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リベラルという病

読んだ本の感想。

山口真由著。
2017年8月20日 発行。



体外受精等、新技術によって価値観が揺らぐ中でリベラルと保守(コンサバ)に変化が発生している。

〇リベラル(民主党)
人間の理性を信じ、人間には自分の人生を選択する力があるとする。「大きな政府」理論は人間の理性が操作する領域を増やす事を意味する。人権を重視する民主主義が最優として未開の地に民主主義を広めて管理領域を増やそうとする。

〇コンサバ(共和党)
自分への懐疑が中心にあり、人知を超える力の前では理性は空しいとして政府支配を最小限にして市場に任せる。海外への介入も不干渉とする。

米国では「人種間の平等」というリベラルの宗教が強い力を持っている。奴隷制は米国の原罪であり、リンカーンやキング牧師をキリストに見立てる。差別主義者は異教徒であり、表現の側面でも少数者差別は犯罪と見做される。公的にリベラル信仰は宗教とされていないため、国家権力が内面にまで干渉する事態になっている。

誰もが差別意識を持っているが、それを抽象的な信仰に逃がしても問題は解消されない。

社会変化として、新技術によって生みの親と遺伝的親を変える事も可能となり、伝統的核家族観は危機に瀕している。核家族モデルには養育費用を父親に負担させる国家的思惑があり、親が明確であるほど責任者が特定し易くなる。子供の養育者を国家が決定する場合は行政機関に責任が生じかねない。

だからこそ血縁による父母子という家族モデルは保守派にとって守るべき社会最小単位である。伝統的家族モデルは、遺伝、分娩、婚姻推定(実質的家族関係)の三つに頼っており、人工授精等の新技術に対応していない。

男女一組が性交渉しない限り子は産まれないという血縁主義による自然法の前提が脅かされ、意志主義(子供が産まれる契約という概念)、機能主義(明確な契約が無いまま産まれた子に対応)等が主張されている。

<米国司法におけるリベラル>
判例の積み重ねでルールを作る米国最高裁は強い権力を持つ。連邦最高裁判事は終身制ながら大統領が指名し、保守とリベラルの色がつく。
民主党オバマ大統領の任期中には九人中三人の保守派判事が引退し、2015年6月の米国全土で同性婚を認める判決(オーバーゲフェル判決)につながる。

リベラルは法律を拡大解釈する傾向があり、目的が崇高ならば法律に無理が生じても良いとする選良主義でもある。

米国では1933年に就任し、任期が12年に及んだフランクリン・ルーズベルト大統領が、自らの先進的政策を推し進めるためにリベラル派判事を多く就任させ、1953年に最高裁長官に任命されたアール・ウォレンによって人種間平等を謳うブラウン判決等のリベラル理論が推進された。

〇オーバーゲフェル判決
同性婚を認める判決。リベラルには個人的経験を普遍的物語として理論でなく感情に訴える手法を得意としており、コンサバからは以下の批判があった。

・婚姻を生殖から切り離すと、純粋な愛によってアニメキャラクターとの結婚まで可能になってしまう。
・政府による自由を推奨し、少数派の要請を全て受容すると国家は成り立たない。
・正義よりも法律を優先し、話し合いを行うべき。



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サクラダリセット

読んだ本の感想。

河野裕著。

以下は、Wikipediaの『サクラダリセット』の記事へのリンク。

https://ja.wikipedia.org/wiki/サクラダリセット

感情が希薄で論理的な人物を描こうとしたためか、キャラクターの個性が弱い気がする。

住民の半数が超能力者である咲良田(超能力者発生は38年前から)という街が舞台。

能力の異なる超能力者達が組む事で力を発揮出来る展開があり、春埼美空(時間を三日間巻き戻す事が出来るが、自分の記憶も戻ってしまう)と浅井恵(ケイ)(時間を巻き戻されても自らの記憶を維持出来る)のコンビが物語の中核となる。

浅井ケイでなく、春埼美空を主人公にした方が作者の書きたい事が描き易いのではないかと思った。

サクラダリセット1
CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY

平成21年6月1日 初版発行。



7月15日頃の話。

葦原橋高校一年生の浅井ケイ・春埼美空は、年上だが不登校児の村瀬陽香から交通事故で死んだ猫の命を助けて欲しいと依頼を受けて時間を巻き戻し、猫を操る野ノ尾盛夏の協力で猫を助ける。

村瀬陽香は自らの体に触れる物を消し去れる超能力者で、時間を巻き戻すリセットによる影響も消し去る事が出来る。浅井ケイ・春埼美空を協力者に管理局(咲良田の超能力者を管理する)を打倒しようするが、浅井ケイとの戦いで自らが人を殺す事が出来ないと気付いて暴力的革命を諦める。

死亡した浅井ケイはリセットによって復活した。

P143:
感情で人を説得していいのは子供か美女だけだ

サクラダリセット2
WITCH,PICTURE and RED EYE GIRL

平成22年3月1日 初版発行。



8月7日頃の話。浅井ケイ・春埼美空への以下の二つの依頼。

①佐々野宏幸(63歳?)から
赤毛の少女に盗まれた写真を取り戻して欲しいという依頼。彼の超能力は、破ると写真の世界の中に10分間だけ入る事が出来る写真を撮影する事。

②魔女(61歳?)から
予知能力によって管理局に貢献する魔女と会見する。魔女はもうすぐ死ぬらしい。

写真を盗んだのは、浅井ケイの七坂中学校時代の岡絵里(記憶操作の超能力を持つ)で、管理局員からの依頼と浅井ケイに勝つために行動しているらしい。

岡絵里は記憶操作によって春埼美空の超能力を封じるが、春埼美空と自分が親友であると思い込ませようとして、リセットの記憶を取り戻させてしまい敗北する(記憶操作は一人に対して一つの操作しか行えない)。

サクラダリセット3
MEMORIY in CHILEREN

平成22年9月1日 初版発行。



浅井ケイの中学二年生時代の話。

春埼美空と相馬菫(予知能力を持つ)との出会い。

母親が死亡した子供の代用として作り出した倉川真理(7歳)が、贋物であるとして母親に愛されないため、浅井ケイの記憶能力を母親にコピーして過去の愛情を思い出させる。

9月1日に、浅井ケイは春埼美空と口づけをし、それを無かった事にするためにリセットを行うが、巻き戻した後の9月1日に相馬菫が事故で死んだ事を知る。リセット後の24時間以内は消去出来ないため、死を無かった事には出来ない。

高校一年生になった浅井ケイは、二年前の相馬菫が撮影された佐々野宏幸の写真を破り、写真の世界の相馬菫に、村瀬陽香の超能力の影響を消し去る力を適用して相馬菫を復活させる。

サクラダリセット4
GOODBYE is not EASY WORD to SAY

平成22年12月1日 初版発行。



短編集。

ビー玉世界とキャンディーレジスト:
芦原橋高校入学式直前に、自らの超能力でビー玉の中に入ってしまった世良佐和子の話。中学校時代は風紀委員と呼ばれる真面目な性格で入学式に遅刻しそうになってしまい超能力を使ってしまったらしい。リセットで時間を戻して解決する。

ある日の春埼さん~お見舞い編~:
7月4日に風邪を引いた浅井ケイのお見舞いに行く話。

月の砂を採りに行った少年の話:
「月の砂を採ってくる」と行って行方不明になった日下部翔太の話。日下部翔太の超能力は姿を消す能力で、月に行ったという話に信憑性を持たせるために行方をくらましていた。

ある日の春埼さん~友達作り編~:
春埼美空と野ノ尾盛夏が友達になる話。

Strapping/Goodbye is not an easy word to say:
相馬菫死亡後の9月半ば頃の浅井ケイの話。相馬菫を生き返らせる事を決意する。

ホワイトパズル:
古い洋館で主人公が浦川という女性とジグソーパズルを組み立てる話。浦川の時間軸は一定しておらず、幼児から高校生くらいを変動している。

サクラダリセット5
ONE HAND EDEN

平成23年5月1日 初版発行。



9月22日頃の話。

生き返った相馬菫が安楽に暮らせるために、咲良田の外に出す事を検討する。影響をシミュレートするために、九年間眠り続ける片桐穂乃果(23歳)の夢世界に入る。

夢世界にはチルチルという神のような存在がいて、片桐穂乃果(ミチル)に力を与えられている。夢世界は怪物によって滅茶苦茶になるが復興するらしい。

相馬菫は最初から咲良田に留まるつもりだった。

サクラダリセット6
BOY,GIRL and _

平成23年12月1日 初版発行。



10月21日頃の話。

管理室対策局長 浦地正宗が咲良田から超能力を消し去る事を目論む。相馬菫の未来予知(他人の未来の記憶を読む)に対抗するために、定期的に自らの記憶を消去し、メモ帳に書かれた情報に則って行動する。

相馬菫は、管理局に所属する索引の「嘘を見抜く能力」を、自らが再生された存在である事を利用してかわす。自分が相馬菫であるという実感が無いために、「君(相馬菫)は嘘をついているか」について、本音で「私(相馬菫の贋物)は嘘をついているが、相馬菫の本物は嘘をついている」という論理で対応出来る。

咲良田の秩序は、浦地政宗の父親(世界中の記憶を消し去る事が出来る)と母親(咲良田内の超能力に関する記憶を失わせないようにしている)によって保たれている。彼等以外の超能力者を生み出すために、咲良田の記憶は失わせないようになっており、世界が混乱しないよう範囲外の超能力の記憶は失われるようになっている。

彼等が死ぬと超能力も解除されてしまうため、二人は冷凍保存されている。浦地正宗は、超能力者の暴走を口実に母親の超能力を解除し、咲良田から超能力に関する記憶は失われる。

サクラダリセット7
BOY,GIRL and the STORY of SAGRADA

2012年4月1日 初版発行。



10月25日頃の話。

記憶保持能力によって一人だけ超能力に関する記憶を維持している浅井ケイが、咲良田に超能力を取り戻すために奮闘する。記憶が失われた後も、写真を破れば写真世界に入れる超能力は現存しているため、過去の相馬菫を蘇らせて未来視を行い、自らの記憶保持能力を春埼美空にコピーする事でリセットを思い出させて時間を巻き戻す。

浦地正宗の仲間である加賀谷を説得し、記憶が失われる領域を制限する超能力を、猫にコピーしその状態を維持して冷凍保存する事で秩序を保つ事にする。

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あした天気にしておくれ

読んだ本の感想。

岡嶋二人著。1986年8月15日第1刷発行。



以下、ネタバレ含む。

日本推理小説史上、最も頭が切れる犯人という推薦で読んだけど、そこまででは無いと思った。なら、どの犯人が最高かと聞かれると困る。

三億二千万円するサラブレッド「セシア」の誘拐事件。犯人は当初から明示されているが、事件が進展していくに連れて思わぬ展開を見せる。

起:
サラブレッド『セシア』が北海道にある鞍峰牧場に移動中、足の骨を折る怪我をして競走馬としての生命を終える。鞍峰開発の鞍峰宗一郎、牧場長の望月豊次、財務管理部の朝倉は、セシアを共同保有する他の馬主への損害賠償を怖れ、セシアを狂言誘拐しようとする。

承:
朝倉達とは別人が馬主達に脅迫状を送付し、薬殺して埋めたセシアの死体も盗まれてしまう。犯人は、セシアの身代金として用意した二億円で、競馬レースで最も不人気な馬の馬券を購入させて掛率を狂わせ、不人気馬以外の馬の馬券を購入する事で大金を手にする。

転:
朝倉は、身代金強奪の影に、セシアの購入元である南雲牧場の南雲文雄がからんでいると考える。実はセシアは、鞍峰牧場への移設前に骨折しており、セシアに良く似たモリノゴンゾウをセシアと偽って販売していた。
替え玉が露見する前に、鞍峰牧場からモリノゴンゾウを盗み出そうとしたところ、狂言誘拐の企てを知り、それに乗じて埋められたモリノゴンゾウの死体を処分した。

結:
身代金横領は、南雲文雄の秘書 藤波の仕業だった。朝倉は、藤波が馬券購入時間短縮のために、発行数の少ない額面十万円の複合馬券を購入したとして、換金時に悪事が露見する可能性が高いとする。

藤波は、馬券を国鉄渋谷駅の小荷物預り所に預けたが、その後に交通事故に遭い、荷物預かり期間の三日を過ぎて中身をチェックされ、悪事は露見してしまう。

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「民族」で読み解く世界史

読んだ本の感想。

宇山卓栄著。2018年2月1日 初版発行。



「民族」という概念が近代に生まれた虚構であるとし、その虚構を前提に歴史を編む。近代において歴史という物語を構築するために、必要とされた概念が「民族」だった。

第1部 「民族」はこうして始まった
民族は言語、文化、慣習等の社会的特徴によって導き出される。

英国の言語学者 ウィリアム・ジョーンズ(1746年~1794年)が提唱したインド=ヨーロッパ語族(アーリア人)説(欧州人とインド人は祖を同じくする)は、 当時の欧州人が共有していた「ノアの箱舟伝説」を継承し、コーカサス地方から人類が派生していく物語であり、キリスト教的歴史と近代史を橋渡しする意味があった。

ナチス・ドイツではアーリア人説を活用し、後頭部が湾曲に膨らんでいる事がアーリア人の特徴として民族意識を鼓舞した。

第2部 東アジアと日本
中国人は多民族の混合であり、漢字という共通の言語基盤を持つ。

純粋な漢人は四世紀頃までしか存在せず、北方異民族との混血が進んでいる。386年に建国した北魏では積極的に中国人との婚姻政策を推し進めた。

日本では四世紀~七世紀にかけて数百万人が大陸から流入し、主に未開拓地の開墾に従事したものと思われる。

〇朝鮮
満州を原住地とするツングース系民族 満州人が高句麗を建国し、高句麗が唐に滅ぼされた後は渤海を建国している。九世紀末に唐の衰退とともに新羅が衰退すると、満州人が勢力を伸ばし、開城の満州人豪族 王建が高麗を建国して936年に朝鮮を統一する。高麗は漢江以南の韓人地域を首都とせず、中国との海上貿易で富を蓄えた。十三世紀に李氏朝鮮を建国した李成桂も満州人軍閥の頭目であり、満州人の支配が続いた。現代の韓国で全羅道(南西部)出身者が差別されるのは、満州人と韓人との対立という側面があるとする。

第3部 世界を支配したヨーロッパの国々
欧州人は、大きくラテン人、ゲルマン人、スラヴ人に分けられる。同じ血統であっても、欧州という括りでは広範に過ぎるため細分化する必要があった。

中原という黄河流域に人口が集積した中国は、一つの統一王朝が早い時期から文字を統一して言語の共通基盤を形成したが、複雑な地形を持つ欧州では統一が困難だった。

〇リトアニア大公国
アジア系ウラル語族の国家で十三世紀に強大化。モンゴル系のリプカ・タタール人の騎兵を活用し、1410年のタンネンベルクの戦いではドイツ騎士団に勝利している。1386年にポーランド王国と合併すると、スラヴ民族のポーランド人と混血して同化した。

第4部 インド・中東・中央アジア
インドのカースト制度は、紀元前2000年頃に流入したアーリア人によるものとする。アーリア人はバラモン教によって神に選ばれた民族として支配秩序を構築した。農業主体のインドでは、偉大なる自然を支配する超越的存在を具体化する宗教は重要だった。

〇イラン人
アーリア人であったがアラブ人と混血。226年に建国されたササン朝ペルシアはイラン人優位主義を掲げる軍国主義政権で独自のゾロアスター教が国教化されたが、選民思想を排したイスラム教に駆逐された。

神の前の平等を主張するイスラム教は広範囲を支配出来る可能性があった。

〇ベルベル人
イスラム教のアフリカ・スペイン進出による混血によって誕生。北アフリカからイベリア半島に定住した。

第5部 複雑に入り組む東南アジアの諸民族
東南アジアには、大きくシナ・チベット語族、オーストロネシア語族(島嶼部に広く分布)、オーストロアジア語族が存在する。

オーストロアジア語族がインドシナ半島の原住民でクメール人(カンボジア人)に代表される。ミャンマー人は中国人とチベット人との混血(八世紀~九世紀に南下)とされ、ベトナムやタイでも中国人との混血が進んでいる。

〇ベトナム
オーストロアジア語族が原住したが、北部に中国人が移住し、秦の始皇帝以来は漢字文化圏に属する。十世紀頃に成立した李朝以降、移動困難なラオス地域でなく、沿岸平野部を南下する方向に勢力を拡張し、十五世紀には南部のチャムパーを併合している。

〇ミャンマー
大陸を南下したミャンマー人が、十一世紀に原住のピュー人、モン人を従える形でパガン朝を建国。ピュー人は四世紀からイラワディ川中流域に城郭都市を形成し、驃と記される国を形成した。中国南部の南詔(チベット人)に攻められて衰亡するが、ミャンマー人は南詔から派生した。ピュー人は建築技術をパガン朝に提供しミャンマー人と融合したとされる。

十六世紀前半に成立したトゥングー朝はモン人の反乱で1752年に滅びるが、同年にミャンマー人の武将アラウンパヤーの主導でコンバウン朝が創始される。

二十一世紀に問題になったロビンギャ難民は、コンバウン朝時代に併合されたラカイン州に居住したとされる。

第6部 アメリカ、アフリカ、民族に刻まれた侵略と対立の傷跡
アジアから移住したモンゴロイドがアメリカ大陸の原住民となる。人類はもともと全て黒人で、紀元前10万年頃から出アフリカをして世界中に拡散する過程で白人や黄人が生まれた。

〇アフリカ
言語によってアフロ・アジア語族(アラブ人との混血)、ナイル・サハラ語族、ニジェール・コンゴ語族(西部、中南部に多い)、コイサン諸語族(南部アフリカ諸部族)に分類される。

ニジェール川流域がニジェール・コンゴ語族の発祥地とされ、紀元前3000年頃から芋類の栽培が行われ、紀元前五世紀頃からノク文化という鉄器文化が栄えた。

第7部 大帝国の成立―民族の融和
モンゴル人が中世に成立させた世界帝国が世界経済を一体化させた。

〇満州人
モンゴル人、漢人、朝鮮人の三勢力が交わる結節点にて物流拠点を押さえる事で富を蓄えた。十四世紀~十五世紀に明王朝が北方のモンゴル人と争って国交が断絶した時には両勢力に軍需物資を提供。
1630年代にモンゴル人のリンダン・ハンがモンゴル諸部族の統一を目指すと、満州人は反リンダン派の部族を支援し、その代償に満州人指導者ホンタイジがモンゴルの指導者であるハン位を譲り受ける。

第8部 民族の血統が教える世界
民族を軸にした国民国家は、貨幣経済が浸透して統一市場が形成される時に、統一要素となる基準として民族・言語・文化等の同質的なものが求められる中で統一化の名分として利用された。

同一民族による国民国家によって、商取引契約や法律が整備され、道路・港湾が整備される。一つの法律が適用される範囲としての国民国家の基礎として「民族」は必要とされた。

グローバル化された時代において、昔のように国民国家を機能させる事は不可能であるため、国家は試練に直面している。



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五峰の鷹

読んだ本の感想。

安部龍太郎著。2013年12月2日 初版第1刷発行。



作者の構想が膨れ上がり過ぎて収拾がつかなくなっている。

1540年~1555年の話。

主人公 三島清十郎(1531年~)は、朝廷から石見銀山の金掘り御免の認可を得た三島家に産まれたものの、1540年に実家が吉田藤左衛門の裏切りによって滅び、京都にて室町幕府の奉公衆になるが、1547年に吉田藤左衛門の配下に襲撃されて西日本に逃れる。

その後、長崎県 五島列島を根城にする明の海賊 王直の配下で貿易商人として活躍し、王直の姪 夏(1529年~)と結婚する。鉄砲の可能性に着目し、鉄砲を大名達に販売し、硝石や弾丸の輸入経路を押さえれば実質的に日本を支配出来ると考える。

自らと同じ目標を持つ吉田藤左衛門と対立し、1555年の厳島の戦いにて、陶晴賢の側についた吉田藤左衛門に妻子を人質に取られながらも追い払い、毛利元就を勝利させる。

物語は、三島清十郎が朝鮮半島への襲撃で危機に陥った王直を助けに行くところで終わる。

****************

物語は敵役の吉田藤左衛門(石見玄蕃)を主人公にした方が面白いと思った。

吉田家は代々三島家の家老を務める家柄で、五人兄弟の末っ子だった吉田藤左衛門は、穿通子(堀大工)の棟梁となり、莫大な銀によって貿易を独占する夢を見て反乱を起こす事にする。

三島家を襲撃し、金掘り御免の免許状を奪い、かねて懸想していた三島清十郎の母親 お藤の方も自分のものとする。

しかし、吉田藤左衛門が手にした免許状は副本で、免許状書き替えの際に正本を提示しなくてはならないと言われ、三島清十郎が持つ兜に正本が隠されていると知り、三島清十郎と対立する。

一方では近畿地方の豪族 三好家の姉と夫婦の約束をし、松永弾正久秀と名乗り、三好家を支配していく。最終的には、お藤の方の実家 花山院家と三好家を操って、石見銀山や生野銀山等の日本の銀による南蛮貿易によって日本を支配する計画だった。

厳島の戦いは、石見銀山の支配権をめぐる戦いという視点。

吉田藤左衛門は、花山院家の血筋を引く三島清十郎を篭絡しようとするが、最終的にはお藤の方に裏切られ殺害し、逃亡する。

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