アドルフ

読んだ本の感想。

パンジャマン・コンスタン著。昭和29年6月5日 発行。



1816年に公刊された本。パンジャマン・コンスタン(1767年~1830年)の作。

著者には政治家としての側面があり、1830年の七月革命にも参画しているらしく、文学者としてよりも政治家として有名なのだとか。

主人公アドルフの22歳~26歳の物語。10歳年長のポーランド人エレオノールと恋仲になり、情夫である伯爵から奪う。しかし、自分のものになった途端に情熱が失せ、最終的にエレオノールが病死してアドルフは自由になるが、その後の人生を何一つ決まった道を辿る事無く終えたらしい。

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P3:
遠くからだと他人に与えている苦悩の姿は、楽に通り抜けられる雲のような、茫漠としたものに見える。自分は世間の承認によって力づけられている。ところでこの世間ときたら、不自然極まるもので、規則で道義を、儀礼で感動を補い、醜聞を憎むけれども、背徳的だからといって憎むのでなく、うるさいから憎むというのである。その証拠には、醜聞さえなければ、悪でも結構歓迎している。

⇒冒頭のこの言葉が全体のテーマだと思う

主人公は、周囲からの抵抗や反対をもって情熱に変えていると思う。アドルフが最初に冷めるのは、父親からエレオノールが居住する町に滞在する期間延長を許可されてからであり、抵抗する事により自由を感じているのかもしれない。

アドルフの父親は息子に対しても内気であり、観察者として息子に接し、息子が愛情を示さない事を嘆く。

P37~P38:
P***伯爵は彼女に対してまことの愛情を抱き、その献身に対しては心からの感謝を捧げ、その性格に対しては非常な尊敬を払っていた。だが彼の態度にはいつも、何かしら、正式な結婚もせずに公然と身をまかせた女性を上から見下している、といったところがあった。
(中略)
私は彼女を天上の尊い創造物のように考えていた。私の恋は宗教的な性質を帯びていた。ところで、彼女はその反対の方向におとしめられはすまいかと絶えず怖れていただけに、私の恋はいっそう彼女にとっては魅力のあるものだった。

P69~P70:
激し易い女性が力や理屈の代りに使うあの苦しみの示威運動を、人々はどうかすると本当のものと信じたがるのです。心はそれに苦しみながら、自尊心はそれを悦ぶのです。そして、自分が引起した絶望に身を捧げていると思いこんでいる男も、実は、自分自身の虚栄心の錯覚にわが身を犠牲にしているにすぎないのです。世間にざらにいる情熱的な女で、棄てられたら死んでみせると言わなかった者は一人もありますまい。そのくせ、みな結構生き永らえて、けろりとしているのですからね。

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