やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

読んだ本の感想。

渡航著。

3巻と6.5巻が面白いと思った。以下のように比較で成り立つ物語。正反対のものを対置する事で、陰陽を表現していると思う。

2巻 P203

由比ヶ浜が興味深そうにぐいと身を乗り出してきゅっと手に汗握った。一方、材木座は嫉妬と憎悪に身を焦がし、殺意と共に拳を握った

1巻:
主人公が奉仕部に入る。何故、2勝ずつなんだろう?



P54:
高校生にありがちな思想形態だな。捻くれていることがかっこいいいと思っていたり、『働いたら負け』とかネットなどでもてはやされているそれらしい意見を常に言いたがったり、売れている作家やマンガ家を『売れる前の作品のほうが好き』とか言い出す。みながありがたがるものを馬鹿にし、マイナーなものを褒め称える。そのうえ、同類のオタクをバカにする。変に悟った雰囲気を出しながら捻くれた論理を持ち出す

2巻:
短編集的。職場見学に関わる噂話を潰す話、川崎沙希に塾のスカラシップを薦める話等。



P50:
同じカテゴリに属し、恒常的にコミュニケーションを交わしているからこそ、その親密性は保たれる。そうしたシチュエーションに依存して人の関係性はようやく接続できるのだ

3巻:
由比ヶ浜誕生日会。遊戯部と大貧民をする。



P216:
好きなだけじゃダメだったのだ。
だから彼らは補強した。知識を蓄えて、夢だけ見てる連中を眺め自分は違うのだと己を鼓舞した

4巻:
夏休みに小学生の林間学校に参加し、鶴見留美のいじめを解決する。



P30:
比企谷八幡がいなくても、ちゃんと回っている世界、というのを実感する。そのことに密やかな安心を覚えるのだ。かけがえのない存在なんて怖いじゃないか。それを失ってしまったら取り返しがつかないだなんて

P78~P79:
仲良くなるというのは感情の問題だが、うまくやること自体は技術の問題だ。話題をふり、話を合わせ、そいつの答えに共感してみせる。そうした過程の中で相手のストライクゾーンを絞り、また自分の守備範囲をそれとなく教える
(中略)
人とうまくやるという行為は、自分を騙し、相手を騙し、相手も騙されることを承諾し、自分も相手に騙されることを承認する、その循環連鎖でしかない

P121~P122:
お金の価値も、勉強の意義も、愛の意味も知らない。与えられるのが当然だと思っていて、それの源泉を理解していない。世の中の上澄みを啜ってわかった気になっている年代だ。中学からは挫折や後悔、絶望を知り、この世界が実は生きにくいものだとわかるようになってくる

5巻:
短編集的。進路相談や映画鑑賞、花火大会。



6巻:
文化祭。



P316:
相模はきっと、雪ノ下や由比ヶ浜みたいになりたかったんだろう。あんなふうに誰かに認められて、求められて、頼りにされる人間に。だからインスタントに肩書きを貼り付けた。委員長というラベルをつけることで箔をつけ、誰かにレッテルを貼って見下すことで自分の優位性を確認したかった。それが相模の言う「成長」の正体だ

6.5巻:
体育祭の話。



P66:
人は変われないのだ。もし、変われるとしたら手段は一つ。
何度も何度も痛い目を見て、心に消えない傷を刻みつけて、その痛みからの回避本能によって、結果的に行動が変化するだけだ

P124~P125:
悪口や陰口のコミュニケーションにおける効用は計り知れない。
経験、認識の共有、自身の悪性の開示と、その悪性をお互いが弱みとして握り合う、共犯意識。共犯意識ゆえの結束。さらには陰口を叩き合うことでガス抜きとなりその後のコミュニケーションを円滑にする
(中略)
何かの犠牲によって成り立つ友情は常に新鮮な生贄を求める。供給が断たれてしまえば、身内から差し出さねばならない

P309:
多数派を気取る奴らに教えてやろう。貴様らの信じる価値がいかに空虚かを。いるかどうかも定かでないさらなる多数派に怯える恐怖を

7巻:
京都への修学旅行会。



7.5巻:
タウン誌の結婚特集のページを作る。他に柔道部の話。



P102:
それぞれの役割を決め、そのロールに期待されるやりとりをする姿はままごとじみてすらいる。無自覚的にやっているのであれば本人たちは幸せだろうが、テンプレート化されてしまった会話や日常に自覚してしまったものは憐れだ。生涯、その意識と付き合っていかねばならない。その感覚は持ち得る者同士でしか共有することはできないが、その感覚ゆえに共存していくことは難しい

8巻:
生徒会選挙。推薦されてしまった一色いろはを落選させようとするが、当人の生徒会長をする意欲を掻き立てる事で解決する。



P197:
いつもそうやって言葉や行動の裏を読もうとする。そういうの、わたし結構好きだよ
(中略)
悪意に怯えているみたいで可愛いもの

P342:
そんな本物を、俺も彼女も求めていた

9巻:
クリスマスイベントの話。



P225:
彼らは人の意見を求め、それを取り入れる。失敗したときの責任を分散させるために
(中略)
報告も連絡も相談も協議も確認もすべては関係者を増やし、自身の責任を分散させる行為だ。全体の失敗、全体の責任という形にする事ができれば、一人一人の心の負担は減っていく

P387~P388:
この会議の最大のミスは否定が存在しなかったことだ。一番最初に否定がなかった。だから、まちがっていると知っていても、誰も修正できなかったのだ
(中略)
失敗したときに言うのだ。皆が決めたことだからと。その責任を分散し、自身の心を軽くし、名前のない誰かのせいにする。最後は「みんな」で決めたことだからと脅迫し、共犯者に仕立て上げる

10巻:
葉山隼人の文理選択をマラソン大会で聞く。



10.5巻:
生徒会のフリーペーパを作る。



11巻:
バレンタイン会。生徒会の企画でチョコレートを作る。



P101:
懐かしいと感じるのは、たぶんいろんなものが変わってしまったからだ。いずこかで同一性を失ってしまったから。二度と同じものを手にすることがないとわかっているから

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孔子

読んだ本の感想。

井上靖著。平成元年 九月十日発行。



孔子の架空の弟子 蔫薑(紀元前516年生まれ?)が、孔子の死後30年が経過してから孔子について語る。中原は、蔡国の出身で荷物持ちとして雇われながら孔子の弟子となったらしい。

P22:
この何年間に、何十年間に滅んでしまった国々の民たちが、新蔡というふしぎな国際市場には、日一日、その数を増やしておりました。亡ぼした国の民も居れば、亡ぼされた国の民もおります。が、ここでは総ては平等であるかのように見受けられました。

P73:
国境なる地域を超えましたが、―と言っても、特殊な国境らしい施設があるわけでも、境界の標識が示されているわけでもありません。ただ、そこには国籍不明の農民たちが共同で経営している大きな市場があって、それがこの辺境一体の、これまた国籍不明の住民たちを相手に、異常と言えば異常と言えるような賑わいを見せている

P90:
亡びるには、亡びる段階というものがあるらしく、州来という町になったり、負函という町になったり、次々に小さく分かれ、別個なものになって行き、そして最後は影も、形もなくなって消えて行く

<蔫薑による高弟達の評価>
P377:
子路への叱責、顔回への労り、子貢への無視、―みな、子の愛情の表現であった

①顔回
非凡な頭脳と純真な心。

P224:
頭がよすぎる。純真すぎる。努力しすぎる。勉強しすぎる。従って、顔回は後事を託されるような人ではなく、自分一人で、前人未踏の己が道を切り開いていく人

②子路
俊敏で激情家。純粋。

P229:
正義のために、己が生命が必要というのであれば、子路はいつでもそれを棄てるだろう

③子貢
地味であるが手堅い。

P232:
己が勉学、修養といったものは棄て、自分がこの世に生まれて来た意義は、あるいはその使命は、師・孔子にお仕えすることであると、そういう考えの上に、大きな信念を以て坐るようになりました

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ワールドエンドエコノミカ

読んだ本の感想。

支倉凍砂著。

文章が長い。長過ぎる。もっと短くて良いはず。

近未来の月面にて株式市場で大儲けする話。主人公達が馬鹿過ぎてイライラしながら読んだ。

投資プログラムによる人間のトレーダーの駆逐というテーマが有耶無耶になった印象。人間心理を読み解く事が出来るのは人間のみとしているが、それでは繰り返しバブルが発生する理由を説明出来ない。

主人公を英雄に仕立てるためには、投資プログラムを否定しなくてはならないが、その論理が曖昧にされている。

WORLD END ECONOMiCA Ⅰ
2014年12月10日 初版発行。



川浦ヨシハル(16歳)が数学の才があるハガナ(アンナ・ハーグ)という少女に、トレード用プログラムを組んでもらい一儲けするが、偽のインサイダー情報を掴まされて破産する話。

P201:
フレイザーの『金枝篇』
(中略)
百年以上前に物好きなイギリス人が、世界中の神様の話を集めた本

P215~P216:
ロイド・F・スティール著『数学定理』。有史以来の数学の定理を集めた本だって。これを、最初から逆算しているみたい
(中略)
本には千いくつか数学の定理が載っているらしいんだけど、ついこの間、八百個目の定理を導き終えたと言ってた

P367:
千百二十一個中、八百四十一個目まで、地球の数学の歴史を逆算した。解けなかったものは、一つもない

P580~P581:
ハガナのプログラムが俺のすべてをコピーし終わり、完全な自動化プログラムを作り上げたとしたら?現時点で、俺の生身の人間としての処理能力は限界に達している
(中略)
俺のやっていることが、別に俺でなくてもいいような、単純作業となんら変わらないからだ

WORLD END ECONOMiCA Ⅱ
2015年3月10日 初版発行。



エンロン事件をモチーフにしている。

川浦ヨシハル(20歳)が、4年前の投資コンテストの成績を評価されて株式市場での取引を行い、アバロンという電力取引会社が存在しない発電所の電力を売買して電気の値段を引き上げている事を暴露して儲ける。

P44:
抽象的なものを学ぶこと。なぜなら、現実の物に触れれば触れるほど、摩擦によって速度が落ちるからだ
(中略)
工場で半導体を作る人は、徒歩で歩く人。その工場を采配する人は車に乗る人。その工場で製造する半導体の設計図を引く人は飛行機に乗る人。その設計図を引く博士連中を束ねる経営者が、軌道エレベーターに乗る人

P221:
月面の電力生産は太陽光発電がメインですから、発電量とコストはほとんど固定ですけれど、需要は変数です。しかも、都市全体が一斉に停電に陥るのを避けるために、かなり細かく区分けされて電力が供給されています。よって、需要と供給の法則に従い月面のあちこちで局所的に価格が変動し、価格が変動する場所では必ず投資機会が発生する

WORLD END ECONOMiCA Ⅲ
2015年7月10日 初版発行。



2008年の金融危機をモチーフにしている。

川浦ヨシハル(24歳)が月面の不動産市場がバブル状態にある事を見抜いて大儲けする。金融危機を救うために、月植民地で徴税を行い、ムール(月の通貨)の価値を安定させる。

ABS(資産担保証券):
住宅ローンや国債等のキャッシュフローを生み出す資産を元にした証券。

P226あたりでABSへの投資を決定する意思決定過程が不明瞭。

P304からは月面の不動産市場がバブルである事を証明する記述があるがこれも不明瞭。

月世界の経常収支が圧倒的に黒字であるが、賃金や企業収益は不動産相場ほどには伸びておらず、不動産収益も利回り1.5%程度の低利である事は不自然。不動産バブルが発生した国でも賃貸利回りは3%台が限度であり、バブルが崩壊した後に5%~7%に戻る。10年ほど前までは、月面の不動産利回りは5%前後だった。

⇒後知恵だと思った。バブル崩壊を知っていなければ、このような論理展開にはならない

さらに、不動産バブル崩壊に反対する部下の意見も訳が分からない。ABS投資には熟慮の結果が見て取れたとしているが、熟慮なんてしていないではないか。

P603:
現代の通貨は純金などの、現物資産による裏付けがない。ではなにによって価値が決まるかと言えば、通貨を発行する政府の徴税能力に大きくよっている
(中略)
政府にも収入と支出があって、黒字や赤字がある。黒字の場合は市場から吸い上げられたムールが政府の金庫にたまるが、赤字の場合はムール札を刷って民衆に支払いをしていることになる。よって政府の営業が黒字であれば、市中に出回るムールが少なくなり、ムールの価値は上がっていく。赤字だと市中に出回るムールが増えるから、ムールの価値は下がっていく

P744:
純金などの裏付けがない現代の不換紙幣は、そのほとんどが、政府の徴税能力によって価値が担保されている

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フューチャー・オブ・マインド

読んだ本の感想。

ミチオ・カク著。2015年2月20日 第1刷発行。



著者による脳関係の現代技術解説書。1990年代半ばから2000年代にかけて導入された脳スキャン技術によって神経科学が一変したとする。

〇意識
目的(配偶者や食物、住処を見つける等)を成し遂げるために、種々のパラメーター(温度、空間、時間や社会)で多数のフィードバックループを用いて、世界のモデルを構築する過程。

レベル0:一単位の意識
サーモスタットは温度という一単位で部屋の温度調節を行う

レベル0:10の意識
植物は温度、水分、日光、重力等を評価した階層構造を持つシステム

レベルⅠ:
変化する位置を評価するパラメーター群。多くのフィードバックループがあるため中枢神経が発達

レベルⅡ:
他者との関係におけるモデルを構築。辺縁系という脳構造を必要とし、社会的関係を構築するために必要なフィードバックループの数や種類で定義する

レベルⅢ:
未来のシミュレート

人間の意識は、世界のモデルを構築してから、過去を評価して未来を時間的にシミュレートする(前島前皮質)。

機械的に人間の脳をスキャンする事で、脳内で想像される言語や映像を読み取ったり、道具を操作したり、記憶や思考を強化する事が可能になる。それは人間の意識が操作される可能性も示唆しており、精神を捉える文化は大きく変化するはず。

<アインシュタインの脳>
アインシュタインの脳は角回が普通より大きく、左右の脳半球の下頭頂領域が平均より15%広かった。この領域は抽象的思考や数字等の記号操作、視空間処理に関与している。

それでもアインシュタインの脳は標準の範囲内であり、アインシュタインの活躍は時代によって規定されていたのかもしれない。

1905年にニュートン物理学が、新しい物理学の実験によって崩れ出しており、エネルギー保存則に反して無からエネルギーを生み出しているように見えるラジウムという物質は、それを説明する人間を必要としていた。

現代にアインシュタインを再現しても歴史的状況から、アインシュタインは天才にはならないと思われる。

<意識と存在>
量子力学において客観的事実は否定され、観測者によって現実は収束する。観測する人と観測される人は切り離せず、観測者を見る第二の観測者が必要とされ、さらに第二の観測者が存在する事を確認する第三の観測者が必要になる。

1967年にユージーン・ウィグナーは、この無限の観測者問題を解決するために、宇宙意識や神が必要になるとして、ヒンドゥー教のヴェーダーンタ哲学に関心を持った。

1957年にヒュー・エヴェレットが提唱したのは多世界解釈で、宇宙は絶えず分岐して多宇宙になっており、起こり得る全ての現象は実在するとした。

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けむたい後輩

読んだ本の感想。

柚木麻子著。2012年2月25日 第1刷発行。



この話がどのように構想され、何が書かれているのか読み終わってから暫し悩んだ。

著者が考える女性の幸福について書かれた本だと思う。その本質は主体性の喪失にあり、他人が羨望する何かを無自覚的に奪う事で成立する。

登場人物は、羽柴真美子(才能)、増村栞子(過去の栄光)、浅野美里(努力)に分けられる。

増村栞子のつまらない彼氏が、浅野美里に簡単に惚れてしまう場面が多い。意図的に行うと悪者になってしまう。無自覚でなければならない。

羽柴真美子は才能や幸運によって他人が羨望する男や地位を手に入れていくが、それらは他者の嫉妬や羨望によって記述され、羽柴真美子自身の内面は描写されないため、圧倒的な虚無が感じられる。

増村栞子に対する崇拝は、無自覚的な演技であり、ラストの「煙草消してもらえませんか」という科白は、学生時代の演技の終焉を意味しているのだと思う。

羽柴真美子は、本当には増村栞子の才能を信じておらず、無邪気の自分を演じるための舞台装置として増村栞子が必要だったのだと解釈する。

【登場人物】
増村栞子:
ヘビースモーカー。聖フェリシモ女学院に通う。翻訳家 増村栄一郎の一人娘。14歳で『けむり』という詩集を出版し、中等部時代から蓮見教授と交際しているが浮気され、卒業後はフリーターになる。
中高時代は周囲から羨望されていたため、大学時代以降は凡庸になってしまった自分を持て余している。

羽柴真美子:
肺が弱い。増村栞子の一年後輩。実家は四十五代続く大地主の家系。多方面に天性の才能を持っている設定で、卒業後は脚本家になる。

以下は、Wikipediaの「澁澤龍彦」のページへのリンク。羽柴真美子は、一ヶ月で澁澤龍彦の著作を全て読破したらしい。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BE%81%E6%BE%A4%E9%BE%8D%E5%BD%A6

浅野美里:
羽柴真美子の友人。アナウンサーを目指して努力しているが、第一志望には受からず、地方局のアナウンサーになる。

真美子、とりこになる(一年生篇)
羽柴真美子と増村栞子が出会う。

浅野美里は、羽柴真美子の心酔が気に入らず、増村栞子を見学するために他学部の講義に出席したところ、増村栞子の恋人である蓮見教授から恋文を受け取ってしまう。

浅野美里は、恋文を見せびらかして増村栞子を笑いものにするが、羽柴真美子の信望は揺るがない。

P48:
あの頃の自分は十分魅力的だったのだ。変わりたくない、という気持ちと、取り残されているのかもしれない、という不安が交互に入り交じる

真美子、とりのこされる(二年生篇)
聖フェリシモ大学の伝統行事「七夕祭」のミスコンに浅野美里が出る話。

ストーカー騒動のためにミスコンは有耶無耶になる。

この章は女性の願望が描かれていると思った。羽柴真美子は、ミスコンのMCを務める芸人コンビ『ピロートークス』の村西(22歳、長身、ハンサム)の初恋の相手であり、村西は羽柴真美子に再会するためにMCを引き受けた事になっている。そして、羽柴真美子はミスコンの最中にストーカーと戦った事で英雄になる。

P99:
都合よく妄想される。少しでも意に添わなければ、ひがまれ、糾弾される。そうした茨の道を彼女は歩んでいくのだろう

P108:
栞子の趣味ってさ、もろ『ユリイカ』読者じゃん。個性派気取るわりには、趣味が安全パイなんだよ。金で買える個性っていうの?矢川澄子とか萩原朔太郎が大好きでさ。映画はゴダールでしょ

P128:
フクゾーのシャツとスカート、ミハマ商会のローファー、化粧気のない白い頬。真美子にはまだまだ少女でいて欲しい。せめて自分が完全に大人になるまでは。いつだって、彼女を守れる自分でいたいのだ

真美子、トリコロール(三年生篇)
増村栞子と羽柴真美子が、教え子を妊娠させたためにフランスに国外逃亡した蓮見教授を探して大学主催の美術研修旅行に参加したが、蓮見教授は結婚していた。

増村栞子はフランスで黒木隆一(26歳、カメラマン志望)と出会う。

羽柴真美子は偶然撮った写真が萩尾有春監督から評価され、「水沢マリカ主演 水底に眠る街」のポスターに羽柴真美子の写真が採用される。悔しがる黒木隆一。

真美子、鳥になる(四年生篇)
増村栞子は日大大通りの書店「CANEL」でフリーターになり、男子学生ばかりの職場で姫になる。

黒木隆一はカメラマンから脚本家志望に転身しているが、『猿でも書ける!シナリオ初級編』を読んだだけの羽柴真美子がテレビドラマ青空シナリオコンクールで優勝する。

増村栞子は羽柴真美子が重たくなっていき、自分は特別な人間でないと告白する。

そして三年後、増村栞子は黒木隆一との映画シナリオ共同執筆をを羽柴真美子に持ちかけるが断られる。

P216:
彼女もまた自分だけの居場所を見つけようと必死なのだろう。それなのに、いつも真美子が出てきて台無しにする。自分を慕ってくれているだけに、そうそう邪険にも出来ない。悪気がないのが一番タチが悪い

P218:
母親を見上げる赤ん坊のような表情を見て、一瞬でも彼女を追い返そうとしたことが悔やまれた。彼女は美里とは違う。こちらのテリトリーを荒らそうなんて思っていないのだ

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