グーグル効果 ネットが変える脳

日経サイエンス2014年3月号 P56~P60。

インターネット(グーグル)の普及が、人間の知性を変化させる可能性について。

人間は、以下のような仕組みを使用して、集団と融合する事で自らの知性を強化している。現代では、計算機械と融合する事による認知機構の変化が発生しているものと思われる。

交換記憶システム:
集団内で、情報を記憶する責任を分散する仕組み。
誰でも精神的な作業を他人に委ねている。新しい情報に対しては、集団内で自動的に事実や概念を記憶する責任が分担される。あらゆる種類の記憶が集団のメンバー間で分配され、特定のメンバーが特定の記憶を保持する事を前提としている。

集団名は、「夫婦」である事もあるし、「企業」であるかもしれない。特定の情報を記憶する責任を他者に委ねる事によって、自らの責任範囲を深化出来る。他者が保有する記憶の種類を知っているだけで、認知リソースを節約可能。

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グーグル効果:
インターネットの普及によって、情報を記憶しようという衝動が弱まる可能性。

人々はインターネットを交換記憶パートナーとして扱っている。家族や友人に記憶を託すように、コンピューターに記憶を任せる。

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コロンビア大学 スパロウ等による実験①:
以下の被験者A群と被験者B群に、30種類の雑学情報をコンピューターに入力するよう依頼する。

被験者A群
入力した情報はコンピューターに保存されると伝える。

被験者B群
入力した情報はコンピューターに保存されないと伝える。

⇒コンピューターに情報が保存されると信じた被験者A群の方が、
 情報の記憶が出来ない。
 情報を記憶して欲しいと伝えても、忘れる傾向がある。

コロンビア大学 スパロウ等による実験②:
ストループ課題。被験者に、異なる色で書かれた一連の単語を見せ、単語の意味と関係無く書かれた色を回答してもらう。被験者が回答に要する時間を測定する事で注目度を計測する事が出来る。

以下の条件で2回の質問に回答してもらう。

1回目
簡単な雑学問題に答えた後に、ストループ課題を行う。

2回目
難しい雑学問題に答えた後に、ストループ課題を行う。

⇒難しい雑学問題に答えた後のストループ課題の結果が印象的。
⇒例えば、赤い字でグーグルと書かれた文字の色を回答して貰うと、
 文字色を答えるのに要する時間が有意に長くなる。
⇒インターネット関連以外の単語では、回答までの時間は短い。

回答困難な問題に直面した場合、インターネットで検索する傾向があるため、被験者がグーグルという言葉の意味を無視する事が難しかったものと推定される。

コロンビア大学 スパロウ等による実験③:
以下の段階で実験を行う。

段階1
被験者達に、自分の記憶力を自己評価して貰う。

段階2
被験者達を以下の2グループに分けて、雑学問題に回答して貰う。

被験者A群
インターネットを使用して雑学問題に回答する。

被験者B群
インターネットを使用せずに雑学問題に回答する。

段階3
再度、被験者達に、自分の記憶力を自己評価して貰う。

⇒インターネットを使用して雑学問題に回答した被験者A群の方が、
 自らの記憶力を高く評価する傾向がある。
⇒インターネットの記述を丸写ししたにも関わらず、
 自らの知的能力によって問題に回答したと錯覚する。

インターネットを使用しなかった被験者B群に対して、雑学問題の成績が良かったという虚偽の報告をしても自己評価は高くならない。そのため、インターネットを使用した事による成績の向上によって自己評価が向上したのでなく、インターネットが自らの知能を構成する道具の一つになったという感覚が自己評価の向上に結び付いたと推測される。

検索結果が、自らの記憶の産物として想起されるのだ。

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インターネットの普及は、「自分は知っている」という感覚を多くの人間に抱かせていると思われる。それは新しい知性の発達過程かもしれない。記憶から解放されたの認知リソースを他の領域に活用する?

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こうした動向は、マイクロソフトの戦略とグーグルの戦略との対比によって理解出来るかもしれない。以下は、インターネットの記事で読んだ比較。

マイクロソフトの戦略:OS中心
OSと各種ソフトウェアが一体化して分離出来ないようにする。各種ソフトウェアと抱き合わせで販売するため、OSを高価な値段で販売可能。OSの更新を繰り返す事で、他社に対応する手間を取らせる事で競合企業を弱体化させる。
OSと各種ソフトウェアが分離していないため、複雑なソフトウェアが必要になり、改良が困難になる。

⇒OSの変化にソフトウェアが追随する。

グーグルの戦略:インターネット中心
各種ソフトウェアがインターネットに付属するようにする。インターネットを通じて各種ソフトウェアが起動するように軽量なソフトウェアが必要とされる。

⇒インターネットの変化にOSが追随する。

OS中心の戦略を採用する限り、新しいOSは複雑化し高価にならなくてはならない。単体としてのハードの強さを追求するのでなく、全体としてのネットワークの機能を追求しなくてはならない。

プラットフォームを構築する事だ。単体としてのソフトウェアの機能に価値は無い。商品が動作する環境を公開する。必要となるのは、情報を収集し管理する能力であり、情報量と収集速度が向上するほどプラットフォームの価値は向上する。

重要なのは、大きくて高機能な少数派ではなく、小さくて低機能な多数派だ。情報管理によって総体を導き出させば蟻が像を倒す。

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コンピューターのOSがネットワークに付随するものとなるのならば、人間の人格もネットワークに付随するものとなるかもしれない。

そもそも、現在でも人格は存在していないかもしれない。存在していない可能性は高い。

「自分」は存在しない。「自我」は虚構だ。

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