火曜日の手紙

読んだ本の感想。

モレーヌ・グレミヨン著。2014年6月20日 初版印刷。



以下、ネタバレ含む。

1975年のフランスが舞台。母親を亡くしたばかりの主人公カミーユに、毎週火曜日、ルイという男性から手紙が送られてくる。手紙には、ルイ(1921年頃誕生)とアニー(1923年頃誕生)の二人の話から始まり、アニーがルイとエリザベートという子供がいない夫婦のために、ルイーズという子供を産み、その子供がカミーユである事が示されていた。

物語の軸は、以下の二つの三角関係だと思う。

①ルイ:エリザベート:アニー
子供がいないルイとエリザベートの夫婦のために、アニーがルイと交わって子供を作る事にする。エリザベートはアニーに嫉妬するようになる。妊娠期間中、アニーはパリで軟禁され、出征中のポールは妊娠しているのはエリザベートと思い込んでいる。アニーの父親は逮捕されており、母親は字が読めないため、手紙で状況を知るのは幼馴染のルイだけ。

②ルイーズ:エリザベート:アニー
ルイーズが産まれると、エリザベートはアニーを追い出し、子供を遠くから見守るアニーを意識するようになる。1943年にアニーがルイと再会すると、アニーが実子を取り戻しに来る事を恐れて、アニーが娼婦になった事を教え、逃亡させる。

ルイはアニーが死んだと思い込んでいるが、実際には生きており、マダム・メルローとして主人公のアパルトマンの管理人をしている。

****************

フランスという国では、子供を多く産む事が奨励されているのか?エリザベートが出産について感じる重圧が丁寧に記述されている。

三角関係という面から考えると、エリザベートが本当に好きなのはアニーで、彼女を愛するために夫であるポールや子供であるカミーユが存在しているようにも解釈出来る。

そして、最後までカミーユがルイとポールのどちらの子であるか確定しないのか?読み落としか?

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神様が殺してくれる

読んだ本の感想。

森博嗣著。2013年6月25日 第1刷発行。



以下、ネタバレ含む。

レナルド・アンペール(インターポール職員)と、ミシェル(双子の弟)の物語。

ミシェルは、レナルド・アンペールの大学時代の後輩リオン・シャレット(22歳?)と関係し、レナルドがリオンを愛し、リオンがレナルドを愛していると絶望し、関連する人達を殺していく。

この殺人動機が良く分からなかった。

フレデリク・シャレット(ベルギー人の資産家でリオンの義父)、イザベル・モントロン(女優)、ジャンニ・ピッコ(ピアニスト)、エジー・ノイエンドルフ(写真家)、等の近くにリオンを縛り、リオンの前で彼等を殺す。

リオンは、ミシェルをレナルドと思い込んでおり、また、レナルドを神のように崇拝している事から、殺人は神によって行われたと証言する。

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七つの会議

読んだ本の感想。

池井戸潤著。2012年11月1日 第1刷。



以下、ネタバレ含む。

東京建電という企業が、コスト削減のために規格外の部品を使用し、そのリコール費用が多額である事から隠蔽しようとする話。最終的には隠蔽が内部告発によって露見し、課長の坂戸に全ての罪が押し付けられそうになるが、社長のPCのメール(偽装)をネタに関連会社(トーメイテック)を嵌めて、社長の関与が明らかになる。

第一章 居眠り八角
50歳の万年係長 八角民夫が、38歳の課長 坂戸宣彦をパワハラで訴える話。それは、規格外のネジを発注した坂戸を閑職に回すための偽装工作だった。

第二章 ねじ六奮戦記
東京建電との取引を、一旦は断たれた中小企業ねじ六が、課長が変わった事で、取引を再開する話。

第三話 コトブキ退社
27歳の浜本優衣が、社内不倫が原因で退職し、最後の仕事に社内に無人ドーナッツ売り場を開設する話。不倫相手の新田が、料金を支払わずにドーナッツを持って行く場を目撃し、愛想が尽きる。

第四話 経理屋稼業
経理部の新田雄介が、ネジの取引先変更に興味を持ち、大阪の営業に左遷される話。

第五話 社内政治家
カスタマー室でクレーム対応をしている佐野健一郎の話。顧客のクレームからネジの規格外に気付き、上司達への恨みから告発を決めるが、ネジが列車や航空機にも使用されており、露見すれば会社が倒産する事を知って迷う。

第六話 偽ライオン
営業部長 北川誠がネジの告発文について知る話。彼には過去にも規格外を隠蔽し、それを八角に知られた過去があった。社長の宮野和広の指示による隠蔽だったが、親会社ソニックからの出向者村西京助にも隠蔽がばれ、隠し切れなくなる。

第七話 御前会議
ソニック社長徳山郁夫等が行う御前会議で、ネジの問題が協議される。その対応費用が1000億円以上と膨大な事から、隠蔽が決定されるが、結局はマスコミに露見する。

第八話 最終議案
ネジの不正を行った営業一課 課長 坂戸の言い分等。社長の宮野から、ネジ会社トーメイテックに話をつけていた事が証明され、個人賠償の責任は無い事になる。

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水声

読んだ本の感想。

川上弘美著。2014年9月30日 第1刷発行。



近親姦の話かな?

1958年に生れた都と、1959年に生れた陵の1969年~2014年の話。

彼等の母親(1986年死亡)も兄と夫婦のように同居している。1996年から、都と陵は同居を始める。他に幼馴染の菜穂子と、その従姉で五歳下の菫の話がある。

P70:
自分の顔だと思わないで、他人の顔のつもりで描いてみて。わたしのその言葉に、菫はゆっくりと手を動かしはじめた。輪郭を決め、目鼻をおき、影をつけ、けれどそれはちっとも人間の顔にみえなかった。それまでに描いた野菜か何かにしか、見えなかった

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晩年の子供

読んだ本の感想。

山田詠美著。1991年10月7日 第1刷発行。



著者が幼い頃、父の転勤に地方都市を移り住んだ経験によるらしい。特に思い出深いのは、静岡県磐田市らしい。

晩年の子供
犬に咬まれて狂犬病で死ぬと思い込んだ子供の話。

堤防
自力で何かをせず、運命に引きずられていると感じる子供の話。中学校の同級生が妊娠し、自殺未遂をした事で、彼女の生きようとする力を感じる。

P52:
手首を切った瞬間に、しまったって思ったもん

花火
ホステスをしている28歳の姉 頼子の様子を見に行く妹19歳の話。

P75:
「私は、彼の生理に従ってセックスしているだけなの。時々、私の体の上の彼を殺してやりたいと思うことすらあるわ」
「それなのに、どうして、あんな声を出したりするのよ」
(中略)
「思いやりかな。彼との関係を壊さないための」

桔梗
隣家に住む美代と交流する子供話。美代は別れ話を切り出され、自殺する。

P104:
すぐに枯れてしまうことでしょう。地面のない植物はすぐに死んでしまうものですから

海の方の子
海辺に住む片目が義眼の少年 哲夫に興味を持った少女の話。

迷子
雅美、由美の姉妹の隣に住む、まり子、めぐみの姉妹に、愛人の子である、ひろ子が引き取られる話。腫物に触るように育てられているが、迷子を切っ掛けに本気で叱られるようになる。

P154:
だってさ、大人になって、食べもんに困ったら嫌だもん。今の内に食糧を隠しておけば、おなかへったて、大丈夫だもん


弟が出来た小学四年生 岡田真美の話。蝉の腹が空洞であった事から、自分も空洞を持つ人間であると思う。

ひよこの眼
中学三年生 亜記が、転校生 相沢幹夫を気にする話。彼の瞳は、縁日で売られる雛のように、死を諦観していた。相沢幹夫は、借金をしていた父親の自殺の道連れにされる。

P206:
ひよこは、最初っから、生きる気なんてなかったよ、ママ

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共食い

読んだ本の感想。

金沢伸明著。2012年7月25日 第一刷発行。



読まなければ良かった。

以下、ネタバレ含む。

県立神城高校2年A組を舞台に発生する連続殺人。

最後でとても、壮大な話になっていた。高尾七海が殺人をしていたのは、日本社会の階級化を推し進めるためだったらしい。

最後に登場する金井莉愛は、作者の別作品に登場するんだろう。

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スクールカースト殺人教室

読んだ本の感想。

堀内公太郎著。平成28年5月1日 発行。



以下、ネタバレ含む。

つまらない小説だった。ネタを詰め込み過ぎているので、三作くらいに分けた方が良いと思った。

西東京学園高等専門学校 一年生 磯神ことりが、クラス内の秩序を乱す人間を殺していく話。五年目の永沢南巡査部長、50歳前後の屋敷進一警部補等が捜査する。

<教師>
化学教師の鈴木卓也(32歳)に、羽田勝(26歳)、本橋優香(26歳)を養護教諭の黒川サキ(22歳前後)を介した手紙で殺させる。

羽田勝は、生徒のいじめに加担する教師だった。

<上位カースト>
この辺りが特にごちゃごちゃしている。

和木麻耶(女優 矢沢萌子の子供)、牛尾健人(和木とつきあっているが、森本と浮気中)、森本千里(内心で和木を馬鹿にしている)、千代田和成(森本が好き)、涌井美奈子(小学校時代は低カーストの穴口とつきあっていた)を、密告等で殺し合わせる。

全員死んでいないが、高校には来れなくなった。

<下位カースト>
山内忍(チビ)、酒田藍子(デブ、途中で牛尾の浮気を密告して、和木の手下になる)、北野波留(登校拒否)、穴口学(涌井にせまって突き飛ばされて車に跳ねられる)。

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エンジニアのための伝わる書き方講座

読んだ本の感想。

開米瑞浩著。2014年8月1日 初版第1刷発行。



以下は、「アイデアクラフト」のWebサイトへのリンク。

http://ideacraft.jp/

以下は、文章を書き始める前に行う事。

①情報を分類してラベルを付ける
個別要素だけを列挙すると、解り難くなるため、似た情報は「ビジネス要素」や「技術要素」等に分類しておく
②意味のある順番で情報を並べる
「○○を使うと◆◆が可能になり××になる」等の流れ
③数量化してグラフを使う
④メッセージ(要約)を入れる
言いたい事を凝縮した一行。「ストレージ・コストを五割削減」等のように、どの要素を、どの程度、どうするか、内容を絞ると効果が高い
⑤相手の価値観を考える
ビール会社に「美味しいビールを提供する」というコンセプトを提示する等、根源的価値観に訴える
⑥情報量を減らす

<書く力を向上させるために>
以下の段階。

①自分が書きたい文章を考える
②類似事例を真似る
③様々な文章を真似る

他人の文章を真似る場合、まず内容を分割し、分類してみる。そして、要約文を考える。分割に困る文章は悪文。断片的な情報を、因果関係で繋ぐ文章を目指す。

<ワークフローの中の文章>
以下で書く事が違う。

①状況把握
発生している事や将来を把握する。Windows XPのサポートが一年後に切れる等。この段階では安易に情報を省略出来ず、構造化して特徴を見い出す事に意味がある

②方針立案
対応するための方針を考える。Windows XPをWindows 7に更新する等。理想と現実の間に発生するギャップを踏まえて課題を見つける。相手に理解出来る課題や解決策を提示しなければ意味が無い(保守サポート切れの意味が理解されない等)。

⇒論理的に問題解決を考える工程

③行動提案
方針を実現する方法を提案する。対人コミュニケーションの意味合いが強い。関心、物語、メッセージが重要

⇒関係者を説得する工程

<チェックリスト>
◎対象者確認
誰が、いつ、何のために読むか

◎ワークフロー確認
状況把握:
 ・根本的機構の理解
 ・頻出パターン
   並列、順列、工程
   ペア概念
   因果関係、相関関係
   全体と部分
   抽象と具体
   目標、手段、効果
   用途、機能、仕組み
 ・構造を明示する言語を使う
方針立案のポイントは明確か
行動提案の物語は明確か

◎表現調整
適切な用語の選択
概念の表現(類似や反対、連続的関係で示す)
数値表現(グラフも使用)

<認知情報処理>

以下は、「LD等の子どものための心理アセスメント」のWeb魚拓へのリンク。

http://megalodon.jp/2010-0121-2311-49/www.nise.go.jp/portal/elearn/ld_shinri.html

同時処理型:
情報の全体像を把握し、その中に細部を位置付ける

継次処理型:
情報の細部を順番に辿る

文章では、継次処理型の情報処理向けの表現しか出来ない。

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最果てアーケード

読んだ本の感想。

小川洋子著。2012年6月20日 第一刷発行。



アーケードの大家の娘を語り部とする話。16歳の時に、火事で父親が死んでいる。

衣装係さん
映画館の隣の劇場で衣装係をしていた老婆が、レース屋で買い物をする話。彼女は、女優の衣装の切れ端を、女優のファンに渡す。次の日、ファンの男は女優に切りつけて怪我をさせたらしい。

衣装係は、ミシンにもたれて死んでいるところを主人公に見つけられる。

百科事典少女
紳士おじさんの話。

彼の娘Rちゃんは百科事典を読む事が好きで、彼女が内蔵の病気で死んだ後、紳士おじさんが百科事典を大学ノートに鉛筆で書き写すようになる。

P40:
私が“嘘のお話”を好むに対し、Rちゃんが求めるのは“本当のお話”だった

兎夫人
義眼屋に、兎(ラビト)の目を探しにやって来る夫人の話。ラビトという渾名の男の子が病院で死んだらしい。

輪っか屋
ドーナッツ屋の主人と、元オリンピック体操選手を名乗る女性が付き合う話。女性は結婚詐欺師だった。

P151:
春季体操発表会中学生の部・種目別平均台第三位

紙店シスター
レターセットやカード類、万年筆、インク等を扱う店。

語り部は、療養中の母の見舞いに行き、雑用係に手紙を出す事を約束するが、母が死んだために手紙を出していない。

ノブさん
ドアノブ専門店の店主。

雄ライオンの頭が彫刻されたドアノブが取り付けられたドアの向こう側は窪みになっており、冥福を祈る者がそこで自らを癒す。

勲章店の未亡人
未亡人が運営する勲章店の話。語り部は、詩人の息子が父の勲章を売りにきた事で、図書館で詩人の本を借りる。

遺髪レース
遺髪をレースにする編み師の話。主人公は、自らの髪を編んでもらう。

人さらいの時計
アーケード正面の時計は、針が動くところを目撃した子供が人攫いに連れて行かれる噂がある。

主人公は、アーケードを行き交う人々を、死んだ父に見立てて尾行する事がある。

フォークダンス発表会
主人公が16歳の時に、父親を映画に誘って遅刻し、その間に火事で父親が死ぬ話。

フォークランド発表会に飛び入りで参加した老人がいて、彼の分のメダルを取りに行った事で遅刻した。映画にも間に合わず、メダルも渡せなかった。

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最初の哲学者

読んだ本の感想。

柳広司著。2010年11月25日 第一刷発行。



オイディプス
父を殺し、母を娶ったオイディプスの物語。

異邦の王子
スキュタイの王子アナカルシスが、アテナイに学んでアテナイの習俗に順応したが故に、スキュタイで死ぬ話。

P30:
彼らは言葉を軽やかに投げ合うことで、手に触れられるこの世界とは別の現実を作り出そうとしているのだ
(中略)
広場で騙し合う行為は、品物に“価格”という本来存在しないものを張り付け、金銭に交換するためのものだった

P32:
「あれは、私と獲物との間に馬を乗りいれたのです」
……それは、スキュタイの地では射殺されても仕方のない振る舞いであった


クレタ王ミノスの娘アリアドネが、裏切りの誘惑によって、アテナイ王アイゲウスの息子テセウスを裏切り、一人でアテナイへ帰還させる話。

P45:
クレタには、アテナイより一千年も早く文明が花開きました。長い文明の営みは、ときおり人の手には負えぬ謎を産み落とすことがあります
(中略)
わたしはクレタという爛熟した一つの文明が生み出した謎。あなたにはけっして理解できない不可思議な人の欲望

亡牛嘆
クレタ王ミノスと王妃パシファエの迷宮に閉じ込めらた息子の話。

ダイダロスの息子
ミノタウロスを閉じ込めた迷宮を作ったダイダロスの息子の話。イカロスという自分の名前を歴史に刻むために、閉じ込められた迷宮から脱け出す翼を太陽に向け死ぬ。

神統記
祖父ウラノスや父クロノスのように、息子に打ち倒される宿命から逃れるために、懐妊した妻メティスを自らの腹中に収めたゼウスの話。生れてくる息子と一つになる事で王位継承の循環は断ち切れれた。

P80:
ゼウスは憂鬱だった。
いまにして気づいたのだ。決して打ち斃されることのない王―すなわち変転するこの世界の中で動かない存在が、いかに惨めなものであるかを

狂いの巫女
トロイアの王女カサンドラを連れ帰ったアガメムノンが、娘を生贄にした恨みから、王妃のクリュタイメストラに殺される話。

アイギナの悲劇
女神像を取り返しに行ったアテナイの軍勢が追い返され、一人だけ生き残ったミュシアスが、アテナイの女達に殺される話。

P107:
彼女たちはそうして、自分たちの夫はどこにいるのだと詰りながら、ひとりひとりが着物の留め針でミュシアスを刺した

最初の哲学者
ミレトスのタレスが、イオニア学派を立ち上げる話。

P114:
タレスは、はじめて神や霊を持ち出さずに世界の成り立ちを説明してみせたのだ

オリンポスの醜聞
鍛冶の神ヘファイストスが、自分の妻アフロディナと、妻の浮気相手である戦争の神アレスを罠にかけ、ベッドの中の網に搦めとってさらし者にする話。馬鹿らしくなって、自らの仕事に戻る。

P131:
美醜などというものは、見る者と見られる者の関係性のうちにはじめて存在するものであった。いや、そんなものは畢竟、自らを顧みた時に心に生じる幻影にすぎないのだ

ソクラテスの妻
処刑されたソクラテスの妻クサンティッペの独白。

王女メデイア
コリントスの王となるイアソンの妻メデイアの話。自分を裏切った夫に復讐するため、我が子を殺す。

ヒストリエ
ヘロドトスの話。

P164:
すべてのものは、場所によって、民族によって、或いは時代によって、さまざまに変化しているのだ

P175:
美化や歪曲、創造が入っていたとしても、人間にとって世界とはきっとそのようなものだのだ

P176~P177:
ちっぽけな存在である自分が、この世界について直接得ることのできる知見は限られている。大きなものを語ろうとすれば、自分の外に出て材料を集めるしかない

P183:
ヘロドトスの記録が残されていなければ、ギリシアの人々のペルシア戦争に関する断片的な記憶は語られる内に次第に変形し、神話世界の御伽噺に吸収されるか、さもなければ日常的な些細な記憶に矮小化されるか、いずれかの道をたどったはずである

P187:
目の前の対象を徹底的に数え上げることと、時間を遡り、ギリシア人と異邦人を等しい立場で対話させること。二つの異なる記述が、縦糸と横糸になって、その交点に、これまで誰も見たことがない世界が立体的に立ち上がってくる

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花の命は短くて…

読んだ本の感想。

越智月子著。2014年10月20日 初版第1刷発行。



2013年が舞台?大学の元ミスコンテスト上位入賞者達が、43歳になって自分達のブランドを立ち上げる話。

人間関係を順位付けしてしまう人達の物語だと思う。かつての大学の美人コンテストで、最も冴えないはずだった女性が、自分よりも高い階層にいる屈辱。

ランク付けする事に慣れてしまうと、常に自分のランクを考えてしまい、衰えていく自分との折り合いがつかなくなる。最上位に慣れてしまうと、低い自分に屈辱感を覚え、自分より低い階級の人間の中での最上位を目指す。

作中では、ミュゲというブランドのプレスという肩書を名乗る事になるけど、野心だけで成功出来るのかな?

【登場人物】
山岸(松岡)苑子:
1989年の準ミス聖泉大学(ミスフォンテーヌ)。夫は浩介(43歳)、娘は結衣(19歳)。太り気味の身体を気にしている。

河西真理恵:
1989年のミス聖泉大学(ミスフォンテーヌ)。娘は清香(高校三年生)。結婚と離婚を繰り返し、池袋のホステスとして働いている。

神林(鮎川)由美子:
1989年の準ミス聖泉大学(ミスフォンテーヌ)。『recolte』のモデル。夫の鮎川伸治は、花房新社の広告部長をしているが、夫婦仲は悪く、作中で離婚する。

P149:
あたし、シンシンが好きだったんじゃなくてシンシンが由美子の旦那だから好きだった

P165:
自分が冴えないから、アクセサリーになる相手なら誰でもいいのかも

P237:
このあたしが、あんな女に負けるなんて
(中略)
女は浮気した張本人の男より浮気相手の女のほうを憎むものだと、昔なにかで読んだけれど、本当だ。やっぱり女の敵は女ってことかしら

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