つながる脳

藤井直敬とうい脳科学者の本。
脳は内部に複雑なつながる構造をもつ情報ネットワーク。つながる視点を持たないために今までの脳科学は壁に直面していた。それをどう克服していくのか?
1章:脳科学の4つの壁
   ①技術の壁
    変化し続ける対象(脳)=環境への適応能力、
    現実では同じ事は2度起きない=再現性の担保の問題、
    他の動物で実験した結果を人間に当てはめられるのか、
    主観情報をどのように数値化するのか、
    脳は複雑なネットワークにより、成立している脳の一部分のみ
    を計測しても全体の機能はわからないのでは?
   ②スケールの問題
    現代の技術で扱える情報量は多くない。新しい記録解析手法が
    必要。
   ③こころの壁
    脳は非定常的。人工的な定常状態での脳機能の研究には限界
    がある。
    ⇒仮説を重視するのでなく、探索型の研究姿勢が必要。
   ④社会の壁
    神経倫理に対する社会的合意はあり得るのか?
    ⇒仏教のような自己理解の宗教が必要?
2章:二頭のサルで挑む
   著者が行った実験について。2頭のサルの脳に電極を指し、
   サル間の行動における脳の変化を計測するもの。
   【実験】
    上下関係の決まっていない2頭のサルを競合状態に置く。
    (実験では2頭の間にリンゴを置く。)
    その経過を脳状態から観測する。
   【結果】
    徐々に上下関係が構築されるようになる。
    上位のサルの前頭前野の神経細胞活動は活発化し、下位の
    サルの同部位の活動は低下する。
   【考察】
    強いサルから弱いサルに移行した際に、自己の欲求を抑制する
    よう変化する。
    ⇒社会性の根本は「抑制」なのでは?  
   【著者の意見】
    下位のサルは上位のサルと競合状態になった時、抑制をかけ
    ながら、小さなチャンスをものにするため迅速な判断をする。
    上位のサルはそのような瞬間的な判断など必要ない。
    下位のサルの方が選択的な抑制のコントロールを通じ、
    高い社会的適応知性を獲得しているのでは?
第3章:壁はきっと壊せる
   脳科学の大きな壁を壊すのに何をすべきか。
   ①大規模記録手法の開発
    神経細胞一つ一つの活動(スパイク活動)でなく、
    神経細胞群の集団としての挙動(LFP)を計測する技術。
   ②主観の客観的理解 
    情動(無意識化の機械的な反応)と感情(主観的なラベル)
    の区別。
    (例)
    生物全体の行動選択
    ⇒「快衝動」と「不快衝動」
    ↓
    ・魚類や爬虫類⇒脳幹や中脳などの原始的なレベルで行う。
    ・下等な哺乳類⇒基底核や辺縁系、視床下部など。
    ・哺乳類   ⇒辺縁系を新皮質が制御し、修飾をほどこす。
    
     人間の場合、情動反応を認知し、感情表現に移行する途中に
     無意識の意味操作が行われる。  
     ある刺激が意識に上ってくる前に何らかの記憶に基づき、
     修飾を受ける。
     すなわち、人間は自分が何故、その感情を持っているの
     説明不可能。である以上、疑うよりも信じる方が自然。
     その構造を理解する事で何が起こるか?   
   ③社会的意思決定のメカニズム解明
    脳科学の最終目的は意思決定のメカニズムの解明。
    ・決定論:現在は全て過去の事象によって決定される。
    ・非決定論:自由意思はある。
    ・両立主義:因果も自由意思もある。
    著者の意見=因果関係はある。しかし、それは確率的なもの
          であり、予測不可能な行動を選択する自由意思は
          否定できない。
    私(読者)の意見=因果関係も自由意思も無い。それは人間の
             脳内でのみ成立する不確かなものである。
             知能の根本的な限界により人は因果や意思
             という幻を見る。
   ④脳から見た社会の仕組み解明
    話題のミラーニューロンはファンタジーではないか。
第4章:仮想空間とヒト
   ココロとは何か?=「他社の内面を相手の立場で考える能力」
   そのような能力を「心の理論」という。
   「心の理論」は「ミラーニューロン」と同じく、そうあって
   欲しいという倫理的要請から成立しただけなのでは。
   (ここで著者は「サリーとアンの課題」を批判している。
    視点転換でなく、論理的な思考能力の階層が深くなれば、
    解決可能というのだ。
    しかし、それでは発達障害者の児童がこの問題を論理的思考力
    の発達と関係なく解決できない事を説明できない。
    論理的思考力とは幻にすぎず、実態はもっと原始的な機能が
    人間の認識を制御しており、知性はそれを修飾しているに
    過ぎないと僕は思う。) 
    仮想空間の脳実験への応用。再現性を担保できる。
第5章:ブレイン―マシン・インターフェイス
   脳科学の最大の問題である操作不可能性に対する解決方法が
   BMI技術。
第6章:つながる脳
   著者は人間の脳はお金と尊敬を同列に扱っているという。カネと
   リスペクトを軸とした社会への転換を唱えつつ本書は終了する。
   (*)経済学上の人間は合理的で自己の利益を最大化する事を
      目標とする。
      そのため、現在の社会は合理性を重視する。そのような
      社会で不合理や尊厳を扱うためにヒューマニズムがある。
      ヒューマニズムはルネッサンス期に西欧で広まった
      人道主義であり、宗教的バックグラウンドのもとに
      各個人の尊厳を担保する。

自由は進化する:ダニエル・C・デネット著、
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