エデンの命題

読んだ本の感想。

島田荘司著。2005年11月30日 初版1刷発行。



抗議が殺到したであろう本。

以下、ネタバレ含む。

アスペルガー症候群の子供達を集めた「アスピー・エデン学園」に通うザッカリ・カハネが主人公(高校生くらいの年齢?)。同じ学園に通うティア・ケプルタが膵臓の手術のために入院し、そのまま音信不通になる。

その時、弁護士のラス・ヴェガス・ブールヴァード、その愛人コートニィ・ブラックがザッカリ・カハネに接触し、「アスピー・エデン学園」は権力者のための臓器提供者養成所であり、オリジナルであるユジーン・カハネに臓器を提供するために生かされてきたと聞かされる。

ティア・ケプルタも臓器提供のために殺されたとし、生き残るためにはユジーン・カハネを殺すしかないと聞かされ、銃を持ってユジーン・カハネが入院する病院に潜入するが、そこに臓器を摘出されて死亡したはずのティア・ケプルタも入院しており嘘が分かる。

ザッカリ・カハネとユジーン・カハネは双子の兄弟で、「アスピー・エデン学園」はザッカリ・カハネのために建てられた学園だった。ユジーン・カハネ暗殺のために騙されたらしい。

***************

本を読んでいて感じたのは、アスペルガーを記述する困難だ。

P17:
彼女は人の感情に配慮するということが先天的にできない。そして相手が顔に不快感を表しても、その表情の意味が読み取れないからずけずけ話してしまう

P75:
「報復……?」
「解らないかね?」
(中略)
それは君がアスペルガーだからだ。君は社会との関係性の中に生きてはいない

P118:
ぼくは、誰とも親しくなれない人間だった。それは誰と会っても、この人間とは体質が違う、人としての性質が違う、とそうすぐに感じるからだ。対面の瞬間、相手から拒絶の信号が来て、この人とはこの先、どう頑張っても親しくはなれないという確信が来るのだ

⇒これらの言葉は違うと思うし、表現方法が不適切と思う。が、それが何のなのか分からない

並録されている「ヘルタースケルター」は、1969年のチャールズ・マンソンの虐殺事件を題材に、脳障害を負った被疑者を誘導してチャールズ・マンソンの襲撃先を自白させるもの。

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異次元の館の殺人

読んだ本の感想。

芦辺拓著。2014年8月20日 初版1刷発行。



放射光研究施設 霹靂Xでの事故を切っ掛けに、悠聖館での殺人事件が多重解決となる話。閉ざされた悠聖館で、検事 菊園綾子が犯人捜しを行い、間違った推理を発表した時点で、並行世界に移動する。最初の世界に戻るには、正しい推理を発表しなければならない。

<事件>
『海神之間』で私立四錐ヶ原学園 養護教諭 箱中和恵が密室状態で殺される。

一回目の世界:

四錐ヶ原グループ会長:碓氷久達
四錐ヶ原学園教師:長月文彦
悠聖館支配人:土田一郎
四錐ヶ原学園卒業生:杉戸友也
悠聖館従業員:若山ゆみこ
弁護士:森江春策

嵌め殺しのドアの活用したトリック。海神之の間では、元からあった戸口の一つが外され、廊下側から板で覆う等して見えなくされていた(出入り口の位置をずらすため?)。本来のドアを隠し、嵌め殺しのドアを露出して、部屋に鍵がかかっていると誤認させた。よって犯人は、鍵でドアを開けた支配人の土田になる。

⇒間違った推理であったため、菊池綾子は並行世界に飛ばされる

二回目の世界:
以下のように、悠聖館に滞在している人物が微妙に違う。時間は推理発表前に戻っており、嵌め殺しのドアが存在しなくなっている。

四錐ヶ原グループ会長:笛吹久沢
四錐ヶ原学園教師:文月長彦
悠聖館支配人:日田二郎
四錐ヶ原学園卒業生:松戸祐也
悠聖館従業員:小若山ゆみ
弁護士:森江夏策

最初の死体発見時に被害者は生きていたと推理。凶器のナイフが突き刺されたように演技しており、実際の殺人は後で行われた。最初に死体に近付いた松戸祐也が犯人になる。

⇒間違った推理であったため、菊池綾子は並行世界に飛ばされる

三回目の世界:
以下のように、悠聖館に滞在している人物が微妙に違う。時間は推理発表前に戻っており、殺人に使用された凶器は死を演技出来ない日本刀になっている。

四錐ヶ原グループ会長:笛吹究沢
四錐ヶ原学園教師:彦長月文
悠聖館支配人:月田三郎
四錐ヶ原学園卒業生:榎戸祐也
悠聖館従業員:小若屋まゆみ
弁護士:炎河秋策

部屋の中のスライド移動する本棚を利用したトリック。ドアと本棚にテグスを括り付け、ドライアイス等で一時的に本棚を停止させ、本棚が自重で移動する事によって密室になる。事件前に箱中和恵の様子を見に行っていた彦長月文が犯人となる。

⇒間違った推理であったため、菊池綾子は並行世界に飛ばされる

四回目の世界:
以下のように、悠聖館に滞在している人物が微妙に違う。時間は推理発表前に戻っており、部屋の中の本棚は自重で動かなくなっている。

四錐ヶ原グループ会長:笛守秀索
四錐ヶ原学園教師:彦月文長
悠聖館支配人:火田四郎
四錐ヶ原学園卒業生:櫟戸雄也
悠聖館従業員:若宮まゆこ
弁護士:鑫田冬策

若宮まゆこ以外の従業員の存在を指摘。もう一人の従業員が死体を演じ、他の人間がいなくなったところで、見張り番をしていた若宮まゆこと別の場所に保管しておいた箱中和恵の死体を運び込む。

⇒間違った推理であったため、菊池綾子は並行世界に飛ばされる

五回目の世界:
以下のように、悠聖館に滞在している人物が微妙に違う。時間は推理発表前に戻っており、悠聖館の従業員は一名になっている。

四錐ヶ原グループ会長:江森春策
四錐ヶ原学園教師:長文月彦
悠聖館支配人:水田五郎
四錐ヶ原学園卒業生:櫨戸優也
悠聖館従業員:若弓まやこ
弁護士:垚田十太

人物の名前を混同し、菊園綾子は江森春策を弁護士と誤認し、真相を相談して殺されかかる。使用されたトリックは『海神之間』と隣の『天神之間』を誤認させるものだった。『海神之間』の本棚をスライドさせると、隣室の『天神之間』の壁が倒れ、和室から洋室に変貌する。

菊園綾子の一回目~四回目の推理は、偽の扉、死体を偽装、スライドする本棚と真実に近いものだった。

真相を推理出来た菊園綾子はもといた世界に帰還する。

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