この6つのおかげでヒトは進化した

読んだ本の感想。

チップ・ウォルター著。2007年8月20日 初版印刷。



結論ありきと思った本。器用な手先が言語を生み出したという意見は乱暴だし、笑い、涙、キスは無理矢理な気がした。

進化によって獲得した以下の遺伝形質が人間的精神形成に寄与したという意見。

①足の親指
人類の足の親指が現在のようになったのは、紀元前500万年頃と推定される。足の親指は歩行時に全体重の約40%を支え、猿人のナックル走行に比較して、歩行時の消費カロリーを2/3にする事が出来る。

直立二足歩行は人類の骨盤の変形させ、人類の乳児は、妊娠中は腹側を向いているが、出産直前に回転し、背中側を向いて生まれてくる。このように困難な出産のためか、人間の未熟な形質を残したチンパンジーと言える。

チンパンジーの出生時の脳の大きさは成体の40%であるが、人間は23%である。そのため、出産後も長期間は家族からの保護が必要であり、成長期が長く継続する事が人間を学習する動物にしたとする(本能に対する学習の優位)。

②手の親指
人間の親指は、握る形で小指や薬指に触れる事が出来る。これは人間のみに出来る事であるらしい。

器用な手指を使用して道具を作る事は脳を再構成する事に繋がる?

言語を処理するブローカ野もウェルニッケ野は言語を音だけでなく、動きとしても捉えているらしい(言語中枢を損傷した聾啞者は、手話を上手く出来なくなる)。

③喉
人間は直立したために喉が長くなり、喉頭の位置が下に下がった。

霊長類は鼻孔から肺まで一本の気道が繋がり、別の管が口を胃を結んでいるが、人間は喉の奥で交差している。人間は、肺と胃を分かつ喉頭蓋を発達させ、それが細かい発声に使用される。

前頭前野:
脳内で最も新しく進化した領域。紀元前30万年後から、脳の大きさを30%~40%増大させたとする。優先順位を付け、行動を抑制する機構。

⇒前頭前野における象徴を認識し、型に従って並べる事は、言語に欠かせない能力とする

④笑い
笑いには伝染性があり、同じ事で笑う事で信頼関係を築く事が出来るとする。

人間が笑いを発達させたのは、保護を訴える機能とする意見がある。赤ん坊が笑う事が親への贈り物となる。

⑤涙
涙による感情伝達。

情動によって分泌される涙は、目に異物が入った時に分泌される涙より、副腎皮質刺激ホルモンやプロラクチン(女性の母乳を作るホルモン)が多量に含まれるとする。

女性は男性よりも泣く傾向があるが、特にプロラクチン値が高い女性は、敵意や不安を感じ易く泣き易いらしい。さらに、男児と女児の泣く頻度に違いは見られず、プロラクチン値に違いが見られる12歳~18歳にかけて女性の方が泣き易くなるという研究結果がある。

涙は強い感情を表現するコミュニケーション手段でもある。

⑥キス
愛情を示す手段。

しかし、文化的にキスの習慣が無い人々もいる。

⇒この辺りの章の記述は何が言いたいのか良く分からなかった

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お腹が減った

何も食べていないから空腹になっている。

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正月前夜

しばらくは、外出しても行く場所が無くなると思う。

何をして時間を消費するか今から悩んでいる。

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天皇と官僚

読んだ本の感想。

笠原英彦著。1998年12月4日 第一版第一刷。



日本の中央集権化は蘇我氏を中心にして六世紀中葉以降、段階的に進められ、七世紀に加速したとする。

古代中国では秩序安定のために律が令に先立って編纂されたが、日本では統治機構整備のための令の編纂が優先された。中央集権化は官僚機構発展を促進し、令によって官僚に公的身分秩序や規範を提示する。

日本の官僚制は、壬申の乱を契機に飛躍的に高まった天皇の権威を背景に、持統朝期に基礎的枠組みが設定されたとする。

<大化の改新以前>
蘇我氏の専横が実態以上に誇張されているとする。推古女帝崩御後の皇位継承問題では、蘇我蝦夷が強く自己主張出来ない様子が日本書紀に記述されており、強い権力主体不在を印象付ける。

大夫という政治的地位が形成されており、大王の下で朝政に参議したとする。推古女帝が「必従群言」と山背大兄王子に遺言している事から、大夫層の政治的強さが伺える。

乙巳の変は、豪族による覇権争いであり、政変後発足した政権も連合政権であったが、唐制に倣って内廷と外廷が一体化されていく過程でもある。

<持統天皇>
皇位安定化のために、自分の子孫に天皇位が受け継がれていく体制を作る事を目指す?壬申の乱の功臣に対抗するために、律令官僚として藤原不比等を重用。

それまでは兄弟間での皇位継承が一般的であり、直系相承は慣習化されていなかった。幼帝でも政治が行えるように、官僚制を整備していく。

天武帝においては、皇親政治を志向し、執政権を持たない太政官(豪族を納言として収容)と大弁官(官司に勅命を伝える)を組織し、中央集権体制を採用した。

浄御原令では、太政官と大弁官を融合して臣下が政治参加出来るようにし、納言を再編して大納言を執政官、少納言を秘書官とした。

⇒指揮命令系統を整備し、文書行政に対応したシステム

******************

〇太政官
律令制の最高統治機関。

唐の中央統治機関としては、尚書省(統括的に行政を指揮)、中書省(詔勅等の起草)、門下省(詔勅を審議)という三省からなり、各省が牽制し合う事で皇帝の権力が保たれるとする。

日本では、太政官に権力が一元的に集中する。すなわち太政官となった貴族官僚が実権を握る。前王朝を打倒した現実の覇者である中華皇帝と、万世一系という宗教的権威である天皇の違いとする。

七世紀後半を通じて形成された太政官は、八世紀初頭に完成し、八世紀後半以降に安定期に入ったものと思われる。

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古代日本においては、壬申の乱を契機に天皇の権威が高まり、持統朝期に律令国家の基礎的枠組みが定められたとする。畿内では天皇と貴族の権力が対置されたが、両者は全国支配確立については利害が一致しており、律令法上は天皇の超法規的位置付けを承認し、太政官に結集した貴族が天皇の意思を審議する体制が形成された。

畿内政権は地方領主を通じて地方を支配しており、中国の律令では禁じられていた所部からの供給や伝統的な贄を認める等、大幅な自立性を在地領主に持たせていた。

やがて地方統治における天皇への政治的需要が低下し、宗教的権威としての位置付けが強まっていく事になる。

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たった1日で即戦力になるExcelの教科書

読んだ本の感想。

吉田拳著。2014年11月25日 初版 第1刷発行。



Excelで仕事をするとは、単純化すると「表を作る」事である。それは、以下の二種類に分けられる。

①データベース作成
情報を定期的にExcelシートに入力していく作業。最初に入力項目を決定する際に、細分化した項目にしておくと便利。さらに、入力規則も予め設定しておくべき。

②資料作成
既にExcelシートに入力されている情報を材料にして書類を作成する作業。基本は以下の3つ。
 (1)データベースを縦軸と横軸からなるマトリックスに変換
 (2)項目を再設定する
 (3)定期的に作成する資料では、関数を初期設定する

*************

データ分析の基本は、数字を「分けて」「比べる」事。

数字を「顧客別」、「地域別」等の細かい切り口で分解し、分解した数値を基準値(前年度の数値等)と比較する。

以下の3つの基本指標。

①前年比:過去からの増減
②予実比:目標を達成したか
③構成比:数字の内訳

実数は比率を使用して表現する事で説得力を持つが、逆に比率を実数で表現する事で判断を補足出来る。そして、変化し難い構成比の変化により、本質的変化を予見出来る。

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戦国の陣形

読んだ本の感想。

乃至政彦著。2016年1月20日 第一刷発行。



戦国時代の陣形について。

兵種別編成によって組まれた旗隊、弓隊、鉄炮隊、長柄隊、騎兵隊を運用する「五段隊形」が陣形の基本だったとする。

<律令時代>
日本で陣形が導入されたのは律令制時代である。

683年に、天武天皇が「諸国習陣法」の詔を発して陣形を諸国に習わせている。さらに、693年には陣法博士が諸国に教習のため派遣されている。9世紀の『令義解』軍防令には、「陣列之法」が伝えられており、一部隊50人を定数とし、前列25人・後列25人を配していたらしい。

天武天皇は中央集権化を進め、国内外に向けた帝国を築くために軍団を作ろうとしたのかもしれない。

しかし、海外との軍事的緊張が緩和されると、大規模な軍団制は維持困難になっていく。さらに、ゲリラ的に戦う蝦夷に対して、隊列で戦う軍団は有効に機能せず、健児(少数精鋭の騎馬兵)が重視されるようになっていく。792年に軍団制は廃止された。

<中世前期>
鎌倉幕府等でも、中小規模の私兵が集まって、個別の集団で戦った。

以下の特徴。

①人数任せと少数精鋭
人海戦術が幅を利かせたが、軍のまとまりが無いために士気旺盛な寡兵が善戦する事もあり、壮絶に敗死する武士が名を残した。

②騎兵主体
騎兵が主力であり、楯兵と弓兵が補助した。しかし、総大将による統制は無い。

③不定型の陣形
散兵の寄せ集めの領主別編成軍。

〇大塔物語(足利時代の軍記文学)
信濃守護 小川原長秀と国一揆との間で1400年に発生した紛争を記述。小笠原隊は敵騎兵37騎に対し、150人~160人の弓兵で迎撃したものの、7騎~8騎しか打ち落とせていない。甲冑を着用した騎兵を弓で倒す事は困難であり、騎兵に騎兵で当たる戦術が展開されたらしい。

<戦国時代>
上杉謙信や武田信玄の軍事改革。東国の大名である上杉、武田、北条は個人の集積である「軍勢」を組織的に機能する「軍隊」へ作り変え、それが江戸幕府にまで影響したとする。軍役定書(編成する兵の動員人数と武装内容を指定する文書)は、戦国時代では上杉、武田、豊穣にしか認められていない。

以下が戦国時代における変化。

①鉄炮の普及
騎馬武者が飛び出して敵勢を圧倒する戦術が、使用難度の低い鉄炮によって封殺された。

②足軽・雑兵の台頭
武士でない出自の戦闘員 = 足軽を活用する事で、組織戦に使い勝手の良い歩兵が大量に補充された。

③大名への権力集中
各地に疑似国家的勢力が出現した。

〇鴉鷺合戦物語
享徳~文明(1452年~1487年)の作とされる。陣形の基礎とされる八陣について、以下の三系統の概念を記す。

①諸葛亮
大将の八陣を囲む正方形の八部隊。

②李善
唐代の知識人 李善(620年頃~690年)の「雑兵書」に出典がある八種類の陣形。

③張良
張良が編み出したという八陣(魚鱗、鶴翼、長蛇、偃月等)

以下は、Wikipediaの「陣形」の記事へのリンク。「八陣図」について書いてある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%A3%E5%BD%A2

◎武田
武田信玄に仕えた山本勘助が「諸葛孔明八陣の図」を提唱。ただし、山本勘助の種本である「軍林宝鑑」には彼の言うような八陣は無い。「甲陽軍鑑」品第二十七では、山本勘助が神明にかけて、「軍学を体系的に学んでいない」と告白しているらしい。

しかし、武田信玄は山本勘助の建策により、陣形の素朴なルールとシステムを作り、各部隊が定型の陣形(魚鱗や鶴翼等)を実用出来るようにしたらしい。

「甲陽軍鑑」によると、中国の兵法書等を参考に、定型の陣形を定めたらしい。

◎上杉
1548年に塩田原にて武田と戦った村上義清の影響があるらしい。

200騎の騎兵隊と200人の鑓持ち、150人の弓兵と50人の鉄砲隊を兵種別に編成し、最初に弓や鉄炮で攻撃し、騎兵等が切り込んだ事で武田信玄を負傷させたという。

著者は、これが中世で初めて兵種別の兵が連携して戦った例とする。

結局、村上義清は武田に敗れて上杉家まで亡命するが、彼の影響で上杉家の兵装が変化したとする。『上杉家御年譜』等では、鉄炮、弓、鑓、旗、騎馬を兵種別に編成しており、戦術が整備された様が伺える。

<江戸時代>
徳川幕府は、1616年に元和軍役令を下して編成を定めた。

1万石分の割り当ては、鑓52%、鉄炮21%、騎馬14%、弓10%、旗3%となっている?参勤交代も五段隊形を型通りに組ませて、軍事力維持を目的にしていたとする。

戦国時代において定型の陣形をを活用したのは武田信玄のみであり、他は自由に並び替える五段隊形を採用したとするが、天下泰平が長引くと、軍学者達によって陣形が机上にて再発見されていく。

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なぜADHDのある人が成功するのか

読んだ本の感想。

トム・ハートマン著。2006年9月25日 初版第一刷発行。



人類を以下の二種類に分け、ADHDを狩猟に適応した人間とする?

①狩猟民
兆候空間優位として、微かな兆候を強く感じ、その事態が現前する如く憧憬する。先取り感覚は疲れ易さとも結び付く。現在を中心に前進する。

②農耕民
前例や秩序、貯蔵を重視する。過去を振り返り、過去に基づいて未来を占う。

*******************

狩猟民として適応するために、以下の能力を身に付けたとする。

①注意
すぐに注意を逸らし、絶えず周囲に目を配らなくてはならない。

②同時進行
同時に複数の獲物を追いかけるために、複数の作業を並行して行う。

③危険麻痺
狩猟社会では危険を冒す事を恐れてはならない。

④衝動性
状況変化に対応出来るよう、決断が速い。

狩猟民の時間間隔は非常に速いか遅いかのどちらかで、その瞬間で興奮したり、退屈したりする。現代社会では、ADHDの影響を抑えるために有酸素運動を取り入れる人間がいるが、大量のカフェインを摂取する事で生活に適応する人間もいる。

******************

狩猟民としてのADHD者が成功するには、刺激が強い仕事や高い創造性が求められる仕事をするべき?

セールスマンが最も一般的な仕事であるが、ADHD者はセールスが完了した後の書類作成や長期の関係を結ぶ事が苦手だったりする。解決策として農耕民型の人間と組むべき?

以下は、ADHD者が会議で心がける事。

①目標を立てる
会議での目標を文章にまとめておく。限定され、実際の行動と結び付く目標を定める事で会議時間を短縮可能。

②計画表を作る
目標に到達する道程として、会議の予定表を示し、計画通りに会議を進める。

③目標に集中する
④会議内容を簡潔に纏める
⑤会議中に自分の言いたい事をメモしておく
ADHD者が他人の話に割り込むのは、その瞬間に喋らないと、話す内容を忘れてしまうから。それを防ぐために、他人が喋っている最中に言いたい事を思い付いたら、忘れないようにメモしておき、自分が話すべきタイミングで話す。

⑥枠組み
会議の形式は、目標に沿ったものにするべき。

⑦分割
長い会議は複数回に分けて行う。定期会議も良いかもしれない。

*****************

ADHD者には起業家としての可能性がある。

個人主義、創造性、物事を始める能力は、自分の会社を持つ事に繋がる。

注意すべきは、自分無しに業務が出来ないような枠組みを作らない事。ADHD者は事業の初期段階では能力を発揮するが、計画や養成が必要になった段階で能力を発揮出来なくなる可能性がある。

事業が中年期に達した時点で、農耕民型の管理者に頼るべき。

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子どもの脳と仮想世界

読んだ本の感想。

戸塚滝登著。2008年2月27日 第1刷発行。



著者は、社会変化を怖がっているのだと思う。

生活が変化する事によって、自分では理解出来ない人間が育成されていく恐怖。トレードオフの法則として、子供に仮想を与えるのと引き換えに現実的能力が失われるとし、本物の体験を優先すべきと主張する。それは自分に理解出来る子供であって欲しいという儚い願いだ。

『海の上のピアニスト』という映画の話を、著者はP237~P238辺りで引き籠りに准えて書いている。子供の時から客船の中で育ったピアニストが成長しても新しい世界に踏み出す事が出来ず、ピアニストは廃船となった客船ともに海上で爆破される話。

そのピアニストは著者自身の姿だ。発展しつつある仮想世界には無限の可能性があり、複雑過ぎて理解出来ない。苦痛に満ちた変化よりも、自らにとって居心地に良い現実世界が主流でいて欲しいと願う。しかし、著者の考える現実世界は幻想だ。



*******************

<子供達の変化>
1950年代:
テレビの登場。

1960年代:
テレビが普及し、視覚と聴覚の突出が始まる。

1970年代:
カラーテレビの普及。視力、体力の低下が始まり、視覚と聴覚が肥大する。

1980年代:
パソコンとテレビゲームの登場。視覚がさらに突出する。運動能力は低下し、注意力が散漫になる。

1990年代:
インターネットの登場とマルチメディアの普及。視覚と聴覚がさらに肥大し、両指が肥大し、脚力が弱まる。

2000年代:
デジタルテレビ、携帯電話、インターネットの普及。視覚と聴覚が異様に肥大。両指先がさらに突出。

仮想世界が普及する前の時代と比較して、現代の子供達は猛烈に速く喋り、身体や手足は世話しなく、視線や表情の変化が激しいとする。そして、昔と比べて膨大な知識を持ち、難しい言葉を話し、身振り手振りを頻繁に使う。注意力や集中力は持続せず、話題や関心毎がすぐに変わる。

仮想空間に適応する事で、現代人は異なる生物になりつつあるのかもしれない。

<汽水域の概念>
海水と川水が混じり合う場所。二つの異なる流れが渦巻くため、潮流が不安定。人間は子供時代の終りに迎える危険な時期を汽水域に准える。

サンタクロースを信じた時代から、現実を知る時代への変化。

情動と結び付いた思考や道徳的判断を司る「前頭葉腹内側部皮質」は、子供時代の終りになって協調して機能し始める。周囲との意思疎通の中でモラルを築くとする。

⇒モラルの形成には時間がかかる

2006年に脳神経科学者ジュディス・ラポポート博士が行った研究では、高い知能を持つ子供(知能指数122~149)の脳は灰白質層の増え方が遅い特徴があるという。普通の子供は灰白質が6歳頃、やや知能が高い子供は9歳頃に最大になり、高い知能を持つ子供は11歳でも最大に達しない。

⇒高い知能は遅く成長する

思春期の到来は、脳の基礎工事が終わり、脳の可塑性が失われていく時期の始まりでもある。

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どうようの変化が人間社会でも発生しているかもしれない。これまでの社会全体の増大期から、刈り込みを行う時期への変化?

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「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

読んだ本の感想。

エマニュエル・トッド著。2015年5月20日 第1刷発行。



ドイツが欧州の支配権を握っているという主張。

ドイツ内のみに限定すれば経済的不平等は許容範囲内だが、欧州全体で見れば、ドイツのシステムは東欧や南欧の低地賃金によって支えられている。ドイツ圏の国々は、自らが投票出来ないドイツの政治機構に支配されており?諸国民の階層が形成されている。

アメリカシステムは、ユーラシア大陸の二つの産業国家、日本とドイツを米国が操作する事で形成されているが、アメリカシステムは米国の産業規模が明確に優越している場合のみ機能する。

以下のドイツシステムの興隆は、米国とドイツ間に紛争が起こる事を示唆する?

ドイツシステム:
部品製造を部分的に東欧州に移転し、安い労働力を利用。国内では労働者の給与総額を抑制(2000年代で平均給与が4.2%低下)。さらに統一通貨ユーロにより、他のEU諸国がドイツに対する平価切下げを妨げられる中、ドイツからの輸出のみが一方的に伸びる経済圏を作ったとする。

⇒EUの問題は、ドイツの貿易黒字が大き過ぎる事?

ドイツは直系家族(長男を跡継ぎとし、両親と同居し、他の兄弟姉妹を長男の下位に位置付ける農村の家族システム)を価値観として伝えており、特定ニッチに対して品質等で決定的強味を持つグローバル中小企業を排出し易いとする(日本、スイスのドイツ語圏、フランスのヴァンデ地方・ローヌ=アルプ地方も同様)。

⇒権威主義的価値観により、国民が相対的低賃金を甘受する?

⇒権威主義的文化は、硬直性と指導者の心理的不安定という二つの問題を常に抱えている。



フランス文化では、パリ盆地の家族は子供達が自律的家族ユニットを築くのが当然であり、普遍的人間という概念を持つ。このシステムでは自由と平等という価値観が重視される。

ロシアからのガスパイプライン到着地点は全てドイツであり、ドイツは欧州のエネルギー供給を支配している。脱原子力発電はドイツの戦略かもしれない。

著者は、ドイツ帝国を以下のように分類している?

①ドイツ
②ドイツ圏
(ベネルクルス、オーストリア、チェコ、スルベニア、クロアチア等、ドイツへの経済的依存度が高い国々)
③フランス(自主的隷属)
④ポーランド、スウェーデン、フィンランド、バルト三国
(ロシア嫌いの衛星国)
⑤その他のEU諸国

⇒英国は離脱途上としているが、全てを足せば2012年?時点で人口5億人、GDP12兆ユーロ程度の大国となる?

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兵器と戦術の世界史

読んだ本の感想。

金子常規著。2013年10月25日 初版発行。



細かい知識を披露する本になっている。著者が主張したいテーマがあるようだけれど、それを冒頭で纏めて記述していれば分かり易い内容になった気がする。

近代の戦いを、豊かな国の火力と貧しい国の人海戦術との対比で考えている?火力軽視の精神主義は第二次世界大戦の日本軍に限った事で無く、当時のフランス軍や朝鮮戦争時の中国軍等にも見られた現象としている観点は斬新かもしれない。

世界史としつつも、第一次世界大戦、第二次世界大戦に内容が偏っている点も気になるかな。

*************

第二次世界大戦時の日本軍が火力軽視に陥ったのは、戊辰戦争から第一次世界大戦まで、常に日本軍が攻者として戦っていたからかもしれない。

近代戦において防衛者は強靭であり、それを突破するには損害を覚悟した白兵突撃行動か火砲の集中射撃が現実的である。

日清戦争、日露戦争では砲弾や火薬不足の問題が度々発生しており、資金不足の日本では精神力が重視されるようになっていく。日露戦争での消耗小銃弾は9922万発、砲弾は99.2万発であるが、ロシア軍の負傷者の内、砲弾によるものは14%であったという。

火力軽視は日本軍だけの傾向でなく、フランスとドイツの対比でも明らかになっている。第一次世界大戦後のフランス軍は、敵軍の戦車によって敗北した経験が無く、むしろ自軍の戦車が大量に故障し、また、独軍火砲に破壊された経験から、戦車を軽視して補助兵器と見做していた(英軍も同様)。

戦車に敗れた経験を持つドイツは異なり、1935年には三つの装甲師団を保有するに至っている。

朝鮮戦争においては、中国軍が大量の突撃部隊によって米軍の弾薬を消耗させる人海白兵突撃戦略を採用し、米軍は大量の弾薬で対抗する事になる。

*****************

P58~P60に中世イタリアにおけるマキアベリの失敗についての記述がある。フランス軍の大砲が過大視されていたが、損害が少ない事に注目し、歩兵が若干の損害に拘らずに突進すれば勝てると主張した(ローマのレギオン隊形を採用すべきとした)。
しかし、彼の市民軍は防衛に意欲を持たず、実戦では二門の大砲射撃だけで戦意を喪失した。その後のマキアベリは著作に専念し、ローマ軍を模範とした国民軍隊創設を主張した。

⇒本書の残り部分を読むと、むしろ火力を重視するべきだったのではないかと思えてくる

P292:
戦車が万能のように見えたのは、相手が対応の手段を見い出すまでの一時的な現象にすぎないが、勝利は、この現象の有効な間を十分に利用し、あるいはその終末を見極めた側にある。連合軍は、初期に戦車に対応する手段を見い出せずに失敗したし、独軍は、中期から戦車の活動にある種の限界がきたことを悟ることが出来ず、いつまでも万能の夢からさめなかったために自国の命運を失ってしまった。

◉クラウゼヴィッツ理論
ナポレオンに対抗するため徴兵制による新軍を主張。

母国プロシアの特性に合わせ、速戦速決を至上命令に、最初に定めた武器・弾薬・用法で遮二無二突進すべきとする。戦争中の技術変化は考慮しない。

指導者は技術の能力、限界を知るのみで内容まで知る必要は無いとした。歩兵、砲兵、騎兵について、歩兵は人口、騎兵は馬匹数、砲兵は財力を基礎としているとした。砲兵は強力であるが、騎兵のような運動性が乏しい問題がある。

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この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた

読んだ本の感想。

ルイス・ダートネル著。2015年6月20日 初版印刷。



人間社会崩壊後に、文明を再起動する方法を考える。そこから、人間の歴史を概観出来ると思う。

以下は、「The-Knowledge.org」へのリンク。

http://the-knowledge.org/en-gb/

◎物理学者リチャード・ファインマンへの質問
Q:
大惨事後の知的生命体に最も少ない単語数で最も多くの情報を伝えられる文章は何か?
A:
原子仮説。全ての物質は原子から構成されており、永久に動き回る粒子は、離れている時は引き合うが、押し付けると反発する。

第1章 僕らの知る世界の終焉
人間社会が崩壊し、社会契約が破棄される状況について。

著者が想定するのは、疫病の流行等によって急激な人口減少が発生し、技術文明の基盤が残置された状況?

第2章 猶予期間
人間社会が崩壊した場合、都市は人間が住めない環境になると予想する。

都市を資源発掘場と考えれば、知識やヨウ素錠(浄水用)、食料、医薬品、発電機等。

1990年代のボスニア戦争にて、三年間をセルビア人勢力に包囲されたゴラジュデ市が独自の水力発電装置を建設した例。ドリナ川にバドル型水車を取り付け、自動車のオルタネーターを動かした。

第3章 農業
現代農業で栽培される作物の多くはハイブリッドであり、二つの近傍系を交配させる事で生産される。純種を生む事が無いために、在来作物の種子を確保しなければならない(ロンドンのミレニアム・シード・バンクやノルウェーのスワールバル世界種子貯蔵庫等)。

農業を同一の農地で継続すると、人間の消費用に栄養素が土地から取り除かれていくため、窒素(蛋白質を形成する)、リン(エネルギー移動)、カリウム(水分損失を減らす)等を定期的に補充しなくてはならない。

現代農業は20世紀初頭と比較し、一エーカー当たりで二倍~四倍の食糧を生産するが、石油を多量に消費している(食料一カロリーについき、10カロリー分の化石燃料)。

〇ローム
耕作最適地。40%の砂、40%のシルト、20%の粘土が混ざる。粘土土壌を簡単に砕ける状態に維持するためには石灰を撒く必要がある。

〇耕耘
硬い土壌を軟らかくして、表土を均らす等の機械的作業。耕す事で雑草を除去し、肥料をすきこむ。種まき機等で種を一定間隔で植えておけば土地を無駄にしない。

〇ノーフォークの四輪作法
窒素を土中に注入する植物(エンドウ、クローバー、大豆、ピーナッツ等)を利用する農法。

以下を輪作する。

①豆類
土壌の肥沃度を高める。
②小麦
土壌の肥沃度を利用する。
③根菜(蕪、飼料ビート等)
畝の間の雑草を抜く事が出来る。
④大麦

根菜導入以後の欧州では、大量の家畜を飼育可能になった。スウェーデン・カブ等は二年生植物なので、冬季まで土中に残しておき、家畜の栄養補助に活用した。

〇肥し
一人の人間は年間50kg程度の便を出し、その10倍の尿を排出する。これは約200kgの穀類を生産するために必要な窒素やリン、カリウムを含むとする(有機廃棄物一トンを密封した状態で保存すれば、嫌気性細菌により50㎥のメタンガスを生産出来る。石油40lに相当)。

病原となる菌等は65℃以上で熱すれば死ぬため、低温殺菌が必要になる。それは葉以外の植物部分を糞便に混ぜ込み、定期的に攪拌する状態を数ヶ月続ける事で発生するらしい。

他に、リンは骨に多く含まれ(1841年に建設された世界初の肥料工場では、硫酸を食肉工場からの骨粉と反応させた過リン酸を販売した)、カリは木灰から抽出可能(1870年代にはカナダの森が欧州肥料の主要原産地となった)。

第4章 食糧と衣服
〇調理
調理を可能にしたのは、土器による技術革新だったとする。土器は外部から追加された「胃」として食物を事前消化する。

〇保存
最も簡単な食料保存法は乾燥させる事である。乾燥食品とは考えられなくとも、砂糖が微生物から水を引き出す事で繁殖を抑えるジャム等も乾燥食品と言える。塩漬けした食品も同様。

燻製は、木材を不完全燃焼させる事で得られるクレオソートを食物に染み込ませる手法。酸性代謝物を排出する細菌の繁殖を促す方法もある。

現代的な冷却技術では、冷媒(蒸発させるのに熱エネルギーが必要)の蒸発と放出を繰り返す方法。簡単なのは、アンモニア等の冷媒と水と混合し、熱する事で分離させ冷却サイクルに入れる。熱を利用した冷却方法。

〇衣服
短い繊維の塊を長い糸に変える事から始まる。粗紡をほぐして紡ぐ作業、直角に交わる二組の糸から布を作る作業、布を体に合わせる作業が必要になる。

第5章 物質
〇木炭
木材を燃やす時に、使用される酸素量を制限する。水等の気化し易い揮発性物質が取り除かれるため、重量が半分近くになるが、燃え易くなる。

燃焼時の可燃性ガスを凝縮した木酢はアセトン、メタノールで出来ている。

〇石灰
貝殻等を構成する炭酸カルシウムには、酸性土壌を中性にする作用がある。900℃で熱した炭酸カルシウムは生石灰(酸化カルシウム)となり、腐敗臭を抑える。生石灰を水と反応させた消石灰(水酸化カルシウム)は、水と混ぜる事で浄水に活用出来る。

〇石鹸
油脂が材料。油脂の分子は、三つの脂肪酸炭化水素が一つの結合物質と結び付いたものであり、アルカリで加水分解する事で石鹸となる。脂肪酸塩は、炭化水素を油中に埋め込み、他の部分は水に溶け込むため、油脂の汚れを洗い流す事が出来る。

アルカリは、灰を水に混ぜ、その水を沸騰させる事で入手出来る(カリ)。他に簡単に入手出来るアルカリはアンモニアとする。

第6章 材料
〇粘土
アルミノケイ酸塩鉱物の細かい粒子から成る。900℃以上で熱すると、ガラス状の不純物が溶け出し、ガラス状となる。釉薬(が明日質の物質)に浸す方法や、窯の中に塩を入れて熱し、ナトリウム蒸気と粘土中のシリコンと融合させる方法等。

〇石化モルタル
消石灰を少量の砂、水と混ぜるとモルタルになり、煉瓦のつなぎや漆喰になる。ローマでは消石灰と火山灰を混ぜて強度のある建築材料(セメント)とし、水硬性材料としてアフリカ北岸の自然の港が無い地域の開発に活用したらしい。

近代のセメント製造方法は1794年に発明され、石灰岩と粘土の混合物を1450℃で焼いて製造している。

〇ガラス
ガラスは紀元前3000年頃のメソポタミアで発明された。1650℃と融点が高い二酸化ケイ素から造られ、ソーダ灰等の融剤を使用して融点を引き下げている。顕微鏡や実験器具等、科学において重要な物質。

第7章 医薬品
近代まで都市は衛生状態の悪さによる死亡率の高さのため、周辺部から移住者が流入する事で人口を維持していた。アイデアや交易促進は、そのリスクがあっても重要なものであったと思われる。

医療介入が無い場合の出産は極めて危険であり、産科鉗子等の器具は1600年代に始まっている。さらに、医療関係の実務技術を書物からのみ手にする事は極めて困難とする。

特定技術よりも「思想」を残す事が現実的?であり、公正な試験(史上初の臨床試験は1747年)により、実際に効果があるか見極めるシステムを構築するべき。

ペニシリンの発見過程を再現する事を想定すると、薬効ある黴を探すために、ペトリ皿に牛肉から抽出した栄養を入れた海藻由来の寒天で固めた培地を作り、そこに鼻から取り出したブドウ球菌をつけ、様々な真菌胞子の発生源にさらす。そして、細菌繁殖を抑制している黴を探す。

一人当たりに処方されるペニシシリンの一日分を生産するには2000lの黴汁が必要であり、高度な組織力が必要になる。

第8章 人びとに動力を―パワー・トゥ・ザ・ピープル
著者が自宅の年間エネルギー消費量を計算すると、1万4000kw弱となり、これは乾燥した木材3トン(木炭1.7トン)に換算され、入手するには2K㎡以上の雑木林が必要な計算となる。しかも、可燃性燃料は非効率なので、実際にはその何倍もの木材が必要となる。

ちなみに、米国の一人当たり年間エネルギー消費量は9万kwであり、14頭の馬を年中無休で労働させた力に匹敵する。

古代からの動力は水車や風車を活用するものであり、特に風車は高度な技術が必要になる。

〇電気
最初は電池が発明された。伝導性ある液体(ペースト)を二種類の金属で挟めば、電子が金属間で移動する事で一定の電流が発生する。ボルタ電池(1800年)は、銀と亜鉛の円盤を、塩水に浸した紙の束で挟んで、交互に重ねる事で作られた。

鉛蓄電池は、両極に鉛の板を使用し、硫酸の電解液に浸す。充電中は正極が酸化鉛、負極が鉛地金となり、放電すると逆になる。

⇒金属の化学エネルギーを使用

より大規模な電力活用には、磁石を電線の周囲で動かし、動力を電力に変換する。

第9章 輸送機関
機械化による輸送が出来ない場合、畜力を活用する?

1989年にソヴィエト連邦の勢力圏が崩壊した事を受けて、キューバでは化石燃料調達が困難になり、4万台のトラクターの代わりに40万頭の牛や馬が育成される事になった。英国や米国で農耕に動物を使用した最盛期は1915年前後であり、畜力の活用はそれほど遠い昔ではなかった。

第10章 コミュニケーション
〇筆記
木材パルプから作成する紙は近代的技術で、19世紀末まで亜麻布をリサイクルして紙を製造していた。紙を作る繊維は様々な植物で細胞同士を結ぶ構造分子(セルロース)から出来ている。

セルロースはリグニンによって補強されているため、苛性アルカリ溶液(消石灰等)に植物を数時間浸して加水分解する事でセルロースと分離させる。セルロースの白い繊維が浮かび上がるはず。

セルロース繊維を裏漉しし、篩の上でマット状にして乾かせば紙になる。

〇印刷
15世紀の印刷技術のためには、油性塗料が必要だった?それまでの没食子インク(鉄の化合物と虫こぶからの抽出物カリウムとタンニン酸の混合)は水溶性であり、煤(油を燃やした時に回収)と胡桃油、松脂等を混合した新しいインクをグーテンベルクは活用した?

第11章 応用化学
〇電気分解と周期表
例えば、塩水に電流を流すと、陰極から水素ガスが回収され、陽極からは塩素ガスが出る。このように電気分解は物質の構成要素が元素である事を示す事が出来る。さらに、原子を結び付る機構が電磁気と関係している事も示す。

そこから、元素は似たような性質の元素と一団を形成する発想が出来上がり、同様の性質を持つ元素を並べる事で周期表となる。周期表により、未だに見つかっていない物質を予測する事が出来る。

1930年代からは周期表は技術的に生み出された元素を組み込んでいくことになる。陽子と中性子で原子核が膨れ上がり、即座に崩壊する原子。

〇爆発物
黒色火薬は、木炭(燃焼、還元剤)と硝石(酸化剤)を混ぜ、元素状硫黄を振りかける事で出来た。同量の硝石と硫黄、その六倍の木炭燃料。

熟成した堆肥には窒素を硝酸塩に変える細菌が生息している。硝酸塩は水に溶け易いため、石灰水を堆肥に染み込ませると、大半の無機物は不溶性の水酸化物として堆肥内部に留まるが、カルシウムが硝酸イオンを捕らえて排出される。この液体にカリを混ぜると、炭酸カルシウムと硝酸カリウムになる。

硝酸カリウムは水に溶けないため、沈殿した炭酸カルシウムを取り除いて水分を蒸発させると硝石になる。

〇写真
銀の一部の化合物が太陽光で黒ずむ作用を利用。可溶型の銀を作り、薄いフィルムに均等に塗った後、写真媒体の外側に定着させて不溶性の銀に返還する。

紙に塩を溶かした卵白を塗り、乾燥させる。それから硝酸に少量の銀を溶かした水溶性硝酸銀を、卵白を塗っておいた紙に塗ると塩化銀となる。この紙に光が当たると、塩化銀が金属銀に還元され、光に露出されなかった部分は白いまま残る。チオ硫酸ナトリウム(苛性ソーダに二酸化硫黄のガスをくぐらせて、粉末硫黄と沸騰させる)で定着させれば写真となる。

〇炭酸ナトリウム(ソーダ灰)
18世紀にニコラ・ルブランが開発した方法として、塩を硫酸で反応させ、出来上がった物を石灰岩と木炭か石炭を使用して溶鉱炉で1000℃前後で焼き、水に浸す事で抽出出来る。

⇒欧州の森林で大規模な伐採が進んだため、アルカリを木材以外から入手する方法が望まれていた

他にソルベー法として、重炭酸アンモニウムを濃い塩水に加え、重炭酸ナトリウムにし、熱する事でソーダ灰に変える方法がある。

〇ハーバー・ボッシュ法
1908年に発見された。窒素と水素を反応器内で1:3の割合で混合し、アンモニアを生成する。

窒素に変化を促すには、触媒が必要で、窒素ガスに水酸化カリウム等を加える事になる。反応器を高温(450℃)かつ高圧(200気圧前後)に保つ必要があり、高度な技術が必要。

アンモニアと硝酸を混合して硝酸アンモニウムとして肥料になる。

21世紀初頭現在において、ハーバー・ボッシュ法は年間約1億トンの合成アンモニアを生成し、世界人口の1/3を支えている。

⇒19世紀を通じて、欧州農業は輸入したグアノとチリの硝石に依存していた

枯渇しつつある資源に依存している状態から脱するためにハーバー・ボッシュ法が必要とされたとする。人口が一定の限界に達すると、肥しを土壌に戻す方法や豆類を植える方法も限界に達し、農業ループ以外から窒素を投入するインセンティブが強まる。

第12章 時間と場所
現代の時間スケジュールは生活リズムを形式化したものである。昼夜を超える時間意識はゆっくりと感じられる。

日時計があれば、一日の長さに年間で周期性がある事を観測可能になり、一年を細分化し、季節周期をどこまで進んだか、星の変化等から計測出来るようになる。

第13章 最大の発明
文明が進歩し続けているのは歴史的には特異現象である。

産業革命当時の英国が、豊富なエネルギーと高い労働力、安い資本という特殊な条件を持っていたため、産業革命が発生したとする。

科学知識があったしても、社会経済的背景が伴わなければ技術は採用されない。

科学の根幹にあるのは、自然法則を見い出し、数値で表現し、実証する精神である。距離、時間、温度の尺度を定め状態変化を計測する方法論。

⇒この章と序盤のリチャード・ファインマンの意見が最も重要な箇所だと思う

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教育の失敗

週刊東洋経済 2016.12.31-2017.1.7 P9「経済を見る眼」等から。

教育を支える基本的価値は、「正しさ」である。差別や偏見の無い社会という正しさ、個人の良心という正しさ、正確な事実や真理という正しさ等。多くの人間が「正しさ」を受容し、理性的判断を下す能力を育成する事が教育の目的とする。

問題は、「正しさ」が裏切られる現実を生きる人々が多い事であり、「正しさ」によって庇護される人々に比べ、利益を失っていると感じる人々がいる。そうした状況で「正しさ」を教える事に熱中すると、「正しさ」の虚を突く人々が増えていく。

「正しさ」が揺らぐ中で、その意味を問う作業に向き合わなくてはならない。

以下は、「敵が欲しい」の記事へのリンク。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-2558.html

以下は、「全てが僕になるまでに」の記事へのリンク。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-2559.html

今後は、「正しさ」の前提条件が変化していくのかもしれない。不特定多数の人間達に訴えかける「正しさ」は、巨大企業等を運営する場合には有効だったが、情報量が増加していく中で、身近な人間だけを対象にする経済が乱立していく可能性。

身近な人間だけが出資する小規模型企業。

建設でなく、維持を目的とするなら、規模極大を追及する必要は無いはず。中央集権を逃れ、様々な「正しさ」が並行する社会?

変化を示唆する兆候は既に表れており、2016年11月の世界ビットコイン取引高は、1億7471万ビットコイン(約17兆円)となり、2016年3月の1億4856ビットコイン(約14兆円)を上回った。

その背景にあるのは中国経済の揺らぎであり、2016年12月に人民元相場が1ドル = 6.9元台後半と8年ぶりの安値を付けている。中国はビットコインの取引量の90%以上を占めており、中国において仮想通貨への資本逃避が発生している事を示している?

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この瞬間にも誰かを殺している

僕がこれまで生きた事で、何人を殺したのかをふと考えた。

存在するだけで何かを消費するし、行動する事で誰かを傷つけている。

僕はそれを意識したところで全く痛痒を感じないし、自分を正当化する理屈を作り出している。その事に気付かないまま死んでいく。

どれほど生きたところで、自分が生きている影響を知る事は出来ないと思う。

******************

何十年か何百年か必要かは分からないが、数千冊、数万冊の良書を読んで内容を理解するとして、理解する過程は内容を短く省略する過程なのだと思う。

人間の記憶力や思考力には限界があるから、短く約める形式でまとめていく。その結果、出来上がった単語は、およそ全体を表したものでないだろうから、最初からやり直す事になる。

取り留めもなく、こうした事を考えている。

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クリスマスの残り

妹夫婦が、自分達のクリスマスパーティーで作った料理の残り物を持って来たので、今日の昼食はそれを食べた。

クリスマスチキンの残り。骨付きだった。

以下は、「目覚めながら眠っている」の記事へのリンク。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-2379.html

上記の記事で送付されるはずだったアイスクリームが本当に送付されたので、それも食べた。

安上りな人生だ。

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善人の独裁者

インターネット上の掲示板からのコピペ。

人間は「理論」に支配されている。

少数者は、失敗から成功を生み出す。大半の人間は成功体験の反復しか出来ない。成功体験の反復 = 理論に従う事。失敗から成功を生み出す = 新理論創出。

以下の混合で社会が成立すると仮定。

多数派:前例主義的で失敗する挑戦はしない
少数派:仮説を立て試行錯誤を繰り返して前例を覆す

⇒少数派の試行錯誤によって、新しい理論が出来る

⇒前例が上手くいかない混乱期に少数派が機能する

それだから、基本的に少数派は独裁者として行動する。多数派には少数派が理解出来ないからだ。

異なる思想が存在し、どちらも他方を許さない場合、どちらかの思想を許す施策をした独裁者は必ず別の思想から見て善人にならない。よって、独裁者が善人を目指すなら全員を同じ主義思想としなくてはならない。

理論には、極端に単純であるために、個人や組織の行動に関する理解を歪めてしまうという批判がある。

以下のように、単純過ぎる事による欠陥。

物理モデルを現実世界に適用する場合を考えると、建築物を設計する時には、重力や運動量等の理想論的な法則を基準にするが、実際には摩擦や抵抗等の複雑な計算もしなければならない。社会モデルでは、人間の感情的行動がそれにあたる。

「善」を観測事実によって得られる「其処にある」ものと定義すると、人間の感情や思い込みは関係無い。しかし、人間は『感情』に支配されている。それなのに、『感情』に支配されている自覚が無い。

<ローマ崩壊について>
ローマ崩壊の原因は、領土拡張限界に到達した事。ローマは帝政・共和制問わず、根本にあるのは、奴隷や他の土地からの収奪であり、奴隷に出来る人間、収奪可能な土地が無くなった時点で、ローマの衰退・崩壊は始まった。聖書、黙示録に描かれた巨大な蝗の群とは、ローマの事である。

共和制だったローマが領土拡大して、元老院議員の数が増加し、諸所の問題に対して、国が決定を下すのに時間がかかり非効率になった。

そこで、カエサルが皇帝による独裁制を打ち出す。カエサルは殺され、彼の後継者アウグストゥスが、第一人者として共和制としての建前を守りながら、実質的な独裁制を打ち立てる事になる。

独裁制は、複雑化に対処する手段。独裁者待望論は、多くの人間が複雑を単独者に丸投げしたいと望む事から始まる。その意味でカエサルは大衆の贄にされたと言える。

ローマは、カエサルの築いた基礎によって拡張を続けたが、新たな拡張限界に到達し、収奪が不可能になった時、ローマの衰退が再度始まる事になる。

**************

上記のような領土拡張を求める理論的限界を、経済的理論は克服した。

国民総生産という架空概念増大を国力増大とする事で、領土拡張のインセンティブを低下させたのだ。

経済学モデルの変遷において、ケインズ経済学は、1960年代~1970年代に最も有力な経済の理論的枠組みだった。インフレ発生によって信用を失った後も一定の影響力を保持している。様々な消費、投資、政府支出を「C」、「I」、「G」という文字で単純化するケインズ経済学はGNP計算法の発展と上手く適合した。

国民総生産は、国民全体の消費量と一致するのだから、国力は人口に比例すると考える。人口を増やすためには、出生率を安定させ、貧富の格差を消失を主張するようになる。平等になった方が人口は増加して国力が増す

以下の3つ以外では、国民総生産は増加しない。

①人口動態
②可処分所得の増加
③生産性の改善

中間層消滅と貧富の格差拡大は、国民総生産増加にとっての脅威である。人口と国民総生産が比例する以上、弱者を切り捨てると、国力が低下する事になる。

<ナポレオンについて>
ローマ帝国と同様の事象が近世フランスにおいて発生したとも思われる。

19世紀のフランス国民は民主的国民投票の結果、賛成多数でナポレオンを『皇帝』にした。ナポレオンは独裁者となり、六つの警察組織を創設した(①フーシェ直轄、②警察庁、③憲兵、④皇帝直轄の警察、⑤外務省の警察、⑥大蔵省の警察)。フランスにおける自由はアンシャンレジーム体制下より制限され、フランスはナポレオン戦争で人口の一割に当たる300万人の人間を喪ったが、これは民主的に皇帝となったナポレオンがフランスに齎したものである。

******************

結局、独裁者は大衆の生贄なのだ。

独裁者に人間の心は要求されない。小競り合いを配置してガス抜きし被害拡大防止を要求される。憎まれる事が支配者の責任であり、その責任を放棄して政府という共同体を作り、弱者に弱者を支配させるのが民主主義なのだから、強者再来を願う人々は必ず現れる。

民主政治では、市民が政治に参加してるという事実だけで支配者層は既得権利を有したまま責任を取らない。資産家は支配はするけど責任は負わない。 資産家には資産家で守るものがあり、それが少ない弱者は資産家からは保身に走る卑怯者となる。

それらの不満を解消するには、生贄となる支配者が必要だ。

<ユーロ崩壊について>
欧州の経済統合を促したのは、多様性低下により、諸国間の紛争を鎮静化させられるという論理だった。さらに、統合による経済規模拡大によって経済成長を予想していた。

ユーロ導入後のリスクは各国間で同等という錯覚により、全ての国で低金利が継続した結果、バブルが発生したとする。2016年現在で各国の金利格差が復活した状況は、米国各州の金利が分散しているのと同じで、むしろ健全を担保している。

現在の欧州を批判する意見として、「加盟国間での資金移転を実現する財政連合不在」を指摘する意見がある。不況下の国は、経済状態の良い国から資金を移転される事により均衡が回復すると主張。
この意見は中央集権化を志向するものであるが、それでは米国等が大規模な財政再配分を実施せずに経済的繁栄を継続した理由を説明出来ない。

以下は、国家組織が共同体を統合する方法を、介入度が低い順に並べたもの。

①貿易:共通市場
②金融:共通通貨
③労働:国民の共同体内での移住の自由
④規制:規制の整合化
⑤金融:個人資産を中央組織が保障
⑥財政:税率や財政支出の決定等

欧州連合と通常国家の相違点は、上記⑤の金融である。北海道民の銀行口座が、北海道庁による資産没収や債務不履行に脅かされる事は無いが、ギリシアの住民の銀行口座は同じように保障されない。

⇒欧州連合加盟国が、自国民の金融資産を没収する権限を保持している事が混乱の原因となっている?

*****************

欧州に関しては、さらに文化的問題も絡む。トルコは、ケマル・アタテュルクにより世俗化する事で近代化に成功した。しかし、どれだけ、トルコが欧米化、近代化、工業化を進めても、トルコはイスラムを捨てられないし、完全に欧米人にもなれない。トルコはトルコであり、欧米人、白人にはなれない。

群衆と個人は別の感性を持つ別の生き物であり、個人の意思や理解を超えた複雑を持つのかもしれない。群衆にとっての善行は個人である善人には絶対に受け入れられない悪行であるから善人は自分の善を押し通そうとした時点で群衆に殺される。

ソヴィエト連邦のスターリンは国内で大虐殺を行ったが、ドイツに戦争で勝利し、ソヴィエト連邦を超大国にもした。つまり、国体を守って国を発展させた善でもある。

トルコには、それと同等の複雑があるのかもしれない。

群衆の願いを叶えるには、弱者を切り捨てなければならない。弱者を助けると、それが特権となり社会が破綻する。破綻を防ぐには弱者を切り捨てるしかない。指導者の仕事は利益調整だから、全員を幸福には出来ない。

人間は相対的にしか己を評価出来ないから、自分と他人を比較し、必ず不公平感が生まれる。全ての人々の希望を叶える事は出来ないから、誰から見たら悪となる。

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体調不良の理由が分かった

クリスマスが近づいているからだ。

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今日も気持ち悪い

本日も体調不良。

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気持ち悪い

頭が痛くて寒気がする。風邪をひいたようだ。

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賢い事による傲慢

高い知能を持つ事により、残酷になる可能性について。

「高知能」 = 「パターン認識能力が高い」と定義する。

すると、知能が高い場合、物事から一定の法則を見い出そうとする傾向が強まるはず。そして、一定のルールに従う共同体を構築する事を目指し、また、規則を遵守しようとするはず。

人間社会を一定のパターンを持つシステムとして定義すると、社会階層を意識する事に繋がる。そこでは、他者を自分よりも下位にする事により、相対的に自分の地位を向上させる事が出来る。

高知能者?の意識する社会では、人間が部品として活用されており、人間を製造する「学校」が必要となる。取り換え可能な部品となるためには、文字の読み書きや四則演算可能な能力を持ち、何よりも周囲に違和感を与えてはならない。

さらに、2行目で定義した「高知能」を前提に考えると、システム化しようとする欲求は、客観視への欲求に繋がる。客観的であるためには、自らが当事者にならず、批判されない = 安全な立場にいなければならない。

それは必然的に自分より下位の存在、若しくは自分を攻撃しない者を対象にする事になる。彼等は自分よりも強く、自分を攻撃出来る存在を思考対象に出来ない。

閉鎖的であり、且つ、序列が維持された共同体を望む。外部からの侵入者は定められたパターンを乱す侵略者であるし、秩序を維持するためには下位者を攻撃し、自分の能力を確認しなくてはならない。

パターンを認識する能力が高い場合、差異を見付け出す事にも長けるはず。不愉快な存在について、その存在に特有の差異を主張し、それを迫害の理由として主張する。自らにも当て嵌まる事であれば、安心して批判材料に出来ない。

弱い存在について、「自分達はあいつとは違う」と思わせる事が出来れば、仲間を作るれる。それは社会階層を形成する事にもつながるし、一つのシステムを作る事である。

******************

「本音で話す」、「自分は言いたい事をはっきり言う」と自称する人間について不思議に思う事がある。そうした人達は、残忍な人間ではなく、融和的な人間を攻撃対象にする。甘い事を主張する人間がいるからこそ、残忍な人間が存在するという理屈になる。

彼等の主張は、攻撃的であるようでいて、本当には闘争を望んでいない。秩序を乱す存在との対決を、融和を主張する存在との対決にすり替えている。

そのように感じる。

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なぜ大国は衰退するのか

読んだ本の感想。

著者:グレン・ハバード、ティム・ケイン。
2014年10月24日 1版1刷。



結論が先にある気がする。

人類史における帝国の衰退は、内部経済の不均衡から始まるとする。政治面での過剰な中央集権化は衰退の一般的要因であり、通常は集権化の百年以降から衰退が始まるとする。

大国の衰退は経済的衰退であり、それは制度の衰退の結果とする。

制度は経済的行動を体系化する制約であり、法的保護、市場、規制、政府構造、社会規範、宗教信条等から構成される。

エンタイトルメント:
全ての一般市民に対して保障される政府支出。

レントシーキング:
特定集団が政府を自分達の利益になるように操作して資金を得る事。

過大な政府支出によって、現代国家の礎が脅かされているとする。

歴史から以下の法則が見出せるとする?

①限定合理性
支配者の能力は大衆の無知によって限定され、また、大衆の選択は支配者候補の器によって限定される。

②自己同一性
国民意識は強力な制度形成を促すが、構造的変化に抵抗する保守主義も含む。

③損失回避
指導者が革新を行う事は稀。損失回避のために大国ほど消極的になる。

④時間選好
当局者は改革を必要としても、実行は遅らせてしまう。

******************

◎国富とは
本書の中で、①GDP、②GDP成長率、③人口一人当たりGDPを掛け算によって組み合わせ、一つの変数にする方式が提唱されている(GDP成長率は、平方根にする)。

⇒著者が提唱した方法では、2010年の米国74%とすると欧州は54%、中国は30%、日本は11%である

言葉ではなく数字で国を評価する思想は、1650年代にオリバー・クロムウェルに仕えた英国人ウィリアム・ペティ(『賢者には一言をもって足る』、1665年出版)から始まる。人口、収入、土地等の資産から国力を試算。

数値データから、オランダは人口が十倍もあるフランスより国力があるとした(対外貿易や資産、都市化等)。

アダム・スミスはウィリアム・ペティの思想と重農主義者による一定期間内の経済的生産量を国力を一面とする見識を組み合わせ、年間労働量を年間消費量の基盤とした。富を手元資金の蓄積とした場合、国の成長可能性を把握出来ない。

そして、20世紀になり鉄道や自動車、電話等の技術革新や大恐慌等から、経済を把握する指標としての国民総生産が考案された(公式になるのは1940年代の終り)。

1944年のブレトンウッズ会議では、GNPが国際経済安定化の成果を計測する指標とされた。

⇒現代でも富を生産力のフローではなく、資産のストックとして捉えてしまう誤りはあり得る。また、質の定義が課題

GDPを過去の値と比較し、各国間で比較すれば広範囲の長期的変化を想像可能。1950年~2010年では以下のイメージ。

①米国は人口一人当たりのGDPで常に優位
②欧州の主要国は同じような動き
③韓国は先進国に移行している唯一の国
2000年頃に1万5000ドル程度だった一人当たりGDPが、2010年頃には3万ドル近くになっている。
④中国はインドよりも早く成長している(特に2000年以降)
⑤ラテンアメリカ諸国は、生産性最高水準の20%~30%の
水準で足踏みしている

⇒成長の著しい国でも、米国の75%~80%の水準で一人当たりGDPが落ち着く。中央統制的資本主義で成長を加速させても、そこから発展するには起業家精神に基づく別種類の経済活動が必要になるようだ

*******************

<ローマ帝国>
ローマ帝国の主要制度は、以下から成るとする。

・軍隊
・交易による労働の専門化
・都市化

ローマ帝国内の街道が上記を促進し、対応する市場や法律、官僚制度を生んだ。古代ローマの発展は紀元前500年~紀元200年に渡り、国土の膨張を伴ったとする。しかし、新技術開発が無かったために、人口過剰の圧力により、三世紀前半には平均所得が減少した可能性がある(全盛期のGDPは250億ドル?、200年頃の人口は2760万人?)。

著者は、ローマの経済不均衡の原因の内、影響の大きいものを以下の3つとする。

①ハドリアヌスの長城
122年のブリタニア中央部における長城建設。
②銀貨改鋳
二世紀末にセプティミウス・セウェルス帝が行った。
③経済の支配・統制
三世紀末にディオクレティアヌス帝が行った価格統制令等。

ローマ帝国の終りは、117年のトラヤヌス帝死去から始まったとする。この時にローマ帝国の地理的規模が最大になったらしい。次のハドリアヌスが内向きになり、経済規模拡大が終わったとする。

⇒軍隊が権力を独占した事で、一部の特権階級の権力が他を犠牲にする形で最大化されたとしている?

他に、中国、スペイン、オスマントルコ、日本、英国等。

どれも中央集権化が行き過ぎ、支配層が損失回避的になった結果、制度改革が行われなくなったとしているように思える。特に英国に関する視点は面白く、英国市民権を与える範囲が狭すぎたために、米国独立を誘発し、英連邦の他の国々も取り込めなかったとしている?

〇カリフォルニア州
衰退しつつある地域として。

2010年時点のカリフォルニア州のGDPは1.7兆ドル程度で世界10位程度。さらに21世紀初頭の経済成長率は平均3.7%であり、人口一人当たりGDPも5000ドルを上回り、米国、中国に次ぐ世界三位の経済力と言える。

二十世紀初頭の映画スタジオ設立(ハリウッド)や軍隊の訓練に適地だった事からの防衛産業集中等により、集積効果 = 人的資本の集積地になったとする。1900年時点のカリフォルニア州の人口は149万人だが、2011年には3769万人程度になった。

1992年に政治の構造的転換を経験。それまで保守党が強かったが、民主党のビル・クリントンが勝利。以後、州民の基本層が左傾化していく(無所属以外の有権者の民主党員は43%で共和党員は30%)。1970年~1980年代にかけて南部他州は共和党支持に転向している。

以後、カリフォルニア州議会の民主党員は、累進的課税、全米最高レベルの最低賃金水準、手厚い福祉政策等を導入し、2013年時点?でカリフォルニア州の失業率は9.8%程度、未払い債務総額は1000億ドル以上と経済的打撃を受けたとする。特に年金債務問題は深刻で、未積立年金債務総額は、本書執筆時点で5000億ドルにもなる?

財源が無いにも関わらず年金支出等を増やした民主党の問題?累進課税が年収百万ドル以上で13.3%という米国で最も累進的である事にも問題があり、好況期に所得税収が増加し過ぎるため、それを基準とすると不況期との差が激しくなる。

カリフォルニア州では議員の任期が六年と全米で最も短く、長期的に考えない政策や官僚強権化の温床になっているという指摘。

さらに、ゲリマンダー(特定集団が有利になるように選挙区の区割りをして歪んだ区割りが出来上がる事)の問題もある。カリフォルニア州の2002年の選挙区改定では、浮動的選挙区が無くなり、議員が再選され易くなったとする。

******************

<米国>
米国の中心は、米国憲法の第一条に宣言されている①宗教の自由、②言論の自由、③集会の自由であり、米国憲法採択後にこの核心が修正された事は無いとする。

これらの権利は天賦であり、政府とは自由を抑制する存在と認識する。連邦政府は中央集権に敵対する構造になっており、州知事は大統領に任命されず、各州で選出される。

さらに、予算権限を憲法上与えられ、課税法案を最初に審議するのは最も民主的な下院のみである。

以下は、米国の分極化を指摘する意見。

①中道の消失
1960年代に極右や極左に帰属する議員は稀だったが、2013年?現在では連邦議会で中道の立場を取る議員はほとんどいない。

②政府の信頼低下
支持政党の無い米国民が増えている。無党派層は1990年の29%から2012年の38%に増大した。

著者が問題視するのは、過大な政府支出であり、1935年にフランクリン・ルーズベルトによって法制化された社会保障が数十年かけて増大し続けている。エンタイトルメント支出の対GDPは2000年代の8.7%から2040年代の17.9%まで増えるという予想。

・米国政治における囚人のジレンマ
本当は増税と財政支出削減を両立させる事が好ましいが、民主党は高い政府支出を主張し続け、共和党は減税を主張し続けている。仮に共和党が政府支出削減を主張すると低税率維持を主張する民主党が有利になり、民主党が増税を主張すると高い政府支出を主張する共和党が有利になる。

⇒議員達が短期的な党派争いに拘った結果、長期的財政均衡が犠牲になっているとする。

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以下は、著者が主張する歴史の教訓。

①何事も必然ではない
②人間は皆同じ
歴史的記録には一貫した傾向がある
③脅威は内部に存在する
④無知は究極の限定
⑤政府は最も危険な派閥
均質な国家としても内部には明確な区分があり、多様性を排除する事は不可能
⑥損失回避は革新を脅かす
⑦小さくなり過ぎる事は大きくなり過ぎる事より脅威
内向きになると革新が起きなくなる?

さらに、以下の戦略。

①税法改正により投資を主導(低税率)
②経済規模拡大(提携協定促進)
③起業促進

政府規制増大が企業減少の潜在的原因になるとする。

著者は、米国憲法を改正し、総議員の3/5の賛成を得た緊急事態を除き、政府支出の上限額を前7年間におけるインフレ調整後の歳入中央値と一致させるべきとする。さらに、財政均衡により、前10年間の財政ギャップ平均値を7年かけて1/7ずつ縮小させる経路を示すべきとする。

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ザ・セカンド・マシン・エイジ

読んだ本の感想。

著者:エリック・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィー。
2015年8月3日 第1版第1刷発行。



機械化について述べた本。著者達の主張は間違っていると感じる。費用対効果を考えた場合、単純労働ほど機械によって代替され難いはずだが、それに関する観点が無い。

評価されない人達を正当に評価するシステムが無い限り、機械による代替が阻止されても問題は変わらないと思う。マイナーなラダイト運動に注目しても、フランス革命や明治維新、南北戦争にはそれほど注目していない事がおかしい。

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人類史における一大画期は、18世紀後半の産業革命である。未だかつて、総人口や生活にこれほどの変化を齎した事象は無い。

現代における第二機械時代も同じようなインパクトを齎す可能性がある。

〇モラベックのパラドックス
ロボット工学者ハンス・モラベックの意見。機械知能にとって高度な推論の実行は容易いが、初歩的な知覚・運動技術の習得は困難とする。

⇒著者達は、本作でこのパラドックスを完全には打ち負かしていないと思っているはず

しかし、機械知能には成長速度が速い特徴がある。自動車の速度が二年毎に二倍になる時期が50年継続した事は無いが、機械知能にはそれが可能だ。デジタルの世界における制約は、物理世界よりも緩く、短期間での大幅な成長が可能。

スーパーコンピュータCray-2(1985年発表、3500万ドル)と、タブレット型端末iPad2(2011年発表、1000ドル程度)の演算速度は同等であるが、iPadにはカメラや電話の機能まで付いている。

〇生産性の重要性
米国の一人当たりGDPは、1800年以降、平均して年1.9%伸びている。これは36年でGDPが二倍になる事を意味する。この原因は生産性が向上したためであり、1950年に週40時間で獲得した生産量が、2015年?では週11時間の労働で実現出来ている。

1940年代~1960年代は電気の導入期にあり生産性が向上したとする。1973年には生産性向上の鈍化が確認された。電気が動力源として米国の工場に導入されたのは、1890年代後半の事だが、その後20年間は労働生産性は向上しなかった。

経済史を研究するポール・デービッドの意見として、当時の工場の多くは、蒸気機関を動力源としていた頃と同じようなレイアウトや組織のままだったとする。蒸気機関を動力源とする機械は、蒸気機関から近くに配置する必要があった(伝達距離を最小限にする)。そのため、機械類は蒸気機関の上下階に配置される事が一般的だった。

電動モーターが導入された後もレイアウトは変わらず、生産性は向上しなかったとする。

1920年代頃に、当初の技師長が引退し、新世代が指揮を取る頃になって、小型モーターを多数利用する事が一般的になり、生産性が向上したとする。

⇒電力による生産性向上のペースは、情報技術導入による生産性向上のペースと極めて似ているらしい

米国の労働生産性は、情報技術により向上している。1971年~1980年が年率1.7%、1981年~1990年が年率1.5%だった労働生産性の伸びは、1991年~2000年が年率2.3%、2001年~2010年が年率2.4%となっている(2000年代後半から生産性の伸びは鈍化している?)

〇GDPについて
国民所得が計算され、議会に提出されたのは1937年の事。それまでの為政者は貨物の輸送量や株価指数等の断片的情報に頼って政策決定をしていた。

サイモン・クズネッツが全米経済研究所、商務省と行った調査研究に基づく。経済が変容した事で新しい指標が生まれた。

現代における情報経済においては、GDPは不適切な指標かもしれない。無料のデジタル資産や時間節約、インターネットによる悦楽、アクセス拡大、比較レビュー等の無形資本財。

新しい指標が必要とする。人間開発指数(国連開発計画が発表する健康や教育等の指数を用いて社会を計測する指標)や多次元貧困指数(栄養、衛生等の指標から貧困状況を評価する)等。

〇べき乗法則
一部の人間に富が集中している。

2012年に米国の全所得の半分以上を上位10%の所得層が占めるようになったという。所得や生産性が向上しても、配分が行われなければ大多数の人間は恩恵に与れない。

情報技術の拡大に伴い、デジタル化されたコンテンツが多くの人間に容易に配布されるため、勝者総取りの傾向が強まっているとする。CEOの成果報酬は1990年には平均的従業員の70倍だったのが、2005年には300倍になっている。情報技術の発達により、最終決定者の影響力、監督範囲が大幅に拡大した事を理論的根拠とする。

スーパースター経済においては、所得分布は左右対称の正規分布ではなく、非対称のべき分布になるとする。そこでは80対20の法則が成り立ち、上位20%の人間が利益の80%を獲得する。

こうした変化は世界観を混乱させる。それまでは、平均的な有権者に語りかけ、代表的な消費者を想定したが、べき分布での平均値は最頻値より遥かに大きいため、大半の人間は平均以下となってしまう。

〇個人や政府への提言
個人に対しては、発想力、広い枠でのパターン認識や複雑な意思疎通等の人間が比較優位を持つ認知分野を重視すべきとする。現実を動き回り、様々な人と接する仕事。

以下は政府への提言。

①初等・中等教育の改善
教育のデジタル化等。
②企業環境整備
③求人と求職のマッチング強化
④科学者支援
⑤インフラ整備
⑥課税の工夫
ピグー税(公害に課税)、超過利潤(年間100万ドル以上等)への課税等。

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労働は、人間を退屈、悪徳、困窮から救うというヴォルテールの言葉がある。多くの人間は、熟達、自主独立、目的を求めている。

働く事は基本的願望であり、自信を持つ事に繋がる。そのため、仕事が無い地域は、貧困な地域より悲惨な運命を辿るとする。

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T・S・スピヴェット君 傑作集

読んだ本の感想。

ライフ・ラーセン著。2010年2月10日 初版印刷。



【あらすじ】
2000年代の米国が舞台。主人公は、米国北西部モンタナ州の牧場に住む12歳の少年。緻密な図を描く能力を持ち、それを雑誌等に寄稿している。

ある日、主人公に彼がワシントンDCのスミソニアン学術協会に送った図がベアーズ賞を受賞したという連絡がある。彼は成人と勘違いされており、スミソニアンでの基調演説を依頼される。

主人公は、自分に無理解な家族に黙って米国東部のスミソニアンに行く事を決意する。西部から長距離貨物列車に無賃乗車して、東部のスミソニアンに辿り着き、基調演説を行うものの、自分を広告塔として利用する大人達の思惑に気付き、父親と一緒に西部の故郷に帰る事になる。

*****************

入れ子構造の物語だと思う。

物語の本筋の他に、膨大な脚注がほとんどのページに掲載されている。主人公は、弟の死等の重要情報を脚注の方に記述する事があり、何というか立体的な構造になっていると思う。

P46~P47:
小説というのは、図に描くには厄介なしろものだ。つくりものの風景が、現実の世界をそっくりそのまま図にするという重圧からの避難所を提供してくれることもないではなかった。けれども、そういう現実逃避は、常に、むなしさのようなもので中和された。ぼくには、フィクションの作品を通じて自分を欺いているのがわかっていた。おそらく、現実逃避の喜びを、欺瞞の自覚と釣りあわせることが、なぜ小説を読むかのいちばんのポイントなのだ。しかし、ぼくは、現実と創作を同時に、うまくぶらさげることがどうしてもできなかった。たぶん、同時に信じもするし、信じもしないという綱渡りをするためには、大人である必要があったからだろう。

⇒この言葉が本作品の肝であるような気がする。メガテリウムクラブ等の空想上と思われる機関の存在といい、作品は何かを暗喩しているが、それが何なのか分からなかった

〇ドクタークレアの小説
主人公は、旅の途中で母の部屋から失敬したノートを読む。その中には、母の書いた小説?が書いてある。主人公の父の祖母であるエマ・オスターヴィル(地質学者)の伝記という形態を取る。

主人公の母親は昆虫学者であり、女性でありながら学者をしている事による自らへの社会的非難をエマ・オスターヴィルに投影している?

主人公は、牧場主の父親と学者の母親が異なる型であるのに結婚している事を不思議に思っている。

父:テカムセ・イライジャ・スピヴェット
牧場主をしている。道徳基準はキリスト教。不言実行で不器用。

母:クレア・リネカー・スピヴェット
昆虫学者をしている。世界を限りなく小さい、おそらく存在しない部分でしか見ない人間と評されている。

主人公は、父の望むような牧場主になるのか、母のような学者になるかで揺らいでいるように思える。後半になって、主人公が両親は死亡し、モンタナ州立大学教授 テレンス・ヨーンの養子になったと名乗るのは、そのためだと思う。

ドクター・クレアの小説は、エマがヘイデン調査隊に同行し、「お水、ありませんか?」と問い掛ける所で終わっている。結局、彼女が牧場主と結婚した理由については直接的には語られていない。

〇主人公が旅路の途中で会う人々
多分、何かを暗喩している。

①トゥークラウズ
小柄な放浪者。インディアンの血統であるらしい。マツの木が冬に雀を保護したために、神によって冬季も葉をつけていられるようになった話をする。主人公に、ホーボーホットラインとして、流れ者のために列車の運行情報を流す電話番号を教える。

②ジョサイア・メリーモア
主人公がシカゴで遭遇する大男。自らを尊師、預言者、主と名乗り、主人公を救うために殺すといい胸に傷を負わせる。主人公に刺されて水没するが、死んではいないらしい。

⇒多分、何かを暗喩しているキャラクター。登場があまりに唐突だったため、とても不自然

③リッキー
トラックの運転手。人種差別的だが好人物と描写されている。主人公をシカゴからワシントンDCまで連れて行く。

****************

都会と田舎、宗教と科学、大人と子供、etcと様々な分断を描いた物語のようにも思える。

物語の形態は、T・S・スピヴェットが書いていると見せかけて、誰が別の人間が書いたのではないかと思わせている?

ドクター・クレアが、自分の心情をエマに投影したように、この物語自体がファンタジーであるのかもしれない。

P196~P197:
理論の上では、どちらの分野も―宗教も科学も―自然と対立するものではない(中略)それが普及に成功している理由だ。(中略)わたしの疑問はだれ、一つのテキストがあるなら、どうして、それを改訂しつづけないかということだ。テキストというのは、本質的に進化するものなのだ」
「でも、最初から正しかったらどうなの?」エマは尋ねた。「シスター・ルシールは、聖書は神の言葉からきているから正しいんだっていってるわ。神がモーセに直接お話になったんだからって。それで、神が造物主なら、どうして神が間違ってるの?」
「正しいなんてものはないんだ。ただ、それに近いものがあるだけだ」

P220:
才能ある人間は、自分の流儀を貫くようになる。彼らの知力は頑固さによってしか担保されないのだ。

P222:
わたしたちはしばしば゛進歩″と称する油断ならない生き物を追いかけてきたが、その途中で道徳性が失われてきたように思われるからね

⇒この辺りの記述は、多分、キリスト教について何か言っている

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正常と異常を分かつ物語

読んだ本から。

正常から外れた異常は低い存在と見做される。

異常は不完全であり、見ている分には楽しいが、話し相手ではないし、会話能力にも欠けるとする。異常を観察するのは正常であり、正常は異常者を教化、訓育して理性化する権利があるとしている。

ほとんどの虐待は憎悪からでなく、躾が高じて発生する。正常者の命令に従わない異常者は罰せられるべきなのだ。

その背景にあるのは、理性的精神を貴ぶ社会であり、現代社会には参加者全員が健全な理性を持っている前提がある。理性礼賛が大勢となる時、禁忌が暗黙に設けられ、排除の論理として現れる。

正常な行動とされるのは、人間社会が無意識的に作り上げた約束事、社会コースに外れない行動である。奇声を発しながら机上を歩き回れば異常者とされる。或いは会社に真っ赤なスーツで出社すれば正気を疑われる。本質的な根拠は無いが、社会生活を円滑に進めるための約束事がある。

正常とされる生活は、約束事を守るために精神を抑圧する事を基本としている。

多くの人間が互いに意思疎通するためには、抽象的な外的環境である世界について共通の了解が必要である。哲学は、世界について観測者が人間である事を前提にしている。

以下は、理性を前提にした時に現れるもの。

①マニュアル
様々な行動を、何時でも誰でも出来る事として文書化する。文書に従えば、誰でも一定の目標に到達出来る事になる。精神を方法化して、技術を理性を持つ全ての人々に開放する。

②単線的な因果理解
世界に存在する事実には、それに対応する原因が先立って存在すると考える。線形的な因果理解は直線的時間観念と関わっている。輻輳的な関係性や確率論的理解とは馴染まない。

③二者択一
大勢の人間の意見を二つに集約して、単純な対立に置き換える。優勝劣敗の原理に則る。思考過程から余計な要素を除去し、単純な原理に従えば真理に到達出来る事になる。

様々な要素が存在する中で、手続きによる取捨選択を経て、確実性の高い多数で全体を代替する。確実性の低い要素は少数者として排除される。

多数者が横暴でないと考えるのは、理性による楽観的信頼の現れである。

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選択されてしまう物語

以下、纏まらないままに書いていく事。

物語の類型について。

①目に見える象徴
移民問題への対処として、国境線沿いに巨大な壁を建設する提案は政治的には正しい解決策であるかもしれない。

100mほどの長さの巨大な壁を建設し、移民対策の象徴とする。そして、国境管理を行う新設部門を作り、担当者の行いを記録していく。定期的に記録の不備を見つけ、担当者に罰を与えていれば、現実の移民問題が解決しなくとも、人々の不満を解消する事が出来る。

これは歴史的に一定の頻度で現れる解決策。万里の長城にしても奈良の大仏にしても、巨大である事により納得されたのだと思う。

②転移
ある種の猿は、自分より上位の猿から虐待されると、自分より下位の猿を虐待し、自分を被虐待者から虐待者へ転化させるとする。自分より強い者には絶対に逆らわない。

人間に場合、記憶自体を改竄する。強い者に虐待された場合、それが弱い者のせいであるかのように記憶が形成される事がある。

特に集団が同一の記憶を持つ場合、記憶の歪みの程度は大きい。認識や価値観まで集団に引きずられる。

③女性的反応
「自分で自分を格好良いと思っている男が嫌い」と言っている女性がいた。

彼女が好きな漫画を読むと、自己評価が高い傲慢な男性が、ヒロインにやり込められ、それを切っ掛けにヒロインを高く評価する流れが多い。

概して、外見で判断するし、地位が高い男性を好ましく思い、高級品を好む。しかし、それを他の人間が思っている事として、周囲の人間に嫉妬されたいと願っている。

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異なる作者達によって作り出されているはずの小説や漫画が一定のパターンの枠内にしか収まらないのは何故か?

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100万年後の宇宙人達へ向けて

以下は、「物語の重要性」の記事へのリンク。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-1978.html

人類が滅亡し、それから長い年月を隔てた未来の地球に飛来した宇宙人達は、数値記録や遺跡等ではなく、妄想であるはずの小説や漫画、映画等から人類の過去を推測するのかもしれない。

上司に発達障害について、僕の心理報告を交えて説明するが、数値情報だけでは納得してくれない。

「つまり、どういう事なの?」

以下は、やる夫スレの「不思議の佐々木」へのリンク。このような説明が必要なのだと思う。

http://mukankei151.com/wp/archives/51135

僕と他の人間達の世界は隔てられている。僕は観察の対象であり、交際相手として適切でないと思われる。障害者として認知される事により、僕は彼等の論理の外側にある。区分する事により、僕の周囲の人間は僕に汚染される事を免れている。

「あなたが失敗した理由は何ですか?それが他の人間にも発生しない理由を教えて下さい。それが出来ないのなら、全ての人間に適用すべき再発防止策を作る必要がある」

僕の失敗に関しては、「それは僕が発達障害者だからです」と一定の区分が行われる。僕の失敗は、他の人間には発生し得ない事象であるという一定の線引きが出来る。

そして、区分を完成させるには『発達障害』とはなんであるかを説明し、納得して貰わなければならない。

数値では無理なのだ。具体例による説明でも足りない。瞬間移動不可能である事を伝えなくてはならない。

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鍼や灸が利く理由/生贄の記録

インターネット上の記事からのコピペとか。

<自分内部の不自由>

人間は手足等の身体表面から情報を摂取している。

足の裏に内臓に直結するツボが沢山ある理由は、簡単に触れられない内臓の遠隔スイッチを、簡単に触れられる身体表面に置くためと思われる。

人類史のほとんどの期間において、人間は裸足で凸凹した地面の上を移動していたはず。

眠っていた人間が目覚め、大地に足をついて歩き始める。すると、足の裏の遠隔スイッチが自動的に押され、内臓に信号が行って「活動モード」に入る。また、内臓に異常が起きた時は遠隔スイッチにアラームがつき、対応する遠隔スイッチを押すと弱った臓器の新陳代謝を活発にする信号を送る事になる。

動物は、このように身体表面から接触という形で「情報」を食べているらしい。

「随意性」という観点から考えると、例えば食べる時、食物を口に入れる、食物を噛む、というところまではほぼ100%随意的(意図的)に操作可能(錐体路系の支配)。

しかし、食べ物を嚥下した後は、喉を食物が落ちて行く過程も、食道や胃の運動も操作不可能になる。食べるのと逆、排泄を考えても同様。排泄行為自体は体が自動的に行う。直腸等は身体内で自治を獲得している。

意識操作を超えた体のオートノミ―、自律システムは「錐体外路系」と呼ばれ、「反射的」に意図を超えた身体操作が行われる。

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<自分外部の不自由>

以下は、「日本書紀の読み方」の記事へのリンク。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-2549.html

物語を構成するためには悪役 = 生贄を作り出さなくてはならない。

日本神話におけるスサノオは、そのために作り出された神とする。原初の日本神話は、太陽神と月神の2つの神の物語であり、追放される悪役としてのスサノオを後から追加した可能性。

根拠?として、日本神話における三貴子(天照、月読、素戔嗚)の内、天照(太陽神)はイザナギが白銅鏡を左手に持った時(左眼を洗った時)に生まれ、月読(月神)はイザナギが白銅鏡を右手に持った時(右眼を洗った時)に生まれているが、スサノオはイザナギが首をめぐらした時(鼻を洗った時)に生まれている。

スサノオの誕生譚のみ不自然であり、後世の改竄の可能性があるとする。

そうまでしてスサノオを生み出さなくてはならない理由は、天照大神を追い詰め、天の岩戸に隠れされ、世の混乱状態を引き起こす事により、天皇家の始祖である天照大神の重要性を説く事にあるとする。

神を追い詰めるのだから、神と同様の強さを持つ悪を用意しなければならない。

おそらくスサノオの存在は、日本古代に実在した生贄(追放された者)に由来している。

ハツクニシラス王(初代の王)とされる崇神天皇の名は、ミマキイリヒコイニエ。最後のイニエを贄とする解釈もある。天照大神を祭る伊勢神宮の創始は、崇神天皇の次の垂仁天皇の時代に行われている。

日本書紀では、崇神五年に疫病が蔓延し、それは倭国の神 大物主神を敬わぬためと崇神天皇は夢で知る。そこで、大物主神の息子である太田田根子に大物主神を祭らせたとする。

その機会に他の神々も祭り、各地に天社、地社、神地、神戸を設定すると、疫病が収まったとしている。

⇒多分、隠された物語がある。生贄を必要とした物語?

贄を捧げなければならないとする意識操作は、意図を超えたものであり、人間の不自由を証明しているのかもしれない。

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全てが僕になるまでに

読んだ本から。

不具は一つの差異を表現し、模倣の誘惑を生む。

例えば、子供達の集団内にどもりの子供が存在すると、他の子供達はその真似を始める。そして、真似はからかいから迫害へと変わっていくはず。

あらゆる物語の本質はそこにある。

全ての物語において、悪役は後から来た異邦人であり、そうでなければ他とは異なる差異を持つ存在。

物語は現実を反映しており、悪役は様々な集団内で嬲り者にされる者が持つ特徴を持っている。同一種の動物が集まって群れを構成する時に、迫害されるのは群れの一律性から外れた動物。若過ぎる、あまりに年老いている、或いは他の何らかの理由で規律正しく動く事が出来ない。

劣位と見做された者達は他の部分と区別され、根絶しなくてはならないとされる。地上の天国の実現は、罪人を消去するか強制的に転換する事によって可能になるとする。

不思議な事に、消去し転換する方法として、必ず根絶すべき犠牲者の方法論と目されているものが採用される。憎むべき者であり、消し去らなければならない悪なのに、それを根絶する方法は悪役と同じもので無ければ納得されないのだ。

それは環境が変化していく時に顕著だ。変化の中で自分が消えていく。どこかの知らない誰かになってしまう。そんな気持ちの悪さに対して、誰もが前に進まず、後退する事を選ぶ。安心したくて、知っている自分に戻ろうとする。

そのために劣位にある者。自分よりも後退している者を模倣する。模倣は強力に人々を誘惑し、劣位にあるはずの者が集団の基準となっていく。

*****************

昔から疑問に思っていた事がある。

人間は自由なようでいて自由でない。行動や思考には定められた規則があり、その枠の中でしか動けない。

規則の一つは模倣だ。憎むべき存在が生まれた時、どのような人間もそうした存在に汚染され、自分が汚されたのと同じ方法で報復しようとする。

僕が存在する事で引き起こされる他の人々の行動は気味が悪いくらい同じだ。それは僕が周囲に与える印象が同じものである事を示している。

僕が存在する事で、周囲の人間全て僕に感染していくのかもしれない。自分中心の世界観だとそうなる。劣位にある場合、周囲から汚染されない。自分より上位にある者を完全に模倣する事は不可能だからだ。

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敵が欲しい

インターネット上の掲示板からのコピペとか。

敵が欲しい。

何か殴って這いつくばらせたい。明確な目標、象徴、具体物、何でも良いから戦う相手が欲しい。

人間社会を動かすのは、そうした論理だ。変化の原動力。

その結果として、現代社会では保守と革新の逆転が生じている。

かつての革新 = 先進的な思想 = 「国際的」、「身分差別反対」等は保守になっている。それらは一昔前は、既存社会の変革を促すものであり、変化を望む多くの若者が賛成した。

労働者の権利や基本的人権、女性の参政権、法的に人種差別を否定する社会はそのようにして構築された。

しかし、かつての若者は老人となり、飽和した革新は保守になっている。一昔前の保守的意見こそが、既存社会に変化を作り出す先進的思想になっている。

かつての革新は、築き上げた既得権を維持するために標榜されるようになっている。僅か数十年で逆転現象が生じたのだ。

人間は根本的には変化しないとする思想は、それ自体が変化を生み出す原動力になる。変化出来ない事を仮定すると、原点を想定するしかなくなり、どの時点を本来の姿とするかで意見は相違する。

**************

争う事や戦う事について考えている。

フィクションである小説には一定の型がある。異なる作家が書いた作品であっても、定められたパターンを踏襲しているように感じる。

戦う事が物語を終わらせるために必要とされる場合がある。誰か敵を用意し、敵と戦い、敵を追放する事で物語が終わる。戦わなければ、作者が物語を終わらせる事が出来ない。

その根底にあるものは何か?

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お洒落で高い店

レストランで燻製肉を食べた。

そこで色々とあったけど、それについては書かない。

社会は僕には理解出来ない方向に進んでいる。

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日本書紀の読み方

読んだ本の感想。

遠山美都男編。2004年3月10日第一刷発行。



日本書紀1巻、2巻は神々の物語を記述するが、段落毎に内容の違う複数の所伝を挿入しており、物語が複雑になっている。

第1章 スサノヲ神話を読み解く
スサノヲの乱暴と大祓の関係。

祓:
不可視の宗教的罪を取り払い秩序の正常化を図る。

禊:
水を注いで汚れを洗い流し清浄化する。

スサノヲの乱暴行為はアマテラスの怒りを招くが、日本書紀では罪と記されていない。

以下の解釈。

①生きている馬の皮を剥ぐ
スサノヲは馬の皮を剥ぎ、斎服殿に投げ込むが、馬を生贄と解釈する事が出来る。古代に行われた牛馬の皮を剥ぐ犠牲行事の名残である可能性。「逆皮をかけて」という記述から、普段とは反対の扱いをした事を示され、非日常を感じさせる。

また、ユーラシア北部のアルタイ系狩猟民族には、生剥した獣肉や皮を屋根から搬入する儀礼があるとしている。

②馬伏
スサノヲは馬をアマテラスの田に放ち、田の中に伏せさせたとある。馬が生贄とすると、生贄を肥やす行為であったかもしれない。

③大便
スサノヲは、密かに新宮で大便をしたとされる。古事記神武天皇段には、神武天皇と后となるホトタタライススキヒメは、三輪山の大物主がセヤダタラヒメが大便をしている時に、矢に化けて交わって生まれた御子としている。

崇神天皇十年条にも、大物主の妻が箸で陰部を衝いて亡くなる話があるが、用便の後始末に用いる箸状の木片である。

アマテラスが陰部を箸で衝く事が儀礼的性交を示唆しているのなら、スサノヲの大便も儀礼的行為の名残かもしれない。

④畦放
田の畔を破壊する行為。これは社会秩序の更新を意味する準備儀礼だったかもしれない。

⇒スサノヲが放逐される原因となった乱暴行為と、大祓詞の天つ罪が対応する事から、スサノヲ神話は宗教的儀礼の原初を表すのかもしれない

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日本書紀では、神話体系化のために、スサノヲが出雲へ降る理由を説明する必要があり、高天原で重罪を犯したために追放されたとした可能性がある。

その罪は祭祀空間でのみ許された神聖を日常生活で行った事である。

また、アマテラスはスサノヲが投げ込んだ馬に驚いて陰部を傷つけるが、これは姉弟の近親相姦を隠しているかもしれない。ウケヒで神々を生む行為も性交を暗示している。

第2章 崇神天皇は実在したか?
埼玉県行田市 稲荷山古墳出土の鉄剣に記された文字から、辛亥年(西暦471年)に、ワカタケル王という王が存在した事が推測される。古墳に埋葬された人物の祖はオホヒコ(崇神天皇に任命された四道将軍の一人)とされ、崇神天皇の実在も示唆する?

神武天皇は、「初めて天下を馭した天皇」=「ハツクニシラス天皇」と記述されるが、崇神天皇も初めて人口調査を行った「御国肇天皇」=「ハツクニシラス天皇」となる。古事記では神武天皇をハツクニシラス天皇としないが、崇神天皇を「初国知らしし御真木天皇」と記す。

神武天皇と崇神天皇の間にいる天皇は、欠史八代とされ、実在した可能性が無いとする。本当の初代は崇神天皇で、それ以前は創作である可能性。

しかし、著者は、日本書紀が神武天皇の「クニ」を天下、崇神天皇の「クニ」を国と書き分けており、神武が支配した周辺よりも崇神が支配した大和との違いを記す可能性を指摘する。崇神天皇も実在していない?

日本書紀の展開する物語は、以下の二段階からなる。

①崇神天皇以前(軍事的平定)
神武天皇がヤマトに東征し、奈良盆地を中心に軍事的に支配する。その後の八代の天皇がヤマト各地の祭祀を司る県主一族の娘を娶る事で祭祀権を掌握していく。

②崇神天皇以後(宗教的平定)
崇神天皇の代で、オホモノヌシやヤマトノオホクニタマノカミ等のヤマト有数の神々が天皇によって正式に祭られる事になる。次の垂仁天皇の時代には、皇祖神アマテラスを祭る伊勢神宮が創始される。

崇神天皇の時代までにヤマトが天皇の支配下となり、その外縁部に支配が拡大していく話になる。

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著者は、崇神天皇が四道将軍を外部に派遣した話に注目する(古事記では三人)。

日本書紀では、北陸、東海、西道と三つまで漠然と方角を表すが、残りの一つだけ丹波と具体的な地名を記している。四道将軍の一人であるタニハノチヌシが派遣された丹波の先には山陰道を代表する出雲があるので、出雲に派遣されないのは不思議。

日本書紀の歴史像では、出雲の軍事的平定は天皇家の祖先であるホノニニギノミコトが高天原から降臨する前に完了しているので辻褄合わせのためかもしれない。

四道将軍とは、本当は宗教的平定のために諸国の祭祀を我が物にする使者だったのかもしれない。崇神天皇60年には、出雲の神宝が天皇に献上された話がある。

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崇神天皇の名前であるミマキイリヒコイニエという名前の分析。

ミマキ:
貴人の末裔の墳墓(箸墓古墳の造営に対応している?)。

イリヒコ:
神が憑つ付く事をイリとも言う。霊媒の能力を持った男性(オホノモヌシに憑依されたヤマトトトトビモモソヒメの託宣によって疾病蔓延の理由を突き止めた逸話に対応)。

イニエ:
神にささげる贄の意味?崇神記には、天皇が神々を祭り始めるにあたって、神地を献上したとある。

⇒名前の語意を分析すると実在性に乏しいとする。崇神記を構成するエピソードに由来する語彙より成り立っており、造作された可能性が高い

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神武天皇以後の八代の天皇は、精霊の名を使用しているとする。

綏靖:
カム・ヌナカハミミ(神聖な河の精霊)

安寧:
シキツヒコ・タマテミ(元はタマツミで実体不詳の精霊)

懿徳:
オホヤマトヒコ・スキトモ(元はスキツミで、鋤に宿る精霊)

孝昭:
ミマツヒコ・カエシネ(稲の精霊)

考安:
ヤマトタラシヒコ・クニオシヒト(大地を押し寄せて国土を造成した神)

孝霊:
オホヤマトネコ・ヒコ・フトニ(神聖なる精霊)

孝元:
オホヤマトネコ・ヒコ・クニクル(細長い土地を手繰り寄せ国土を造成した神)

開化:
ワカヤマトネコ・ヒコ・オホヒヒ(偉大なる精霊)

安寧天皇のシキツヒコは、「ヤマトの磯城地方の王」であり、考安天皇のタマトタラシヒコは「強力にヤマトを支配する王」となる。垂仁天皇の後の四代はタラシヒコという名が付く。ネコは、王・首長の称号であり、王権が強化された事を示すとする。

第3章 「歴史の出発点」としての雄略朝
天皇家の王統には、仁徳天皇の子からなる、履中系と允恭系の二つがあるとする。

允恭天皇の子である雄略天皇は允恭系に属する。兄の安康天皇の死後、葛城氏を巻き込む形で戦いが発生している。その抗争は長引いたはずである。

日本書紀では、安康元年は甲午年で454年だが、中国に伝わる倭の五王の内、允恭にあたる済と、安康にあたる興の記録では、興は462年に安藤将軍 倭国王に叙せられている。宋書によると、460年に遣使した王は済とされており、安康元年よりも後に済がいた事になる。さらに、雄略天皇の治世が457年~479年になっている事とも矛盾する。

日本書紀では、雄略天皇は己未年(479年)に死去しているが、古事記では己巳年(489年)に死去しており、10年の違いがある。倭王 武は、479年に南斉から鎮東大将軍に任じられており、雄略天皇が479年に死去しているとするのは無理がある。

安康天皇の後の混乱が長引き、即位実現が長引いたと仮定すると、雄略天皇の治世は467年~489年頃ではないか?

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大和政権を構成する諸豪族は、職名等に基づいてウジを名乗り、ウジの性格に合わせてカバネを帯したとする。

ウジ:
共通の始祖より分出した親族集団。

カバネ:
奉仕の形態や地位に応じて、王より与えられる身分標識。

トモ:
朝廷内に設けられた職務分掌組織。トモを率いる長がトモノミヤツコ。

雄略天皇の時代である5世紀後半~6世紀初頭にかけて、ウジの組織が成立した?ワカタケル王配下の私兵組織が、君主体制樹立のために軍事組織に再編成され、軍事的トモを率いる伴造となり、職務固定化に伴ってウジを名乗るようになったとする。

雄略即位前紀十一月甲子条には、雄略天皇が平群臣真鳥を大臣とし、大伴連室屋等を大連にしたと記述される。

万葉集や日本霊異記等の古代文献では雄略天皇の時代を特別視しており、日本書紀の紀年構成も雄略紀から元嘉暦によっている。日本書紀の巻十四の雄略紀以降と以前では文字や語法が明確に相違するとしている(巻十四は、それ以前より先に記述された)。

第4章 「飛鳥仏教史」を読み直す
645年の乙巳の変の後に即位した孝徳天皇は、645年の対仏教政策における詔を発布している。

そこに述べられている仏教受容の歴史は以下の通り。

①欽明天皇の時代に仏教が百済から伝わった
②崇仏は蘇我稲目が行った
③敏達天皇の時代に蘇我稲目の子である馬子が
 崇仏を続行した
④推古天皇の時代に蘇我馬子が仏像を造る等した
⑤孝徳天皇が、その後を受け継ぐ

⇒聖徳太子の事績には一切触れていない。仏教興隆に功績があったのは蘇我家だけであり、憲法十七条にも触れていない

憲法十七条には、条文中に推古朝当時には存在しなかった国司の言葉がある事等から、作成時期は7世紀後半頃という意見がある。7世紀前半頃に遡る寺院遺構の数は畿内にも十カ所程度しかない。憲法十七条を含む推古紀(巻22)と舒明紀(巻23)は、その前後の巻とは述作者、述作の時期が相違している。

日本書紀の記述からは、欽明天皇時代に伝わった仏教は、蘇我氏単独で祭られた事になっている。その後の敏達天皇の時代も方針が踏襲されている。

孝徳天皇は、乙巳の変というクーデータによって蘇我家から仏教の祭祀権を奪ったのかもしれない。

第5章 壬申の乱と「壬申紀」のあいだ
日本書紀の28巻と29巻は天武天皇紀の上下巻であり、一代の天皇の記述としては最大。

壬申の乱で天武天皇と戦った大友皇子に批判的な記述が少なく、大友皇子の側近であった蘇我赤兄や中臣金、巨勢人等への評価を下す筆致が少なく、また、彼等の係累が後の朝廷内で地位を得ている事から、政治的配慮が感じられるとする。

この時代までの大和は畿内政権の本拠であるが、伝統的な豪族が政権中枢を構成しており、7世紀になる事には葛城氏や和珥氏、物部氏等の旧来の豪族達の勢力は失墜していたとする。蘇我氏も乙巳の変で打撃を受けており、近江大津宮遷都は、北陸道や東山道方面を意識した新たな支配を志向したものとする。

そして、壬申の乱における戦闘は大和近辺に限られたが兵の動員範囲は広かったようで天下を決める戦いであった(伊勢からの紀臣阿閉麻呂を将軍とする援軍が勝利を決めた)。

第6章 日本書紀をつくったのは誰か
日本書紀の区分について。

以下のように二つに分ける事が出来るとする。

①中国語の原音による仮名表記
雄略紀(巻14)~用明・崇峻紀(巻21)、皇極紀(巻24)~天智紀(巻27)

②倭音によって表記
神代紀上(巻1)~允恭・安康紀(巻13)、推古紀(巻22)~舒明紀(巻23)、天武紀(巻28、巻29)

厩戸皇子の称号である「上宮」について、推古紀は、厩戸皇子が斑鳩宮に遷る以前の住居名としているが、用明紀では「是の皇子、初め上宮に居しき。後に斑鳩に移りたまふ」としていて、斑鳩と同じ地名として理解している。予備知識不足が明らかであり、用明紀を書いたのが中国人である可能性は大きいとする。

中国人が書いたとすると仮定する場合、宋書に登場する倭王 武を雄略天皇と定めて中国資料に基づいて編纂しており、乙巳の変や白村江の戦いは東アジア全体を描く試みと言える。推古天皇については隋書倭国伝に登場する男王アメタリシヒコと結び付かないため、書けなかったのかもしれない。

一方で、日本人による上記②の記述は、律令法に基づく国家体制の根拠を説くための歴史創造に用いられた可能性がある。

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