文明の文法

読んだ本の感想。

フェルナン・ブローデル著。
1995年8月9日 第 1刷発行/1996年11月15日 印刷。





1962年頃の認識?

文明を通じて歴史を理解する。

文明は地域、社会、経済に準拠して長期的に持続し、後の発生した事件によって明確化されていく。

文明:
civilisation(文明)という新語は1752年にフランスのテュルゴーが、文明化された状態への移行を指し示すために使用?野蛮と文明の意識。culture(文化)が個人的形式を表すのに対し、文明はより集団的な価値を表す。

文明は地形や風土、植生等によって規定され、幾つかの文化的特徴を包括する。未開文化が平等社会の産物とすると、文明は階層化された社会を基盤として都市を急増させる。

その包括的特徴のために、個々の文化が異なる文明間を伝播しても、全体的傾向に合わない場合は拒絶される文化もある。特に文明の中核たる宗教の影響が大きい。

<イスラム文明>
世界最古の文明の十字路である近東で生まれる。地中海とインド洋の間に位置し、欧州、アジア、アフリカを接続する位置にある。

先行文明の遺産から生じた二段階の文明である。隊商交易で栄えたメッカの富を中核に、多くの遊牧民族からなる部族連合を基盤とする。

都市が商業で膨張しながらも、農村が未熟であるために社会的安定が困難であり、持続的侵略による不平分子幇助が必要とされた。

最盛期の8世紀~12世紀頃は、世界人口3億人~5億人程度の内、イスラム教徒が3000万人~5000万人であり、統治や商業、軍事等に振り向ける人材が不足していたために、イスラム教は異教徒を抜擢せざるを得なかった。多くの人々が交流出来るようにアラビア語が統一され、ギリシア哲学を模倣し、異教徒を奴隷兵士とする。

イスラム文明は東西中継路確保のために生れたのかもしれない。

<アフリカ>
それが全てでは無いが、歴史よりも地理によって理解すべき地域。

北部のサハラ砂漠、南部のカラハリ砂漠、西の太平洋、東のインド洋を境界線とする。

エチオピアを中心とする東アフリカは文字と文明の伝統があり、南部は欧州の進出等で拡大が阻害され、マダガスカル島(マレー系とバントゥー系の融合)という例外がある。

文明は外部との交流が容易な東岸部やニジェール川湾曲部で栄えたものの、近世には奴隷貿易による打撃があり、現代では小国乱立状態に問題がある?

社会秩序が原始的文化、宗教によって規定されているために、広範囲な権威形勢が困難。

<極東>
熱帯、亜熱帯の地域で米作を行う共通性がある。

菜食が一般的であり、西洋の麦作のように輪作農法が不必要であり、休耕地を利用した牧畜が普及しなかった。稲作は大規模灌漑を必要とするために労働規律や服従を尊ぶ気風を育み、専制的官僚的体制が齎された。

そして集約農業が成功している限りは山間部は未開のまま残され、西洋ほどには未開民族の同化が進まない。中国では少数民族が全人口に占める割合は6%だが、彼等が全土の60%に居住するとしている。

中国とインドでは周期的に遊牧民族の侵略にさらされる。しかし、根本的社会構造は変化せず、文化の永続性が近代における発展を阻んだのかもしれない。西洋とは異なり神と人間を分かつ事に失敗した?

中国の皇帝は神と接続する意味では原始的であるが、官人を使用するうえでは近代的。位階制と儒教倫理は時代を超えて継続した。

インドではヒンドゥー教による統一性が確立しており、イスラムの征服者達もヒンドゥー教徒無しでは統治が出来なかった。

〇日本
中華文明の影響を受けながら独自成長を遂げる。しかし、文官階級育成に失敗したために、12世紀~19世紀まで将軍体制が続く。

しかし、天皇という伝統的権威が残されたために、明治維新においては権威が革命を選ぶ決定を行い、権威による計画によって工業化を実現。明治日本では近代化のために絶対的信仰を新設する必要が無く、国家を一人の人間のように操作する事が出来た。

そのため、日本は近代的、伝統的という二つの側面を持つ。

<欧州>
ローマ帝国が二つに分裂した395年以降、戦争によって境界線が策定されていく。

東欧は10世紀までキリスト教徒によって植民されてアジアとの境界線となり、南方はイスラム教徒との戦闘によって境界線が決定した。

欧州の特徴であるカトリック世界とプロテスタント世界の分裂は、ローマ帝国によって征服された地域(ライン川、ドナウ川まで)と、それ以外によって判別可能。ローマに征服されなかった地域では宗教的階層性を求める気風が弱い?

カトリックはラテン語を統一の道具とし、ローマ帝国の階層制、中央集権制、古都ローマを引き継いでいた。

偉大な皇帝を戴くローマ帝国が崩壊した後は、小領主が乱立する封建制が一般的になるも文化的一体性は維持され、都市においては自由が辛抱されるようになる。

ルネサンスの精神的運動は考える個人を尊重したために、伝統的価値が崩壊し、16世紀以降は市場経済が確立していく。そして市場経済を新大陸からの貴金属流入が助長した。それは、個人が社会に対して負う義務が意識される事でもある。17世紀以降、全体利益によって働かない人々が調整されてるようになる。

<アメリカ>
〇米国
個人や国家の自由を文化的伝統とする。

初期米国においては農業経済発展が顕著であったが、水路としての海洋活用にも特徴があり、外部から変化が流入し続けために変化が常態化した。

憲法はホッブスの哲学とカルヴァンの宗教を基礎に、「人間は人間にとって狼」であり、「肉体を持った精神は神と対立」した。自由と平等の大義名分によって資本主義の秩序が形成される。その特徴は際立った個人主義であり、社会機構への国家介入を忌避する。

米国は、大西洋沿岸に形成され、太平洋にまで拡大し、工業化によって完成されるプロテスタンティズム。それは個人と世界の対立でもある。

〇ラテン・アメリカ
広大な空間があるが大衆的交通機関に乏しい。人間が空間に埋没し、都市は他都市から隔絶された場所にある。

ために、社会的農民文学が息づき、世界から孤立した極貧者が主人公となる。ホセ・エルナンデス(アルゼンチンの作家で牧童の物語を書く)、フランシスコ・ゴンサレス(「黒きアングスティアス」は1944年にメキシコ国民文学賞)、ホセ・リベラ(1925年の「渦」はアマゾンに飲み込まれる主人公の話)、アリアノ・アスエラ(下層の人々)、ジョルジュ・アマド(ブラジル北東部の農村を舞台にした物語)等がある。

他には人種的多様性が特徴で伝統的なインディオ、奴隷を起源とする黒人、欧州からの移民等。欧州移民はブラジル南部、アルゼンチン、チリに集中し、近代的国家を建設した(1880年代に南大西洋に蒸気船が就航するようになってから急増)。

欧州移民は輸出原料に集中した経済(アルゼンチンでは、1960年?時点に一部の大農家が土地の42%、家畜の64%を所有)によって短期的に経済発展を実現したが、農民階級定着が阻害されたために、1930年頃からの経済危機や1945年以降の世界的農産物価格低迷によって経済が急落した。

⇒自らを定義する文明の不安定

<ロシア>
広大な空間に比較的新参のスラヴ民族が勢力を拡大した。

16世紀までは遊牧民による支配が行われ、ロシアはバルト海から南方の海に至るルートを掌握する事で存続した(キエフ公国:9世紀~13世紀)。

10世紀頃からはギリシア正教が広まったが、ロシアはビザンティン教会に世俗的発展を求めず、信仰にのみ務めを限った。

やがて欧州との交流で発展し、18世紀には特にフランスに学んだ。

ソヴィエト連邦は資本主義の前提となる社会基盤が存在しないロシアを工業化するために必要とされた?

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