セカンド・ラブ

読んだ本の感想。

乾くるみ著。2010年9月30日 第一刷発行。



以下、ネタバレ含む。

1983年1月1日~1983年12月30日頃までの話。

乾先生がネトラレ展開を描きたかったと思える内容。彼女と先輩が結託して主人公を騙す流れに違和感を覚えた。

主人公が紀藤に貸して、半井の部屋で見つける『二銭銅貨・パノラマ島奇談ほか三編』は、入れ替わりを暗示している。

主人公達は嫉妬によってしか愛情を感じられない人間達なのだと思う。だから、紀藤は意図的に主人公に彼女を紹介し、主人公は半井を紀藤に見せようとする。

乾先生の作品におけるテーマの一つかもしれない。

【登場人物】
里谷正明:
主人公。1956年12月3日誕。ハラモク工業株式会社社員。内田春香が半井美奈子を装って二股をかけていた事を知って自殺する。

内田春香:
23歳の東栄大学院生。死亡した双子の半井美奈子の運転免許証を使用して、シェリールでホステスをしている。里谷と紀藤と同時交際する。

半井美奈子:
一年前に自殺した内田春香の双子の姉妹。20歳になるまで離れて育ったらしい。

紀藤和彦:
主人公の先輩。28歳。内田春香と結婚する。

【残された謎】
①指輪
P205で半井美奈子(内田春香)に指輪を買う場面がある。九号では大きいので七号を購入するが、P232では内田春香には指輪が大きすぎて五号の指輪が良いとされる。

②倉持
かつて人を殺してしまったために遺族に賠償をしている同僚の倉持(33歳)の挿話の存在理由。11年かけて賠償を完了させ、主人公を風俗に誘い、引っ越しのために自分の彫像を運ぶ事を手伝わせる。最後にはハラモク工業株式会社から失踪するが、その理由が分からない。

P116:
真面目であることが善で、不真面目であることが悪という認識が広く浸透していたように思う。しかしここ数年で―おそらく七〇年代と八〇年代の境目がひとつの区切りになるのかもしれないが―その価値観が逆転してゆくのを、彼は実感していた

P272:
目付きの悪い若い男だった。背が異様に高い。一九〇センチくらいあるのではないか。高校生か、あるいは大学に入ったばかりか

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ミルクを飲まない文明

読んだ本の感想。

安田喜憲著。2015年5月23日 初版発行。



◎環太平洋文明(稲作漁撈文明):
太平洋の造山帯に沿って存在した女性中心の類似文明。太陽、玉、山、水、柱、鳥、蛇を崇拝し、文字よりも言霊を重視、抜歯の風習を持つ。中国大陸の場合は、紀元前三世紀~三世紀頃に、漢帝国の周囲に分布。長江や扶南、邪馬台国やマヤ等。
照葉樹林に分布する牧畜によるミルクを飲まない文明。

以下の順番に長江を起点に分布したとする。

第一次漁撈文明センター:
長江周辺。紀元前4300年頃から誕生。城頭山遺跡を残す。紀元前2200年頃にさらに激しい冷涼・乾燥化が発生して衰亡。黄河流域でも同時期に乾燥化が発生して大汶口文化が崩壊し、長江流域への人口移動が発生。

第二次漁撈文明センター:
滇。長江文明が衰亡した事で、雲南州や貴州に逃れる人々が運営。

第三次漁撈文明センター:
扶南、邪馬台国。紀元前1200年頃~紀元前1000年頃の気候変動?を契機にメコン川や東シナ海を通じて伝播。

第四次漁撈文明センター:
ジャワ島やカンボジアのプンスナイ遺跡等。240年以降に稲作漁撈文明が発展した地域。

◎畑作牧畜文明
紀元前3700年頃?(長江と同じく紀元前4300年頃に遡る可能性あり)の西アジアで冷涼化、乾燥化が始まり、牧畜民が大河周辺に集まって原型が出来たとする。金銀や交易を重視し、男性中心。

⇒稲作と畑作の違いを、稲作においては支配者と工人と区別せず、労働による階級分化が発生しなかったとする

〇著者の年縞による調査
湖に堆積した堆積物で、温帯地域等の年単位での気候変動や植生変遷を復元する。紀元前4300年頃から地球規模の冷涼化、乾燥化が発生し、長江流域で降水量が減少した事で、洞庭湖の水位が低下して、水田に適した低湿地が多く出現し、長江に稲作漁撈文明が誕生したという仮説を構築する。

<マヤ文明>
紀元前250年頃からグアテマラのラス・ポサス湖の水位が上昇(気候湿潤化)。900年頃まで続くマヤ文明古典期と重なる。著者は、神獣人面文様等が長江文明と似ているとする。

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ドール

読んだ本の感想。

山下紘加著。2015年11月20日 初版印刷。



以下は、「いじめの構造」の記事へのリンク。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-2951.html

胸糞悪い展開が続く話

ラブドールを購入した吉沢卓己(中学二年生~中学三年生)がいじめられる話。

ラブドールを、クラスメイトの後藤由利香と同名であるユリカと名付ける。

クラスメイトの田島達にいじめられる主人公が、「いじめられる方にも問題がある」と言った友人?の長谷川俊也から借りた本のブックカバー(長谷川俊也)を、自らのエロ本に被せて中学校に置き、長谷川俊也がいじめられるようにする。

その後、ラブドールの腕を中学校に持って来た事が長谷川俊也に見つかり、脅されてラブドールを使われてしまう。

P24:
大げさな身振り手振りは、簾のように自分の顔を覆っている黒い髪の毛の隙間から入ってきて、僕の左目の視界を乱した

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張騫

読んだ本の感想。

塚本靑史著。2002年1月18日 第1刷発行。



以下は、Wikipediaの『張騫』の記事へのリンク。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B5%E9%A8%AB

張騫
漢の武帝の使節 張騫が西方を旅し帰還する。

P10:
新皇帝劉徹は手始めに儒教思想を広めようとした。当然それは老荘思想の放任主義と違い、身分や役割分担を明確に区別していた。改革を断行するにおいては、役人の仕事意欲を高めると思われた。また、皇帝を天帝の子と規定した考えは、匈奴を文明から離れた野蛮人とはっきり蔑んだ。劉徹がそのような明確さを好み匈奴を一掃しようと考えた

P42:
烏孫とは、匈奴の西方にいる遊牧民族だった。確かに良馬を産するが、馬には自負のある匈奴は、意地でも自分たちの方が麒麟の子孫だと言って譲らなかった。しかし、張騫と甘父が見ても、烏孫馬の方が良質だった

P60:
漢軍は、牧畜業者から烏孫の良馬を調達する。それに乗って匈奴を叩けば、馬に注目してみれば匈奴と烏孫の戦いだ。漢が優勢で西に道を開くなら、必然的に通商が成立する。そこで、その馬以上の極上品種、つまり汗血馬が大宛にいると判れば、大量に売り込める

殺靑
司馬遷の若き日の話。メインは、衛青が妻である平陽公主との関係に悩み、強精剤を部下である郭昌に調達してもらう話かな?

P123:
中華の工程の直轄領の増加はすなわち、漢帝国の威徳の広がりである
(中略)
南方の霍乱猖獗をきわめる地が、領土に編入されることは得策でないとする九卿もいた。しかし、劉徹はそれを美事に解決する。軍の中核をなす兵を、罪人たちにしたのである
(中略)
伝染病の塁を都に及ぼさず、正に毒をもって毒を制する策となる

P198:
暦法の制定は、神仙思想とは相容れない。時間の、いや年月日の確定は物理だ。太陽高度や日の出日の入りの場所、月の満ち欠けなど、毎日の天体観測の積み重ねから割り出される

青州刺史
渤海群にて治安維持の自警団を率いる雋不疑の話。

P226:
沈命法とは、盗賊が発生した場合、役人がこれを知らなかったり、知っていても一定の割合で捕縛できなかったりすると、群太守級から中間管理の役人までもが全員死罪にされる法だ
(中略)
盗賊の発生などないことにすればいいのである。そうすれば追捕の義務など、初めからなくなってしまう

P228:
刺史という訳職は、地方豪族とその大土地所有を制御し、群太守が義務を履行しているかを見張ることだ

P259:
算緡銭と呼ばれる累進高率の税をかけることを考えた。しかし商人が恐れたのは、これよりも告緡令という告発制度であった
(中略)
見返りは、没収額の半分に及んだ。すると、下手に商売するよりも、告発に回る方がより莫大な利潤を生んだ
(中略)
告発の憂き目にあって、三輔や三河の中規模以上の商人たちのほとんどは、没落した

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岩窟姫

読んだ本の感想。

近藤史恵著。2015年4月30日 第一刷。



以下、ネタバレ含む。

展開に無理を感じた。売春を告発したいなら、いじめを偽装する必要は無いと思う。

【登場人物】
蓮美(鈴木昭子):
20歳くらい。身長168㎝。アイドル事務所 カラメルミルク所属のタレントだったが、後輩の逸見沙霧を自殺に追い込んだ噂によって引きこもりになる。半年間で体重60kgを超える肥満体となり、誰も自分に気付かない事を活かして、自分を陥れた人間を探す。

逸見沙霧(沙希):
蓮美にいじめられたという文章をブログに残して自殺未遂する。死んだと思われているが、実際には半身不随で生きている。逸見砂霧自殺検証サイトをQ太郎という名で運営し、蓮美に自殺理由についてのヒントを送り、兄の斎木に蓮美のサポートをさせる。

自殺理由は、カラメルサイトが主導する売春によるもので、いじめられた記述を残す事で、蓮美を守ろうとしたらしい。

波木チホ:
カラメルミルク所属の元タレントで蓮美の先輩。引退後は女優を目指す。

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