真夜中のパン屋さんシリーズ

読んだ本の感想。

大沼紀子著。

三軒茶屋で深夜営業するパン屋の話。

以下は、Wikipediaの『真夜中のパン屋さん』の記事へのリンク。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E5%A4%9C%E4%B8%AD%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%B3%E5%B1%8B%E3%81%95%E3%82%93

Wikipediaで二巻までしか、あらすじが書かれず、登場人物紹介が三巻までなのは、三巻以降が失敗作と見做されているからなのかな?

女性版の池袋ウエストゲートパークという印象。作者は1990年代を描きたいのではないか?主人公の女子高校生の癒しがテーマではなく、彼女の親世代の30代、40代の登場人物達が過去を癒そうとしているように思える。

いつのまにか老いていて、いつのまにか親になっている。若さを失った状態で過去に対峙しなければならない。巻を追う毎にそうした傾向が強まるように感じられ、人物像が二転三転する様が激しくなっていく。

悪人が善人に、不幸が幸福に。多分、作者は過去を救いたいのだ。

ただ、三巻以降は迷走しているように感じられ、楽しく読めるのは二巻までだと思う。

午前0時のレシピ
2011年6月5日 第1刷発行。



パン屋「ブランジェリークレバヤシ」に、オーナーである暮林陽介(37歳くらい?)の亡き妻(久瀬)美和子の義妹を名乗る篠崎希実(高校二年生)がやって来て、母がいなくなったので、しばらく住まわせて欲しいと言う。

Open
パン屋の紹介。

Fraisage-材料を混ぜ合わせる-
篠崎希実のいじめの話。母親である律子が、中学生の時に、クラスメイトの三木涼香の父と浮気した噂があった事が原因。

Pétrissage & Pointage-生地捏ね&第一次発酵-
パンを万引きする小学生 水野こだまの話。

Division & Détente-分割&ベンチタイム-
ストーカーの覗き魔 斑目裕也(30代後半?)の話。部屋の中に望遠鏡を装備し、10年間、自分のファンだった女性を観察している。パン職人 柳弘基(25歳くらい) は、自らも暮林美和子にストーカー的愛情を持っていたために共感する。

Façonnage & Apprêt-成形&第二次発酵-
ニューハーフのソフィア(嶽山大地、30代後半?)の話。家出した水野こだまの母 織絵と同居しているが、帰るよう促す。

Coupe-クープ-
水野織絵を探す。

Cuisson avec buée-焼成-
水野こだまが実父である美作元史の家に行く。パン屋の面々が、水野こだまを取り返す。

P292:
あなたの言葉は、ほとんどがコントロールと脅しなんですね。そういう中で、生きてこられたってことなんですかな?

⇒三巻以降、この言葉が矛盾していく。美作元史が不器用なだけの善人であるのなら、一巻で水野こだまを、描かれているような形で養子に望まないはず

午前1時の恋泥棒
2012年2月5日 第1刷発行。



パン職人 柳弘基の中学生時代の彼女 由井綾乃/佳乃の話。由井佳乃は、両親が破産し、自分の医学部受験や婚約が失敗した事から結婚詐欺師になっており、由井綾乃が由井佳乃を装って柳弘基に救けを求める。

由井佳乃は自首し、由井綾乃は班目と付き合うようになる。

⇒この話のテーマの一つは、柳弘基が女性を傷つけたという設定の上書きだと思う

Open
捨て猫の話。

P16:
みんな、誰かを救いたいんだ
(中略)
救うことは、救われることに通じているからね

Mélanger les ingrédients & Pétrir la pâte-材料を混ぜ合わせる&生地を捏ねる-
由井佳乃(綾乃)来店。

P103~P104:
彼はだいぶ目立つ不良だった(中略)体中に怒りを立ちのぼらせた彼は、見た目を度外視しても魅力的だった(中略)不良たちは、たいていみんな大人びていた(中略)あの子たちが暮らす世界は、長く子供でいることを許さない場所だったのだろう。子供の世界に大人たちがいるのだから、もちろんその力関係は歴然としたものだった(中略)子供に大人でいるよう求める暮らしというのは、永遠に彼らを守ることも助けることもしない

Pointage & Tourage-フロアタイム&折り込み-
由井佳乃(綾乃)の結婚詐欺の話。裏社会の人間を騙してしまった事で、救けを求める。

P153:
誰も信じんかったもんの心を、こじ開けて中身に触れて自分を信じさせて、それで裏切ったんやったら、そら事やな

Découper des triangles & Fermentation finale-カット成形&最終発酵-
由井佳乃がかつて自分が住んでいたマンションを結婚詐欺によって、お金を貯めて取り戻そうとしていた話。

P341:
あの場所にいられた頃は、ちゃんと私、人に優しく出来てた。今みたいに、誰を騙そうとか誰を陥れようとか、そんなことちっとも考えてなかった。考えなくてよかったんだ。だってとても恵まれてて、充分な余裕があったんだもの

Cuisson-焼成-
由井佳乃の自首。

午前2時の転校生
2012年12月5日 第1刷発行。



話が迷走し始める。転校生 美作孝太郎の話。一巻で登場した水野こだまの実父 美作の息子で、彼の目的は二転三転する。何時の間にか美作父が善人になっているけど、それなら水野こだまを養子にしていれば良かったのでは?

Open
篠崎希実がパン屋に来て一年が経過。高校三年生になる。

Mélanger les ingrédients & Pétrir la pâte-材料を混ぜ合わせる&生地を捏ねる-
高校に美作孝太郎が転校する。アンジェリカという腹話術の人間を携えている。

篠崎希実が三木涼香と仲直り。父親の浮気相手が篠崎希実の母親でない事は知っていたらしい。

美作元史がパン屋に来店し、美作孝太郎の父である事を告げる。

Pointage & Rompre-第一次発酵&ガス抜き-
美作孝太郎は、弟である水野こだまと仲良くなるために、篠崎希実に近付いたとする。腹話術は水野こだまを楽しませるために修得したらしい。

水野織江が安倍修平(46歳)というトラブルメーカーの医師と交際しており、水野こだまを心配しているらしい。

P114:
スゲーな、お前。逆に本当はどこにあんだよ

Division & Détente-分割&ベンチタイム-
美作孝太郎の目的は、安倍修平の弱味を握って、父親を陥れる事であった事になる。

安倍修平が持っていた薬物を見つけ、かつての医療事故を告発するように言う。

28年前のゴシップ記事から、安倍修平は宗教組織を作る才能を持っているらしい。

Façonnage & Apprêt-成形&第二次発酵-
美作孝太郎の目的は、眼病に罹患した父が手術で失敗する事を恐れ、父を救うために昔の医療事故を持ち出して、手術を止めさせる事であった。

P340~P341:
腑に落ちねーんだよな。安倍先生に近づこうっていうだけなら、別にわざわざ希実の学校に転校することねーじゃん?希実経由で安倍先生に近づくってのも、なんか回りくどいしよ
(中略)
みんなと仲良くしたくて、転校してきたんだよ

⇒苦しい説明だ

Cuisson-焼成-
篠崎希実が文化祭実行委員になる。

午前3時の眠り姫
2013年10月5日 第1刷発行。



小学校時代の篠崎希実をいじめていた従姉妹の沙耶が来店。妊娠しており、元彼の襲撃や、今彼の母親との話し合い。結局は想像妊娠だった。

⇒主人公の小学校時代を救済する話だと思う

Open
梅雨である事の説明。

Fraisage-材料を混ぜ合わせる-
篠崎沙耶来店。30代の安田光を彼氏と紹介する。篠崎律子を探すよう伝える。家出中の今、頼りになる存在と思っているらしい。

そして、本当の彼氏である村上淳也が来店。安田光は彼氏の振りをした付き添いであったらしい。

Pétrissage & Pointage-生地捏ね&第一次発酵-
安田光は刑事であり、詐欺事件を追っていた。ソフィアの昔の知り合いが詐欺事件を引き起こしているらしい。

Tourage & Façonnage-折り込み&成型-
村上淳也の母 良子が登場。息子は生殖困難であり、子供は別の父親の子と言う。篠崎希実が、篠崎沙耶の元彼の襲撃で意識不明になる。

Cuisson-焼成-
篠崎希実の意識が戻る。篠崎沙耶は、想像妊娠であった事が発覚。

篠崎希実が昔の記憶を失っている話。

午前4時の共犯者
2016年3月15日 第1刷発行。



篠崎希実の本当の父親の話。結局は、暮林陽介の亡妻 久瀬美和子の3歳上の兄 篤人であるらしい。

結局、篠崎律子は恋多き女なの?一途なの?設定が一貫していないと思う。

Open
篠崎律子のお見舞い。

Réveiller-天然酵母を起こす-
篠崎希実の父親とされる門吐樹の3歳上の兄 榊が登場。暮林美和子の幼馴染であるらしい。

実家はバイオメーカー トガノであり、母親が孫である篠崎希実に自分の保有する株(全体の20%)を遺産として譲渡するつもりとする。

P23~P24:
街の少女たちは、実に高値でよく売れた。それは何も体だけの話ではなくて、大人たちは彼女らの、時間や嗜好、あるいは物語めいたものまで、何から何まで欲しがった。
(中略)
彼らは少女たちの中に、何かがあると信じたかったのだ。そして何かがあるはずだという彼らの願望が、当時の少女たちというものを、ある意味作りあげていた

Mélanger les ingrédients & Pétrir la pâte-材料を混ぜ合わせる&生地を捏ねる-
パン屋が経営危機に陥り、篠崎希実はDNA鑑定を受ける代わりに、パン屋を助けるよう榊に告げる。

P148:
少年少女というのは、野生動物のようだと弘基はいつも思う。極端に人を警戒したり、あるいは無防備に距離を詰めてくる。警戒心も甘えも野放図でむき出しで、人との距離の取り方というものがわかっていない

Pointage & MÛrit-第一次発酵&熟成-
柳弘基や班目裕介が調査し、篠崎希実が門吐榊の娘である可能性が出てくる。

Façonnage & Apprêt-成形&第二次発酵-
かなりグダグダな章。

篠崎希実は門吐家の娘ではなく榊は母親への復讐のために篠崎希実を養女にし、母親を喜ばせてから実は娘では無かったと告げて復讐する計画であったが、DNA鑑定の結果、本当に門吐樹の娘であった事になる。

が、実は篠崎希実の父親は門吐樹ではなく、榊は篠崎律子が本当の父親について明かしたくないために芝居をした事になる。

⇒これまでの榊の行動は何だったんだろう?タガノ社内で独自にDNA調査をしようとする一派があったというけど、門吐家と無関係なら、DNA調査されても問題が無かったのでは?

これまで本当の父親について、母娘間で何も無かったのに、辻褄が合わない気がする。

P378:
意味や価値ってのは甘い毒でね

P436:
人間なんて八割がた、他人の思い込みで出来ているんだ

P507:
何も感じなかった心が、憎しみにだけはよく反応してくれたんだ

Cuisson-焼成-
久瀬篤人登場。

暮林陽介は、似ている事から、久瀬篤人が篠崎希実の父親であると察する。

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