演習
   自分が良くなりたいと思う目標を選び、それが達成される事で
   発生する良い事を書き出す。
   思いつかない所まで良い事を書くと、個人的な理由に
   なるとしている。
   個人的な問題を直視出来る
 4.自分が誇張して話す事に注意する
   自己確信と自己卑下に注意する。
   自分の強味と思う事が弱味であったり、その逆も良くある。
   「私は、在庫管理に詳しくないのですが」と言い出したら、
   自分は在庫管理の専門家と思い込んでいる可能性が高い。
 5.家庭に注意する
   職場での悪い癖は、家庭でも発現する。

⇒自分がどのように思われているかを知る(判断)。その上で、何を直すべきか目的意識を持つ(目的)。   


7 謝罪する
申し訳ありませんでした。もっと良くなるように努力します。と謝罪する。説明しない。複雑にしない。限定しない。余計な一言を追加しない。

⇒本当にこれで良いの?


8 公表する 宣伝する
謝罪した後で、どのように変えるつもりかを宣言する。職場の人間が自らの品定めをしようと待ち受けていると考える。毎日が挑戦者を受けて立つ機会と捉える。職場の人間を自分の有権者と考える。週、月単位の長期目標を持つ。

⇒うーん。

9 聞くこと
聞き上手になるポイントは以下の通り。
 ①話す前に考える
  話す事で、どの程度を聞いていたかを知らせる
 ②敬意を持って聞く
  身動き等を使用して話者が重要である事を伝える。
 ③反応する前に「言う価値があるか」を自問する
  話した事によって、
   ・相手が自分をどのように考えるか
   ・相手が何をするか
   ・次に話す時にどうなるか
  を考える

多くの人間は、他者の話を聞いているようで、自分が何を話すのか考える事に忙しい。何も考えずに50数える事は困難だ。どうしても雑念が湧く。同じように、他人の話を聞く事も難しい。

 ・途中で話を遮らない
 ・相手の話を途中で引取らない
 ・その事は知っていると言わない
 ・相手に賛同しない(「ありがとう」とだけ言う)
 ・「いいえ」、「しかし」、「でも」という言葉を使用しない
 ・注意を逸らさない
 ・気の利いた質問をする
 ・自分の賢さを印象付けようとしない

自分が輝こうと思う気持ちを抑制するほど、相手の反応が良くなるとしている。何て難易度が高いんだ。

10 「ありがとう」と言う
感謝する事は、自らの弱点を認識する事である。特定分野で助力が必要であった事を認識する事だからだ。感謝には、自己認識という副産物がある。

11 フォローアップ
改善の進捗状況を知る。改善点を理解しても実践を継続しなくてはならない。自分の状況を他人から聞き、自分が努力を継続している事を思い出させる。

12 フィードフォワードを練習する
以下の4つのステップがある。
 ステップ1:
  自分の変えたい行動を選ぶ。聞き上手になりたい等。
 ステップ2:
  自分の変えたい行動を周囲の人間に相談する。
 ステップ3:
  相談した人間に、自分を変えるための提案を2つしてもらう。
  過去の事には触れないでもらう。
 ステップ4:
  アドバイスされた内容を批評しない。
  ポジティブな反応もしない。
  反応は、「ありがとう」だけ。

フィードバックによる質問は、過去の出来事を幾度も思い出させる事になる。現状を知る上では役立つが、将来のためのアイデアを提供しない。

普通の人間は、自分に対するネガティブな意見を受容出来ない。フィードフォワードでは、批判ではなく提案を受け取る事で、受容出来る意見を獲得すると考える。

自らが「正しい」形になる事は、「間違っている」事を知るよりも容易いと考える。

セクションⅣ 「自分を変える」ときの注意すべきポイント
13 「自分を変える」ときのルール
改善プロセスをスムーズに行うためのヒント。

①行動を変える事で直せない問題かもしれない
 個人の誤った行動が原因でなく、脳腫瘍が原因かもしれない。
②正しいものを直そうとするように
 全てを直す事は出来ない。
 改善しようとする対象は、本当に意味ある事なのか?
③本当に変えなくてはならないのか
 時間、努力、手間、対価、維持等の面から、
 変える事による利益が見合うか考える。
④真実から逃げない
 どうしても自分を正当化してしまう。
⑤理想的な行動は無い
 理想の行動属性を全て修得する事は出来ない。
 特定領域で金メダルを目指すと、他の領域でスタート出来ない。
⑥計測可能にする
 数値目標を導入すると達成可能性が高まる。
⑦結果を金銭に変える
 自らの過ちに罰金を科す等して、自分を操作する。 
⑧最高の変わるタイミングは今だ
 今日、出来ない事は、明日も出来ない。

14 部下の扱い方
 ・部下を自立させる方法
  ①部下に自らの責任範囲を決めてもらう
  ②部下に自分の仕事内容を相談する
  ⇒権限委譲する事で、自立させる?

現代では、社員が会社を渡り歩くようになったので、変化が発生したとしている。

①社員の欲求が金銭から経験へとシフトしている
②特定分野については部下の方が高い能力を持っている
③部下が自分自身の事を考えても利己的なのではない
④代替が難しい社員もいる

**************

矛盾と感じたのは、以下の記述。

<P94~P95>
仏教の言い伝え。
舟を漕いでいる人間が、自分の船を目掛けて進む船を見つける。船に向かって方向を変えるように叫んでも無駄だった。その船には人間が乗っていなかったからだ。
腹立たしい人間に対する対処も同じ事。怒っても状況は変わらない。

⇒自分の船にも誰も乗っていないと考えないかな?

<P320>
仕事の締め切りを守らない社員に対して、締め切りを破る度に3000ドルの罰金を科す。その結果、半年後に件の社員は退社する事になる。罰金は、社員を侮辱する行為であり、プラスの効果は無かった。社員の価値観を考慮しない働きかけは悪い結果を齎す。

そのように書いているのに、自らの悪癖を矯正する手段が罰金であったりする。

基本的に、本に書いてある方法論は、利益と損失によって自らを操作出来るという思想に則っていると思う。それで本当に上手くいくのだろうか?

フィードバックの方法論等、情報取得方法は参考になったと思う。

米国の成功者達は、過大な重圧を感じていると思う内容だった。ピーターの法則と合わせて読むと面白いように感じる。

人気ブログランキングへ
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ABCDEFG

Author:ABCDEFG
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード