周期的な変動が発生する原因は何か?

産業革命がフリン効果を発生させたのでなく、フリン効果によって産業革命が発生したのではないだろうか?

フリン効果について読んでいる。『Are We Getting Smarter?』の邦訳は出るだろうか?

以下は『フリン効果』についての記事。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-854.html

『フリン効果』とは、世代毎にIQテストのスコアが上昇していく現象。

スタンフォード・ビネー式知能検査、ウェクスラー知能検査:
1900年代初頭から1年間に0.3ポイントずつ上昇。

レーヴンのマトリックス検査:
1938年に開発されたIQテスト。1年間に0.5ポイントずつ上昇。

具体的には、以下のように人間の知性は変化してきたとしている。

①1910年には、平均的な人間が解答出来た問題
「銃といえば弾丸、弓といえば?」
⇒具体的な関連性を予測する能力。「矢」という答えが正解。

②1960年には、平均的な人間が解答出来た問題
「四角といえば三角、丸といえば?」
⇒具体的な物質ではなく、抽象的な形について考える能力が試される。四角形を半分に分割すると三角形になる。よって「半円」が正解。

③2010年には、平均的な人間が解答出来た問題
「 *といえば&、M といえば?」
⇒この問題は、関連は文字である事以外に共通点は無い。M以外のアルファベットが正解になる。

(*1)同質性に注目するか、差異に注目するか?
問題1:魚とカラスの共通点は?
 1910年の人間 = 魚は海に住み、カラスは飛ぶ。
         同じ括りでは語れない。
         人は魚を食べるがカラスは食べない。
 2010年の人間 = 両方とも動物だ。

問題2:犬とウサギの共通点は?
 1910年の人間 = ウサギ狩りに犬を使う。
 2010年の人間 = 両方とも動物だ。

⇒「動物」とは抽象概念だ。抽象概念を扱う思考が弱いと、物事を分類するのではなく、差異に注目する事になる。「動物」という存在を仮定するように、抽象概念を構築する事で現代の人間は世界を理解する。1910年の人間は、実在の世界に生きていたので、「動物」のように抽象概念を構築する事が苦手だったのか?

(*2)14歳の学生へのテスト
1910年 = 45州の州都はどこか?
2010年 = 米国の多くの州都がその州の最大都市でない理由は何か?

⇒社会的に価値のある「情報」を問うのでなく、情報同士の関連性を問うように変化している。

***************

フリン効果を発見したフリンは、現象の原因を世の中の変化にあるとみているのだろうか?

現代は、カテゴリーや仮説に基づいた事柄、非言語的なシンボルや別の現実を描く視覚映像が支配的な世界だ。そうした世界に対応する事で人間の知性は変化したとしている。

その結果、人間の知性は実在を操作するのでなく、抽象的なシンボルを理論的に分析する傾向に至ったとしている?差異に囚われるのでなく、事象を分類し、仮説や象徴的な関係について思考する。

変化を以下のような生活の変化に由来するとしているのか?

<1910年の生活>
教育:平均的な米国民は学校に6年未満しか通わない。
仕事:工場や商店、あるいは農業に従事して長時間働いた。
人工的な画像:絵画や写真だけ。
非言語的なシンボル:基礎的な算数以外では、楽譜とトランプ。

⇒人々の注意は所有と実用性、有益性と有害物に向けられる。

<2010年の生活>
教育:多くの人々が大学まで卒業する。
   教育の普及で、書物や演劇、芸術を普及させる。
仕事:多くの技術者や科学者、管理者や企業幹部。
 
⇒多くの言葉は多くの概念を生み出す。多くの情報は多くの関連を構築する。仮定的な状況の分析は革新の源になる。

******************

違うのではないだろうか?生活の変化がIQ値を上昇させたのでなく、IQ値の向上が生活を変化させたのではないか?
   
以下は『2022―これから10年、活躍できる人の条件』についての記事。第1章に「七0年周期説」について記載。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-846.html

以下は『コンドラチェフの波』についての記事。

http://nonono7.blog12.fc2.com/blog-entry-739.html

上記は、周期的に発生する変動についての記事。変動の実在を疑う意見がある。そのような変動が存在するのなら、フランス革命以前に変動が発生しなかった理由は何なのか?

フリン効果が原因であるとすればどうだろう?

何らかの原因により、人々のIQ値が上昇を開始する。語彙や計算の数値は変化しない。向上するのは抽象的思考力だ。

フランス革命以後、近代的な『国家』という概念が出現する。目に見える村や家族の外にも、世界があり、そこに自らが所属する巨大な共同体がある。それは一定以上の抽象的思考能力が無ければ無理だったのだろう。

産業革命は、時間通りに単純作業を実行する労働者を必要とした。『時間』という概念を理解出来なければ、ルーティンワークをこなす事も不可能だったのでは?

教育制度にしても同じ事。時間通りに動く子供達。さらに『文字』を理解出来る子供が増加していたのでは?それ以前の世界的な識字率の低さは、教育の問題以外の要因があったのか?

フリン効果では、1年間に0.3ポイントずつIQ値が上昇する事になっている。コンドラチェフの波は48~60年の周期で発生する。集団内部の平均IQが15~20ポイント上昇すると、経済的、技術的、政治的な変動が発生するのか?

出典は忘れたけれど、堺屋太一先生の本で、1982年以後に生まれた学生と、それ以前に生まれた学生達の間に明確な差を感じるという記述があった。抽象的思考力の上昇が閾値を越えたという事か?

学級崩壊という現象が実際にあるのならば、それは現在よりも大幅に抽象的思考力が劣る子供に合わせて作られた教育制度が実体に合わなくなっている事を意味している?

少子化と高齢化の影響から、変動が発生する周期は長くなるのかもしれないが、団塊の世代が後期高齢者となる2022年から何かが発生するだろうか?

社会の変化がIQ値の上昇を促進しているというより、IQ値の上昇が変動を発生させていると考えた方が面白いと思う。

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知能は伸び続けるか

日経サイエンス 2012年12月号。

今月号の日経サイエンスは面白い記事が多かった。

P96~の『知能は伸び続けるか』(T.フォルジャー著)は「フリン効果」に関する話。

フリン効果:
時代が新しくなるにつれて知能テストの成績が向上する現象。
1984年?に、ニュージーランド オタゴ大学 ジェームズ・フリンが発見。
フリンは、20数ヵ国の知能テストのデータから、点数が1年につき0.3ポイントのペースで上昇している事を発見した。その後の調査でも、知能指数の世界的な向上は0.3ポイントという変わらぬペースで上昇している事が確認されている。

<オクラホマ大学の心理学者 ロジャーズの調査>
約1万3000人の米国の学童の知能テスト結果を調査。

⇒点数の向上は、5年・10年というくくりではなく、1年毎に生じていた。毎年、点数は規則正しく上昇している。この事は、子供のIQテストの点数が親の世代よりも約10ポイント高くなる事を意味している。21世紀末には、子供達の平均IQは30ポイント上昇しているが、これは現在の平均知能の人と上位2%の人の開きに相当する。

⇒ロジャーズはフリン効果の原因は複数あり、それらが互いに変動を相殺してフリン効果が続いていると推測している。

<デューク大学 ワイ、プタラスの研究>
米国の小学5年生、小学6年生、中学1年生を対象にした知能テスト結果170万件からなる20年分のデータを調査。上位5%の生徒の成績がフリン効果と完全に同期する形で上昇している事を発見。

⇒全体の成績が向上している証拠だとか。IQ値上昇の背景には文化的な要因がある?ビデオゲームやテレビ番組の普及が知的訓練の場になったと予想している。

【フリン効果の原因】
IQの上昇は、各種知能テストの特定部分に関する成績向上による。

ウェクスラー児童知能検査(WISC)では、算数と語彙に関するスキルを測定するテストの成績は変わっていない。

IQ値の向上は、抽象的推論に関する以下の2つの個別テストに由来している。

①類似性テスト
 2つの単語の抽象的な類似性を考える力を測定。
 例えば、「林檎と蜜柑の共通点は?」という質問をする。
 「どちらも食べられる」という答えではなく、
 「どちらも果物である」という物理的性質を超えた回答をすると
 高得点になる。
②図形テスト
 幾何学図形の関連性を見極める力を測定。

【抽象的思考力の求めるものは?】
上記の①、②のテストは、経験した事の無い問題を解決する能力 = 流動性知能を計測するように設計されている。抽象的な推論は対象の認識に柔軟性を齎す。

<例1>
パソコン画面上のスタートボタンは、実際にはボタンではない。抽象的な推論が出来れば、「スタートボタンを押す」という言葉によって、画面上のスタートボタンをマウスや指で直接押すのでなく、画面上のカーソルを操作して押そうとする。

<例2>
1920年代、ソビエト連邦の心理学者 ルリアがロシアの農民に行った調査。

以下の質問をする。
「常に雪に覆われている地方の熊の色は白です。北極は常に雪に覆われています。北極にいる熊は何色でしょう?」

回答は以下のようなものだった。
「茶色の熊しか見た事がない」

⇒抽象的思考が弱いと、経験の中からしか考える事が出来ない。それは、抽象的思考が弱い人間が愚かである事を意味しない。そうした思考を必要としない環境に彼らは生きていた。

⇒フリン効果は、人間の知性が「近代的」に変化した歴史を示している。抽象概念の類別や論理的思考は20世紀において、過去になかったほど有用なものになっている。フリンは変化は産業革命によって生じたと考えている。

⇒産業革命は、多くの人間が「小規模な家族農業」ではなく、「組織化された職業集団」に所属する状況を作り出した。新たな職業は、抽象的原理に精通している事を要求した。

【未来はどうなるか?】
フリン効果が継続すると、未来人から見た現代人は、想像力の欠けた人間に見えるだろうか?

反応時間を測定する実験の話。以前は200ミリ秒以前の事例は不確実なケースとして考えられていた。人間が反応し得る最速が約200ミリ秒と考えられていたからだ。しかし、200ミリ秒未満の反応事例が増えている。

⇒人間の反応が実際に速くなっている。

フリン効果と同様に、認知のスピードも向上しているのかもしれない。それは人間の適応性の表れである。人間が自分達を賢くする世界を築けば、未来の人達は現代人の単純さに驚く事になる。

***************

フリン効果を発見したジェームズ・フリンは、2012年9月に「Are We Getting Smarter?」という本を出版したとか。邦訳の出版はいつだろう?

面白いのは、次のような意見だ。

<ミシガン州立大学 ハンブリック>
フリン効果が過去に遡って発生していたとすると、1900年の英国人の平均IQは1990年基準で70になる。知的障害者すれすれの水準で、平均的な英国人はクリケットのルールを理解出来なかった事になる。

社会全体の変化?現代人がクリケットを理解する方法と、100年前の英国人がクリケットを理解する方法が相違している可能性?それは、現状では知的障害者とされている人達に適切な方法論を提示出来れば、彼らの理解が向上する事を示唆している?

100年間で30ポイントの差があるとすると、明治時代、大正時代の美術、文学、音楽、ETCは、現代とは異なる趣で理解されていたのだろう。

記事の中では、100年後の人間は現代人の単純さに驚くかもしれないとある。しかし、僕達は100年前の人間達の単純さを驚かない。

それはどうしてなのだろう?

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